無駄な時間よ、さようなら!仕事・勉強が超はかどる技術
「ようやく」読んだ!おとなり企業の推しbooks 24年10月
「ようやく」読んだ!おとなり企業の推しbooks
ようやく読んだ?要約読んだ? 本の要約サービス「flier(フライヤー)」を導入して、社員のリスキリングの後押しをしようという企業が増えています。flierは名著から話題の新刊まで1冊10分程度で読める要約を提供するサービスで、社員教育のために導入する企業や、社員に読んでほしい「推薦図書のプレイリスト」を作成する企業も少なくありません。
法人向けサービス「flier business」の中でよく読まれた10月のランキングを紹介します。ちょっと気になる、となりの企業が読んでるあの1冊にようやく出合えます!
■なぜ無駄な時間をなくすことができるのか?時間術「虎の巻」
■学ぶ気持ちを大きく育てる 大樹生命の社員教育の「地図」
・安心してください! 誰でも「とにかく伝わる説明」ができるようになる方法
・自分と職場の人間関係を見つめ直す 息をついて考える心のつくりかた
・要領よく成果を出すには?「ほどほど」で完璧主義から抜け出す思考法
なぜ無駄な時間をなくすことができるのか?時間術「虎の巻」
3500冊以上の書籍の要約を提供する法人向けサービス「flier business」の中で10月(9月25日〜10月24日)によく読まれた要約のランキングを、同サービス提供のフライヤー(東京・千代田)がまとめました。10月は無駄な時間を減らして仕事や勉強がはかどる方法を指南する本が関心を集めました。

1位は『「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?』(日経BP)。NIKKEIリスキリングの連載「ビジネス書・今週の平台」でも5月に取り上げており、書店でも手に取る人が多い人気の1冊でした。(記事はこちら)
「ちゃんと言ったはずなのに」。「話し合ってるのに伝わっていない」。仕事をしていればこうしたコミュニケーションミスが起きることは少なくありません。少しのすれ違いで、同じミスが繰り返されてしまい、無駄な時間や仕事が発生することも多いでしょう。

著者は慶応義塾大学教授の今井むつみさんで、認知科学や言語心理学を専門としています。面と向かって話せばわかり合える、とはよく言われますが実はそこに落とし穴が。先入観や思い込みを生み出す「認知バイアス」により、そもそも偏ったものの見方をしてしまっている場合、どんなに言葉を尽くしてもその話し合いは無為に終わってしまいます。
生まれも育ってきた環境も違うそれぞれの人がそれぞれの「知識や思考の枠組み(スキーマ)」を持っているため、同じ言葉を同じように伝えても、人それぞれが自分の枠組みに沿って自分流に解釈している可能性もあります。
真に相手の立場にたち、認知科学と心理学の観点から相手に伝えるために必要な「心の読み方」を説きます。人間の認知の特徴を学べば、コミュニケーションコストを劇的に下げることができるかもしれません。

2位となったのは『後悔しない時間の使い方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。何事もついつい先延ばしにしてしまう。同書はそんな先延ばし癖を克服するための問いを投げかけます。

著者はフランス出身のビジネスコーチで著述家のティボ・ムリスさん。自分が先延ばしにしてしまう理由を明確にすれば対策ができると指摘します。今この瞬間を大切にすることを説きつつ、次にとるべきアクションを促す問いを発します。自分の考えをまとめるためのエクササイズも設けられており、読み進めればその日から行動ができるようになっています。
8位の『はかどる技術』(フォレスト出版)も時間術・効率化を指南する本ですが、物流の視点からアドバイスをするという異色の内容です。物流・ロジスティクスの専門家である鈴木邦成さんは、仕事の効率や勉強が進まない、人生設計や資産形成計画がうまくいかないのは、全て「滞り」が原因と指摘します。悩みや問題を「滞り」と考えた時、物流のセオリーが解決を導くと語ります。

だらだらと無駄な時間を過ごしがちな人には10位の『私はこうして勉強にハマった』(サンクチュアリ出版)が役に立つかもしれません。学年ビリから慶応義塾大学に現役合格した「ビリギャル本人」の小林さやかさんによるモチベーションを生み出すための本です。
22年からコロンビア大学教育大学院で認知科学を研究しているという小林さん。同書はギャル口調で語られ、誰でも『勉強ができる人』になれる方法を教えます。

「仕事ができる人」は無駄なことをしない。3位に入ったのは『なぜ、あの人は仕事ができるのか?』(すばる舎)。著者はキーエンス出身でコンサル事業を手掛けるカクシンCEOの田尻望さんです。
成果が出るかどうか、それはひとえに仕事を「仕組み化」しているかどうかにかかっているといいます。成果に結びつかない時間を減らし、付加価値の高い仕事へと回すことを説きます。
「仕事を書き出す」「並べ替える」「4つの視点で整理する」の3ステップで「効率化」を進め、時間単位当たりにおける自社の粗利益の最大活動である「高付加価値化」を目指す。仕事ができる人が実践している具体的な方法をつまびらかにします。
・後悔しない時間の使い方とは? 法則にまとめ、売れっ子編集者が伝授
・時間の浪費から人生を取り戻す 解決策導く統計のプロの鮮やかな思索
・「ドイツ人のすごい働き方」の秘密を探究 自分時間が激増するワークスタイルとは
学ぶ気持ちを大きく育てる 大樹生命の社員教育の「地図」
学び放題の学習サービスを導入したけど、なかなか利用率が伸びない……。そんな悩みを抱える企業も少なくないのではないでしょうか。まず学びの入り口として、本に目をつけたのが大樹生命保険(旧三井生命保険)です。
本を起点したリスキリングを推し進め、若手からミドルシニア層など幅広い層が参加する「ブックコミュニティ」が生まれているといいます。
会社の書棚には話題の書籍や学びにつながる600冊を用意し、誰でも借りることができるようにしています。2023年からはランチタイムに著者を招待した対談セミナー「グローアップ・カフェ」を毎月開催。毎回100人程度が参加しています。
またランチタイムの読書会も毎月1回開いているほか、「ブック・ラボ」として本の著者によるワークショップも希望者が受けられるようにしています。
そんな大樹生命の人材開発担当者に、社員に読んでほしいと思っている「推しの3冊」を挙げてもらいました。


そもそも何のために学ぶのでしょうか。学ぶことに徹底的に向き合ったのが『独学の地図』(東洋経済新報社)です。著者は学びデザイン代表の荒木博行さん。誰かにやらされるお勉強ではなく、自発的な「問い」を追求することを学び本来の目的といい、タイトルの通り学びの道しるべを示す本です。
大樹生命は荒木さんを研修講師として招いたと言います。人材開発を統括する高橋俊哉さんは「『なんとなく学んだ』ではなくいかに『昨日は知らなかったが今日から生かせるものを見いだした』かを迫る『2㎜の差分』という考え方が新鮮でした。社員たちの反響も大きかった」と話します。探究心をもって学ぶこと自体の面白さを発見できると太鼓判を押します。

『ワーママはるのライフシフト習慣術』(フォレスト出版)は、2児の母で、育児の合間に次々と複業を軌道に乗せた「ワーママはる」こと尾石晴さんによる、キャリアや習慣の見直しについて考えさせる1冊です。忙しい育児と仕事を両立しながら、いかに学びの時間を捻出したか、自分たちの生活に合わせた自分らしいキャリアを構築するためにはどんな考え方をすればいいのか。
「キャリアを考えるとき、どうしてもそれぞれの人の思考のクセが出てしまう。色々な転機、変化が訪れ一直線ではないキャリアで、したたかに生きることを説く1冊。漫然と過ごすのではなく自分のキャリアを日々『刻む』。そんな考え方にふれてほしいと思います」(高橋さん)

業務効率化が叫ばれるいま、営業、接客にとどまらず「わかりやすい説明」はどんな場面でも求められる必須スキル。『史上最高にわかりやすい説明術』(秀和システム)は、そんな説明スキルの上達法について「わかりやすく」指南します。
著者はビジネス研修講師として、多くの研修を手掛ける深沢真太郎さん。論理的であり、感覚的にとらえやすく、相手の知っている言葉で語る。「説明」について説明を尽くした内容です。
「説明のテクニック、メカニズムについてのノウハウが凝縮されている。加えて『やさしさの量で決まる』など、思いがこもっていないと伝わらないと指摘する点が共感できる。相手の思いをくみながら自分の思いを伝える。説明とコミュニケーションの両方が学べる」(高橋さん)
経営者や各分野の専門家による無料ウェビナー「NIKKEIリスキリングcafe」も定期的に開催。ちょっと楽しく、だけど真面目に学び直しをしたい人に役立つ情報をお届けしています。