井の頭公園の温室は2013年3月、50年の歴史に幕を閉じました。閉園前に訪れた温室は、古き良き「南方」を思わせるノスタルジックな空間でした。
吹き抜けの空間に大きな熱帯植物、くちばしの黄色いオオハシ、回廊の柱に咲く南国の花々…。今でも時々、熱帯鳥温室の写真を見返して思い出に浸っています。
レトロな雰囲気の温室
温室の中には、屋根に届きそうな勢いで伸びる熱帯の植物が建物を覆っていました。館内南国の鳥達が鳴き、回廊には熱帯植物がおかれ、柱にはブーゲンビリアが生い茂っている…。
まるで、どこかの惑星にぽつんと建てられたドームのようでもあり、打ち捨てられた昔の貴族の邸宅のようでもありました。
温室を一歩入るとそこは、外の世界と隔絶された別世界だったのです。
かつて、井の頭公園の温室には、売店や休憩所が設置されていました。熱帯の植物の中で食べるソフトクリーム、美味しそう…。
閉園前の熱帯鳥温室
そんな、レトロな雰囲気が好きだった井の頭公園の温室が閉園されると聞き、2013年の春に井の頭公園を訪れました。せめて、このノスタルジックな雰囲気を写真に残しておきたい、と思ったからです。
温室内の回廊は、東南アジアの大きなお屋敷のような雰囲気がありました。
熱気や鳥の声、塀をつたって生える植物が、まるで映画やワンシーンのようでした。この窓から外をみると、いつもの動物園の景色がどこか違って見えたのを覚えています。
かつては中央線の電車の窓からも熱帯鳥温室が見えました。大きな熱帯植物がガラスの屋根まで成長しているので、このまま屋根が壊れるんじゃないかとおもったものです。
一部の鳥たちは、園内を飛び回ったり、餌をたべたりして自由に過ごしていました。羽は切ってあるらしいので、あまり遠くに飛べないみたいでしたが…。
さらに、温室の下は水場になっているので、鳥たちが水を飲みにやってきました。
井の頭公園の温室では、当時クマネズミの発生し、頭を悩ませていました。駆除剤を使うと鳥たちに影響があるため使えなかったとか。もちろん、罠にもかからなかったらしいのです。
そこで、逆転の発送としてネズミの被害をそのまま展示することにしたようです。
黄色いくちばしが特徴の南国の鳥オオハシは、閉園後はどこに行ってしまったんだろう…?
ノスタルジック写真が撮れるトイカメラ
井の頭文化園・熱帯鳥温室の写真は、トイカメラのVISTA QUESTで撮影しました。独特な発色がレトロでノスタルジックな雰囲気の写真に仕上げてくれます。
ただし、単4乾電池を1日1本くらいの割合で消費しますが…。