TRPG文化における男女問題
うおーちょうなつかしいー関連した話題いっぱいあるじゃーんっていうか最近俺ビジネスから100万光年関連エントリばっかりじゃね?みたいなことを思いつつ、今週は月曜から日曜までみっちり仕事に仕事に実家の事情に大変だったのでがっつり言及できる体力がねえ、というわけでTRPG女性問題についてのあれこれを五月雨に書き殴って寝るぜ、みたいな。
コンベンションにおける男女混合TRPGの法則
ってのを先週末にTwitterに投げたりした。マーフィーの法則っぽく現実を多分にデフォルメしすぎているが、まあ何十回もコンベンションをしてきた中で、デタラメとは言えないくらいの精度はあり、事前に気をつけていた法則だよね。
法則1:男子複数名と女子1名の組み合わせの場合、男子が女子に構い過ぎてゲームにならない
法則2:男子複数名と女子2名以上の組み合わせの場合、女子2名が絡みすぎてゲームにならない
法則3:女子GMと男子PCの組み合わせの場合、PCのトリッキーな行動にGMが対処しきれない
法則4:コンベンションで「じゃあ女子別卓!」とすると周囲の卓が女子卓ばかり見ていてゲームにならない
TRPGにおける固有の男女問題
男性が育てた文化だから…といった情緒的なホモソーシャルだけでない女性排斥の要因を持つのもTRPGの特徴だ。
TRPGというのはプレイヤーが自らの分身または手駒としてキャラクターを用意するのだが、男性プレイヤーが女性キャラクターを持つケースが非常に多い。TRPGの昔からMMOの時代まで欧米人に「異性キャラを使うプレイヤーが多すぎる日本は異常」と言われたり、稀にこのあたりの論議が起こることはあるものの、別に特殊なこととして扱われることではない。
が、女性がセッションに参加した場合、これが問題になってくる事がある。「リアル女子がいるのに野郎が女性キャラを使うのは変・恥ずかしい」「リアル女子が男が演じる女性キャラの行動にケチをつけてきた」「やっぱTRPG時の究極の飲み物はライフガードっしょ」「痴女キャラが使えないじゃないか!」、またGM側で用意したNPCに対して「女の子がそんな反応するわけないし」というクレームがついた例も聞いたことがあるなど、リアルVS仮想女子問題に発展する場合があるのだ。
また、TRPGは架空の世界で架空のキャラクターを動かす遊びであるが、「リアルカップルがパーティー内でもカップルになってストーリー内でイチャついて困ります」「先生、ヒーラーが女子キャラの回復に貼り付いてたせいで俺のキャラが死にました」「コーヒー牛乳こそ至高」「女子のキャラクターが無理矢理恋愛シナリオに絡まされます」などなど、リアルの人間関係や性別がシナリオ内に持ち込まれやすいという問題も発生することになる。
実際上記のようなトラブルは少なくない。かつてRaFという変な集団を主催しており、TRPGプレイヤー250人ほどの参加者中50人ほどが女性だったため、このようなトラブルは日常的に聞くところであった。恥ずかしい話、自分もそれを発生させてしまったこともある。
ともあれ、このような要因から「おにゃのこにTRPGを流行らせよう」という動きが確かにあった一方で、強烈なミソジニーが持たれて一面もある、ということは明らかにしておくべきだろう。
出会い目的のTPRG参加者
RaF内のTRPGサークルが主催するオープンなコンベンションもしばしば開催していたが、その中には明らかに異性目的で参加していたよねーって困った人たちがいたこともあった。
「えー?○○ちゃん今日来てないのぉ?じゃあ帰るわ」なんて言い出す馬鹿野郎もいれば、セッションにほとんど参加せず寄ってくる男子とのお話にのみ集中する“お姫様”もいた。
「おにゃのこにTwitterを流行らせよう」なんて動きは、Twitterがそもそも話をするツールであるためにその動機自体をどうこう言われるべきではないと思うが、TRPG界隈の場合はゲームをするのが主目的なので、丁重にご退場いただきたいもんである。
出会いを意図していなかったとしてもサークルクラッシュは容易に発生する。天然の粘着湯気女も多い。その上で明らかに出会い目的の臭いがプンプンする「流行らせよう」などといったキャンペーンが行われれば叩かれるのは至極当然であろうって話ですよ。
なお今出てきた「粘着湯気女」という言葉はTRPG界で使われる「サークルクラッシャー」の独自の呼称だ。粘着湯気女はその特徴まで踏み込んで分析されていたり、y_arimの元エントリで語られるように複数の雑誌で語られるなど、TRPG界ではかなり重大な問題として認識されている。1人2人ではできない遊びだけに、避けて通れないのだ。
女性のTRPG参加への障壁
ここまでは男性視点がかなり強いところだが、じゃあその時期にTRPGという存在を知る女性は何を考えてたのか?ってところを1事例として書いておきたい。
15年前の当時、文通をしていた女性からの話の要点をまとめるとこんなものだった。
「ロードス島戦記のリプレイを愛読していて、TRPGをすごくやってみたいと思ってる。でも近くに仲間もいないし、TRPGサークルって男性ばかりだし、男性の家に行くのは怖い。コンベンションに興味があるけどやっぱり長いキャンペーンを体験してみたい」
当時のラノベ人気作は、TRPGのリプレイを起源とした作品が多かった。ロードス島戦記、ルナル・サーガなどはその代表で、前者はOVAの公開が90年と古く女性の愛好者も多い。このため作品経由でTRPGを知り、関心を持つ人は少なくなかったのだ。
しかし彼女たちがTRPGを始めてみようと思えるほどには、TRPG業界はあまりに女子禁制の雰囲気が強かったと言えるだろう。一方では思惑に反して、一方では思惑通り、女性に広まることのないままであったのだ、あの時代は。(その流れの中で発行された富士見文庫の「女の子だってRPGしたいんだもん!」は、非常に意欲的な取り組みだった、女性から見ても反論が多いと評されはしたが)
インターネットが一般のものとなるちょっと前に「X-MARKET」や「じゃマ〜ル!」「Findout!」など、オタク同士をつなぐ交換や売買、友達・メン募専用の雑誌が相次いで発売されていた時期があったが、それらを注意深く見ると、機会そのものがない女性達を多く発見できたのだ(これらの雑誌もオタクネットワークの失われた方法であって個別に語りたいところであったり)。
本エントリに関する注意
「TRPGに関する男女問題」というところに主眼を置いたが、男女混合でもうまく行っているサークルが数多くあったこと、性別の違いを問題とせず素晴らしいキャンペーンを織り上げていった例が多くあることを俺は知っている。女性メインのTRPGサークルを、かつて俺が主催していた“RaF”のサークル群で様々なトラブルが起こりつつも多くの好ましい関係が築かれていたことを知っている。
あと、千葉のVarious Assmbleというサークルが行っていた、女性が参加しやすいコンベンションなどの素晴らしい取り組みも行われていた。
TRPGからすっかり離れてしまった今、最近のTRPG界隈がどうなっているかを残念ながら知らない。おそらく15年前と同じ問題を抱えているだろう。
本エントリで女性嫌悪を肯定する意図を読み取られた方も多いのではないかと思うが、しかし可能であるなら様々な障害を乗り越えて男女楽しくTRPGを盛り上げていけることを望んでやまない。
とか書いていたら午前4時半。やばい体力が。