【IIDX】一流の<心的イメージ>を手に入れよう ~NORI選手にインタビュー②~

こんにちは、りせ(@rice_Place)と申します。

IIDX SP☆12の難易度推定サイト、CPIの運営を行っています。

 

今回はこちら↓の記事の続きとなっております。

riceplace.hatenablog.jp

 

 以下、―で始まる段落は筆者の、それ以外はNORI選手(文章中ではのりみそさんとお呼びしています)・配信へのコメントとなっています。

 

==============================

スランプとプレイスタイル

(続き)

EXIT選手コメント「DP一番やってた頃は、歴代記録が出ても、自分の限界と感じたスコアが出るまでは少なくともやり続けてました。限界値出た曲も限界は時が経つと変わるので、たまに様子見して、まだ伸ばせそうだったらまたやるという感じでやってたと思います。」

―これで結局重要になってくるのは、元の話に戻ると、また伸ばせそうだと思ったっていうところかなっていう風に思うんですよね。 スコアですごいレベルの高い人たちって、そのスコア見た時に、行けそうとか行けなさそうみたいなのが結構あるっていうか。

NORI選手:あー、はいはい。

―まだ自分ぐらいのスコア力(アリーナA3)だと、思ってもみなかった曲が150点伸びたりとかするんですよね。上手な人たちと比べて、日によってのブレが大きいなと思うんです。

 

―タイミングがいいので、スランプの話になってきますが。のりみそさんは、ここ最近スランプって感じないですか。

NORI選手:うん……ないですね。

NORI選手:最近ちょっとだけあったのは、叙情やたらやった日があったんですけど、あれはなんか筐体に立ってアップを始めた時に、「え、俺、いつもどこ見て、何を思ってノーツ光らせてたとか、全然わかんなくなっちゃった」みたいな瞬間があったんですよ。 めちゃめちゃ焦って、びっくりして。

NORI選手:もう今日は考えてた練習全部やめようって。で、U76NERさんが叙情伸ばしてて、「あんだぁ〜?」と思ったんで、 帰るべき場所というところで叙情をずっとやって、そしたら「こうやってたな」って思い出して。

U76NER選手コメント:「あんだぁ~?」

NORI選手:コメントが来ましたけど、思い出したぐらいですかね。だから、スランプっていうほどの最近ダメだなみたいな日はあんまり。 今日この後いくらやっても自己ベ出ないなみたいなのはあるんですけど、それはやっぱり明らかに前日の睡眠が悪かったとか、仕事疲れたとか、そもそも普段と違う靴履いてるとか、なんか明確な理由がある気はします。

 

―じゃあ、理由のないスランプは、あんまりないってことですよね。

NORI選手:と思ってますね。

―昔はありましたか。

NORI選手:あんまりない方の人間な気がするな。

―他のBPL出てる方とかから、そういう話って聞きますか。

NORI選手:あるんじゃないですか。プロが言うと怒られそうですけど、やっぱ珍ビって言ってる人結構いる気はしますけどね。それも、きっと何らか理由はあるんじゃないですかね、睡眠の問題とか。

 

NORI選手:それ(スランプ)って、押せてたものが押せない日って、筋肉的な問題か、認識が間に合ってないか、どっちなんだろうなっていう風に考えるんですよ。

―自分はフィジカルだなって思うんですよね。(特に)思ってるのは姿勢で、筐体からのフォームとか、靴とか。

NORI選手:それはもしかしたらあるというか、調子の良し悪しを減らすのに、多分自分が意識した、それはBPLで一発勝負でいいスコアを出すために考えたのかもしれないですけど。 

NORI選手:最近、ビートマニアしてる時の姿勢、ずっと同じにできてるはずなんですよね。

NORI選手:今までって、極端にやるとこう(下図左)やってた気がするんですよ。上体を前にして集中するみたいな。こういう姿勢になってたのを、左足を開いて、いつも同じニューバランスさんの靴履いて。ライトニングの足入れるポイントあるじゃないですか、あそこに左足の小指のあたりを絶対当てて。で、右足はこんぐらい引いて、後ろの膝を曲げるみたいな。

配信より

NORI選手:その姿勢になってから、ビートマニアやるっていう風に決めてるので、姿勢っていうのは(調子の良し悪しを減らす意味が)あるかもしれないですね、もしかしたら。

 

―BPL選手のフォームを(配信で)見たときに、U*TAKA選手とかは上半身を倒してるイメージがあるんです。実際ご覧になったことあると思うんですけど、 どうですか。

NORI選手:多分、上半身を倒すことが(全員にとって)悪ではないんでしょうね。

―ここが最初の話の、人によってってところになる。

NORI選手:そうなっちゃう。多分、いつ何時でも再現性のある姿勢を見つける必要があるんでしょうね。

―理由がなければ同じ姿勢でやるようにするっていうのは、プロは皆さん一緒ですかね。

NORI選手:あると思います。RIOOさんとかも姿勢、大体一緒な気はします。そんなにフリースタイルでやってる人、あんまりいないんじゃないかな。皆もしかしたら、 立ち位置ぐらいまでちゃんと決めてビートマニアしてるんじゃないかなっていう気はします。

―(プロ以外のプレイヤーでも)立ち位置を一定にしようって決めてる方は結構いらっしゃるんじゃないかと思って。そこの解像度の問題なのか、後はまだ言語化してないポイントがあるのか。要するに姿勢だけ真似してもいけないのかどうか、難しいポイントですよね。

NORI選手:姿勢は、きっと要素の1つではあると思うんですけれども、全部ではないでしょうね。

 

―昔から、緑数字・白数字・判定とかをガチャガチャ変えるのは良くないよっていう認識は、一定以上うまい人はみんな持ってるかなと思うんですが。

NORI選手:僕それどうなんだろうって。なんか、みんな結構変えてない?っていう気がしてます。プロって主語でやると怒られるような気はするんですけど。

NORI選手:僕は……ほとんど変えてないですね。たまに判定位置を0.05上げてみるか、下げてみるかっていうのを、3か月に1回ぐらい思うぐらい。

―これは自分の持論なんですけど、 下(判定ライン・判定文字)からの距離が一定のところに達したところで押すっていう考え方と、上のレーンカバーから出てきて(の距離でタイミングを測る)ってあって。どっちの認識でもビートマニアはできるので、 それ(認識スタイル)がどっちなのかによって、数字とか判定とかを変える変えないが変わるのかなって思ってるんですよね。

NORI選手:U76NERちゃんは緑は変えてるらしいですね。

NORI選手:いま昨日の自分の配信のプレーを見直して、いつも自分の中のイマジナリー判定ラインをどう作ってるのかを考えてるんですけど。特に叙情をやってるとき、判定位置(判定文字)から、どれだけ上下(にノーツがあるか)で見てる気はしますね。赤い判定ラインとか、サドプラの下端とかは、あんまり意識してない気はします。やっぱり叙情の1番早いところは、判定文字よりちょっと上見ようって思いますし、遅いところは判定文字より下を見ようとか思います。

 

―必ずしも上手な人はスランプにならないってわけでも無いですか。

NORI選手:名前は伏せますけど、やたら調子悪いし、判定位置とか色々変えたけど、 全然改善されないっていう(上手な)人もいるのは認識してます。

―そういう人と割と安定してる人で、どこが違いそうっていうのはありますか。

NORI選手:難しいですね。

―1つあるのは絶対的な能力(スコア力・クリア力)。1つあるのはプレイスタイルですよね。光らせる派か、地力で難しい曲(を武器にする派か)で、さっきの70% vs 90%と、90% vs 95%理論じゃないですけど。

NORI選手: 僕の感覚とか、聞いた話なんですけど、確かにうまい人、極端にうまい人たちって、調子のブレが少ない気はしますね。そう考えると、やっぱりあるのかな。それこそ、SEIRYUさんが調子悪いとか想像できないし、RIOOさんが調子悪いとかも想像できないなって。本人たちも調子いつでもいいですみたいなこと言ってる気がするんですよね。なんでですか、って聞いてみたいです、俺が。

―いつでも、全ての曲の自己ベ狙いが可能ということですよね。

NORI選手:まあ自己ベは出ないしろ、なんかこう97%ぐらいは絶対出るみたいな。調子が97%から100%ぐらいしかないみたいな。

―そういう人と、(調子が)105%から95%みたいな人の違いは興味ありますよね。絶対的なうまさもありそうだけど、必ずしもそうでもない。

 

―上手くなりきったら、あとはそんなにブレないっていう1つ仮説はあると思うんです。上手くなろうとする時って、いろんなこと試すと思うので。上手くなりきった人はブレないけど、代わりにもしかしたら、そこから劇的に上手くもならないのかもしれないですよね。

NORI選手:うん、そうかもしれないですね。

NORI選手:ああ、なんか……上手い人たちの中でも、僕みたいに極端に、もう1年間緑数字も白数字もリフトの位置もいじらない、みたいな人たちばっかではない気はしてます。それで、体感的にいじってる人たちの方が、調子のブレがある気はする、確かに。サンプル数がめちゃめちゃ少ないので、そんなことないのかもしれないですけど。

NORI選手:ああ、でも僕、去年SEIRYU塾でリフトも白数字も緑数字も判定位置も、全部変えた瞬間にめちゃめちゃ上手くなった。

 

SEIRYU塾のすごさ

―その話すごく聞きたいです。どれぐらい具体的なのかっていうのはあるにしても、やっぱり心的イメージ変わったんじゃないかと思うんです。

NORI選手:SEIRYUさんが「いやNORIさんはもっとできるよ」って言ったことに、多分全て起因してるんですよね。心的なキャップを全部取っ払ってくれたみたいな。

NORI選手:「いや、もうAAなんて3560までしか出ないっすよ」「俺に600は出ないっすね、はは」みたいな。そこまで卑下してなくても、多分どこかで思ってたんでしょうね。

NORI選手:SEIRYUさんとかはそれがなくて。AAではそうは言われてないですけど、「NORIさんなら多分3620は出るんで、とりあえず3600出してください」みたいなこと急に言うんですよ。自己べが3560の人間に対して。多分それは心的イメージなんですかね。なんか、この自分の中の限界像みたいなものを一気に取っ払ってくれた感じがして。

―完全にそれは限界的練習そのものですね。1つあるのはそこで、SEIRYU選手が他人の腕前の把握が、

NORI選手:そうなんです。上手いんですよ、どうやってんだろうなと思います。僕は同じことできないです。

 

―BPLを見ていて、これは観客の立場として言うんですけど、自選を取られる試合も多いなと思っていて。(パフォーマンスの)ブレもあると思うんですけど、これぐらい上手い人でも、自分と相手の力量を把握するのって、そのことだけでも1つ取り柄になるんじゃないかっていうぐらい難しいんだなって印象は(受けました)。

NORI選手:いやあ、難しいですね。

―「あの人はこれぐらい出しそう」みたいなのとかって、 上手い人は上手いからわかるんだっていうような考え方もあると思うんですけど、けっこう心的イメージに近い部分だと思うんですよね。

NORI選手:なるほどね。僕、それ下手なんですよね。だから、チーム内(の他の人)にしょっちゅう聞いてます。 「あの人が戦うことになるんだけど、本番でどんぐらい出してきますかね」みたいな相談するんすよ。で、振り返ってみると、おお本当だ、みたいなのは結構ある。

NORI選手:自己ベはあの人とんでもないけど、そもそもこの曲って自己ベ出すの無理だよね、みたいな。曲単位の解像度もそうですし。そのプレイヤー自体のことをよく知ってて、見定める能力は高いなって思います。僕はそれを特にRIOOさんに感じるんで、1巡目すごい説みたいな話になるんですかね。

 

―それ(他人の本番スコアを予想すること)がスコア力とは別の話だと思いきや、スコア力の水準と関係するのかもしれないっていうのは、ちょっと面白いですよね。

NORI選手:そうですね、不思議ですね。なんなんですかね。

―元の話に戻るんですけれども、小さな目標・正確な目標を立てていくところで、(他人との比較をせずに)自分のことだけっていう時にも、やっぱり自分がどれぐらいできるとかってのがないと。

―例えばもっとできるとか言って、「AA1桁落ち出ますよ」とか言われても困っちゃう。そんな人間はいないみたいな。単に高い目標を与えたから良かったんだっていう美談じゃないと思うんですよね。

NORI選手:そうそう、そうなんですよ。丁度よくSEIRYUさんは、その気にさせるぐらいのを出してきたっていう感じはしますね。

NORI選手:恐らくなんですけど、SEIRYUさんと去年ずっと色々やってた中で、「NORIさんこの曲こんだけできるってことは、AAサボってんだけだな」みたいなのが弾き出せるんでしょうね。

―そうなってくると、人の解像度っていうよりは譜面の解像度によるんですか。

NORI選手:人の解像度も、多分ある曲でこれぐらい出すような人がこの曲このスコアしか出ないわけはないみたいな。

NORI選手:U76NERさんとかと話してても、U76NERさんが「俺この曲苦手だわ」とか言うことがよくあるんですけど、「真面目にやったらもっと出るでしょ」って言っちゃうことはよくありますよね。って言って、1週間後ぐらいにきっちりライバル挑戦状が飛んでくるみたいな。当たってて嬉しいけど、嬉しくないみたいな(笑)。

 

―自分のことだけ考える時でも、なんとなく曲を選ぶんじゃなくて、これやるときにはこの譜面みたいな。 一次元の難易度では考えてる人は多いと思うんですが、それがもっと(高解像度に)寄ってくると、よく言う全曲練習曲じゃないですけど、それに近づくのかなっていう感じはありますかね。

NORI選手:ありますね。みんな絶対どこかで、☆12ってスコアが出ないとか、難しいからAAAが出ないとか、絶対思いがちだと思うんですけど。絶対あると思うんですよね、そういうのが。

―心理的キャップですよね。

NORI選手:心理的キャップ絶対あると思ってて。例えば☆12でも、それこそさっき話にもあったTodestriebの前半とか、☆8だぜあれみたいな。それを、「Todestriebは☆12だから前半黄ばんでもいい」とか絶対思っちゃダメで。☆12いろんな曲やってても、「ここはなんか☆10より簡単だな」とか(思うほうが良い)。

NORI選手:だから、せめてここは黄ばんじゃいけないなとか、マイクロな目標はちゃんと立てた方がきっと良いんじゃないのかなっていう気はしますね。 

NORI選手:負けるんですよ、☆12は難しいって思った時点で。そうすると、☆12の譜面どこ見ても☆12に見えてきちゃうんですけど、そんなことないですよって。

―「負けない」みたいなのは精神論的に聞こえますけど、そういう要素を取り払って言うと、目の前の譜面を要素要素に分解していって、その要素に対してベストを尽くすっていうことをするのが重要で、上手い人たちはそれもわかってるから、「この曲でこれぐらい出る人は、この曲だったらこれぐらい出るだろう」っていうのが、比較的正確に予測がつくっていうことですよね。

NORI選手:きっと、そうなんだと思います。

 

練習曲の選び方

NORI選手:りせさん、例えば普通の16分乱打系で、最近AAA出た曲っていうと、どんな曲ありますか。

―FUZIN RIZINです。これは、アリーナで投げられてやったら1位を取ったっていう、THEアリーナ効果みたいな。

NORI選手:FUZIN RIZINとかだと、地力が十分にあれば、PLASMA SOUL NIGHTとか全然(AAA)出るんじゃないなとか思っちゃいますよね。同じでしょっていう感じするんで。

―1つあるとすると、やっぱり疲れちゃいますね。やっぱり疲れないようにしないといけないなっていうのは最近思っていて。どうするかっていうのを最近考えてはいるんですけど、そこの答えは出ないです。

NORI選手:僕もそんなこと言ったら、Verflucht [L]後半、いつも疲れてます。どうやったら後半疲れずに押せるんだろうっていつも思います。

 

NORI選手:僕、3時間ぐらいが大体限界なんですよ。3時間超えてやるビートマニアはもう大体ろくなものにならないことが多いですよね。その3時間の間は大体いつでも自己ベが出得る気はしますね。

―僕は1時間20分ぐらいです。昔から短いんですよね。でも逆に、最初から3時間やるぐらいでやった方がいいのかもっていうような考え方はあるんですよね。

NORI選手:できないっていうのは、何が起きるんですか。僕の場合は分かりやすくて、涙が止まらなくなるし、足が痛いし、腕が痛いんですよ。

―そういうこともありますけど、でも難しいのをやらなければ、3時間できるかもしれないですね。

NORI選手:ああ、☆12を3時間やってると、それは疲れる。僕もLEGGENDARIA☆12しか選べないビートマニアやらされたら、多分2時間ぐらいで疲れる気がしますね。

―言われてみれば、自分はその辺の重い譜面選んでる(ことが多い)。そこで言うと、コンフォートゾーン的なところで、難しいのやるのが正義みたいな考え方もあるじゃないですか。

NORI選手:最近すごい思うんですけど、Verflucht [L]も皿地帯の後の1番難しいところだけで2分間構成されてるわけではないじゃないですか。前半の密度軽いところとか、それこそPLASMA SOUL NIGHTとかぐらいなんじゃないのって気はするんですよ。

NORI選手:そういった時に、例えばVerflucht [L]上手くなりたい人は、PLASMA SOUL NIGHTやっても意味ないのかっていうと、俺全然そんなことないと思ってて。脱力・認識力をPLASMA SOUL NIGHTを長くやることでつけると、Verflucht [L]の本当に難しいところまでたどり着いた時の体力の残り方って、多分増えてくと思うんですよ。PLASMA SOUL NIGHT毎日やってればVerflucht [L]上手くなる」とかは多分嘘で、Verflucht [L]の1番難しいところは、Verflucht [L]の1番難しいところでしか降ってこないので、そこは避けては通れないですけど。

NORI選手:超難しい曲を30分やるのを10分にして、難しい曲を1時間やったりした方が、良いこともあるんじゃないかな、なんて。

―(そう思うことは)あるんですよね。でも、「これ(最難関譜面を選ばない)って良くないんじゃないか」っていう感覚が先立って、超難しいやつをやりに行っちゃうんですよね。Verflucht [L]を4連奏とかやっちゃうんです。

NORI選手:わかります。

―確かに言われてみると、例えばVerflucht [L]のEXHを狙おうって思った時に、EXHゲージで言うと、最難箇所に毎回100%で入れるとしても、実は残ってる体力っていうゲージで出てこない観点で言うと、違うことはあり得ると思うんですよね。鼻歌歌いながら100%で入るのと、なんとか100%で入るのは違うと思う。だから、思ったよりも難しくない曲をやる価値はあるかもしれないですよね。

NORI選手:全然違うと思います。「それ100%フルコンできるの」みたいな話で。

 

―自分がここ最近考えるのは、簡単な曲のように難しい曲をやれたらいいなっていうのがあって。

NORI選手:ああ、それはそうですよ。

―昔は簡単な曲と難しい曲って(押し方を)変えてたんですけど、ある時ぐらいから中難易度曲のスコア狙いがクリアに良いなって気が付いた時があって、その時ぐらいから、Sleepless DaysとVerflucht [L]の間にBrokenがいるな、みたいなのを意識するようになった。自分はBrokenはSleepless Daysにはならないんですが。

NORI選手:僕もBrokenはSleepless Daysにはならないんですけど(笑)。でも最近、☆10から普通の12ぐらいまでは、全部ちょっと降ってくる量が違うぐらいで、もう難易度とかないよ、全部同じ譜面だよって思うようには意識してる気はしますね。

―そのときに、いま上手くなってる最中の人が心配・不安になるのが、そのままだと難しい譜面ができるようにならないんじゃないかってところだと思うんですよね。実際、難しい譜面をやらないといけないと思うんですが、のりみそさんの今のお話で言うと、難しい譜面をやる瞬間っていうのは言うほど長くないかもしれない、っていうのはありそうです。30分しかできない人が40分やるよりは、10分やや難しい・やや簡単なやつをやった方が良さそうっていうのが今のお話になるんですかね。

NORI選手:僕の意図としては、30分間激ムズの曲をやる日があってもいいし、 そうじゃない日もあってもいいし、そうじゃない日がクリア狙いに対して無益ってことはないので、 難しい曲だけを絶対30分やり続けなきゃいけないんだっていう風には思わないといい、になるのかなっていう気はします。

NORI選手:僕も適当ですからね、本当に。☆9でSleepless Daysやってたかと思えば、難しい☆12急にやりたいなとか思って急にやったりもしますし。

―どういう時でもニュートラルにっていう点で言うと、実は(選曲難易度を)グチャグチャにやった方がっていうのはありますよね。そういう意味でも、結構アリーナって(良い点が多い)。

NORI選手:いいです、いいです、うん。「急に?」みたいなのやらされるんですよ。

 

ニュートラルな状態を意識する

NORI選手:これは心的イメージなのかもしれないですけど、126(鍵の同時押し)しか降ってこない3ノーツの譜面があるとするじゃないですか。それって多分みんなできるじゃないですか。その前に何にもないし、後ろに何にもないから、126をニュートラルな状態から押して、またニュートラルな状態に戻る、みたいな話で。地力が上がるって、そのニュートラルな状態から何らかのボタンを押して、 またニュートラルな状態に戻るまでの時間が短いことだと、最近なんとなく思ってるんですよ。

NORI選手:縦連とかまさにいい例で、bpm150で5連打って、結構むずいじゃないですか。でも、1個しか降ってこなかったら、簡単じゃないですか。それって、あるボタンを押して、次の動作に入るまでに自分がニュートラルな状態に戻れてないから、すごく難しいと思うんですよ。

―なるほど、なるほど。

NORI選手:そのニュートラルな状態に素早く戻る練習って、 結構スコア狙いの練習で身についてきた感覚があって。ていうのも光らせるためには、 まさに横認識なんですけど、あるノーツを押して、またニュートラルな状態で次のノーツを押してっていうのができるようになってくると、その前のノーツを押した後の体の状態に依存せず、常に一定の気持ちでノーツを捌けるようになってくる気がしていて。

NORI選手:そのニュートラルに戻る時間が短くなればなるほど、スコアも上がってくし、難しい譜面をやる時の疲れ度合いとかも変わると思うんですよ。AからBの状態遷移を考えるのってすごく難しいと思うんですけど、それが常にAが絶対ニュートラルな状態で、 次このノーツ、次このノーツってやれるのって、多分すごく考えることが少ないはずで、楽なはずなんですよね。その観点で、僕は結構「クリア行き詰まった人は、スコア狙いした方がいいですよ」ってよく言うんですよね。それは☆12の難易度表で言うS+ができない人は、Sのスコア狙いじゃなくても、全然11とかでもいいと思ってて。指をニュートラルな状態に戻す練習とか、すごく意識するようにしてます。ニュートラルな位置とかいうか、心理的にもそうですよね。

 

―ここまでお話聞いてきて、実は、なんですけど。これ(ニュートラルな指の状態に戻すこと)は1個1個ではやってないことが科学的にわかっていて。ピアノの話ですけど、例えばドレミファソって弾く時、ピアノだと親指→人差し指→中指→薬指→小指としますが、ドレミファソとソファミレドだと、その1個1個の指の動きが違うっていうことがわかってるんですよ。ド→レとミ→レで、(人差し指の)動き方は違うので。ピアニストは楽譜を見た瞬間に、どういうふうに次の指を動かすか、その準備を始めるっていうのはわかっていて。

―人間は1個1個をバラバラに動かす頭にはなってなくて。 例えば物を掴もうとした時は、物を掴むって動作をするのであって。手を伸ばして指を開いて、その指を入れて閉じて、ってしようと頭は思ってなくて。

NORI選手:思ってない!

―頭は掴もうとしてるだけっていうポイントがあるんですよね。だから横認識が難しいっていうのを昔ブログに書いたんですが、要するにゲシュタルトに分解しないといけないんですよね。

―ていうことで、自然には(指の位置は)ニュートラルになってないんですよね。で、ニュートラルにすることが最適とも限らない。そのピアニストの話でもそうですけど、多分こういうニュートラルにした方が良いっていうのがあると思うんです。つまり、完全にゼロじゃなくて。あんみつは良くないけど、 全てのディレイをバラバラに分解するわけじゃないし。

NORI選手:それ最近友達に聞かれて、ディレイの認識どうやってんのって言われたんですけど。僕は左右方向に押せる単位を1として認識してるっていう話をして。例えば1234567は単位が1です。1237654は2回見て、1235467は3つに分けて見てます。

NORI選手:始点は必ずそれで合わせて、あとはジャラっと行くことを願う。だから、1234567が光らないのはそうなんですよね。 1で視点を合わせて、あとは祈るみたいな感じだからだろうなと思います。

―横認識ではなくて、実は横方向のブロック認識をしてるっていう。ここは恐らくある程度以上(ビートマニアを)やられてる方は、みんな同じ心的イメージなんじゃないかな、と思います。 

―ただ、指(の動き)でそこまで考えてる方って多くないと思うんですよね。自分は最近、近いことを考え出すようになって、そこまではっきりと「ニュートラルに戻す」とかまでは思ってなかったですが、疲れてくると姿勢が悪くなってくるとかっていうのに、ちょっと近いんですよね。

NORI選手:私、指をニュートラルに戻すとか言ってますけど、 指戻ってないんだろうな。だから指っていうより、意識なんでしょうね、多分。指は全然ニュートラルじゃないんでしょうね。

―ニュートラルに戻すっていう心的イメージは、そうかなっていう風に思うんですが、実際のところで言うと ニュートラルになる幅がどれぐらいか、やや難しいところがありますよね。でも、きっとそこが1番大事ですよね。一番楽にパフォーマンスが出る状態を保つ。

NORI選手:大事だと思う。

 

ざくろさん(Tradzアドバイザー)コメント「打鍵から指が戻る時間が、 直前の打鍵内容によって異なることを意識するようにしています。」

―逆に異なることを意識するんですね。

NORI選手:でも絶対そうですよね、どんだけ元に戻そうって言ったって、5個同時押しした後からニュートラルに戻るのと、どっかの鍵盤を1個押したのとは、絶対に違うっていうのは、その通りかなと思うので。今はニュートラルじゃないぞっていうことを分かった上で、じゃあ次どう押すのかみたいなのを考えてらっしゃったりするのかもしれないですね。

―そういう意味で言うと、ニュートラルがそもそも無いといけないので、すごく簡単な譜面だと、いつもこうっていう風にはなった方がいいですよね。

 

==============================

 

全2回20000文字超におよぶインタビュー記事、最後までお読みいただきありがとうございました。

 今まさにBPLプロとして活躍している選手の、貴重な視点がいくつも垣間見えたと思います。

 

個人的には、NORI選手ほどに弐寺の腕前と自己への洞察を兼ね備えた人は他にいないのでは無いか、と思わせられるインタビューとなりました。

 改めて、突然のお願いにも関わらず快くご協力くださったNORI選手、本当にありがとうございました!

 

 

引き続き、これまでのビートマニア歴で考えたこと・取り組んだことに関するインタビューに答えてくださるトッププレーヤーを探しています。このような区切り方を私がするのは大変おこがましいですが、クリア力・スコア力のどちらかで概ね世界100位前後までに該当する方であればより望ましいです*1。

 インタビューにご協力くださる方や、本記事についてのご意見・ご感想のある方は、記事へのコメントあるいは冒頭のTwitterまでご一報をお願いします。


それでは、良き音ゲーライフを。

 

*1:この記事を書いている私は☆12の総合BPI・総合CPIでともに推定500位台程度です