Pentium J3710 ベンチマーク
いろいろなトラブルを解決し、やっと時間ができたので、この前録画環境として導入したPentium J3710で遊んでみた。
クリックで拡大
以前Braswellを使用したときは、やっぱりなにをするにしてもSilvermont系コアは遅いなあ、というのが感想だった。
それに比べると、今回のJ3710はN3150と比べるとCPUのクロックが3割程度向上しているのもあって、体感では以前に比べだいぶよくなったかも。
環境
比較した環境はこちら。
まあスペックとしては、J3710はいわゆるBrawell Refreshで、N3150と比べるとCPUのクロックが3割近くあがり、さらにGPUもEU数が1.5倍と、なかなか強力になっていることがわかる。…てかBraswellってJ3710が出てくるまでEU=18のってなかったと思うけど無効化してたのかなあ…。
x264エンコード
まずはCPU速度を確認してみる、ということでx264エンコード。
x264 r2705 kMod x64
sakura_op.mpg (1280x720, mpeg1, 30fps, 1分56秒)をffmpegでデコードしてy4mでx264に渡してあげてエンコード。
オプションは --preset slowのみ。
まあ、Core i7とかに喧嘩を売るのは無謀なわけで、基本遅いのは仕方がない。ただ、N3150から比べると、CPUクロックがそれなりにあがっているので、そのぶんきちんと速度も3割近くあがっていて、この違いは結構大きいのかなと思う。
ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク
お手軽にできるGPUベンチマークということで、ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマークをやってみた。
設定は、DX9、1280x720、標準品質(ノートPC)と、まあようは一番軽い設定で、描画を見てみると貧弱なのがまるわかりというぐらいの品質だ。実際にはこの設定ではプレイしたくないなあ。まあ今回はスコアを知りたいだけなので気にしない。
Core i7などに対し大敗するのはまあ、GPUのクロックが大幅に低いということもあってしょうがないけど、J3710がN3150に対してほとんど差をつけられていないことが気になる。J3710=18EUに対しN3150=12EUなので、GPUのEU数は1.5倍なわけで、もう少し差がついてもいいんじゃないだろうか…という気がしていたが、原因は次のベンチマークで分かった気がする。
キャッシュ・メモリ速度 ベンチマーク
ram_speedでキャッシュ・メモリ速度をチェック。
うーん。相変わらず…(苦笑)
まあJ3710のL1キャッシュの速度がCore i7のL3キャッシュ並みの速度しかないというのもすごいけど、それよりJ3710はメモリアクセス速度は(あたりまえだが)全く変わっていない(8.8GB/s!)というところが重要なのだと思う。L1/L2キャッシュについてはちゃんとN3150より伸びてるんだけど…。
なので、さっきのFFXIVベンチマークのようにメモリ帯域が重要なものでは、メモリで律速されてしまって、GPUが強化されたとはいってもN3150とJ3710でほとんど差が出ないのかな、という気がする。
EU増やした効果がないのは悲しい…。
QSV ベンチマーク
QSVのエンコード速度をチェック。
QSVEncC (x64) 2.54
オプション
--benchmark result.txt
入力
sample_movie_1080p.mpg (MPEG2, 1920x1080, 29.97fps, 2分53秒)
sample_movie_1080p_h264.mp4 (H.264/AVC, 1920x1080, 29.97fps, 2分56秒)
ちなみにJ3710とかのSilvermontの場合、x64版のほうがx86版よりも明らかに速いので、x64版を推奨。Silvermontはロード/ストアあわせて1命令/cycleと非常に貧弱なため、使用レジスタが増え、ロード/ストアの減るx64のほうがいいのだと思う。x64だとREXで命令長が伸びるという問題もあるけど、命令長が8byteを超えなければ、2命令/cycleのデコードなんだしそっちはあまり問題にならないのかもしれない。
まずはソースをMPEG2にして、QSVデコードの場合とHWデコードの場合、1080pのままエンコードする場合と720pへのリサイズをする場合でチェックしてみた。
棒グラフがエンコード速度で、折れ線はCPU使用率。
J3710はCore i7などと比べても結構健闘していて、1080pで150fpsというなかなかの速度でエンコードで来ている。
N3150との差はやはりメモリ帯域の問題であまり大きくはない。特に1080pでは、ほとんど差が出ておらず、このあたりが限界なのかもしれない。一方、720pへのリサイズでは、エンコードがより高速に進むようになるため、EU数が増え、CPUのクロックも高いJ3710がより速くなっている。
i7 4770Kのswデコード時のスコアが極端に悪いのはGPU Boostがかからなかったため。
次は、ソースがH.264の場合。
こちらはリサイズの有無にかかわらず、J3710はN3150よりかなり速くなっている。EU数の増加もあるけど、QSVエンコード中はそれなりにCPUを使うので、CPUのクロック向上も効いているのかもしれない。
こちらもi7 4770Kのswデコード時のスコアが極端に悪いのはGPU Boostがかからなかったため。
というわけでPentium J3710の性能をチェックしてみたけど、まずCPUのほうはクロックの上昇分の性能向上があって、これはなかなか大きい。Pentium J3700からだとそれほど大きな差ではないかもしれないけど、Celeron N3150と比べると結構大きな違いになっている。
一方、GPUのほうは確かにEU数は伸びているのだが、メモリ帯域の不足によってオーバースペックになっている感が否めない。それでもQSVをやるとそれなりに速くなっているので完全に無駄、というわけでもないみたい。
以前Celeron N3150を使った時には、遅いと感じることが多かったが、Pentium J3710では遅いと感じる頻度は結構減ったと思う。CPUクロックが3割上がるというのはやはり効果が大きいんだな、と実感できた。普段は録画・ファイルサーバーとして使ってるけど、特に不満はなく使用できている。まあメインPCとして使う気はさすがにしないけど、1万3000円前後の省電力CPU&マザーとしては用途を選べば十分ありかな、と思う。
クリックで拡大
以前Braswellを使用したときは、やっぱりなにをするにしてもSilvermont系コアは遅いなあ、というのが感想だった。
それに比べると、今回のJ3710はN3150と比べるとCPUのクロックが3割程度向上しているのもあって、体感では以前に比べだいぶよくなったかも。
環境
比較した環境はこちら。
CPU | J3710 | N3150 | i7 4610Y | i7 4770K | i7 6700K |
世代 | Braswell改 | Braswell | Haswell | Haswell | Skylake |
コア | 4C/4T | 4C/4T | 2C/4T | 4C/8T | 4C/8T |
Clock | 1.60GHz | 1.60GHz | 1.70GHz | 3.5GHz | 4.0GHz |
(Turbo) | 2.64GHz | 2.06GHz | 2.90GHz | 4.2GHz | 4.3GHz |
キャッシュ | L2 = 1MBx2 | L2 = 1MBx2 | L3 = 4MB | L3 = 8MB | L3 = 8MB |
TDP/SDP | 6.5W | 6W | 6W | Unlock | Unlock |
メモリ | DDR3L-1600 | DDR3-1600 | DDR3-1600 | DDR3-2400 | DDR4-2933 |
(channel) | 2ch | 2ch | 2ch | 2ch | 2ch |
(容量) | 16GB | 8GB | 4GB | 8GB | 16GB |
マザー | J3710M | N3150-ITX | VAIO Tap 11 | Z97E-ITX/ac | Z170-PRO |
iGPU | HDG 405 | HDG | HDG 4200 | HDG 4600 | HDG 530 |
(世代) | 第8世代 | 第8世代 | 第7.5世代 | 第7.5世代 | 第9世代 |
(EU) | 18EU | 12EU | 20EU | 20EU | 24EU |
(Clock) | 740MHz | 640MHz | 850MHz | 1250MHz | 1150MHz |
(ドライバ) | 4364 | 4380 | 4380 | 4414 | 4463 |
dGPU | なし | なし | なし | なし | なし |
OS | Win8.1 x64 | Win10 x64 | Win10 x64 | Win8.1 x64 | Win10 x64 |
まあスペックとしては、J3710はいわゆるBrawell Refreshで、N3150と比べるとCPUのクロックが3割近くあがり、さらにGPUもEU数が1.5倍と、なかなか強力になっていることがわかる。…てかBraswellってJ3710が出てくるまでEU=18のってなかったと思うけど無効化してたのかなあ…。
x264エンコード
まずはCPU速度を確認してみる、ということでx264エンコード。
x264 r2705 kMod x64
sakura_op.mpg (1280x720, mpeg1, 30fps, 1分56秒)をffmpegでデコードしてy4mでx264に渡してあげてエンコード。
オプションは --preset slowのみ。
まあ、Core i7とかに喧嘩を売るのは無謀なわけで、基本遅いのは仕方がない。ただ、N3150から比べると、CPUクロックがそれなりにあがっているので、そのぶんきちんと速度も3割近くあがっていて、この違いは結構大きいのかなと思う。
ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク
お手軽にできるGPUベンチマークということで、ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマークをやってみた。
設定は、DX9、1280x720、標準品質(ノートPC)と、まあようは一番軽い設定で、描画を見てみると貧弱なのがまるわかりというぐらいの品質だ。実際にはこの設定ではプレイしたくないなあ。まあ今回はスコアを知りたいだけなので気にしない。
Core i7などに対し大敗するのはまあ、GPUのクロックが大幅に低いということもあってしょうがないけど、J3710がN3150に対してほとんど差をつけられていないことが気になる。J3710=18EUに対しN3150=12EUなので、GPUのEU数は1.5倍なわけで、もう少し差がついてもいいんじゃないだろうか…という気がしていたが、原因は次のベンチマークで分かった気がする。
キャッシュ・メモリ速度 ベンチマーク
ram_speedでキャッシュ・メモリ速度をチェック。
うーん。相変わらず…(苦笑)
まあJ3710のL1キャッシュの速度がCore i7のL3キャッシュ並みの速度しかないというのもすごいけど、それよりJ3710はメモリアクセス速度は(あたりまえだが)全く変わっていない(8.8GB/s!)というところが重要なのだと思う。L1/L2キャッシュについてはちゃんとN3150より伸びてるんだけど…。
なので、さっきのFFXIVベンチマークのようにメモリ帯域が重要なものでは、メモリで律速されてしまって、GPUが強化されたとはいってもN3150とJ3710でほとんど差が出ないのかな、という気がする。
EU増やした効果がないのは悲しい…。
QSV ベンチマーク
QSVのエンコード速度をチェック。
QSVEncC (x64) 2.54
オプション
--benchmark result.txt
入力
sample_movie_1080p.mpg (MPEG2, 1920x1080, 29.97fps, 2分53秒)
sample_movie_1080p_h264.mp4 (H.264/AVC, 1920x1080, 29.97fps, 2分56秒)
ちなみにJ3710とかのSilvermontの場合、x64版のほうがx86版よりも明らかに速いので、x64版を推奨。Silvermontはロード/ストアあわせて1命令/cycleと非常に貧弱なため、使用レジスタが増え、ロード/ストアの減るx64のほうがいいのだと思う。x64だとREXで命令長が伸びるという問題もあるけど、命令長が8byteを超えなければ、2命令/cycleのデコードなんだしそっちはあまり問題にならないのかもしれない。
まずはソースをMPEG2にして、QSVデコードの場合とHWデコードの場合、1080pのままエンコードする場合と720pへのリサイズをする場合でチェックしてみた。
棒グラフがエンコード速度で、折れ線はCPU使用率。
J3710はCore i7などと比べても結構健闘していて、1080pで150fpsというなかなかの速度でエンコードで来ている。
N3150との差はやはりメモリ帯域の問題であまり大きくはない。特に1080pでは、ほとんど差が出ておらず、このあたりが限界なのかもしれない。一方、720pへのリサイズでは、エンコードがより高速に進むようになるため、EU数が増え、CPUのクロックも高いJ3710がより速くなっている。
i7 4770Kのswデコード時のスコアが極端に悪いのはGPU Boostがかからなかったため。
次は、ソースがH.264の場合。
こちらはリサイズの有無にかかわらず、J3710はN3150よりかなり速くなっている。EU数の増加もあるけど、QSVエンコード中はそれなりにCPUを使うので、CPUのクロック向上も効いているのかもしれない。
こちらもi7 4770Kのswデコード時のスコアが極端に悪いのはGPU Boostがかからなかったため。
というわけでPentium J3710の性能をチェックしてみたけど、まずCPUのほうはクロックの上昇分の性能向上があって、これはなかなか大きい。Pentium J3700からだとそれほど大きな差ではないかもしれないけど、Celeron N3150と比べると結構大きな違いになっている。
一方、GPUのほうは確かにEU数は伸びているのだが、メモリ帯域の不足によってオーバースペックになっている感が否めない。それでもQSVをやるとそれなりに速くなっているので完全に無駄、というわけでもないみたい。
以前Celeron N3150を使った時には、遅いと感じることが多かったが、Pentium J3710では遅いと感じる頻度は結構減ったと思う。CPUクロックが3割上がるというのはやはり効果が大きいんだな、と実感できた。普段は録画・ファイルサーバーとして使ってるけど、特に不満はなく使用できている。まあメインPCとして使う気はさすがにしないけど、1万3000円前後の省電力CPU&マザーとしては用途を選べば十分ありかな、と思う。