Ryzen9 5950Xでベンチマーク
Ryzen9 5950X 記事一覧
Ryzen9 5950Xの準備編
Ryzen9 5950Xで自作PC (組み立て)
Ryzen9 5950Xのメモリ設定
Ryzen9 5950XでのPBOとCOの効果
Ryzen9 5950Xでベンチマーク
Ryzen9 5950Xのメモリ・キャッシュ帯域
前回で一通りZen3世代のPBO2を使ったオーバークロックも試したので、今度はベンチマークでZen2世代のCPUやIntelのSkylake-X (i9 7980XE)と比較してみる。
i9 7980XEは3年前の石だけど、メモリが4chだったりするなどいわゆるHEDT向けのCPUで、さらにコア数も5950Xより若干多い18コアなのだけど、どこまで5950Xと戦えるだろうか? あるいは5950Xがぶっちぎるのだろうか?
今回は、3700Xと同じコア数での比較もやってみたいなということで、UEFIから5950XのCCDをひとつだけ有効にした「5800X(偽)」も用意してみた。ちゃんとタスクマネージャでも8コアCPUに見えているので問題ないはず。最大ブーストが違う? はっはっは。気にしてはいけない…
↓ 5800X(偽) のタスクマネージャ表示。8コアCPUだ。
比較するCPU
比較環境
Ryzen9 5950XのPBO+COとi9 7980XEのPL240Wは高負荷時にピークのCPU温度が80℃~90℃程度におさまる常用OCの限界ぐらい。7980XEは14nmプロセスのためダイサイズが大きい結果、熱密度が低めで、より多くの電力を使っても多少は温度が上がりにくい傾向にあると思う。
使用ソフト
Cinebench R15. R20, R23
7zip 19.00
Aviutl 1.00 / x264guiEx 2.65 / x265guiEx 3.101 / svtav1guiEx 0.04
x264 rev3027 x64
x265 3.4+28 x64
svt-av1 0.8.6+46
Cinebench
Cinebench R15
Cinebench R20
Cinebench R23
Cinebenchは並列がよく効くので、5950Xはぶっ飛んだスコアが出ているし、実際にベンチマークを見ていても本当に速く、見ていて気持ちいい。
5800X(偽)は同じコア数の3700Xと比べると、PPTが異なるとはいえ同じ8コアなのに3割程度スコアを伸ばしており、IPCの伸びとクロックの伸びの効果が強く感じられる。プロセス自体は7nmと変わっていないのにこの伸びはなかなか。シングルスレッドのほうで比べても同じように3割ほど高いスコアが出ていて、IPCとクロックの伸びというのを強く感じさせてくれる。
5950Xはさらにコア数が倍ということで、3700Xと比べるとほぼ倍のスコアが出ている。
コア数では勝っているはずのi9 7980XEは、オーバークロックしても全く勝てず、完全においていかれてしまっている。
7zip 19.00 benchmark
7zipでも5950Xは特にdecompressのほうが圧倒的。compressのほうはdecompressと比べるとそれほどでもないが、それでもi9 7980XEより高いスコアを出している。
x264 rev 3027 x64
Aviutlでmpeg2 1080p 5203frame(sample_movie_1080p.mpg)をlwinput.auiで読み込み、x264guiExで出力。
オプション: --preset <preset>
さて本題のx264。
ultrafastは使用するコア数が非常に少ないためか、1CCD内で完結する5800X(偽)がトップに。それにしてもultrafastとはいえ、Aviutlを介したx264ベンチマークで300fpsに達するのは尋常ではない…。
その後、fast以上の重いベンチマークでは次第にコア数が効くようになってくるため、順当に5950Xがトップ。マルチスレッドの効くveryslowでは3700Xのほぼ倍の速さが出ている。
8コアの5800X(偽)でも18コア7980XEの定格を超える速度が出るのはほんと草。
もともとRyzenはx265と比べるとx264は比較的得意としているのもあって、5950Xは7980XEと比べて常に速く、特に軽めのプリセットではIPCの差が目立ってくるのか、大きく引き離している。
x265 3.4+28 x64
同様にAviutlでmpeg2 1080p 5203frame(sample_movie_1080p.mpg)をlwinput.auiで読み込み、x265guiExで出力。
オプション: --crf 21 --output-depth 8/10 --preset <preset> (--asm avx512)
x265 8bit
x265 10bit
3700X→5800X(偽)を比べると、やはりZen3で大きく性能を伸ばしているのがわかる。x265の場合、一番並列が効きやすいのはmedium~slowあたりな気がするので、このあたりで8コア→16コアの差が大きく、それ以外は16コアにすることで速度は確かに上がるものの、多少頭打ち感が出てしまっている。実際、2つめのCCDの使用率は常時低めになっている。
Intelとの比較という点では、もはやx265をどちらかというと苦手としていたかつてRyzenの名残はなく、7980XEよりも常に一定以上速いという感じになっている。i9 7980XEではAVX512も多少は効いているはずだが、x265では5950Xとの性能差をひっくり返すほどの威力はないみたい。
svt-av1 0.8.6+46
同様にAviutlでmpeg2 1080p 5203frame(sample_movie_1080p.mpg)をlwinput.auiで読み込み、svtav1guiExで出力。
オプション: --input-depth 8/10 -q 30 --preset <preset>
svt-av1 8bit
svt-av1 10bit
svt-av1はどちらかというと軽めのプリセットのほうがCPU使用率が高い感じ。
基本的な傾向はx265と変わらない。5950Xはやはり非常に速い。
だいたいまとめると
「Zen3は、、、速い!」
としか書いていない内容になってしまった。しかし、今回自分でやったベンチマークはもちろん、他所のベンチマークでもZen3は死角なく速いということなので、まあ仕方ない。(思考放棄)
今回比較してしているZen2が3800Xでなく3700Xというのもあるけど、Zen2→Zen3の性能向上幅は思った以上に大きく、Zen3ではZen2の一段コア数が多いCPUと同程度の性能というのもうなづける出来になっている。
正直、一世代でここまで性能が伸びるのは珍しいので、感動してしまった。単にコア数が増えて性能が上がったというだけでなく、PCの応答速度といった実際の使い勝手にも明らかに効果のあるシングルスレッド性能が大きく引き上げられているというのが素晴らしい。
かつて5950Xの2倍以上の値段のしたi9 7980XEは、やはりもう3年前の石ということもあって完全に過去のCPUとなってしまった。5950Xのほうがマルチスレッドもシングルスレッドも速いうえに消費電力も低く静かなので、悲しいかな、勝てるのは暖房性能のみだった。冬はともかく、夏は動かしたくなくなってしまいそうで悲しい。
現行の10980XEだともう少し戦えるのかもしれないけど、あれもSkylake-X改2みたいなのだしどうなのだろうか…。Intelは今後14nm版IceLakeとなるRocketLakeで反撃する予定のようなので、14nmでどこまで追いつけるのか、こちらも楽しみにしたいと思う。
そうはいっても、Intelのプロセスの問題で、今後しばらくは少なくともコア性能ではAMDの優位が続きそう。IntelはBroadwellぐらいから性能向上が鈍化してしまった感があるけど、AMDにはIntelの二の舞にならないよう、Zen4以降も引き続き性能向上していって、今回みたくわくわくするCPUを出していってほしいなと思う。
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Ryzen9 5950XでのPBOとCOの効果
Ryzen9 5950Xでベンチマーク
Ryzen9 5950Xのメモリ・キャッシュ帯域
Ryzen9 5950Xの準備編
Ryzen9 5950Xで自作PC (組み立て)
Ryzen9 5950Xのメモリ設定
Ryzen9 5950XでのPBOとCOの効果
Ryzen9 5950Xでベンチマーク
Ryzen9 5950Xのメモリ・キャッシュ帯域
前回で一通りZen3世代のPBO2を使ったオーバークロックも試したので、今度はベンチマークでZen2世代のCPUやIntelのSkylake-X (i9 7980XE)と比較してみる。
i9 7980XEは3年前の石だけど、メモリが4chだったりするなどいわゆるHEDT向けのCPUで、さらにコア数も5950Xより若干多い18コアなのだけど、どこまで5950Xと戦えるだろうか? あるいは5950Xがぶっちぎるのだろうか?
今回は、3700Xと同じコア数での比較もやってみたいなということで、UEFIから5950XのCCDをひとつだけ有効にした「5800X(偽)」も用意してみた。ちゃんとタスクマネージャでも8コアCPUに見えているので問題ないはず。最大ブーストが違う? はっはっは。気にしてはいけない…
↓ 5800X(偽) のタスクマネージャ表示。8コアCPUだ。
比較するCPU
Ryzen9 5950X | Ryzen7 5800X(偽) |
---|---|
Ryzen7 3700X | i9 7980XE |
---|---|
比較環境
CPU | R9 5950X | R7 5800X (偽) | R7 3700X | i9 7980XE | ||
---|---|---|---|---|---|---|
定格 | PBO+CO | 定格 | 定格 | 定格 | PL240W | |
コア数 | 16C/32T | 8C/16T | 8C/16T | 18C/36T | ||
L2 Cache | 8MB | 4MB | 4MB | 18MB | ||
L3 Cache | 64MB | 32MB | 32MB | 24.75MB | ||
Boost | 5.0GHz | 5.0GHz | 4.4GHz | 4.5GHz | ||
AVX512 | - | - | - | - | Auto | 4.2GHz |
OC | Default | PBO+CO | Default | Default | Default | OC |
Core Voltage | Auto | Auto | Auto | Auto | Auto | Adaptive 1.175+0.01 |
PPT/PL1 | 142W | 200W | 142W | 88W | 165W | 240W |
TDC | 95A | 150A | 95A | 60A | ||
EDC | 140A | 190A | 140A | 90A | ||
Offset | +200MHz | |||||
CO | -10/-15/-25 | |||||
Uncore | 1800MHz | 1800MHz | 2000MHz | 3000MHz | ||
メモリ | DDR4-3600 2ch | DDR4-3600 2ch | DDR4-3600 4ch | |||
メモリ容量 | 32GB | 16GB | 32GB | |||
タイミング | 19-20-20-40-1 | 20-23-23-45-1 | 16-19-19-39-1 | |||
マザー | Gigabyte B550 AORUS Master | Asrock X570 Steel Ledgend | Asrock X299 OC Formula | |||
冷却 | Fractal Design Celsius+ S28 Prisma | Noctua NH-D14 | Corsair iCUE H150i RGB PRO | |||
電源 | Seasonic FOCUS PX-750 | ENERMAX EPM600AWT | Seasonic FOCUS PX-750 | |||
ケース | Fractal Design Define 7 Compact LightTG | Antec P100 | Thermaltake Core V71 |
Ryzen9 5950XのPBO+COとi9 7980XEのPL240Wは高負荷時にピークのCPU温度が80℃~90℃程度におさまる常用OCの限界ぐらい。7980XEは14nmプロセスのためダイサイズが大きい結果、熱密度が低めで、より多くの電力を使っても多少は温度が上がりにくい傾向にあると思う。
使用ソフト
Cinebench R15. R20, R23
7zip 19.00
Aviutl 1.00 / x264guiEx 2.65 / x265guiEx 3.101 / svtav1guiEx 0.04
x264 rev3027 x64
x265 3.4+28 x64
svt-av1 0.8.6+46
Cinebench
Cinebench R15
Cinebench R20
Cinebench R23
Cinebenchは並列がよく効くので、5950Xはぶっ飛んだスコアが出ているし、実際にベンチマークを見ていても本当に速く、見ていて気持ちいい。
5800X(偽)は同じコア数の3700Xと比べると、PPTが異なるとはいえ同じ8コアなのに3割程度スコアを伸ばしており、IPCの伸びとクロックの伸びの効果が強く感じられる。プロセス自体は7nmと変わっていないのにこの伸びはなかなか。シングルスレッドのほうで比べても同じように3割ほど高いスコアが出ていて、IPCとクロックの伸びというのを強く感じさせてくれる。
5950Xはさらにコア数が倍ということで、3700Xと比べるとほぼ倍のスコアが出ている。
コア数では勝っているはずのi9 7980XEは、オーバークロックしても全く勝てず、完全においていかれてしまっている。
7zip 19.00 benchmark
7zipでも5950Xは特にdecompressのほうが圧倒的。compressのほうはdecompressと比べるとそれほどでもないが、それでもi9 7980XEより高いスコアを出している。
x264 rev 3027 x64
Aviutlでmpeg2 1080p 5203frame(sample_movie_1080p.mpg)をlwinput.auiで読み込み、x264guiExで出力。
オプション: --preset <preset>
さて本題のx264。
ultrafastは使用するコア数が非常に少ないためか、1CCD内で完結する5800X(偽)がトップに。それにしてもultrafastとはいえ、Aviutlを介したx264ベンチマークで300fpsに達するのは尋常ではない…。
その後、fast以上の重いベンチマークでは次第にコア数が効くようになってくるため、順当に5950Xがトップ。マルチスレッドの効くveryslowでは3700Xのほぼ倍の速さが出ている。
8コアの5800X(偽)でも18コア7980XEの定格を超える速度が出るのはほんと草。
もともとRyzenはx265と比べるとx264は比較的得意としているのもあって、5950Xは7980XEと比べて常に速く、特に軽めのプリセットではIPCの差が目立ってくるのか、大きく引き離している。
x265 3.4+28 x64
同様にAviutlでmpeg2 1080p 5203frame(sample_movie_1080p.mpg)をlwinput.auiで読み込み、x265guiExで出力。
オプション: --crf 21 --output-depth 8/10 --preset <preset> (--asm avx512)
x265 8bit
x265 10bit
3700X→5800X(偽)を比べると、やはりZen3で大きく性能を伸ばしているのがわかる。x265の場合、一番並列が効きやすいのはmedium~slowあたりな気がするので、このあたりで8コア→16コアの差が大きく、それ以外は16コアにすることで速度は確かに上がるものの、多少頭打ち感が出てしまっている。実際、2つめのCCDの使用率は常時低めになっている。
Intelとの比較という点では、もはやx265をどちらかというと苦手としていたかつてRyzenの名残はなく、7980XEよりも常に一定以上速いという感じになっている。i9 7980XEではAVX512も多少は効いているはずだが、x265では5950Xとの性能差をひっくり返すほどの威力はないみたい。
svt-av1 0.8.6+46
同様にAviutlでmpeg2 1080p 5203frame(sample_movie_1080p.mpg)をlwinput.auiで読み込み、svtav1guiExで出力。
オプション: --input-depth 8/10 -q 30 --preset <preset>
svt-av1 8bit
svt-av1 10bit
svt-av1はどちらかというと軽めのプリセットのほうがCPU使用率が高い感じ。
基本的な傾向はx265と変わらない。5950Xはやはり非常に速い。
だいたいまとめると
「Zen3は、、、速い!」
としか書いていない内容になってしまった。しかし、今回自分でやったベンチマークはもちろん、他所のベンチマークでもZen3は死角なく速いということなので、まあ仕方ない。(思考放棄)
今回比較してしているZen2が3800Xでなく3700Xというのもあるけど、Zen2→Zen3の性能向上幅は思った以上に大きく、Zen3ではZen2の一段コア数が多いCPUと同程度の性能というのもうなづける出来になっている。
正直、一世代でここまで性能が伸びるのは珍しいので、感動してしまった。単にコア数が増えて性能が上がったというだけでなく、PCの応答速度といった実際の使い勝手にも明らかに効果のあるシングルスレッド性能が大きく引き上げられているというのが素晴らしい。
かつて5950Xの2倍以上の値段のしたi9 7980XEは、やはりもう3年前の石ということもあって完全に過去のCPUとなってしまった。5950Xのほうがマルチスレッドもシングルスレッドも速いうえに消費電力も低く静かなので、悲しいかな、勝てるのは暖房性能のみだった。冬はともかく、夏は動かしたくなくなってしまいそうで悲しい。
現行の10980XEだともう少し戦えるのかもしれないけど、あれもSkylake-X改2みたいなのだしどうなのだろうか…。Intelは今後14nm版IceLakeとなるRocketLakeで反撃する予定のようなので、14nmでどこまで追いつけるのか、こちらも楽しみにしたいと思う。
そうはいっても、Intelのプロセスの問題で、今後しばらくは少なくともコア性能ではAMDの優位が続きそう。IntelはBroadwellぐらいから性能向上が鈍化してしまった感があるけど、AMDにはIntelの二の舞にならないよう、Zen4以降も引き続き性能向上していって、今回みたくわくわくするCPUを出していってほしいなと思う。
Ryzen9 5950X 記事一覧
Ryzen9 5950Xの準備編
Ryzen9 5950Xで自作PC (組み立て)
Ryzen9 5950Xのメモリ設定
Ryzen9 5950XでのPBOとCOの効果
Ryzen9 5950Xでベンチマーク
Ryzen9 5950Xのメモリ・キャッシュ帯域