リパブリック・レコードを筆頭に、メジャーレーベルは「アーバン」というラベルを放棄しようと動いている。しかしこれも、80年にわたって続いてきた、ブラック・ミュージックを周縁化するプロセスの一部。「私たちの肌の色は、私たちの関心、知識、あるいは専門性のあり方を決定づけるものではない」と、アトラス・ミュージック・パブリッシングのA&R部門長、ラトーヤ・リーは訴える。「ブラック・ミュージックはこんにちのアメリカの音楽産業を支える柱だ。ほかのどんなかたちの音楽と比べても、ブラック・ミュージックは経済状況の変化に影響されることがもっとも少なかった。大きな問題は、すべての社会階層からの幅広く開かれた支持が欠けていたこと。この欠如は、本質的に人種差別な感情に基づくものだ」
この意見は、先週Instagramにポストされていてもおかしくなさそうなものだ。音楽産業が人種間の不平等に関する対話でもちきりになっていたからだ。しかしこの発言は1982年、ポリグラム・レコードにおけるブラックミュージック・マーケティング部門のトップであったビル・ヘイウッドによるもので、ブラック・ミュージックの今後について特集した
ビルボード誌に掲載された。
歴史は繰り返すことの証拠はまだあって、該当する号にはこんなタイトルの記事も乗っている。「ラジオはブラックネスを軽視している:アーバンというイメージによる異なる聴衆の融合」。この記事では、「アーバン」というラベルを用いるメリットについて番組ディレクターたちが議論している。「アーバン」は白人の聴衆に黒人のアーティストを売り込むのに便利な言葉だと見る者もあれば、ラジオ局が仕えるべきコミュニティを安売りしてしまうような妥協だと見る者もあった。