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■John ReisとRick Froberg、サンディエゴ音楽シーンの足跡 1〜4

■John Reis & Rick Froberg - Footsteps of the San Diego Music Scene 1 - 4 (English)

 

 

■ Codeine: ニューヨーク・スロウコアの軌跡 / 悲しみの季節にスロウコアを

■ Codeine: NYSC 1989 - 2024 / Slowcore for a Season of Sadness (English)

 

 

John ReisとRick Froberg、サンディエゴ音楽シーンの足跡 4: PlosivsとSwami And The Bed Of Nails

Footsteps of the San Diego Music Scene 4: 2015-2024

 

1986年のPitchfork結成以来、地元サンディエゴのみならず音楽シーンを大きな足跡を残してきたJohn ReisとRick Froberg。The Night MarchersとObitsの結成を経て、2010年代前半にはHot Snakes、Rocket From The Crypt、Drive Like Jehuが立て続けに復活。以降もそれにとどまらず、ますます精力的な活動を展開していく。

 

2015~2020年: Swami John Reis名義でのコラボ活動とHot Snakes新作発表

この頃からJohnはコラボ活動にも積極的で、2015年にはミネアポリスガレージ・ロック・バンド、The Blind Shakeとのコラボレーション・アルバム、Swami John Reis & The Blind Shake『Modern Surf Classics』をSwami Recordsからリリースする。

Blind ShakeはJohnのギター・プレイにも大きな影響を与えたMichael Yonkersのバックも務めるバンドで、Swami作品のマスタリングを務めるDave Gardnerの紹介で彼らのライブを見たJohnはコラボレーションを提案。以前から取り組んでみたかったという古き良きサーフィン映画のサウンド・トラックを意識したインストゥルメンタル作品に取り組み、アルバム発表後はアメリカ国内でツアーやライブも行っている。

 

Swami John Reis & The Blind Shake Interview

 

さらに翌2016年には、JohnやRickからの影響を公言するトロントのガレージ・ノイズ・ロック・バンド、Metzともコラボ。同年のレコード・ストア・デイにSwami Recordsから、Metz & Swami John Reis名義のEP『Let It Rust / Caught Up』をリリースする。

またSwamiからは同日に、Hot SnakesやSultansの新曲を含む地元アーティスト22組を収録したコンピレーション『Hardcore Matinée』も発売。その収益金を地元のフリー・スクールであるMuseum Schoolに寄付するなど、レーベル運営にも再び力を注いでいる。

 

もちろんRFTCとしての活動も継続的で、同年に行われた国内ツアーでは2013年の再結成以来、初となる新曲7インチ『Don't Drop The Baby』を会場限定で販売。続く2017年のUKツアーでも新曲2曲を収めたEP『Return To Monkey Island』が限定発売されており、ファンにとってはさらなる新作への期待が高まっている。

Don't Drop The Baby on WFMU Todd-o-phonic Todd: Playlist from July 30, 2016

 

また、プロデューサーとしての活動も盛んで、2015年には名門インディーのMatador Records(現在はRelapseに移籍)から作品をリリースするカルフォルニアのハードコア/ポスト・パンク・バンド、Ceremonyのアルバム『The L-Shaped Man』のプロデュースを担当。その後もバンドとの関わりは深く、2017年にCeremonyがLAで開催したライブではJohnもバンドに加わり、RFTCの「On A Rope」のカバーを含め、ゲスト・ギタリストとして演奏を披露している。

さらに2018年には、LAで結成されたThe Primalsのアルバム『All Love Is True Love』もプロデュース。メンバーにはThe ExplosionのドラマーでRFTCとのツアー経験もあるAndrew Blackに加え、Johnの大ファンだと言うDarkest Hourのボーカリスト、John Henryおよび元Dead To FallのChad Fjerstadという二人のメタル系ミュージシャンが集結。シアトルのドローン・メタルバンド、Sunn O)))の運営するSouthern Lordからリリースされた本作は、レーベル内でも異色のファジーパワー・ポップ作品となっている。

The L-Shaped Man | CEREMONY - bandcamp 

All Love is True Love | The Primals - bandcamp

 

そして再結成以来、ライブ活動を続けてきたHot Snakesも2017年にはSub Popと契約。2018年に入ると過去3作のアルバムがリイシューされたのに続き、実に14年ぶりの新作となる4thアルバム『Jericho Sirens』をリリースする。

ドラムはJason(1、2、4、6、8、9、10曲目)とMario(3、5、7曲目)の両名が曲ごとに別れて担当。豪快に波に乗るサーフィン中のGarの写真が象徴するように、ブランクを感じさせないどころか、歳を重ねてますます勢いを増したサウンドを展開している。

 

Hot Snakes Live on KEXP

 

コーラスにはRob Crowのほか、The Muslims改めThe Soft PackのMatt Lamkin、そして元Trumans WaterおよびSoul Junkのメンバーで現在はOctagrapeやSumatrabanで活動するGlen Gallowayもゲスト参加。変わることのないサンディエゴ・シーンの絆も感じさせる作品となった。

 

Hot Snakes on Sub Pop

 

こうして完全復活を果たしたバンドは同年のリリース・ツアーに加え、Sub Popの30周年記念イベントにも出演。併せて発売された所属バンド8組による限定スプリット7インチ・シリーズ『SPF30 Singles Spectacular』ではRickがカバー・イラストを担当し、Hot SnakesもMudhoneyとのスプリットに未発表曲「They Put You Up to This」を提供している。

 

その後も2019年には新曲EP「Checkmate(b/w Not In Time) 」、2020年には「I Shall Be Free」と快調に作品をリリース。さらなるツアーも予定されていたのだが、ここで予期せぬ事態が世の中を襲う。COVID-19、新型コロナウイルスの世界的流行により、ありとあらゆるライブがキャンセルされたのだ。

 

Jasonとは実の姉妹に当たる写真家、Jessica KourkounisによるMV「Not in Time」

 

しかもパンデミックが被害を与えたのは音楽活動だけではなかった。Johnが共同でオーナーを務めていたBar Pinkもシャットダウンにより閉業を余儀なくされ、最終的にはPart Time Loverというカクテル・バーへ店舗を引き渡している。

以降、世界中のミュージシャンが苦境に立たされることになるのだが、Johnの音楽への熱意が失われることはなかった。むしろコロナ禍において、さらなるプロジェクトが動き出すのである。

 

Johnの息子であるTiger ReisによるアニメーションMV「I Shall Be Free」

 

2021〜2022年: Plosivs結成とSwami John Reis名義でのソロ活動

コロナウイルスの感染拡大が続く2021年、外出制限の影響か、すっかり体重が増えた様子のJohnが始動させたのはサンディエゴの新たなオールスター・バンド、Plosivsだった。タッグを組むのはHeavy VegetableやThingy、Physics、Anal Trump、Optiganally Yours、そしてThree Mile PilotおよびSystems OfficerのZach Smithとコンビを組むPinbackなどなど、Johnと同じく多作で知られるギタリスト兼シンガーソングライターのRob Crow

旧知の間柄である彼らだが、バンド結成はこれが初。そのきっかけは意外にも、お互いの子供が同じ学校に通っている「パパ友」つながりだったそうだ。

 

Plosivs' debut Perfomance

 

リズム・セクションにはSwami Recordsから作品をリリースするMrs MagicianのJordan Clark、さらに現在はAlkaline Trioのメンバーとしても活動するRFTCの元ドラマー、Atomが参加。当初は異なるメンバー編成だったそうだが、パンデミックで行動が制限されたことにより、勝手知ったるメンバーで慎重にレコーディングが進められることとなった。

そして2022年、バンドは記念すべき1stフル・アルバム『PLOSIVS』をSwami Recordsからリリースする。二人のソングライターがアイデアを持ち寄って作られたソリッドかつ透明感のある楽曲。Johnのダウンストロークとハスキー・ボイス、Robのアルペジオとハイトーン・ボイス。両者の個性が見事に混ざり合ったサウンドは、まさしくサンディエゴのスーパー・グループならでは。リリース後もツアーやライブ活動を積極的に行なっており、さらなる新作の準備も既になされているようだ。

 

また、JohnはPlosivsと並行して2021年より、Fat Wreck Chordsが誇るパンク・カバー・バンド、Me First And The Gimme Gimmesの新ギタリストとしてツアーに参加している。オファーを受けるまでバンドについては詳しく知らなかったというJohnだが、コンセプトを聞いて加入を快諾。同じく現在のメンバーである元RamonesのCJ Ramoneらと共に演奏を行なっている。

 

John's debut Perfomance on Me First and the Gimme Gimmes  

 

そしてなんと翌2022年には、長いキャリアにおいて初のソロ名義となるSwami John Reisとしてのアルバム『Ride The Wild Night』をリリースする。

マーティンのアコースティック・ギターを手に入れたことがきっかけで数年にわたり書き貯めてきた楽曲が元になっているという本作では、Johnのアコギに加え、男女混声の泣きメロ系エモ・バンドとして人気を博したJejuneおよびLovelight Shineの元ボーカリスト、Joe Guevaraによるピアノを大きくフィーチャー。Jasonのドラムなど仲間たちの協力を得て、Flaming GrooviesやThe Kinks、Paul Revere And The Raidersなどの60~70年代のフォーキーなサウンドにインスパイアされたガレージ・ロックを展開している。

 

Swami (( JOHN ))) Reis on Cardboard Sessions

 

さらに同年にはThe Locustの元メンバーらによるThe Creepy Creepsの変名エキゾチカ・バンド、Creepxoticaとのコラボ7インチ『Shelter Island / 1 Mai Tai... 2 Mai Tai... 3 Mai Tai... Floor!』をSwami John Reis & Creepxotica名義でリリース。同じくSwami Recordsからはシカゴのノイズロック・トリオ、Meat Waveの3rdアルバム『Malign Hex』もリリースするなど、ライブにコラボにレーベル運営、さらにはThe Swami Sound System名義でのDJ活動にと、コロナ禍を物ともせず相変わらずの多忙ぶりを発揮している。

 

SWAMI JOHN REIS & CREEPXOTICA "Shelter Island" Live at Bali Hai in San Diego 08/04/22

 

一方のRickも2020年にはモントリオールのパンク集団、Red Massが発表したアルバム『A Hopeless Noise』にゲスト参加。収録曲「Killer On The Loose」のリード・ボーカリストとして、カナダのシンガーソングライター、Mac DeMarcoと共に素晴らしい歌声を披露している。

 

また、イラストレーター、ビジュアル・アーティストとしての仕事も活発で、2021年には再びサンディエゴへ帰住。2022年には同地のTrash Lamb Galleryにおいて、個展『Let My People Go: Art and Illustration 1988 to Present』を開催。自身のキャリアを総括するような展示を行っている。

 

2023年: Rick Frobergの死

2023年に入ってからもRickは活動的だった。6月初めにはバンド名からも強い影響が窺えるAt The Drive-InおよびRickがカバー・アートも提供しているSpartaのJim WardによるYouTubeチャンネル『Let's Get A Drink』に出演。今後について「目標を設定したことはなく、その時その時にあることをするだけ。多分それがベスト。」と飄々とした様子で話している。

 

Let's Get a Drink (Episode 5) Rick Froberg

 

また、Instagramにも自身のイラストや近況を積極的に投稿しており、8月にはCasbahで行われる、ガレージ・パンクやサイケデリック・ロックを扱う地元のファンジン「Ugly Things Magazine」の創刊40周年記念イベントに出演することも発表。Johnやその実弟Deanらとのスペシャル・バンドとして、Swamiからも音源リイシューが行われたサンフランシスコの伝説的パンク・バンド、Crimeのカバー・ライブを披露することも予定されていた。

Facebook - Ugly Things 40th Anniversary Weekender August 25-27, 2023

 

それだけに、その知らせは本当に突然のことであった。7月2日、Johnが自身のInstagramアカウントにて、6月30日の夜にRickが突然この世を去ったことを発表したのである。享年55歳。未診断の心臓疾患による、あまりにも早すぎる死であった。

Rick自身も死の直前までInstagramを更新しており、生前最後となった6月15日の投稿では、NYのカメラマンNathan Martinが2018年に撮影したというHot Snakesメンバー全員のアーティスト写真をシェア。そこにはレコーディング中の新作が完成間近であると綴られていた。

 

なおRickの死後、彼のInstagramは長年の友人であり生前のパートナーでもあったプラント・アーティスト、Britton Neubacherによって管理されている。rick_froberg_foreverと名前を変えたアカウントでは、2023年8月29日に仲間内で行われたCasbahでの追悼イベントの様子も垣間見ることができる。Johnをはじめとする今までのバンド・メンバーはもちろん、盟友Rob CrowやPall Jenkinsのほか、Last Of The Juanitasで活動を共にした現Red FangのBryan Giles、Skull kontrolのChris Thomson、さらにはSub Popのレーベル・メイトであったMudhoneyのMark Armといった友人たちが列席。セッションを披露し、故人を偲んだようだ。

 

現在、アカウントではRickが残したアート作品を収集し、カタログ化する計画が立てられている。作品を所持している人に向け、下記のポストにおいてスキャン画像もしくはスナップショットの送付を呼び掛けており、うまくいけば作品集など、いつかまとまった形で彼のアートに触れられる日が来るかもしれない。

Rick Froberg | GOT ANY RICK FROBERG ART? | Instagram

 

Rickの死に際しては、FugaziのBrendan CantyやSuperchunkMac McCaughanをはじめ、Ted Leo、Metz、Botch、Thursday、Speedy Ortizのメンバーなど、多くのミュージシャンやレーベル、メディアが追悼を捧げている。その一部はニューヨークのWebマガジン『Brooklyn Vegan』の記事にまとめられており、さらにSub Popのホームページでは関係者が選んだRickのベスト・ソングのリストも掲載されている。

Read tributes to Rick Froberg from Superchunk, Thursday, Jenny Lewis & more

Rick Froberg in Sub Pop Records News

 

RickとJohn。彼らが与えた音楽的な影響については、挙げればキリがないだろう。中でもDLJModest MouseやThe Blood Brothers、Genghis TronDillinger Escape Planなどなど、ジャンルを超えて多くのミュージシャンが影響を公言。At The Drive-InおよびMars VoltaのCedric Bixler-Zavalaに至っては最も影響を受けたバンドにDLJとHot Snakesを挙げ、DLJなしに『Relationship Of Command』は生まれなかったとまで発言している。

また数少ない作品数にもかかわらずSuper UnisonやBullet Train To Vegasなど、DLJの楽曲から名前を採ったバンドも複数存在。その中の一つであるIf It Kills Youは、2023年11月にSpartaやThrice、Division Of Laura Leeらが参加した追悼カバー・コンピ『Learn To Relax! A Tribute To Jehu』をリリース。また過去にJohnともコラボしたMetzも、2024年の新作『Up On Gravity Hill』をRickへ捧げるアルバムとしている。

Learn to Relax! A Tribute to Jehu | Noise Real Records - bandcamp

Up On Gravity Hill | METZ - bandcamp

 

なお、ここ日本においても過去に二つのトリビュート作品が発売されている。1998年にZK Recordsからリリースされた『John “SPEEDO" Reis Tribute』は、Johnが2ndアルバム『揺ラシツヅケル』のプロデュースを手掛けたこともあるCowpersによるDrive Like Jehuのカバー。そして同じく札幌出身のNahtによるPitchforkのカバーを収録。ちなみに本来はCopass GrinderzによるRFTCのカバーおよびRFTC自身の未発表曲も加えたコンピになる予定だったそうだが、スケジュールの都合により頓挫している。

2003年のコンピ『A CASE OF RFTC JUNKIES Tribute To Rocket From The Crypt』には、かつてスプリットも発表したBloodthirsty Butchersに加え、ライブで共演したMAD 3やJet Boysらが参加。当時の発売記念イベントにはJohnも単身で来日。元Number Girl中尾憲太郎らトリビュート参加ミュージシャンをバックに従え、RFTCの楽曲を演奏するスペシャル・ライブを披露している。また2020年には、同コンピのプロデューサーにして長年にわたり彼らの写真を撮影してきた写真家、菊池茂夫氏による写真集『RFTC 93-01』も販売された。

 

ファンのみならず多くのミュージシャンに影響を与え、そのコンビネーションにおいて一つの失敗作も生み出さなかった二人。パンクやR&Rの魅力をすべて飲み込んだかのような多層的かつ痛快な音楽で、この先も多くの人々に影響を与え続けるはずだっただけに、突然の死が悔やまれてならない。

ただの一ファンでしかない私でさえ、彼の死に対して取り留めもないことを考えてしまうほどのショックを受けるのだ。残されたJohnの悲しみを計り知ることはできない。

 

2024年: Swami And The Bed Of Nailsデビュー

しかし音楽の女神も昔からの仲間たちも、そして世界中に散らばる私のようなファンの存在も、この多忙なミュージシャンを悲しみの中に放っておくことはできないのである。

 

Rocket from the crypt-Hippy Dippy Do-the Casbah-1/25/24

 

JohnはRickの死後もRFTCおよびPlosivsのライブを各地で行うほか、2023年には再びMe First And The Gimme Gimmesのツアーにも参加している。中でもサンディエゴで行われた、15歳になる少女の誕生日を祝う伝統行事「キンセアニェーラ」でのライブには、RFTCのJC2000に加え、なんとJohnの父であるJohn Reis, Sr.もアコーディオンで登場。この日の演奏は『¡Blow it​…at Madison's Quincea​ñ​era!』というアルバム・タイトルで翌2024年にFat Wreckよりリリースされ、同年11月には来日公演(結局Johnは不参加だったが)を行うことも発表された。

 

そしてJohn自身も決して癒えることのない喪失感を乗り越えるため、新たな一歩を踏み出し始める。ソロ名義であるSwami John Reisとしてのライブから発展した新バンド、Swami And The Bed Of Nailsを正式に始動させたのだ。

メンバーには、ソロ・アルバムにも参加していたキーボードのJoe Guevaraに加え、同じくJejuneおよびLovelight Shineの元メンバーで、Radio WendyではRFTCとのスプリット・リリースの経験もあるMark Murinoがギターを担当。リズム隊にはJasonとTommyのNight Marchers組に加え、さらにサンディエゴ出身のセッション・ミュージシャンであり、Raúl Prieto Ramírez and the Spreckels Organ Rock Bandの一員としてバルボア・パークでも演奏を行うRichard "T Bone" Larsonをもう一人のドラマーとして迎えている。

 

Swami And The Bed Of Nails - Ketchup, Mustard, And Relish

 

バンドは2023年11月からセッションを開始すると共に、Swami Recordsからも作品をリリースするシカゴのノイズロック・トリオ、Meat Waveとも共演するなど精力的にライブも敢行。2024年2月には1stシングル『How Are You Peeling?』、続く5月には2ndシングル『Privacy』を発表する。

そして同年8月、CeremonyのAnthony AnzaldoやMrs MagicianのJacob Turnbloom、そしてRob Crowといった仲間たちも参加した記念すべき1stアルバムが完成。現在進行形で音楽を作り続けてきたJohnの今を伝える1枚『All Of This Awaits You』が、Swami Recordsよりリリースされた。

 

「Rickへとつながる支流」。Johnによれば本作に収められているのは、Hot Snakesが最後に行った作曲セッションから枝分かれした楽曲だそう。一時は完全に打ちひしがれ、塞ぎ込んでしまったという彼は、Rickの死を乗り越えるため再び楽器を手に取ることを決意。友人たちと共に作品を完成させ、バンに乗って各地で演奏を披露する決心をしたのだと語っている。

その言葉が示すとおり、Hot Snakesのリフを感じさせる「How Are You Peeling?」で幕を開け、さらにはRFTCにも通じる「Beware The Halo」で締め括られる本作には、まさしく悲しみを吹き飛ばすような生命力に満ち溢れた楽曲が並んでいる。前作に当たるソロ作品はもちろんのこと、Night MarchersやSultansといった今までのバンドのエッセンスも融合させたようなガレージ・パンク・サウンドは、これまで以上にフレッシュでポップ!

そして何より、強烈なギター・プレイの影に隠れがちなJohnのメロディー・メイカーとしての才能が遺憾なく発揮されている。Ramoneパンクであり、Misfitsであり、さらにはBeatlesやBeach Boysのようでもある「Teen Hate」や「Don’t Wait」のほろ苦くもキャッチーなメロディーは、聴いているだけで思わず涙が出そうになってしまう。そこにはJohnの愛するR&Rがもたらす、理屈を超えたプリミティブな喜びが目一杯に詰め込まれている。

 

Swami And The Bed of Nails - Live on KEXP

 

一方でファンとしてどうしても気になるのは、Rickが死の直前まで取り組んでいたHot Snakesのアルバムである。2023年8月、Johnは奇しくもRickの死から1ヶ月後というタイミングで収録、配信されることとなったPodcast番組『Cult & Culture』に出演。番組を運営するThe LocustのJustin Pearsonおよび彼とPlanet Bでタッグを組むLuke Henshawをホストに、Rickとの思い出や自身の歩み、そして彼の遺作となるHot Snakesの音源について語っている。

実際の作業がどこまで進められていたのかまでは詳しく明かされなかったが、どうやらレコーディング作業を完全に終わらせることはできなかった模様。そして無理もないことだが、Johnが残された音源と冷静に向き合えるようなるのには時間が必要なようだ。

Cult & Culture Podcast Episode 28 feat. John Reis - YouTube

 

しかし同時にこうも話している。「いつかみんなにシェアできるのを楽しみにしている。Rickもそれを望んでいるはずだ。」と。

果たしてそれが、いつどのような形で届けられるのかは分からない。しかしいずれにしてもファンであれば、今後のJohnの活動に注目しない手はないだろう。少なくとも、きっとこれまで同様、さまざまな名義を用いては素晴らしい作品を大量に作り続けてくれることだけは間違いがないのだから。

 

終わりに:

さて、そんなわけで私に書けることは全て書き切ったように思います。思いがけない長文となってしまいましたが、それもこれもJohnとRickのあまりにも広範な活動と、それを支えてきた音楽への飽くなき情熱のせいに他なりません。

最後に。Rickが死というものをどのように捉えていたのかは、残念ながら知る由もありません。ただ、Hot Snakesのアルバム『Jericho Sirens』には「Death」の付くタイトルが3曲も収録されていたし、そもそもObitsは訃報を意味するobituaryという単語に由来するバンド名で、2021年に発売されたライブ・アルバムには『Die At The Zoo』というタイトルまで付けられていたほど。こじつけと言えばそれまでですが、今となってはどこかしら死を見据えていたようにも思えてしまいます。

 

しかしそれは決して悲観的な意味ではありません。Rickの書く歌詞は、怒りやイラつき、恐怖といった感情を皮肉っぽいユーモアを交えて断片的にコラージュしたかのような表象的な言葉がほとんど。彼のイラストと同様、そのシュールな世界観から直接的な意味やメッセージを読み取ることは困難ですが、そこには全てを笑い飛ばすようなニヒルでシニカルな視点が常にあるように感じられます。

それは私にとって、かつてSex Pistolsら先人たちが示したパンクの姿勢そのもの。もしかしたらRickは自分の死さえも「別に大したことじゃない」と、事もなげに笑っているんじゃないか……。そんな気がするのです。

 

あくまで私自身はただの一ファンにしか過ぎませんが、彼らが残した音楽への敬意と感謝の気持ちを込めて、でき得る限り詳細な文章になるよう情熱を注いだつもりです。読んだ人にとって少しでも有益な情報や新しい発見があれば、これに勝る喜びはありません。彼らの作品とその魅力に触れる機会が、一人でも多くの人に訪れることを願って筆を置きたいと思います。

Long live the dead down-stroke warlords! XOX

 

Hot Snakes - Union Transfer, Philadelphia 06/9/18

 

 

JohnとRick 3: SultansとHot Snakes、ObitsとNight Marchers ←

 

 

参照:

Earthquake! John Reis Talks Surf Rock And Drive Like Jehu | The Quietus

San Diego music legend John Reis ‘Hardcore’ for school – San Diego Union-Tribune

Rocket from the Crypt Discography - Don't Drop the Baby - Pette Discographies: A Record Collector's Guide

I Buy Way Too Many Records Dot Com: Rocket From The Crypt - Don't Drop The Baby 7" - 2 Versions

Ceremony and the Angst of Evolution

Ceremony Team Up With John Reis for L.A. Residency

Ceremony Concert Setlist at The Echo, Los Angeles on May 18, 2017 | setlist.fm

The Primals (Darkest Hour, The Explosion, Dead to Fall) Discuss Debut LP (EXCLUSIVE) | Features | No Echo

Analogue Music | Hot Snakes

discotortion » Blog Archive » JERICHO SIRENS 共通一次試験解答

Sub Pop Records News for Hot Snakes

Bar Pink Closes – NBC 7 San Diego

John Reis details his approach to guitar playing: “Rules are important – you need to know how to do something in order to know how to f**k with it” | Guitar World

#216 Atom Willard (Rocket From The Crypt/Angels & Airwaves/The Offspring/Against Me!) - Life In The Stocks | Acast

Punk's Drum Machine: The Chronicles of Atom Willard - SPIN

#325 John "Swami" Reis (Rocket From The Crypt/Drive Like Jehu/Hot Snakes/Solo) - Life In The Stocks | Acast

Interview: John Reis Plays By His Own Rules – New Noise Magazine

The Enduring Impact of Rick Froberg | by Nabil Ayers / book touring in 2023 | Medium

The Strange Return of Drive Like Jehu

Twitter - cedricbixler_

The Blood Brothers’ Jordan Blilie and Johnny Whitney on the records that shaped them - Alternative Press

Drive Like Jehu reunites after 19 years – San Diego Union-Tribune

METZ and Gouge Away ripped up Bowery Ballroom (pics, review)

TRIBUTE TO ROCKET FROM THE CRYPT @ Shibuya Quattro; 21st June '03

写真集「RFTC 93-01」ROCKET FROM THE CRYPT 1993-2001 | KICK THE PAST!

Me First and the Gimme Gimmes – Fat Wreck Chords

【NEWS】パンクロック界最高のカバーバンド、Me First and the Gimme Gimmesの来日が決定!! | SATANIC ENT.

Richard Larson: Rhythm, Beats, and Grooves | San Diego Troubadour

John Reis' post-Hot Snakes band Swami & the Bed of Nails announce debut LP, share "Privacy"

https://jammerzine.com/swami-the-bed-of-nails-all-of-this-awaits-you-tour-dates/

Ep. #383: Hot Snakes' Rick Froberg - Kreative Kontrol

Rick Froberg Inspired a Generation of Musicians Like Me | Feature — POST-TRASH

Rick Froberg, Singer of Artful Intensity, Is Dead at 55 - The New York Times

Swami Records Official Online Store

 

John ReisとRick Froberg、サンディエゴ音楽シーンの足跡 3: SultansとHot Snakes、ObitsとNight Marchers

Footsteps of the San Diego Music Scene 3: 2000-2016

 

サンディエゴを代表するバンドとして90年代前半のシーンを牽引したDrive Like JehuとRocket From The Crypt。しかしDLJは自然消滅的に活動を停止し、一方のRFTCもメジャー・レーベルとの契約解除を機にドラマーのAtomが脱退。2000年代に入ると同時に、活動停止を余儀なくされてしまう。

しかし多作で知られるJohnの音楽的熱意は、決して冷めることはなかった。彼は自身のレーベルであるSwami Recordsを運営する傍ら、二つのサイド・プロジェクトを立ち上げるのだった。

 

2000年: Sultans、そしてHot Snakes結成

一つは海賊風のコンセプトを持つ3ピース・バンド、Sultans。かつてのRFTCがそうであったように、どこでも気軽に演奏できるスタイルを想定しており、メンバーにはBlack FlameことRFTCのギタリストであるND、そしてThe Adolescentsのメンバーも在籍したUnsoundというバンドでドラムを叩いていたTony Di PrimaことTony Brownが参加。自身はSlasherという変名を名乗り、ベース・ボーカルを担当している。

2000年にはJohnが新たに立ち上げたDrag Racist Studioにて、最低限の機材を用いてレコーディングした1stアルバム『Ghost Ship』をSwami Recordsからリリース。MisfitsやReal Kids、Killed By Deathのコンピ・シリーズを意識したという、ストレートでシンプルなパンク・サウンドが炸裂する勢い溢れる内容になっている。

 

Sultans at Bar Pink 2012

 

あくまでサイド・プロジェクトではあるものの、その楽曲はキャッチーな魅力に溢れており、意外なところではマサチューセッツゴシック・メタルコア・バンド、Convergeのギタリスト兼プロデューサーのKurt BallouもSultansの名を例に挙げ、Johnが関わるバンドのファンであることを公言している。

バンドはその後も断続的に活動を継続。2003年にはギターのNDに代わりJohnの実弟、Dean ReisがBlack Velvet名義でベーシストとして加入。Johnも楽器をギターに持ち替え、翌2004年にはよりブルージーになった2ndアルバム『Shipwrecked』を発表する。2007年には一度活動を停止しているが、2010年のハロウィーンにはJohn、ND、Dean、Tonyの4人で復活ライブを披露。以降も散発的にライブを行なっている。

 

Sultans with El Vez at Bar Pink 2019

 

そしてもう一つのプロジェクトが、盟友Rickと三たびタッグを組むことになるバンド、Hot Snakesである。

そもそもの始まりはJohnとドラマーのJsinclairことJason Kourkunisによるセッションだった。現在では地元フィラデルフィアのサイケ・バンド、Bardo Pondでも活動するJasonは、Touch & GoやKill Rock StarsおよびDischordから作品をリリースしたR&Bパンク・バンド、Delta 72の元メンバー。拠点は違えどバンドでの共演を通じて親交のあった二人は曲作りを開始。エンジニアにはその後もバンドの全作品を担当することになるBen Moore(ミュージシャンとしてもThe Styletonesというソウル・バンドで活動)を迎え、サンディエゴのBig Fish Recordingにてレコーディングを進めていく。

 

Delta 72 - It's Alright

 

そうしてできた音源をJohnがニューヨークのRickに聴かせたことから、かつてのコンビが再び復活することになるのである。音源をいたく気に入ったRickは、バンドへの参加を即決。彼のギターとボーカルが加わり、バンド自ら「Down-stroke Warlords(ダウンストロークの将軍たち)」と形容するアンサンブルが完成する。

バンド名は排泄物の比喩と思われることも多いそうだが、実際にはJohnの祖父が台湾で見かけたという蛇料理専門店の看板に着想を得て名付けられた。

 

レコーディングにはJasonと同じく元Delta 72およびCupid Car Clubのメンバーで、Rickがアルバに客演もしたSkull Kontrolの女性ベーシスト、Kim Thompsonもコーラスでゲスト参加。そして2000年、伝説的コンビの復帰作となる1stアルバム『Automatic Midnight』がSwamiからリリースされる。

ベースレスで製作された本作ではJohnの弾くSuicide風のキーボードがその役割を担うと共に、彼らのオールタイム・フェイバリットの一つであったWipersの影響が顕著に現れたキレのあるギター・ワーク、そしてこれまで以上にテンションと勢いを増しながらもメロディアスで表現力豊かになったRickのボーカルが炸裂。RFTCとDelta 72の熱血ガレージ・サウンドを下敷きに、Drive Like Jehuの複雑なポスト・ハードコアをコンパクトに合理化したようなスマートかつエネルギッシュなR&Rを確立している。

 

Hot Snakes - Automatic Midnight Unreleased Tracks

 

2001年: Rocket From The Crypt再始動

一方で停滞中だったRFTCもLAのポップ・パンク系インディー・レーベル、Vagrant Recordsとの契約が決定する。2000年には移籍後第一弾リリースとして、レーベル・メイトとなったGet Up Kidsとのスプリット7インチを発表。そして旧知の中であるSuperchunkのJon Wursterをサポート・ドラマーに迎え、ニュー・アルバムの制作をスタートさせる。

プロダクションにはDLJのMark TrombinoやDonnell Cameronという常連組に加え、The White StripesCat Powerとの仕事で知られるStuart Sikesも参加。そしてLAやメンフィスでレコーディングが進められる中、ついに正式メンバーとして新ドラマーが加入する。

 

隻腕(という設定)のドラマー、Ruby Mars。その正体はサンディエゴ出身のプロ・スケーターにして、現在はヘビー・サイケデリックインストゥルメンタル・トリオ、Earthlessのドラマーとしても活動するミュージシャン、Mario Rubalcaba。

ロディック・ハードコア・バンドの411に始まり、Final ConflictメンバーらとのChicano-Christ、そして2024年にまさかの再結成を果たしたカオティック・ハードコア・バンド、Clikatat Ikatowi。さらにはRob CrowのThingyにも参加するなど、数々のバンドで地元シーンを渡り歩いてきたMarioだったが、当時はシカゴへと移住してSea of Tombsで活動中。しばらくサンディエゴを離れていたため、AtomがRFTCを脱退したことも知らなかったそうだ。しかしThe Black Heart Processionのレコーディングに参加したのが縁で、Pall Jenkinsを介してRFTCメンバーと接触。デモを聴いて参加したリハーサル・セッションに大きな手応えを感じたことから、サンディエゴへの帰郷とバンドへの加入を決断する。

 

Clikatat Ikatowi - Too Simple

 

新たなレーベルと強力なドラマー。いよいよ新体制の整ったバンドは、60年代における日本のGSをヒントに名付けられた6thアルバム、その名も『Group Sounds』を2001年に発表。タイトルが示すとおり、バンドの結束力を感じさせるハイ・エナジーな大傑作でシーンへの復帰を見事に果たす。

なおリリース直後のツアーには、Circle Jerksおよび初期Black FlagのボーカリストであるKeith Morrisも来訪。それがきっかけで後にMarioはKeithの新バンド、OFF!に参加することになる。また、Marioはサンディエゴへ戻ったことによって知り合ったメンバーとEarthlessを結成。さらにはJohnの実弟Deanらと共に、自らギターやボーカルを務めるMannekin PissおよびSpider Feverというサイド・プロジェクトも始動。一時期はSultansでもTonyに代わってプレイするなど、Johnに負けず劣らずの多忙ぶりを発揮している。

 

RFTC 04/15/01 at Middle East Cambridge, MA 04/15/01

 

一方でサイド・プロジェクトと思われたHot Snakesも、ツアーを行うに当たりベーシストを迎え入れたことでバンド形態化。次第に活動を本格化させていく。

加わったのはFishwifeやTanner、Beehive & The Barracudasなどで活動し、古くからRFTCのレコーディングにも携わるなどJohnやRickとも親交の深いGar Wood。彼の加入によって完全なるバンド形態となり、2002年にはより理知的なサウンドとなった名作2ndアルバム『Suicide Invoice』を発表する。かつて彼らのバンド名から名前を「盗んだ」サイト、『Pitchfork Media』も8.8点を付けるなど高評価を獲得。以降バンドは、かつてのDrive Like Jehuと同様、RFTCと同時進行で活動することとなる。

 

するとRFTCも同年、これまで以上にガレージ・パンク色の強い7thアルバム『Live From Camp X-Ray』をVagrantよりリリースする。題名のキャンプ・エックスレイとは9.11直後にジョージ・ブッシュ政権下で設立され、過酷な拘留実態で問題となったアメリカ海軍グアンタナモ湾基地内の強制収容所のこと。

ライブ・アルバムと思われがちだが、Drag Racist StudioにてJohn自身のプロデュースにより録音されたスタジオ・アルバムで、ミックスはBen Moore、ライナー・ノーツはSympathy For The Record IndustryのLong Gone Johnが担当。アルバム・タイトルには、当時のアメリカ政府や国内の空気に対する強い批判と怒りが込められている。

 

RFTC - I Can't Feel My Head

 

続く2003年にはSympathy For The Record Industryより、Jon Wursterとのセッション時に録音されたEP『On The Prowl / Come On』(後にSympathy For The Record Industryからの作品をまとめた2007年の編集版CD『The Name Of The Band Is Rocket From The Crypt』にも収録)をリリース。

さらに同年、John、Andy、Marioの3人は70年代ニューヨーク・パンクのレジェンドで、Swami Recordsが音源のリイシューも手掛けたTestorsのSonny Vincentと共にスタジオ入り。共作アルバムとなる『Sonny Vincent With Members Of Rocket From The Crypt』を作成している。なおこの作品は諸般の事情により2009年までリリースされなかったものの、2015年には名義をSonny Vincent & ROCKET FROM THE CRYPTと改め、楽曲を追加した再ミックス盤『Vintage Piss』も発売された。

また、惜しくも2021年3月に39歳の若さで亡くなったアラバマ出身のロックンロール・シンガー、Dan Sartainが同じく2003年にSwamiからリリースした『Dan Sartain V.s The Serpientes』には、RFTCメンバーやGar Wood、Dean Reis、Dustin Milsapら周辺人物がこぞって参加。バックでさまざまな楽器を演奏している。

 

Sonny Vincent with RFTC

 

一方、サイド・プロジェクトの域を超えつつあったHot Snakesだったが、Jasonが自身の拠点であるフィラデルフィアで加入したバンド、Burning Brides(ギター・ボーカルのDimitri Coatsは後にMarioと共にOFF!に参加)の活動に専念するためグループを離れることになってしまう。しかし後任のドラムとして、RFTCのMarioが両バンドを兼務する形で正式加入。2004年には、よりアグレッシブになった3rdアルバム『Audit In Progress』をリリースする。

なおシカゴを代表するポスト・ロック・バンド、TortoiseのベーシストであるDoug McCombsは、このアルバムを自身のフェイバリットに挙げ、Johnのギター・プレイを「リフの天才」と称えている。また、収録曲の「This Mystic Decade」は後の2013年に、アメリカ史上最高本数を売り上げたビデオ・ゲーム『Grand Theft Auto V』内のサウンドトラックにも使用された。

 

Hot Snakes - Braintrust

 

2005年: Hot SnakesとRocket From The Cryptの解散

『Audit In Progress』リリース後はツアーも積極的に行い、イギリスではBBCラジオの伝説的DJ、John Peelの番組でスタジオ・ライブも披露。その後ほどなくしてJohn Peelが亡くなったため、Hot Snakesのパフォーマンスが長い歴史を持つ番組の最後を飾るセッションとなった。この時のライブ音源はEP『Peel Sessions』として翌2005年にSwamiよりリリースされている。

さらに2005年のツアーではオーストラリアのラジオ局JJJでもスタジオ・ライブを披露。こちらも後にライブ・アルバム『Thunder Down Under』として、同じくSwamiから2006年に作品化された。

 

Hot Snakes - Lax for Triple J

 

しかし順調に思われたHot Snakesの活動だったが、実はこのツアー中、バンドは既に解散を決意していたそう。アメリカ帰国後の2005年5月、Swami Recordsのサイト上にてバンドの活動終了が発表されたのだった。

バンドは同年の秋、プロ・スケーターのTony Hawkをフィーチャーしたビデオ・ゲーム『Tony Hawk's American Wasteland』のサウンド・トラックに楽曲を提供。DCハードコアの雄、Government Issueのカバー「Time to Escape」が収録され、これが解散前に手掛けた最後の曲となった。

 

Hot Snakes - Time to Escape 2012

 

するとその直後には、なんとRFTCも同年のハロウィン・ライブを最後に解散することが発表される。詳しい経緯までは語られていないが、メンバーそれぞれの事情から、かつてのようにバンドに時間を割けなくなったことが解散の一因であったようだ。

地元サンディエゴのホテル、Westin Horton PlazaのGrand Ballroomで開かれた解散ライブには、遠方からの観客のために宿泊プランも用意され、早々にチケットは完売。Elvis Presleyのオマージュ・シンガーである元The ZerosのEl Vezが司会を務め、仮装姿のメンバーによって盛大に執り行なわれた「葬儀」には、かつてバンドと共に演奏したSuperchunkのJon WursterやNo KnifeのChris Prescottといったゲストも参列。イベントの様子はカメラにも収められ、2006年にはラフ・カット版DVD『RFTC 10-31-05』がSwami Recordsで限定販売される。その後ビデオ制作会社の火災事故により完成が遅れるものの、2008年にはCDとDVDがセットになった完全版ライブ・アルバム『R.I.P.』がVagrantから正式にリリースされた。

 

RFTC - I'm Not Invisible from RIP DVD

 

こうして二つのバンドがほぼ同時になくなったことにより、彼らの多忙すぎる音楽活動に、ついに終止符が打たれたのである。

と思いきや、彼らの音楽的情熱は決して衰えたわけではなかった。二人は再び新たなプロジェクトを始動させるのである。

 

2006〜2007年: ObitsとThe Night Marchersの誕生

Rickは2006年、拠点であるブルックリンで自身がギター・ボーカルを務める新バンド、Obitsを結成する。

タッグを組んだのは、同じくFunny Garbageでグラフィックおよびサウンド・デザイナーとしても働いていたというSohrab Habibion。JawboxとのスプリットやJade Treeからのリリースでも知られるワシントンDCのポスト・ハードコア・バンド、Edselのシンガー兼ギタリストであった彼は、ニューヨークへ移住後、共通の知人を介してRickと出会う。音楽や絵画など共通点の多い二人は自然と仲良くなり、一緒にセッションを行うようになったそうだ。

バンドには同じくDCのカントリー・ロック・バンド、Shortstackの元メンバーで、Rickの友人であったScott Gurskyらが参加。曲作りとリハーサル期間を経て2008年1月にニューヨークのライブハウス、Cake Shopで初ライブを行う。

 

すると、その際に録音されたブート音源がネット上に流出。これを受け、バンド自身もMySpaceへ公式音源をアップしたのがきっかけとなり、関心を示したSub Popとの契約が決定する。

以降、元EdselのGeoff SanoffとGirls Against BoysのEli Janneyをプロデューサーに、2009年には1stアルバム『I Blame You』、2011年には2ndアルバム『Moody, Standard And Poor』をリリース。その後Scottの脱退により、新ドラマーとしてSoulsideおよびGirls Against Boys、さらにはBelliniでも活動するAlexis Fleisigが加入し、2013年には3rdアルバム『Bed & Bugs』と、コンスタントに作品を発表していく。

 

Obits Live on KEXP

 

そして2014年には、MatadorやTouch and Goに作品を残した元Silkworm(およびPavementStephen Malkmusを加えたThe Crust Brothersや後のBottomless Pit)のTim Midyettを伴い、東京および大阪での来日ライブも実現。Rickがカバー・アートを提供しているDiscotortionらと共演し、来日記念CDとしてシングル・コンピ『L.E.G.I.T.』もリリースされた。

ちなみに当時SNSを一切利用していなかった筆者はツアーが終わった数日後まで来日公演に気づかず……(泣)。結局はこれがRickのキャリアにおける唯一の来日となり、とうとう生で彼の歌声を聴くことは叶わなくなってしまいました。

 

翌2015年、バンドは突然の解散を発表。SohrabとベースのGreg Simpsonは新たに、Holy FuckなどでドラムをプレイするMatt Schulzらと共にSAVAKを結成する。しかしRickとの関係も良好なようで、2016年リリースの1stアルバム『Best Of Luck In Future Endeavors』では彼がアートワークを担当。バンドは2024年現在も活動を続けている。

なおObitsは解散から6年後の2021年に、オーストラリアのブリスベンで録音された2012年のライブ音源を『Die At The Zoo』と題してNYのOuter Battery Recordsからリリースする。しかしこれは再結成などを意図した作品ではなく、バンドとしては完全に活動を終えている。

 

一方のJohnはSwami Recordsの運営や地元ラジオ局KBZT(後にストリーミング・サイト、liveoneへ移行)での音楽プログラム『Swami Sound System』のホスト、友人たちと共同でオープンしたBar Pink Elephant(後にBar Pinkと改名)の経営、そしてTigerと名付けられた息子の子育てに専念。彼にしては珍しく、しばらくの間バンド活動から離れている。

しかし2007年、真夜中に行進するハワイの幽霊伝説に因んで名付けられた新バンド、The Night Marchersを結成し、音楽活動を再開させる。メンバーにはドラムにJason、ギターにGarという元Hot Snakesメンバーに加え、カナダからサンディエゴへ移住した元CPC GangbangsのTommy Kitsosがベースで参加。火災で焼失したというDrag Racist Studioに変わり、Johnが新たに立ち上げたCity Of Refugeにてレコーディングを開始する。

そして翌2008年には、1stアルバム『See You in Magic』をVagrantからリリース。Bo DiddleyやThe Byrds、Zombiesなどにもインスパイアされたという、これまで以上にクラシカルな要素を含んだロックンロールを展開している。

 

Night Marchers - Closed for Inventory

 

その後はリリース間隔が空くものの2013年には、よりソリッドになった2ndアルバム『Allez! Allez!』およびMrs MagicianとのスプリットEPをSwamiから発表。2021年には2ndアルバム作成時の未収録曲EP『Wot's Da Use / Dosed』に加え、中古レコード店から寄贈された廃棄レコードのスリーブを再利用し、1枚1枚ジャケットを手作りした2010年録音のライブLP『Live At Bar Pink』をいずれもSwamiからリリースしている。

ちなみに本ライブLPの発表に際してJohnは自身のFacebookに「RIP Night Marchers」と投稿しており、バンドとしてはこれが最後の作品になったようだ。

 

こうして別々の道を歩み出した二人だったが、興味深いのは両バンドの共通点である。ミニマルかつ空間を生かした音響のObits、マッシブかつジャングリーな演奏のNight Marchers。方法こそ異なるものの、いずれもサーフ・ロックやガレージ・パンク、パワー・ポップ、ロカビリーといったお互いのルーツへと回帰するようなサウンドを鳴らしており、彼らがいかに音楽的趣味を共有していたか分かるようになっている。

それゆえに両者が活動を別にするのはもはや不自然なことだったのだろう。またしてもJohnとRickはDown-stroke Warlordsとしてのパートナーシップを復活させるのである。

 

Night Marchers on Dirty Laundry TV

 

2011~2013年: Hot SnakesとRocket From The Cryptの再結成

それぞれがObitsとNight Marchersで活動していた2010年7月29日、地元サンディエゴのThe Casbahにて両バンドの共演が実現。アンコールではJohn、Rick、Jason、GarのHot Snakesオリジナル・ラインナップによる演奏が行われ、1stアルバムから「If Credit's What Matters I'll Take Credit」、「Automatic Midnight」、「No Hands」の3曲が披露される。

 

Hot Snakes 07/29/2010

 

すると翌2011年には、ニューヨークのオルタナティブ・アート・パンク・バンド、Les Savy Favのキュレーションにより、イギリスで開催されるAll Tomorrow's Parties「Nightmare Before Christmas 2011」への出演が決定。ついに正式な再結成が発表されたのである。

ドラムはJasonとMarioがスケジュールによってライブごとに、あるいは曲ごとに担当するダブル・ドラマー体制を採用。イベント出演を目前に控えた11月4日には全メンバーが集結し、Johnの経営するBar Pinkにて復活ライブを当日発表で開催。その後も各地でライブやフェスに出演し、継続的な活動を再開していくのであった。

 

Hot Snakes Reunion 11/04/2011

 

すると同年10月には、なんとRFTCも1日限りの復活を遂げる。Johnが「The Music Swami」というキャラクターに扮してレギュラー出演している子供向けテレビ番組『Yo Gabba Gabba!』に、往年ののメンバーが揃って登場。ドラムにはAtomが参加し、番組のために録音された楽曲「He's a Chef」(作曲は番組の音楽を手掛ける元The Aquabats、BikerideのAdam Deibert)のミュージック・ビデオが放送されたのだ。

 

RFTC - He's a Chef on Yo Gabba Gabba

 

あくまで本来は1曲限りの企画的な再結成であったそうだが、これにより復活への機運が高まり始める。

そして翌2012年12月、RFTCは継続的な活動の再開を正式に発表する。ドラムにはHot Snakesと同様、MarioとAtomがその時々で参加することが決定。翌2013年3月31日、キリストの復活を祝うイースターの夜に、Bar Pinkにて完全シークレットの再結成ライブが開催されたのであった。

 

RFTC - Easter Resurrection 2013

 

それを皮切りにMetallica主催のOrion Music + More Festivalやシカゴで開催されたRiot Fest、テキサスのFun Fun Fun Festなど、世界各地でライブを敢行。ここ日本でもFuji Rock Festival 2013およびJoin Alive 2013に出演し、苗場のWhite Stageでは同年に亡くなったBloodthirsty Butchers吉村氏への追悼も捧げられ、大雨と雷が轟く中ライブが披露された。

また、同年に行われたRFTCのUKツアーではBuzzcocksStatus Quo、Boomtown Ratsといった、各公演都市の出身アーティストをカバーした6枚のEPシリーズ『HITS! The Monkey Islands』を物販限定で販売。それぞれの会場ごとに収録曲が異なるという、もはやコレクターにとっては悪夢のような作品もリリースしている。

 

RFTC - Sturdy Wrist at Metallica's Orion Music + More Festival

 

2014年: Drive Like Jehuの再結成

そして2014年8月、地元サンディエゴに驚きのニュースがもたらされる。なんとDrive Like Jehuが、19年ぶりとなる再集結ライブの開催をアナウンスしたのだ。

会場はサンディエゴのバルボア・パーク内にある世界最大の屋外パイプ・オルガン施設、Spreckels Organ Pavilion。きっかけは同施設の関係者である友人から相談を受けたJohnが、オルガンとDLJのコラボレーションによる無料コンサートを提案したことだった。長らく演奏から離れていたMikeとMarkだったが、何度かの練習ですぐに勘を取り戻したそう。

 

8月31日のライブ当日は数千人もの観客が集まる中、会場の専属オルガニストであるCarol Williamsと共に往年の楽曲を演奏。ラストを飾る「Luau」では、当時の音源どおりゲスト・コーラスを務めたRob Crowも登場し、美しい夕明かりの中、シーンの立役者たちが再会を果たしたのだった。

 

DLJ with Dr. Carol Williams at Balboa Park 08/31/14

 

かつてバンドが自然消滅してしまったことについて、ドラムのMarkはずっと心残りを抱えていたようで、ライブではDLJの曲を披露することもあるHot Snakesに対しては複雑な思いもあったそうだ。そんな彼にとって再結成のステージは人生で最高の夜と言えるもので、ようやく心置きなくバンド活動を終えられるとその心境を語っている。

しかし当初は一度きりの演奏予定だったDLJ再集結の反響は大きく、高額の出演オファーが各地から舞い込むことに。メンバーはこれを受け、翌2015年には北米でのフェスを中心にパフォーマンスを披露することを決断。約20年の時を経て、完全復活を果たしたのである。

 

さらに翌2016年4月にはマンチェスターで3日間にわたって開催されるフェスティバル「All Tomorrow's Parties」のキュレーターおよびヘッドライナーを務めることも決定。バンドの選んだ豪華ラインナップも発表され、RFTCおよびHot Snakesのほか、WireやMission Of Burma、Flamin' Groovies、さらにはMartin RevやJohn Caleといったレジェンドたちも出演することがアナウンスされた。

しかしあろうことか、なんと直前になってATP Festivals自体の経営破綻が発覚。残念なことに開催の数日前に、イベントそのものがキャンセルされてしまうのであった……。

 

バンドはその後も各地でライブを披露していたが、同年8月をもって活動はひと段落。再結成に際しては新曲の制作なども検討されたそうだが、メンバー自身は現在進行形のバンドとまでは感じられなかったようでレコーディングまでは実現せず。結果的にはこれが最後の演奏となり、再び活動を休止している。

Drive Like Jehu - 8/28/2016 - Bunk Bar. Portland, Oregon - YouTube 

 

それでもなおJohnとRickのコンビネーションは健在だった。むしろここへ来て、その動きはさらに活発化していく。

しかしそんな彼らに、突然の別れが訪れるのである。

 

DLJ - Here Come The Rome Plows

 

 

→ JohnとRick 4: PlosivsとSwami And The Bed Of Nails

JohnとRick 2: Rocket From The CryptとDrive Like Jehu ←

 

 

参照:

Interview - ROCKET FROM THE CRYPT - Ausgabe #42 - Ox Fanzine

http://tonybrowndiprima13.blogspot.com

5-10-15-20: Converge's Kurt Ballou | Pitchfork

Swami John Reis | Fun Fun Fun indeed. Thx Austinians for another epic hang. Massive ups to Kurt Ballou @godcitymusic for giving me his guitar. Blown away!... | Instagram

Ben Moore - Production, tracking, & mixing - San Diego | SoundBetter

The Styletones | The Styletones

The Styletones | San Diego Reader

Cult & Culture Podcast Episode - Episode 22 feat Mario Rubalcaba

Conan Neutron’s Protonic Reversal - Ep170: Mario Rubalcaba

Interview with Drummer Mario Rubalcaba - Rum & Tattoo Blog - Sailor Jerry

Hot Snakes: Suicide Invoice Album Review | Pitchfork

No Reconciliation Necessary: Doug McCombs' Favourite LPs | The Quietus

This Mystic Decade | GTA Songs Wiki | Fandom

Rocket From The Crypt blast off again – San Diego Union-Tribune

Break-ups: Rocket From The Crypt (1990-2005) | Punknews.org

Rocket From The Crypt: Speedo's Army - Magnet Magazine

https://obitsurl.com/

#222 - Sohrab Habibion (Edsel, Kids for Cash, Obits, SAVAK) — Washed Up Emo

Shortstack – Free Dirt Records & Service Co.

Wild thing :: The Obits interview

https://www.linkedin.com/in/sohrabhabibion

an end of 2009 interview w/ Sohrab Habibion of Obits

Interview: Rick Froberg of Obits - Spectrum Culture

Record Review: Obits' Moody, Standard and Poor - ALARM

SWAMI SOUND SYSTEM - LiveOne - Music, Podcasts and more

San Diego Reader | Here's the Deal: Bar Pink

Marching, onwards: Speedo on rock 'n' roll past and present / In Depth // Drowned In Sound

John Reis Is Among Familiar Faces With His Latest Project, the Night Marchers – OC Weekly

John Reis starts Speedo with members of Hot Snakes, CPC Gangbangs | Punknews.org

Rocket From the Crypt Push Through Fierce, Top-Secret Reunion Show

Rocket from the Crypt | San Diego Reader

"So einen Sound gibt es doch heute nicht mehr"—Drive Like Jehu im Interview

Drive Like Jehu, an Organ, and the Classiest Reunion Ever

Ep. #217: Do You Compute - The Story of Drive Like Jehu - Kreative Kontrol

Interview - HOT SNAKES - Ausgabe #137 - Ox Fanzine

All Tomorrow's Parties' Drive Like Jehu-Curated Festival Cancelled | Pitchfork

The Strange Return of Drive Like Jehu

Hot Snakes: The return of the ‘down-stroke warlords’ – Chicago Tribune

 

John ReisとRick Froberg、サンディエゴ音楽シーンの足跡 2: Rocket From The CryptとDrive Like Jehu

Footsteps of the San Diego Music Scene 2: 1990-2000


Pitchforkをはじめ、新しいバンドの登場と共に暴力的なハードコア・シーンから抜け出し、独自の音楽的進化を遂げていった80年代後半以降のサンディエゴ。決して大きなコミュニティではないものの地域内の交流は非常に盛んで、お互いがお互いを支え合うような友好的な雰囲気が確立されていったという。その証に多くのミュージシャンが、さまざまなメンバーと複数のバンドを掛け持ちしていることがシーンの大きな特徴にもなっている。

その際たる例と言えるのは、やはりJohn Reisだろう。英語圏おいては多作や多産を意味する「prolific」という言葉で形容されることが常で、その多忙ぶり故、熱心なファンでも関連作品すべてを追うのは困難を極めるほど。これまでに、そして現在においても多くのミュージシャンと、さまざまな名義で大量の作品を残している。

そうした活動の発端は1990年にまで遡る。地元シーンに大きな影響を与えながら解散したPitchforkだったが、当時のJohnはもっと新しい音楽をプレイしたいと思っていたそうで、その意欲が2つのバンドに結実する。

 

1990年7月: Rocket From The Crypt結成

一つは自らSpeedoと名乗ってボーカルを務めるバンド、Rocket From The Crypt。通称RFTC。結成時からのメンバーにはギタリストのND(もしくはNotorious N.D.)ことAndy Stametsと、Sub-SocietyやPG-13といったバンドで活動していたベーシストのPetey XことPete Reichert(現在はLucy’s Fur Coatのメンバーらと共にMidnight Rivalsでも活動)が参加している。

 

RFTC - Kill The Funk from "Yum Kippered"

 

バンド名の由来となったのは、Pere UbuとDead Boysという毛色の異なるバンドに枝分かれしたクリーブランドのプロトパンク・バンド、Rocket From The Tombs。現在では2002年に発掘された音源集『The Day The Earth Met The... Rocket From The Tombs』を入手することができるが、当時は一曲の音源も残されていない知る人ぞ知る幻のバンド扱いだったそう。その存在をファンジンで知ったJohnは、自らのバンド名に転用することを思い付く。

このエピソードが象徴するように、RFTCの活動にはRamonesやSaintsといったハードコア以前のパンクやガレージ・ロックに対する深いリスペクトが込められている。その中に幼少期から慣れ親しんだジャクソン5やソウル・ミュージック、さらにはコミック・ブックのエンターテイメント性をもごちゃ混ぜにして、オルタナティブでありながら誰もが楽しむことのできる独自のロックンロールを作り上げていくのである。

それはパンクを自身のアイデンティティとしていた彼にとって、暴力的で閉鎖的なハードコア・シーンと決別するためのアンチテーゼでもあった。

 

元々はステージのない場所でも演奏できるパーティー・バンドとしてスタートしたRFTCだったが、その活動はすぐに拡大。結成翌年の1991年には、Rickもコーラスでゲスト参加した1stアルバム『Paint As A Fragrance』で音源デビューを飾る。

ちなみにリリース元のHeadhunter Recordsは、Nemesis RecordsのディストリビューターでもあったカナダのCargo Recordがサンディエゴで新たに立ち上げたレーベル。Johnも電話番など、雑務のアルバイトをしていたそうで、以降シーンのバンドを続々とリリースしていく。

 

その後、初期メンバーだったSeanとElainaが移住により脱退するも、新ドラマーとしてCrankshaftというバンドで演奏していた当時まだ16歳のAtomことAdam Willardが加入。さらには地元レーベルのGravityを主宰するHeroinメンバーらが在籍したユーモラスなハードコア・バンド、Riceなどに参加していたサックス奏者のApollo 9ことPaul O'Beirneも加わり、ホーン・セクションを擁するバンドのひな型が完成する。

 

RFTC - Glazed from "Rocket Pack"

 

そして1992年には、ロサンゼルス暴動の真っ最中にハリウッドのWestbeach Recordersスタジオに閉じこもって録音されたという名作2ndアルバム『Circa: Now!』をリリース。パンクとソウルとオルタナティブ・ロックが融合した独自のサウンドで注目を集めると、以降、Long Gone John率いるSympathy For The Record IndustryやシアトルのSub Pop Records、同時期にJohnが3rdアルバム『On The Mouth』のプロデュースを手掛けたSuperchunkのMerge Recordsなど、さまざまレーベルからバラエティに富んだ楽曲を次々と発表していく。

特に7インチ・シングルに関しては、録音から2~3週間足らずでリリース可能という即時性を理由に、異様とも言えるペースで作品を乱発。限定版やバージョン違いなども多くコンプリートは不可能に近しい。そのため一つ一つを紹介することは避けるが、詳細を知りたい方はバンドの公式サイトおよび海外の熱心なコレクターによるディスコグラフィーをご参照いただきたい。

RFTC : Discography

Rocket from the Crypt Discography - Pette Discographies: A Record Collector's Guide

 

中でも日本とも親交のあるPusheadのレーベル、Pusmortとのつながりがきっかけとなり、1993年には大阪のレコード店Time Bomb Recordsの招聘で来日ツアーが実現する。これがバンドにとって初のアメリカ国外ライブとなった。

来日時には記念盤として、Pusheadがジャケットを手掛けたアルバム未収録コンピ『All Systems Go!』(後に楽曲を追加して再編集したUS盤『All Systems Go』もSympathy For The Record Industryから発売)がToy’s Factoryから発売され、翌年には日本で共演したBloodthirsty Butchersとのスプリット盤がPusmortの姉妹レーベル、Bacteria Sourからリリースされている。

 

RFTC Live In Tokyo 1993

 

ちなみに当時の来日公演には、Rickと同じく2023年に亡くなったG.I.S.M.の横山SAKEVI氏も来ていたそうで、カナダのハードコア・バンド、Fucked UpのボーカリストであるDamian AbrahamによるPodcast『Turned Out A Punk』において、Johnの口から当時の思い出が語られている。

https://podtail.com/podcast/turned-out-a-punk/episode-159-john-speedo-reis-pitchfork-drive-like-/

 

1990年8月: Drive Like Jehu結成

しかしJohnの音楽に対する情熱は一つのバンドに収まるものではなかった。再びRickとコンビを組んだ新バンド、Drive Like Jehuを同時にスタートさせたのだ。

 

リズム隊を務めるベーシストのMike KennedyとドラマーのMark Trombinoは、カリスマティックな女性ボーカリスト、Rosebud率いるNight Soil Manの元メンバー。Johnいわく当時のサンディエゴにおけるベスト・ライブ・バンドで、地元のVinyl Communicationsから作品をリリースしていたが、Pitchforkと時を同じくして解散。重たくグルービーなリズム・セクションに特に魅力を感じていたJohnは、当時一緒に住んでいたMikeを誘いRickと共にセッションを開始する。

当初ドラムにはRage Against The Machine結成前のZack de La Rochaが在籍したInside Outや、Nirvana加入前のDave Grohlも在籍した元ScreamメンバーらによるWoolといったバンドで演奏していたChris Brattonが参加していた。しかし程なくして、Mikeから新バンドの話を聞き、加入を熱望していたというMarkと交代することに。これにより、いわば当時のサンディエゴ・アンダーグラウンド・シーンにおけるスーパースター・バンドが誕生したのだった。

 

Night Soil Man and Pull Toys

 

ちなみにバンド名のJehuとは旧約聖書に収められた『列王記』に登場する北イスラエルの王、エヒウのこと。「ジーヒュー」や「イェーフー」など、英語圏でも発音が別れるようだが、本人たちは「ジェイフー」と発音。獰猛な戦車隊を率いたという逸話から「乱暴な運転」を意味する古い慣用句になっており、そこから採られたバンド名が示す通り、そのサウンドは猛烈な勢いと異様な切迫感に満ち溢れている。

結成に際しては特に方向性を決めたわけではないものの、RickはJohnと「90年代の新しい音楽を作りたい」と話したのを覚えているそうだ。

 

DLJ - 1990 Demo Tape

 

まずPitchforkとの大きな違いとしては、ボーカルのRickもギターを持ったことが挙げられる。Rickは過去にもギターとアンプ(FenderのPre-CBS JaguarとTwin Reverb)を所持していたものの、Pitchfork加入時にボーカルのPA機材を購入するため売り払っており、当時は初心者に近しい状況だった模様。そんな彼が再びギターを持ったきっかけには、従来のテクニックに捉われないSonic Youthの演奏、特にLydia Lunchをフィーチャーした「Death Valley ’69」のような印象的でありながらシンプルなリフが彼にギターを弾く勇気を与えたそうだ。

Johnの強烈なプレイと比較してか、Rickは自らをギタリストとしてはあまり評価してなかったようだが、不協和音を見事に操り、カオティックでありながら同時にメロディアスでもある特徴的なギターの掛け合いが完成。また、「叫ばないと自分の声が聞こえないから」という理由でボーカルのテンションも一段とアップ。パンク・ボーカリストとしての魅力も炸裂している。


一方のJohnもツイン・ギターになったことで、リフ・メイカーとしての才能をますます開花させる。JohnとMikeはメンバー共通のフェイバリットにヴァージニアのハードコア・パンク・バンド、Honor Roleを挙げており、特にJohnはギタリストであるPen Rollingsの独創的なギター・スタイルに多大な影響を受けている。彼に倣いDLJでは、まるで声のように感情をギターで表現できるよう、それまで以上に意識するようになった語っている。

また、ドラムのMarkは、結成時にJohnが借してくれたBastroとSlintというSquirrel Baitから派生した2つのバンドのレコードが自身のプレイを方向付けたと述懐。その影響から、より複雑なリズムを追い求めるようになっていく。

Album | Honor Role - bandcamp

 

こうして生まれたオルタナティブなアンサンブルは、まさしく「90年代の新しい音楽」と呼ぶにふさわしいものであった。

ヘビーなリズム隊の上で暴れ回る、カオティックなツインギターとハイテンションなボーカル。ノイジーかつディスコーダントなリフに次ぐリフで、強引かつ理知的に押し進められるプログレッシブな曲展開。無軌道でありながら高度に計算されたようなエネルギーの爆発は今なお新鮮で、本人たちは否定的であるものの、後のマス・ロックやエモーショナル・ハードコアなどのルーツとしても語られる作品を生み出していく。

 

DLJ - If It Kills You

 

かくしてポストハードコアをさらに推し進めるDLJと、パンク・ロックのルーツを探求するRFTC。まるでパンクがどこから来て、どこへ行くのかを体現するかのように、2つのバンドが同時にスタートしたのである。

彼らが与えたシーンへの絶大なものであった。同郷のストレート・エッジ系バンドであるUnbroken(および後のKill Holiday)メンバーは両バンドからの影響を挙げ、特にJehuの雰囲気は、サンディエゴ全体に共通するものとしている。

 

しかしリリースを連発するRFTCとは対照的に、DLJが残した音源は2枚のアルバムと1枚のEP、1曲のコンピレーション参加のみに限られる。

初の音源は1991年にHeadhunter/Cargoからリリースされた1stアルバム『Drive Like Jehu』。RFTCの1stおよび2ndアルバムも手掛けたWestbeach RecordersのDonnell Cameronが録音を担当した本作では、ハードコア・パンクの勢いとノイズ・ロックのジャンクな質感が融合したような血湧き肉躍るサウンドが炸裂。オープニングを飾る「Caress」は後にオルタナティヴ・メタルのDeftonesがカバーするなど、デビュー作にしてジャンルを超越する先進的な楽曲が収録されている。

 

DLJ - Golden Brown/Bullet Train To Vegas

 

翌1992年には、傑作と名高いEP『"Bullet Train To Vegas" b/w "Hand Over Fist"』をMergeからリリース。カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)で音響を独自に学んでいたMarkが録音を担当し、校内のスタジオでレコーディングがなされている。

また、同年には地元バンドによるHeadhunter/Cargoのコンピレーション『Head Start To Purgatory』もリリース。Johnが監修、Rickがアート・デザイン、Markがマスタリングを手掛け、Crash WorshipやFishwife、Olivelawn、Crankshaft、411らに加え、RFTCと共にDLJのオリジナル楽曲も収録している

 

DLJ - Sinews

 

1992年: グランジ・ブームの到来とメジャー契約

折しも92年といえば、Sonic Youthがビデオの題名にした「パンクがブレイクした年(The Year Punk Broke)」の直後。つまりNirvanaの大ブレイクによって、ネクスト・シアトルを探すメジャー・レーベルがアメリカ中のローカルなインディー・バンドと次々契約していた時だった。サンディエゴにも多くのレコード会社が触手を伸ばし、後にThe Black Heart ProcessionとPinbackに分岐するThree Mile PilotやFishwifeメンバーによるTanner、元Sub SocietyメンバーらによるInch、韓国系アメリカ人であるJohn Lee率いるaMiniature(同じくアジア系アメリカ人を擁するSeamやVersusらともコンピやツアーで共演)など多くのバンドとサインを交わしている。

こうした当時の状況については、大手資本による商業化というネガティブな視点で語られることも少なくない。実際にサンディエゴでも、LAからやってきてシーンとは無関係だったStone Temple Pilotsが、まるで地域を代表するバンドのように扱われてしまうという現象が起きている。しかしJohn自身はそうしたハイプとも言えるインディーズ・ブームも楽しんでいたようで、「友達がレコード会社の予算で好きなようにアルバムを作ったり、一攫千金のチャンスを得たりするのを見るのは決して悪い事ではなかった」とポジティブに振り返っている。

 

当然シーンの筆頭であったDLJとRFTCにもアメリカ中のメジャー・レーベルから話が舞い込む。Headhunter/Cargoのサポートに不満も感じ始めていたメンバーは、多くのレーベルと話した結果、最終的にLAに拠点を置くInterscope Recordsと契約を結ぶ。

同レーベルのA&Rを担当したAnna StatmanはLAのガレージ・パンク・バンド 、The Gun Clubでベーシストを務めたこともある女性で、DLJの1stアルバムを聴いたのがきっかけでメンバーと接触。バンドに一番初めに興味を示した人物であり、最も自由な活動を認めてくれたそうだ。

 

RFTC in San Diego

 

翌1993年、Interscopeはメジャー第一弾リリースとしてRFTCの『Circa: Now!』を再発する。収録曲の中からは、地元のCasbahで撮影された「Sturdy Wrist」およびSpike Jonzeによる「Ditch Digger」のミュージック・ビデオも作成され、その知名度を向上させていく。

ちなみに再発に当たっては、ボーナス・トラックとして新曲4曲が追加される予定だったそう。しかしミキシング中にドラム・トラックの録音テープが破損したことにより、お蔵入りとなっている。なお、これらの楽曲はSwami Recordsによる2004年の再リイシュー盤『Circa: Now! +4』にて聴くことが可能。ドラムのみを新たに録り直したことで、11年の時を経て日の目を浴びることとなった。

 

そして1994年には新メンバーとして、トランペッターのJC2000ことJason Craneが加入。Apollo 9と共にGhetto Scheistというバンドの作品に参加していたマルチ奏者で、後にはThree Mile PilotやStruggle、Antioch ArrowのメンバーとA Day Called Zeroというサイド・ユニットも結成。現在はMokotoという地元のアフリカン・バンドでドラムをプレイするなど幅広く活動している。

新たに6人目のメンバーが加入したことにより、広く知られる往年のラインナップが完成。ホーン・アレンジも存在感を増し、バンドとしての動きをますます活発化させていく。

 

一方、しばらくリリースのなかったDLJも2ndアルバムの制作に着手。そして契約から2年が経った1994年、バンドの代表作にして最後の作品となる2ndアルバム『Yank Crime』が発表される。

今まで以上にヘビーでカオティックなサウンド、そして変則的なフレーズを反復させながら大きな変化を生み出していく長尺かつプログレッシブな楽曲の数々。本作での音楽的な変化についてMikeはバンドとしての自然な成長だったと語り、Johnは当時よく聴いていたNue!をはじめとしたドイツのジャーマン・エクスペリメンタル・ミュージックからの影響を口にしている。また、Donnell Cameronと共に録音およびミキシングも担当したMarkは、人生を変えた1枚としてSlintの2ndアルバム『Spiderland』を挙げ、プレイの面でもプロダクションの面でも大きな衝撃を受けたと明言。長尺な曲展開が増えたのは、その影響によるところが大きいと語っている。

こうして生み出されたポストハードコアの金字塔とも言える本作。およそメジャー・バンドらしからぬ非商業的な内容となっているが、Interscopeは制作に一切口を挟むことなく、メンバーは自分たちの理想を100%突き詰めることができたそうだ。

 

DLJ - Super Unison

 

しかし一方で、複雑化・長尺化した楽曲構成はバンドの曲作りを困難なものにもしていった。事実として本作の曲作りとレコーディングには、Rickが5分で描き上げたという印象的なカバー・イラストとは対照的に、非常に長い時間がかかっているそう。

バンドでは完成に至らなかったアイデアも多かったようで、Johnは同年、両バンド活動の合間を縫って、それらのアイデアを下敷きにしたソロ・ユニットのレコーディングも行っている。オルガンやキーボードを取り入れたインストゥルメンタル主体のプロジェクトで、ゲストにはRFTCのJC2000とApollo 9も参加。録音後は長らく未発表となっていたが、後に『Back Off Cupids』名義の作品としてまとめられ、同名のアルバムがサンフランシスコのDrunken Fish Recordsより2000年にリリースされた。

 

また、AC/DCをフェイバリットとするロックンロール少年でもあったRickにとって、DLJは演奏するには楽しいものの一曲一曲が長すぎるという印象もあった模様。Markは結果として、これらの要因が後の活動の足枷になってしまったのではないかと推測している。

 

DLJ - Do You Compute

 

1995年: Drive Like Jehuの活動停止とRocket From The Cryptのブレイク

こうしたDLJの活動は、7インチを用いてアイデアを即座に形にしながら、メジャーでの知名度も上げつつあったRFTCの活動とは対照的であった。その結果、彼らは『Yank Crime』発売後のリリース・ツアーでアメリカ国内やイギリスを周ったのを最後に活動を停止してしまう。

今でこそ伝説的に語られるDLJだが当時はメディアに出るような機会もほとんどなく、唯一RFTCで露出のあったJohnもインタビューでは話を盛大にでっち上げて煙に巻くのが常であったため、彼らの活動の大部分は長年の間、謎に包まれていた。しかしメンバーによれば当時は決して人気のあるバンドとは思えなかったそうで、Johnは最後のツアーの内容を必ずしもハッピーなものではなかったと振り返っている。活動停止前のバンド内には複雑な空気が流れていたようで、音楽漬けの生活を望んでいたJohnと他のメンバーとの間には活動方針をめぐる温度差もあったそうだ。

 

とはいえDLJは正式には解散を発表したわけではなかった。サンディエゴ・シーンのドキュメンタリー『It's Gonna Blow!!!』には、バンドが未発表曲(おそらく「Clock Boy, Clock Man, Clock You」という楽曲)を演奏しているライブ映像も収められており、さらなる新作の可能性もあったことがうかがえる。また、Markも95年に受けた『Boombox MAG』誌による当時の稀少なインタビューでは、1年半後を目処にDLJの活動を再開する予定と答えている。

しかし残念ながら、その予定が果たされることはなかった。明確な活動停止理由があったわけではないそうだが、最大の要因と言えるのはJohnのスケジュールであった。彼のもう一つのバンド、RFTCが多忙を極めたことにより、DLJは自然消滅的に活動を終えてしまうのである。

 

DLJ 1992 - Clock Boy, Clock Man, Clock You

 

何しろJohnは、恐ろしいまでの厳しい猛練習でも知られるJames BrownBlack Flagに影響を受けたこともあり、なんとRFTCでは1日6時間以上のリハーサルを週に5日も6日も繰り返していたのだ。そしてその練習成果は、大量の作品リリースにつながっている。

特に1995年は豊作で、三部作と称した作品を異なるレーベルから立て続けに発表。バンドの活動は大きく飛躍することになる。

 

まずはガレージ・サウンドが炸裂する10インチ・レコードのミニ・アルバム『The State Of Art Is On Fire』をSympathy For The Record Industryよりリリース。「自分にガソリンをかけて点火」(Light Me)や「放火の授業で最優秀評価」(A+ In Arson Class)など、『芸術の国は燃えている』というアルバム名どおりの熱い楽曲が並んでいる。

翌年にはCDフォーマットでも発売され、ボーナス・トラックには同レーベルから5インチ・レコードで発表されたMusic Machineのカバー・シングル『Rocket From The Crypt Plays The Music Machine』の2曲が追加された。

 

続く3rdアルバム『Hot Charity』はバンドの自主レーベル、Perfect Soundからのリリース。なお、この作品はメジャー・レーベルの用意したプロ用のスタジオで録音とミックスがなされたものの、メンバーの満足が得られず全編丸ごと録り直しが行われている。

その結果レコーディング費用が底をつき、安価なスタジオでミキシングを行ったところ完成直後にそのスタジオが倒産。マスター・テープが銀行に差し押さえられてしまうという難産エピソードが残されている。

 

そしてメジャーのInterscopeからは、バンドの代表作となる4thアルバム『Scream, Dracula, Scream!』がリリースされる。バンドのファンを公言するMetallicaのJames Hetfieldも「最もソリッドなレコードの一つ」と発言する本作で、バンドは一気にメインストリームへと駆け上がることとなる。レコーディングはDLJのMarkとDonnell Cameronが担当し、ミキシングにはNirvanaの『Nevermind』を手掛けたAndy Wallaceも参加。アレンジにはストリングスやJohnの父であるJohn Reis, Sr.によるアコーディオンなども取り入れられ、今まで以上に豪華に仕上げられたメジャー感溢れるクリアで分厚いサウンドは多くの称賛を獲得する。

中でも3枚組のボックスCDとしてシングル・カットされた「On A Rope」は、アメリカ国内のみならずイギリスやヨーロッパでもヒットを記録。また、後の2006年にはオープニングを飾る「Middle」がマイアミ・ソウルの名プロデューサーにして下ネタ・パロディ覆面シンガーとして知られるBlowflyに「Fucked With A Dildo」としてカバーされるなど、ローカル・バンドの域を超えた世界的な評価を得ることに成功する。

 

RFTC - On a Rope on TFI Friday

 

また、この頃には揃いの衣装にドレスアップしてライブを行うようになり、そのエンターテイメント性にも磨きをかけていく。高校ではパフォーミング・アートを学んでいたというJohn。あくまで本人は自身の本分をギタリストとしているものの、ステージではボーカリストとしてのショーマン・シップも存分に発揮。スケート雑誌『Thrasher Magazine』には「太陽系で一番のライブ・バンド(The Best Live Band In The Solara System)」と評されるなど、人気を確かなものとする。

さらにはメジャーの資金を使った無料ツアーの実施や、バンドのタトゥーを入れたファン(通称Speedo's Army)は入場無料、ライブ・スタッフが謎のダンサーとして(正体はRiceやBeehive & The Barracudasのメンバーで、オリンピアのアート・ロック・バンド、Unwoundの作品にも参加したDustin "Dirty" Milsap)ステージに参加するといった独自の活動姿勢も話題に。SoundgardenRancidといったバンドのツアー・サポート、さらにはJames BrownやSun Raといったジャンルを超えた大物とも共演するなどライブ自体も大規模化していく。

RFTC 09/29/95 free show - YouTube

 

こうした異様ともいえるスケジュールの犠牲となったのが、DLJの活動だったのである。

Mikeはその後、Corrugatedというノイズ・ロックの金属的な質感を持ったバンドを結成。2001年には地元のレーベル、Flapping Jet Recordsより『The Future Of Crime』をリリースしているが、最終的には化学者として研究の道に進み、音楽活動から離れている。

 

Markは同郷のエモーショナルなオルタナティブ・ロック・バンド、aMiniatureに参加。95年のアルバム『Murk Time Cruiser』でドラムを叩いているが、その後はスタジオ・ワークの経験を生かし、エンジニアおよびプロデューサーとしての道を歩む。

CreedleやBoilermaker、Drip Tank、Radio Wendy、さらには大ヒットしたBlink-182を含む地元サンディエゴ周辺のバンドたちのほか、DLJとRFTCをフェイバリット・ギター・バンドの1位と2位に挙げるアリゾナ出身のJimmy Eat World、同様にRFTCをSwervedriverDinosaur Jrと並ぶ結成時の影響源に挙げるテキサス出身のMineralといったエモ系バンドの作品を数多くプロデュース。ここ日本においてもHusking Beeのアルバム・プロデュースを手掛けている。

 

aMiniature - Bored Spy

 

ちなみに現在はLAに移住しており、経営者として植物由来のビーガン・ドーナッツ・ショップ「Donut Friend」を2013年にオープン。Drive Like JellyやChocolate From The Cryptなど、さまざまなパンク・バンドの名前にちなんだメニューで人気を博し、2020年からは姉妹店であるビーガン・アイスクリーム・ショップ「Creamo」のオーナーも務めている。

Home - Donut Friend

 

そしてRickはメインとなるバンドこそ持たないものの、いくつかの作品にゲストとして登場している。DLJの活動が休止した1995年には、MinutemenのMike Wattによるプロジェクト、West Coast Modern Day Punk Rock Orchestraに参加。現WilcoのNels Clineと共にギターを担当し、元FishwifeおよびTannerのGar Woodによってサンディエゴで録音されたアルバム『Correspondence』をリリースしている。

 

その後1997年には、DLJの楽曲「Luau」でコーラスも担当した元Heavy VegetableのRob Crowを中心としたバンド、Thingyのアルバムに客演。Headhunter/Cargoからの『Songs About Angels, Evil, And Running Around On Fire』収録の「Sk5」でゲスト・ボーカルを務めている。

 

また1999年には、MonorchidやUniversal Order of ArmageddonおよびBorn Againstのメンバーらが結成したワシントンDCのバンド、Skull KontrolがTouch & Goからリリースしたアルバム『Deviate Beyond All Means Of Capture』にも参加。バックアップ・ボーカルとして、その名がクレジットされている。

 

さらにポートランドストーナー系バンド、Red Fangの前身とも言えるLast Of The Juanitasにはゲスト・ギタリストとしてツアーにも同行。1999年にFlapping Jetからリリースされたアルバム『Brangus』収録の3曲(「Thaumaturgical Moose」「Anglanarows」「Electric Beer Can」)で、彼の演奏を聴くことができる。

 

しかし1998年には、当時のパートナーが住んでいたというニューヨークのブルックリンへ拠点を移し、サンディエゴから離れること決断する。移住後は自身も影響を受けたアーティストであるGary Panterのデザイン会社、Funny Garbageで働き、ニューヨーク・タイムズにもイラストを提供するなど、イラストレーター、グラフィック・デザイナーとしてのキャリアを築いていく。

もちろんデザイン方面でも、多くの音楽作品に関わっている。RFTCメンバーも参加するBeehive & The BarracudasなどのSwami Records関連のほか、Three Mile PilotおよびThe Black Heart ProcessionのPall JenkinsらによるMr. Tube And The Flying Objects、The PeecheesのメンバーによるLove Or Perish、そしてInchといったサンディエゴの友人たち。またルイヴィルのハードコア・バンドであるColiseumやニューヨークのソウル・バンド、The Jay Vons。さらにはイギリスの女性シンガーであるGemma Rayやオーストラリアのオルタナ系バンド、Violent Soho。そしてサンディエゴ・シーンとの関わりも深い日本のDiscotortionなどなど、世界各地のさまざまなミュージシャンのアートワークを手掛けている。

 

1999年: RFTCのメジャー契約解除とSwami Recordsの発足

一方JohnはRFTCで世界中を回りながら、精力的に音楽活動に取り組む。1998年にはJC2000と共にインスト・ユニット、Stacatto Readsに参加し、シンセを担当。RFTCのローディーを務めるDustin Milsapおよび彼と同じく元RiceでPysicisやThingyのメンバーでもあるJason Soaresと共に音源を作成。セルフ・タイトルのEPをHeroinによるGravityからリリースしている。

そしてRFTCも同年、ツアーをしながら書きためた曲を基に、ニューヨークにて録音されたソウルフルな5thアルバム『RFTC』をInterscopeからリリースする。プロデューサーにはAerosmithThe Black CrowesDream Theaterなどの作品で知られるKevin Shirleyを迎え、カバー・イラストとアート・ディレクションはRickが担当。Rolling StonesやRy Cooderの作品などでも知られるJim DickinsonやThee HeadcoateesのHolly Golightlyらもゲスト参加したパーティー感溢れる作品となった。

リリースに際してはFoo Fightersとのツアーなども敢行。しかしかつてのローカル・インディーズ・ブームも落ち着いたことから、前作を超えるような大ヒットには至らず。契約当初のスタッフが去ったInterscopeとの関係には軋轢が生じており、大企業のやり方に嫌気の差したバンドは契約の解除を決意。8ヶ月に及ぶ交渉の末、翌1999年にはレーベルを出ることとなる。

 

RFTC MTV 1998

 

そうした中、Johnは自ら立ち上げたレーベルSwami Recordsの運営を開始。以降、自身のバンドはもちろん、Beehive & The BarracudasやMrs Magicianといったサンディエゴのバンドのほか、サンフランシスコのThe HusbandsやテキサスのThe Marked Men、LAのThe Bronx、Matadorからの作品でも知られるデトロイトのThe Demolition Doll Rods、さらにはモントリオールのCPC Gangbangsといったバンドの作品をリリースしていく。

また同レーベルでは、サンフランシスコの伝説的パンク・バンドにして『Scream, Dracula, Scream』のフォントの元ネタでもあるCrimeや、ニューヨーク・パンク・シーンの裏番長と呼ばれたSonny Vincent率いるTestors、シラキュースが生んだカルト・パンク・バンドとして知られるThe Penetratorsなど、70年代に活躍したレジェンドたちのリイシューも手掛けている。

 

そんなSwamiの第一弾作品として1999年にリリースされたのが、RFTCのコンピレーション・アルバム『All Systems Go 2』だった。アルバム未収録曲を25曲も詰め込みながらも当時は輸入盤が1,000円程度で販売されており、バンドの幅広い音楽性を気軽に楽しめる内容になっている。

また、同年にはジャケット・スリーブと一体化したレコード・ラベルを購入者自ら切り離して聴かなければならない12インチ・シングル、その名も『Cut Carefully And Play Loud』(後にSwamiから『Hot Charity』との2 in 1でCD化)をFlapping Jetからリリース。さらにはパンク系カスタム・カー雑誌『Gearhead Magazine』の付録として、スウェーデンのR&Rバンド、The Hellacoptersとのスプリット7インチ。そしてオハイオのGlazed Recordsからは、2曲入りEP『Dancing Birds』をリリースするなど、新作も立て続けに発表している。

ここ日本においても初の苗場開催となったFuji Rock Festival ’99に参加。グリーン・ステージ最初の出演者(ちなみに裏のホワイト・ステージ最初の出演者は電撃ネットワーク)を務めるなど、メジャー離脱後も精力的に活動を続ける。しかしツアー漬けの生活は体力面のみならず経済的にも苦しい面があったようで、最終的には方向性の違いが浮き彫りとなり、2000年の初めには長年のドラマーであったAtomことAdam Willardが脱退することになってしまう。

 

RFTC in Fuji Rock Festival ’99

 

以降、彼はAtom Willardと名義を改め、プロ・ドラマーとしての道を歩む。2001年には、たまたまホットロッド好き同士で意気投合したWeezerのPatrick Wilsonによるユニット、The Special Goodnessに加入。Weezerの3rdアルバム(通称Green Album)および4thアルバム『Maladroit』においては、ドラム・テクニシャン(クレジット表記はDrum God、Drum Bum)も務めている。その後もThe Offspringへの加入をはじめ、Blink-182のメンバーとのAngels & AirwavesやSocial Distortion、Danko Jones、Against Me!、Worriers、The Bronxなどなど、数々のバンドでドラムを叩いている。

ちなみにOffspring時代の2004年には日本のテレビ番組『ミュージックステーション』にも出演。メンバーの一員として生演奏を披露したのはもちろん、B’z稲葉浩志大塚愛らが見守る中、タモリと横並びでトーク・コーナーにも出演している。

 

一方RFTCはその穴を埋めるため、FishwifeやTanner、No Knifeのドラマーであり、『RFTC』のツアーにもパーカッション兼キーボードで帯同したChris Prescottらとのセッションを開始する。当時作成されたデモ音源の一部は、その後2008年にリリースされた未発表曲コンピ『All Systems Go 3』で聴くことが可能。しかしパワフルなドラマー、Atomを失ったダメージは大きく、正式な新ドラマーを探すため、バンドとしての表立った活動は制限されてしまう。

90年代が終わると共に、先行きの見えない状況下に置かれたRFTC。しかし結果として、これがJohnとRickのタッグを再び復活させることにつながるのであった。

 

RFTC 1998

 

 

→ JohnとRick 3:SultansとHot Snakes、ObitsとNight Marchers

JohnとRick 1:Pitchfork ←

 

 

参照:

Rocket From The Crypt - Interview

Punk's Drum Machine: The Chronicles of Atom Willard - SPIN

163: Atom Willard (Against Me!, Rocket from the Crypt, Angels and Airwaves, The Offspring) » The Trap Set » with Joe Wong

#216 Atom Willard (Rocket From The Crypt/Angels & Airwaves/The Offspring/Against Me!) - Life In The Stocks | Acast

The power of Rice - Punk USA : The rise and downfall of Lookout Records

I Buy Way Too Many Records Dot Com: rocket from the crypt

PPP #19: Rick Froberg from Hot Snakes / Drive Like Jehu / Obits

Interview: Steven Andrew Miller (Unbroken, Julia, Kill Holiday, Crushed on You, Distant Beds) | No Echo

Various - Head Start To Purgatory | Releases | Discogs

Crank It or Spank It: The Many Moods of the San Diego Slasher, Hot Snakes’ Swami John Reisenigk - Riot Fest

Interviews -John "Speedo" Reis-

Ep. #217: Do You Compute - The Story of Drive Like Jehu - Kreative Kontrol

Boombox MAG Interview with Mark Trombino

METALLICA: James Hetfield on Metal and Muscle Cars

Unwound — There's No Energy – Numero Group

Unwound — Experiments in Chemistry – Numero Group

Too Much Spunk, Even for Punk? - Los Angeles Times

The 13 best guitarists according to Jimmy Eat World's Jim Adkins | Louder

https://www.reddit.com/r/IAmA/comments/2686ne/comment/chokss2/

Drive Like Jehu’s Mark Trombino

Ep. 92 - Mark Trombino (Donut Friend, Producer, Musician) — Washed Up Emo

west coast modern day punk rock orchestra

http://pinback.s9.xrea.com/related/thingy.html

Wäntage USA

Rick Froberg | Discogs

Rocket From the Crypt Tour Dates - Lyrics On Demand

Atom Willard recovering from surgery after motorcycle crash

https://x.com/momomohumcz/status/1254037190134214657

 

John ReisとRick Froberg、サンディエゴ音楽シーンの足跡 1: Pitchfork

Footsteps of the San Diego Music Scene 1: 1984-1990

 

Pitchfork、Drive Like Jehu、Obits、そしてHot Snakes。ロックやパンクのリスナーでありながら彼らの音楽を聴いたことがないとしたら、これほどもったいないことはありません。
それと同時に、これほど幸運なこともないと言えるでしょう。血の沸くような理屈を超えたロックンロールの熱と、知性を鋭く尖らせたようなパンク・ロックのクールさ。その魅力を凝縮した最高の音楽と新たに出会うことができるのだから。

しかし、これ以上ない不幸も味わなければなりません。彼らのライブを生で体験するチャンスは、もはや永久に失われてしまったからです。

 

2023年6月30日、上記のバンドでシンガーを務めたミュージシャンであり、イラストレーターやグラフィック・デザイナーとしても知られるアーティスト、Rick Frobergが55歳の若さでこの世を去りました。40年来の親友であり、いくつものバンドで活動を共にしてきたギタリスト、John Reisが自身のインスタグラムで彼の死を報告したのです。

死因は未診断だったという心臓疾患。Rick本人も死の直前までInstagramを積極的に更新しており、その知らせは突然の出来事でした。最後の投稿となったのは死の2週間前、6月15日のポスト。そこにはHot Snakesのメンバー写真と共に、新作のレコーディングがもうすぐ完了すると綴られていました。

 

JohnとRick。二人はカリフォルニア州の西南端に位置し、メキシコとの国境を有する街、サンディエゴにおけるアンダーグラウンドな音楽シーンの火付け役でもあります。彼らが活動を開始した80年代後半から90年代前半と言えば、アメリカ各地でローカルな音楽シーンが次々と花開いていった時代。ワシントンDC、ミネアポリス、ルイヴィル、シカゴ、そしてシアトル……音楽に詳しい人であれば、地名を聞いただけでもバンド名やレーベル名が浮かんでくるはず。

サンディエゴも他の地域と同様に、いや、それ以上にユニークなバンドを多数輩出しています。Pinback、The Black Heart Procession、Three Mile Pilot、Earthless、Clikatat Ikatowi、The LocustThe Album Leaf、Tristeza、Amenity、Unbroken、Antioch Arrow、Heroin、No Knife、The Dragons、Trumans Water、そしてRocket From The Crypt……挙げればキリがありません。


当時のサンディエゴの音楽シーンについては、地元のクリエイター、Bill Perrine氏によって2014年に公開されたドキュメンタリー映画『It's Gonna Blow!!! San Diego's Music Underground 1986-1996』、および地元紙『San Diego Reader』に掲載されたDaniel Ridge氏による2002年の記事に詳しく描かれています。

そしてRickとJohnの歩みについてはカナダ人ジャーナリスト、Vish Khanna氏のPod Cast番組『Kreative Kontrol』が2015年に配信したエピソード「Ep. #217: Do You Compute – The Story of Drive Like Jehu」などで詳細を知ることが可能です。

 

しかし当然のことながら邦訳版があるわけもなく、ここ日本において彼らの歴史が詳しく紹介されることは(というか海外のインディー・バンド全般に言えることですが)、ほとんどないように思います。そこで僭越ながら怠慢な音楽雑誌や批評家に代わり、関係者の出演する映像やインタビュー記事、Podcastなどをできる限り参照し、彼らのこれまでの活動をまとめてみることにしました。

結果として、これ以上はない詳細なバイオグラフィーができ上がったと自負しています。二人が残した40年間の足跡について、全4回に分けてご紹介いたします。どうぞ最後までお楽しみください。

 

It's Gonna Blow!!! - Production Teaser

 

1984 - 1986年: Coitus Interruptus / Conservative ItchとCrash Worship

海辺のリゾート地であり、海軍の街でもあるサンディエゴ。メンバーが次々と不審な死を遂げたことから「呪われたバンド」とも呼ばれたBattalion Of Saintsを筆頭に、1980年代にはハードコア・パンクが全盛期を迎えていた。

しかし当時のローカル・シーンは、他の地域とは比べ物にならないほどバイオレントなものであったという。ライブハウスでは、もはやナチ・パンクスと化したスキンズがたむろし、客に対しても演者に対しても見境なく暴力を振るうのが常態化。身を危険に晒さなければライブを見ることができず、同じく暴力的と言われていたLAまで出向いた方がまだ安全という状況にまで陥っていたそうだ。

 

そうした中、地元パンク・シーンにおいて全く新しいアプローチで音楽を鳴らす男が登場する。1969年4月23日にサンディエゴで生まれ、今もその地で異常とも言える量の音楽を作り続ける男、John ReisことJohn Anthony Reis, Jr. III。

小さい頃からJackson 5やコミック・ブックが大好きだった少年は5年生の頃にKissやAlice Cooperと出会い、まるでコミックの世界から飛び出してきたようなロック・スターの存在に憧れを抱くようになる。その憧れを決定づけたのがパンク・ロックだった。きっかけとなったのは7thグレード(中学1年相当)の初日に、新たなクラスメイトが持ってきたカセット・テープ。片面にはSex Pistolsが入っていたそうだが、何より別面に収録されていたBlack Flagの怒り狂ったような激しいハードコア・サウンドには、「狂人が演奏しているのではないか!?」という恐怖に似た衝撃を受けたそうだ。

 

それからというもの彼は、当時のサンディエゴでは音楽に関する情報もレコード店の品揃えも限られている中、RamonesDead Kennedys、Cramps、Adam And The Antsなどなど、それらしきバンドの作品は何でも買い漁り、パンクが自らのアイデンティティとなるほど音楽にのめり込んでいく。

そしてBlack Flagの衝撃から2年が経った1984年、Johnは友人と共に「膣外射精」を意味するハードコア・パンク・バンド、Coitus Interruptusを結成する。長きにわたる音楽キャリアの第一歩を、ギタリストとして踏み出したのであった。

 

Conservative Itch (Coitus Interruptus)

 

後にバンドは同じ頭文字を用いたConservative Itchと改名するも、ほどなくして解散してしまう。しかし1986年、彼は新たな友人と出会い、サンディエゴのローカル・シーンに大きな影響を及ぼすこととなる新バンドを結成する。

その名はPitchfork。このバンドにシンガーとして加わるのが、Rickであった。

 

Rick Froberg。本名Eric Gerald Farr。1968年1月19日、ロサンゼルス生まれ。Beatlesを聴いて音楽に目覚めたBMX少年は、小学5年生か6年生の頃、父親の再婚をきっかけにサンディエゴへ移住することとなる。当時の憧れはリンゴ・スターで休み時間にはドラムを叩く真似をして遊んでいたそうだが、その後はヘビー・メタルを経由し、高校に入るとパンク・ロックへと傾倒していく。

そのきっかけはDark Angelのライブで共演のC.O.C.(Corrosion Of Conformity)を見たこと。そしてMetallicaのメンバーが着ていたTシャツから、Dischargeの1stアルバム『Hear Nothing See Nothing Say Nothing』と出会ったことだった。

 

また、幼い頃より絵を描くのが好きだった彼は、この頃から地元のバンドのフライヤーなどを手掛けるようになる。イラストレーターとしてはRaymond PettibonによるBlack Flag作品のジャケットやSeptic DeathのPusheadが手掛けるパンク系イラストのほか、ディズニー社の女性アーティストとして知られるメアリー・ブレア、さらにはスペイン・ロマン主義の巨匠であるゴヤなどからの影響を公言。好きなレコードのジャケットの例には、Ian Dury And The Blockheadsの『New Boots And Panties』やSeptic Deathの『Now That I Have The Attention What Do I Do With It?』などを挙げている。

在学中に『Subculture』と題したファンジンも発行していたという彼は、高校を卒業すると、惜しくも2019年に36年の歴史に幕を閉じたTransWorld社の『SKATEboarding Magazine』および『SNOWboarding Magazine』の仕事に従事。制作に携わった約3年の間にコマーシャル・アートについてもスキルを身に付け、古き良きアメリカの広告表現やカートゥーンをも奇妙に混ぜ合わせたような独自の表現スタイルを確立していく。

 

Crach Worship 09/02/97

 

そしてその傍ら、自身もバンド活動をスタートさせる。友人であるBlood Lakeのメンバーらが結成した前衛的トライバル・アート・パフォーマンス・バンド、Crash Worshipにドラムの一人として参加。1987年に自主リリースされた1stアルバム『This』には、Rick Farr名義でその名がクレジットされている。

なお、Rickの出生時の苗字はFrobergだそうだが、幼い頃に父親が家族の苗字をFrobergからFarrに改めているそう。作品によって名義が変わるのは、このことが関係している。

 

Blood Lake "Sink or Swim, Baby"

 

1986 - 1990年: Pitchfork

こうしてミュージシャン兼ビジュアル・アーティストとしての道を歩み始めた18歳のRickが、一つ年下の青年Johnと出会ったのは1986年のこと。Johnも音楽レビューを寄稿していたという地元の反権威主義ファンジン『San Diego’s Daily Impulse』が、市内のMariner's Pointで開催した「Anarchy Picnic」という野外イベントだった。

Conservative Itch(Coitus interruptus)も出演していたこのイベントで出会った二人は、RKLをはじめとしたMystic Rcordsのスケート・パンク・バンドの話題などで意気投合。すぐに仲良くなり、一緒にスケート・ボードに興じるなど、行動を共にするようになったという。

 

Conservative Itchの練習にRickも顔を出すようになったそうだが、その後すぐにバンドは解散。新たなメンバーを探していたJohnは、Rickに友人を紹介してもらい、ベーシストのDon AnkromおよびドラマーのJoey Piroと3人で新バンドを結成する。それこそがサンディエゴ・シーンの起点となるバンド、Pitchforkだった。

結成当初はJohnがギターとボーカルを兼任しており、当時のデモテープ『Needle In A Haystack』では、Rickはメンバーではなくイラストのみを担当している。しかしボーカリストの必要性を感じたJohnは、再びRickに友人の紹介を相談。JohnはそれまでRickにその気があるとは思っていなかったそうだが、Rick自身がその役を買って出たことでシンガーとして加わることに。バンド名にちなんだRick Fork名義でアートワークと作詞も引き受けることとなり、長きにわたるコンビネーションがスタートしたのである。

 

Pitchfork - Needle in a Haystack

 

ちなみにPitchforkというバンド名はJohnが好きだったアメリカのビートニク詩人、Richard Brautiganの詩集『Loading Mercury With A Pitchfork』(邦題『突然訪れた天使の日』)から採られている。その名を聞いてアメリカの音楽レビュー・サイト『Pitchfork Media』を想起する人も多いだろう。サイト側の公式アナウンスでは、映画『スカーフェイス』に登場するトニー・モンタナのタトゥーが由来ということになっており、バンドとは無関係とされている。

しかし『Pitchfork Media』では、JohnとRickが関わるバンドの記事も多く掲載しており、1995年に開設したサイトがバンドの存在を知らなかったとは考えにくい。Rick自身も前述のPodcast『Kreative Kontrol』(この番組名もHot Snakesの同名曲に由来)などにおいて、自分たちのバンドから名前を「盗んだ」のだろうと推察している。

真相はさておくとしても、世界最大のレビュー・サイトに影響を及ぼし得るだけの音楽的価値があることだけは間違いないと断言できる。

「西海岸のFugazi」とも評されたサウンドは、80年代後半の新しい潮流であったポストハードコア・バンドたちに触発されたもの。John自身もFugaziを擁するDiscord Recordsを中心としたワシントンDCのバンドをはじめ、Black Flag率いるSST RecordsのBL'AST!やMinutemen、Touch & Go RecordsのBig BlackやDie Kreuzen、そしてSquirrel BaitらHomestead Recordsなどからの影響を口にしている。しかし一聴すれば分かる通り彼ら自身もまた、いずれのバンドとも異なる確固たるオリジナリティを携えている。

 

どこか気怠さを感じさせるRickのボーカルと、Johnのノイジーかつきめ細やかなリフを主体に構成される叙情的でメロディアスな楽曲。型にはまりがちなハードコア・パンクのフォーマットから逸脱し、そのエネルギーを全く別の形に変換した表現スタイルは、当時のコミュニティにとっては大きな衝撃だったようだ。

後に彼らと活動を共にすることになるサンディエゴ出身のドラマーにしてプロ・スケーターのMario Rubalcabaは、「当時のシーンでもっとも先進的なバンド」だったと述懐。また同じく同郷の叙情派パンク・バンド、No Knifeのシンガーで当時はFuneral Marchに在籍していたMitch Wilson。そしてStruggleやSwing Kids、The Locustといったバンドに加え自身のレーベル、Three One G Recordsも運営するJustin Pearsonらも、自らの音楽活動におけるPitchforkからの強い影響を口にしている。以降、サンディエゴではパンクやハードコアの型にとらわれない独自のサウンドを持ったバンドが次々に登場するのである。

 

Pitchfork 05/20/89

 

こうしてシーンの転換点を象徴する存在となったPitchfork。その音源は1989年にリリースされたEP『Saturn Outhouse』、そしてDonの移住によるベーシストの交代を経て翌90年に発表されたアルバム『Eucalyptus』で聴くことができる。

なお両作品は、後にJohnが立ち上げるSwami Recordsより『’Eucalyptus' + 'Saturn Outhouse' (11 Songs)』として2003年にリイシューされているが、いずれもオリジナルのリリース元はLAのハードコア・バンド、Reason To Believeが運営していたNemesis Records。Johnによればレーベルのカラーは必ずしもバンドに合っていたわけでないようだが、ライブを通じてメンバーと仲良くなったことがきっかけでリリースが決まったそうだ。

また、レコーディングに際して当初はプロデューサーを探すつもりだったそうだが、最終的にプロデュースはJohnが担当している。これは奇しくもRickに先立つかのごとく2023年2月にこの世を去った彼らの友人、OlivelawnやFlufといったバンドで活躍したOことOtis Barthoulameuからの「自分たちの好きなように作るべき」という助言の影響によるもの。

この経験によってJohnはその後、プロデューサーとしても自身のバンドのみならず、サンディエゴの名物バンドとして知られるFishwifeやCustom Floor、Peechees、GoGoGo Airheart、The Widowsといった地元の仲間たちのほか、SuperchunkやThe Black Lips、Ceremonyなど多くのバンドを手掛けるようになっていく。

 

バンドとしての活動は順調で作品をリリースする頃には、Fishwifeと共にオープニング・アクトとして憧れのFugaziとも共演。しかし2代目ベーシストのNick Frederickも進学のためサンディエゴを離れることになると、これをきっかけにバンドはあっさり解散してしまう。同郷のカオティック・ハードコア・バンド、Heroinのメンバーが立ち上げたばかりのGravity Recordsでは彼らのソノシートを出すことも計画していたそうだが、これが実現することはなかった。

しかしJohnとRickにとってそれは、より新しいスタイルの音楽を模索するためでもあった。Pitchfork解散から数ヶ月後、二人はサンディエゴのローカル・シーンにとどまらず、世界に向けてさらなる衝撃を与えることになるのである。

 

The show wih Fugazi (The red-haired punk kid on introduction is a young Justin Pearson)

 

 

→ JohnとRick 2:Rocket From The CryptとDrive Like Jehu 

 

 

 

参照:

Wire playlist: San Diego hardcore - The Wire

Then and now: Tim Mays, SD impresario magnífico | The Che Underground

Stream Cult & Culture Podcast Episode 1 feat. Tim Mays (Casbah Presents, San Diego) by Three One G | Listen online for free on SoundCloud

John Reis (Hot Snakes, Rocket From The Crypt, Drive Like Jehu) - THE THANKS LIST

Obituary information for Eric Gerald Farr

The Lydian Spin: Episode 95 Rick Froberg

Interview: Rick Froberg of Obits - Spectrum Culture

Interview: Rick Froberg / Features / Nothing Major

The Art of Rick Fork–Headhunter Records ads, Drive Like Jehu, Rocket From the Crypt, etc | The Trickle-Down

NYAB Event - Rick Froberg "Bog"

Rick Froberg Interview

[RANDOM] 一時代の終わり | VHSMAG

PPP #19: Rick Froberg from Hot Snakes / Drive Like Jehu / Obits

https://www.discogs.com/release/17416615-Blood-Lake-Sink-Or-Swim-Baby

https://www.discogs.com/ja/release/628118-Crash-Worship-This

Drive Like Jehu | San Diego Reader

Proletarian: “Lefty” Hooligan, “What’s Left?”, August 2022 | What's Left?

Stream episode 14. LIFERS - How To Fuck Up An Interview With Rick Froberg by The LIFERS Podcast podcast | Listen online for free on SoundCloud

Interview - OBITS - Ausgabe #111 - Ox Fanzine

Features - Stepping Stone Party #4 - John Reis (Rocket From The Crypt, Hot Snakes, Drive Like Jehu) | Punk Rock Theory

Rocket From The Crypt - Interview

John "Speedo" Reis from Drive - Turned Out A Punk - Apple Podcasts

#191 - Mario Rubalcaba (Clikatat Ikatowi, Earthless, Rocket from the Crypt) — Washed Up Emo

#153 - Mitch Wilson (No Knife) — Washed Up Emo

FUGAZI, PITCHFORK, FISH WIFE @ THE LA PALOMA THEATRE, ENCI… | Flickr

Alien Territory book events, playlist, new IGB merch, Rick...

INTERVIEW: MATT ANDERSON (GRAVITY RECORDS)

 

John Reis & Rick Froberg - Footsteps of the San Diego Music Scene 4: Plosivs and Swami And The Bed Of Nails

Footsteps of the San Diego Music Scene 4: 2015-2024

 

Since the formation of Pitchfork in 1986, John Reis and Rick Froberg have left a significant mark not only on their hometown of San Diego but also on the broader music scene. After forming The Night Marchers and Obits, the early 2010s saw the consecutive reunions of Hot Snakes, Rocket From The Crypt, and Drive Like Jehu. Since then, they continued to expand their activities and become more and more energetic.

 

2015-2020: Collaborations as Swami John Reis and New Hot Snakes Material

In 2015, John collaborated with the Minneapolis garage rock band The Blind Shake and released the album, Swami John Reis & The Blind Shake "Modern Surf Classics" on Swami Records. The Blind Shake, who also played as the backing band for Michael Yonkers, an artist who heavily influenced John’s guitar playing, was introduced to him by Dave Gardner, a mastering engineer working on Swami releases. After seeing one of their live shows, John proposed the collaboration. Together, they worked on an instrumental album inspired by the soundtracks of classic surf films—a concept John had long wanted to explore. Following the album’s release, they toured and performed live across the U.S.

 

Swami John Reis & The Blind Shake Interview

 

In 2016, John also collaborated with the Toronto-based garage/noise rock band Metz, who openly cite both John and Rick as key influences. For Record Store Day, Swami Records released the EP "Let It Rust / Caught Up" by Metz & Swami John Reis. On the same day, John also released a compilation album "Hardcore Matinée" which featured 22 local San Diego artists, including new tracks from Hot Snakes and Sultans. The proceeds from the album were donated to the local Museum School, also focusing again on label management.

 
Of course, RFTC remained active as well. During their 2016 U.S. tour, their first new song 7-inch "Don't Drop The Baby" was sold exclusively at venues since their reunion in 2013. The following UK tour in 2017 also saw the limited release of the EP "Return to Monkey Island" featuring two new songs, and fans have high expectations for more new material.

Don't Drop The Baby on WFMU Todd-o-phonic Todd: Playlist from July 30, 2016

 

John was also busy as a producer. In 2015, he produced the album "The L-Shaped Man" for the California hardcore/post-punk band Ceremony, released on Matador Records (the band later moved to Relapse). John’s involvement with Ceremony deepened over time, and during a live show in Los Angeles in 2017, he joined the band onstage as a guest guitarist, performing an entire set including a cover of "On A Rope" which is an RFTC song.

The L-Shaped Man | CEREMONY - bandcamp

 

Also in 2018, John produced the album "All Love Is True Love" for The Primals, a band formed in Los Angeles. The group featured Andrew Black of The Explosion, who had previously toured with RFTC, as well as John Henry of Darkest Hour and Chad Fjerstad, both from metal backgrounds. The album, released on Sunn O)))’s label Southern Lord, stood out as a fuzzy power-pop record amidst the label’s more drone and metal-heavy catalog.

All Love is True Love | The Primals - bandcamp

 

Meanwhile, Hot Snakes, who continued to perform live since their reunion, signed to Sub Pop in 2017. After reissuing their first three albums from Swami originally, the band released their 4th studio album "Jericho Sirens" in 2018—14 years after their last release. As the photo captured Gar wildly surfing the waves symbolizes, there is no sense of blanks, but rather more and more momentum with age, and they sounded more vigorous than ever. 

 

Hot Snakes Live on KEXP

 

Drums are played by both Jason (tracks 1, 2, 4, 6, 8, 9, and 10) and Mario (tracks 3, 5, and 7), who split up for each song. The record also featured guest vocals from Rob Crow, Matt Lamkin of The Soft Pack (formerly The Muslims), and Glen Galloway, formerly of Trumans Water and Soul Junk, who now plays with Octagrape and Sumatraban, highlighting the enduring camaraderie within the San Diego scene.

 

Hot Snakes on Sub Pop

 

With Hot Snakes back in full force, they embarked on a tour to support the album. They also performed at Sub Pop’s 30th-anniversary event. Rick worked on the artwork for the limited 7-inch split series "SPF30 Singles Spectacular" by 8 bands of the label, where Hot Snakes contributed the unreleased track "They Put You Up to This" to their split with Mudhoney.

 

Also in 2019, they released another new EP "Checkmate (b/w Not In Time)" and followed up with "I Shall Be Free" in 2020. The band was gearing up for more tours, however, suddenly an unforeseen crisis struck: the global COVID-19 pandemic, which led to the cancellation of all kinds of live events around the world.

 

"Not in Time" Music Video Directed by Jason’s Sister, Photographer Jessica Kourkounis

 

The pandemic not only brought music activities to a standstill but also forced the closure of Bar Pink, which John co-owned. Ultimately, the place was passed on to become a new cocktail bar called Part Time Lover. The pandemic created significant hardships for musicians around the world, however, John’s passion for music never wavered. If anything, the lockdown sparked even more new projects.

 

"I Shall Be Free" Music Video Animated by John’s Son, Tiger Reis

 

2021-2022: The Formation of Plosivs and Solo Activities as Swami John Reis

In 2021, with COVID-19 restrictions still in place, John, who seemed to have gained some weight maybe due to the lockdown, launched a new San Diego all-star band: Plosivs. His partner in this project was Rob Crow, a prolific guitarist/singer-songwriter comparable to John, known for his work with bands like Heavy Vegetable, Thingy, Physics, Anal Trump, Optiganally Yours, and Pinback with Zach Smith from Three Mile Pilot and Systems Officer. Although John and Rob had known each other for years, this was the first time they formed a band together. Unexpectedly, the catalyst was their kids going to the same school, and they bonded as dad friends.

 

Plosivs' debut Perfomance

 

For the rhythm section, they recruited Jordan Clark of Mrs Magician, whose work had been released on Swami Records, and former RFTC drummer Atom, who now also plays with Alkaline Trio. Although different players were originally involved, quarantine brought in the members knowing their way around playing with each other, and the band cautiously recorded the tracks during the pandemic. In 2022, the band released their debut full-length album "PLOSIVS" on Swami Records. The solid yet transparent songs were built from ideas by two songwriters. John’s downstroke-heavy guitar and husky vocals mixed perfectly with Rob’s arpeggios and high-pitched voice, creating a sound only a San Diego supergroup could achieve. After the release, Plosivs embarked on an active schedule of tours and live performances, and they seem to have already prepared for more material.

 

In parallel with Plosivs, starting in 2021, John also joined the Fat Wreck Chords supergroup, Me First and the Gimme Gimmes, as their new guitarist for touring. John admitted that he wasn’t too familiar with the band before being offered the gig, but once he learned the concept, he gladly accepted. He’s now performing with the current lineup, which includes CJ Ramone, formerly of the Ramones.

 

John's debut Perfomance on Me First and the Gimme Gimmes  

 

Then, in 2022, John released his first solo album "Ride The Wild Night" under the name Swami John Reis. The inspiration for the album came from acquiring a Martin acoustic guitar, and the songs were composed over several years. The album prominently features piano by Joe Guevara who is the former vocalist of the beloved emo band Jejune and Lovelight Shine, as well as John's acoustic guitar. With contributions from Jason on drums and other longtime collaborators, the album showcases a garage rock sound inspired by ’60s and ’70s acts like The Flamin’ Groovies, The Kinks, and Paul Revere and the Raiders.

 

Swami (( JOHN ))) Reis on Cardboard Sessions

 

In the same year, John also released a collaborative 7-inch with Creepxotica (the exotica alter ego of The Creepy Creeps, former members of The Locust) titled "Shelter Island / 1 Mai Tai... 2 Mai Tai... 3 Mai Tai... Floor!" under the name Swami John Reis & Creepxotica. Additionally, Swami Records put out the record by Chicago noise rock trio Meat Wave "Malign Hex" of their 3rd album. Between performing live, collaborating on projects, running his label, and DJing as The Swami Sound System, John remained as busy as ever, undeterred by the pandemic.

 

SWAMI JOHN REIS & CREEPXOTICA "Shelter Island" Live at Bali Hai in San Diego 08/04/22

 

On the other hand, Rick also guested on the album "A Hopeless Noise" released by Montreal punk collective Red Mass in 2020. He contributed as the lead vocalist on the track "Killer On The Loose" and shares his great voice with back vocals by Canadian singer-songwriter Mac DeMarco. 

 

He was also actively working as an illustrator and visual artist. After moving back to San Diego again in 2021, he held a solo exhibition there titled "Let My People Go: Art and Illustration 1988 to Present" at Trash Lamb Gallery in 2022, a retrospective of his artistic career.

 

2023: Death of Rick Froberg

Even into 2023, Rick remained as active as ever. In early June, he appeared on the YouTube channel "Let's Get a Drink" by Jim Ward of At The Drive-In, whose DLJ influence can be seen in its name, and Sparta, for whom Rick also provided cover art. In the episode, Rick spoke nonchalantly regarding his future plans. "I’ve never had any goals. I just feel like kind of do what's in the moment. And the Future ends up taking care of itself somehow which is probably the best. Still here."

 

Let's Get a Drink (Episode 5) Rick Froberg

 

Rick was also actively posting on Instagram, sharing his illustrations and updates about his life. In August, he announced his participation in the 40th-anniversary celebration of a local zine focusing on garage punk and psychedelic rock "Ugly Things Magazine" at Casbah. As part of a special band with John and his brother Dean, they were scheduled to perform a cover set of San Francisco’s legendary punk band Crime, whose reissues were handled by Swami Records.

Facebook - Ugly Things 40th Anniversary Weekender August 25-27, 2023

 

All the more, the news was really shocking. On July 2, John posted on his Instagram that Rick had passed away unexpectedly on the night of June 30. He was only 55 years old. The cause of death was an undiagnosed heart condition, a tragically premature end. Rick himself had been posting on Instagram right up until his death, with his final post on June 15 sharing a group photo of Hot Snakes taken by New York photographer Nathan Martin in 2018. In the post, Rick had mentioned that the band was close to completing a new recording.

 

Since Rick’s death, his Instagram account has been managed by his longtime friend and partner, plant artist Britton Neubacher. The account, now renamed rick_froberg_forever, offers glimpses of a memorial event held at Casbah on August 29, 2023. The event was attended by John, former bandmates, and close friends like Rob Crow and Pall Jenkins, Bryan Giles of Red Fang (formerly of Last of the Juanitas), Chris Thomson of Skull Kontrol, and Mark Arm of Mudhoney, among others. Together, they performed and paid tribute to Rick’s memory.

 

The account is currently trying to organize a catalog of Rick's art and calling those who own his work to contribute by sending scanned images or snapshots of the pieces. Hopefully, we will be able to see his comprehensive collection that showcases his artistic legacy.

Rick Froberg | GOT ANY RICK FROBERG ART? | Instagram

 

For the obituary of Rick, many musicians, labels, and the media offered their condolences, including Brendan Canty of Fugazi, Mac McCaughan of Superchunk, Ted Leo, Metz, Botch, Thursday, Speedy Ortiz, and more. A selection of these tributes was compiled in an article on "Brooklyn Vegan" the New York-based web magazine, and Sub Pop has published a list of Rick’s best songs, as chosen by those close to him. You can find them at the links below:

Read tributes to Rick Froberg from Superchunk, Thursday, Jenny Lewis & more

Rick Froberg in Sub Pop Records News

 

Rick and John. Their musical impact is immeasurable. In particular, Drive Like Jehu has influenced countless musicians across genres, including Modest Mouse, The Blood Brothers, Genghis Tron, and The Dillinger Escape Plan. Cedric Bixler-Zavala of At The Drive-In and The Mars Volta has listed both DLJ and Hot Snakes as his biggest influences, going as far as to say that "Relationship Of Command" wouldn’t have existed without DLJ. Despite their limited discography, several bands have named themselves after DLJ songs, such as Super Unison and Bullet Train To Vegas. One such band, If It Kills You, released a tribute cover compilation "Learn to Relax! A Tribute to Jehu" in November 2023, featuring eight bands including Sparta, Thrice, and Division of Laura Lee. In addition, Metz, who previously collaborated with John, have dedicated their 2024 album "Up On Gravity Hill" to Rick.

Learn to Relax! A Tribute to Jehu | Noise Real Records - bandcamp

Up On Gravity Hill | METZ - bandcamp

 

Also in Japan, two tribute albums have been released in the past. In 1998, ZK Records put out "John "SPEEDO" Reis Tribute" which includes Cowpers’ cover of Drive Like Jehu, a band whose 2nd album "揺ラシツヅケル" was produced by John. The album also features Naht, who hails from the same scene in Sapporo, covering Pitchfork. Incidentally, this tribute was originally planned to include an RFTC cover by Copass Grinderz and an unreleased track by RFTC itself, but the project stalled due to scheduling conflicts.

 

The 2003 compilation "A CASE OF RFTC JUNKIES Tribute To Rocket From The Crypt" featured Bloodthirsty Butchers who had previously released the split, as well as MAD 3 and Jet Boys who had played live with RFTC. For the release event, John also flew to Japan by himself and performed a special live set, backed by musicians from the compilation, including former Number Girl member Kentarō Nakao, where they played RFTC songs. Additionally in 2020, a photo book "RFTC 93-01" was published by Shigeo Kikuchi, the producer of this CD and a photographer who has shot them for many years.

 

They have influenced not only fans but also many musicians, and created nothing but masterpieces in their combination. Their exhilarating and layered music, which captured everything of punk and R&R, would have continued to inspire many people hereafter. All the more reason to pity Rick's untimely passing. Even as a mere fan, the loss has left me deeply reflective. I can’t imagine the grief John has experienced.

 

2024: The Debut of Swami And The Bed Of Nails

Yet neither the goddess of music, nor the old comrades, nor the fans like me scattered around the world can allow this prolific musician to dwell in sorrow for long. Even after Rick’s passing, John continued performing live with RFTC and Plosivs across various locations.

 

Rocket from the crypt-Hippy Dippy Do-the Casbah-1/25/24

 

Also in 2023, he rejoined Me First and the Gimme Gimmes tour. Especially in San Diego, they played at a Quinceañera, a traditional celebration of a 15-year-old girl's birthday, with JC2000 of RFTC, and John’s father, John Reis Sr., even appeared to play accordion. This performance was recorded and released in 2024 as the album "¡Blow it…at Madison’s Quinceañera!" on Fat Wreck, and their Japan tour was also announced for November of the same year (John didn't participate, though).

 

And John himself began to take a new step forward determined to overcome the feeling of loss that would never heal. He has officially launched a new band, Swami And The Bed Of Nails, which grew out of his live performances under his solo name, Swami John Reis. In addition to Joe Guevara on keyboards, who also played on his solo album, the band features Mark Murino on guitar, a former member of Jejune and Lovelight Shine same as Joe, and formerly of Radio Wendy, who has split releases with RFTC. For the rhythm section, in addition to Jason and Tommy from the Night Marchers, the band features another drummer, Richard "T Bone" Larson, a San Diego-based session musician who also plays in Balboa Park as a member of Raúl Prieto Ramírez and the Spreckels Organ Rock Band.

 

Swami And The Bed Of Nails - Ketchup, Mustard, And Relish

 

The band began their sessions in November 2023 and actively performed live, including a show with Chicago noise-rock trio Meat Wave, who also released music through Swami Records. In February 2024, they dropped their debut single "How Are You Peeling?" followed by 2nd single "Privacy" in May. Then, the 1st album was finally completed with the participation of the friends, Anthony Anzaldo of Ceremony, Jacob Turnbloom of Mrs. Magician, and Rob Crow. In August, "All Of This Awaits You" which captures the current phase of John's ongoing musical journey was released on Swami Records. 

 

"A growing tributary to Rick." According to John, the songs on this album branched from the last songwriting session of Hot Snakes. Completely devastated and shell-shocked by Rick’s death, John decided to pick up his instrument again as a way to overcome his grief. He set his mind on working with his friends together to complete the album, getting back on the road, playing shows, and selling the music.

 

As those words imply, the album, opening with "How Are You Peeling?" which is reminiscent of the riffs of Hot Snakes, and closing with "Beware The Halo" which is even redolent of RFTC, consists of the songs full of life and vitality as if designed to blow away the sadness. Its garage-punk sound, fused with not only the essence of his previous solo album but also his previous bands such as Night Marchers and Sultans is fresher and poppier than ever. In addition, John's talent as a melody-maker, often overshadowed by his impressive guitar work, is also shining here. Tracks like "Teen Hate" and "Don’t Wait" with their bittersweet and catchy melodies, evoke the Ramones, the Misfits, and even echoes of the Beatles and the Beach Boys. Listening to these songs brings an overwhelming urge to cry. They are filled to the brim with the primal joy without any rhyme or reason that John's beloved R&R brings.

 

Swami And The Bed of Nails - Live on KEXP

 

On the other hand, as a fan, one thing inevitably lingering in mind is the Hot Snakes album that Rick was working on right before his passing. In August 2023, John appeared on the podcast "Cult & Culture" hosted by The Locust’s Justin Pearson and his collaborator in Planet B, Luke Henshaw. On the show happened to be recorded and streamed just one month after Rick’s death, John reflected on memories with Rick, and his own career, and talked about Hot Snakes’ final recordings, which would become Rick’s last works. 

Cult & Culture Podcast Episode 28 feat. John Reis - YouTube

 

While John didn’t disclose how far along the album had been before Rick passed in detail, it seems the recording process wasn’t fully completed. Understandably, it must take some time before John can calmly listen to the materials left behind. Yet, John also said, "I’m looking forward to sharing it with everyone. Rick would definitely want people to hear it for sure." When and in what form this material will surface remains uncertain, but for fans, keeping an eye on John’s future endeavors is a must. The reason is that at least one thing is certain; just as before, he will continue to create an incredible amount of excellent music under different names and various projects.

 

Afterword:

Now then, I believe I’ve written everything I possibly could. This turned out to be an unexpectedly long piece, but that’s entirely due to the vast scope of John and Rick’s activities and their relentless passion for music that supported it all. 

 

In closing, as to how Rick viewed death, I can only speculate and unfortunately have no way of knowing. However, the Hot Snakes album "Jericho Sirens" contains three tracks with "Death" in the title, and Obits itself derived its name from the word obituary. To top it off, their 2021 live album was titled "Die" At The Zoo. While this may seem like a stretch, in hindsight, it feels as though he was somehow always looking toward death.

 

Having said that, I don’t think it was in a pessimistic sense. Rick’s lyrics were collages of fragmented, impressionistic words infused with sarcastic humor, expressing emotions like anger, frustration, and fear. Much like his illustrations, it's difficult to extract a clear message from the surreal world he crafted, but I feel there was a nihilistic, cynical perspective in which everything was laughed off. To me, it's the same thing as the punk attitude that Sex Pistols and others once embodied. I can't help but imagine that Rick, even for his own death, would just shrug it off with a laugh as if to say it’s no big deal.

 

I am nothing more than just a fan, but with respect and gratitude for the music they left behind, I poured my passion into this four-part article, spending over a year trying to make it as detailed as possible. Nothing would bring me more pleasure if there are any meaningful information or discovery for readers. I would like to finish my writing hoping that many people will have the opportunity to explore their works.

 

Long live the dead down-stroke warlords. XOX

 

Hot Snakes - Union Transfer, Philadelphia 06/9/18

 

 

John & Rick 3: Sultans & Hot Snakes, Obits & Night Marchers ←

 

 

References:

Earthquake! John Reis Talks Surf Rock And Drive Like Jehu | The Quietus

San Diego music legend John Reis ‘Hardcore’ for school – San Diego Union-Tribune

Rocket from the Crypt Discography - Don't Drop the Baby - Pette Discographies: A Record Collector's Guide

I Buy Way Too Many Records Dot Com: Rocket From The Crypt - Don't Drop The Baby 7" - 2 Versions

Ceremony and the Angst of Evolution

Ceremony Team Up With John Reis for L.A. Residency

Ceremony Concert Setlist at The Echo, Los Angeles on May 18, 2017 | setlist.fm

The Primals (Darkest Hour, The Explosion, Dead to Fall) Discuss Debut LP (EXCLUSIVE) | Features | No Echo

Analogue Music | Hot Snakes

discotortion » Blog Archive » JERICHO SIRENS 共通一次試験解答

Sub Pop Records News for Hot Snakes

Bar Pink Closes – NBC 7 San Diego

John Reis details his approach to guitar playing: “Rules are important – you need to know how to do something in order to know how to f**k with it” | Guitar World

#216 Atom Willard (Rocket From The Crypt/Angels & Airwaves/The Offspring/Against Me!) - Life In The Stocks | Acast

Punk's Drum Machine: The Chronicles of Atom Willard - SPIN

#325 John "Swami" Reis (Rocket From The Crypt/Drive Like Jehu/Hot Snakes/Solo) - Life In The Stocks | Acast

Interview: John Reis Plays By His Own Rules – New Noise Magazine

The Enduring Impact of Rick Froberg | by Nabil Ayers / book touring in 2023 | Medium

The Strange Return of Drive Like Jehu

Twitter - cedricbixler_

The Blood Brothers’ Jordan Blilie and Johnny Whitney on the records that shaped them - Alternative Press

Drive Like Jehu reunites after 19 years – San Diego Union-Tribune

METZ and Gouge Away ripped up Bowery Ballroom (pics, review)

TRIBUTE TO ROCKET FROM THE CRYPT @ Shibuya Quattro; 21st June '03

写真集「RFTC 93-01」ROCKET FROM THE CRYPT 1993-2001 | KICK THE PAST!

Me First and the Gimme Gimmes – Fat Wreck Chords

【NEWS】パンクロック界最高のカバーバンド、Me First and the Gimme Gimmesの来日が決定!! | SATANIC ENT.

Richard Larson: Rhythm, Beats, and Grooves | San Diego Troubadour

John Reis' post-Hot Snakes band Swami & the Bed of Nails announce debut LP, share "Privacy"

https://jammerzine.com/swami-the-bed-of-nails-all-of-this-awaits-you-tour-dates/

Ep. #383: Hot Snakes' Rick Froberg - Kreative Kontrol

Rick Froberg Inspired a Generation of Musicians Like Me | Feature — POST-TRASH

Rick Froberg, Singer of Artful Intensity, Is Dead at 55 - The New York Times

Swami Records Official Online Store

 

John Reis & Rick Froberg - Footsteps of the San Diego Music Scene 3: Sultans, Hot Snakes, Obits, and Night Marchers

Footsteps of the San Diego Music Scene 3: 2000-2016

 

Drive Like Jehu and Rocket From The Crypt led the early '90s San Diego scene as representative bands. However, DLJ faded into inactivity, while RFTC was forced to halt activities following the departure of drummer Atom after their split from the major label. As the 2000s began, RFTC found themselves in a difficult position. 

 

However, John, known for his prolific nature, never lost his musical passion. While managing his own label, Swami Records, he launched two side projects.

 

2000: Formation of Sultans and Hot Snakes

One of the projects was a pirate-themed trio called Sultans, much like the early days of RFTC, the band aimed to perform anywhere, anytime, with ease. The lineup featured Black Flame which is the pseudonym of RFTC’s guitarist Andy Stamets known as ND, and Tony Brown alias Tony Di Prima who had previously drummed for Unsound, a band that also featured members of The Adolescents. John, using the alias Slasher, handled bass and vocals.

 

Sultans at Bar Pink 2012

 

In 2000, they recorded their debut album Ghost Ship at John’s newly established Drag Racist Studio, using minimal equipment. Released on Swami Records, the album unleashed straightforward, simple punk sounds inspired by bands like Misfits, Real Kids, and the "Killed By Death" compilation series. Though it was a side project, the band's songs were catchy and energetic. Kurt Ballou, guitarist and producer for the Massachusetts-based gothic metalcore band Converge, has mentioned Sultans as one of the bands he enjoys, openly expressing his admiration for John’s projects. 

 

The band continued its intermittent activities, and in 2003, John’s younger brother Dean Reis joined as bassist under the name Black Velvet, replacing ND. John then switched to guitar, and in 2004, they released their second album, Shipwrecked, which had a more bluesy sound. The band paused in 2007 but reunited in 2010 for a Halloween show with John, ND, Dean, and Tony performing together. Since then, they’ve occasionally played live shows.

 

Sultans with El Vez at Bar Pink 2019

 

The other project was Hot Snakes, which he would team up with his friend Rick for the third time.

 

It all began with John and drummer Jason Kourkunis also known as Jsinclair, jamming together. Jason, who now also plays in his local Philadelphia psych band Bardo Pond, was previously a member of Delta 72, an R&B punk band that released records on Touch & Go and Kill Rock Stars/Dischord. Although they were based in different cities, they became friends through performing together in each other's bands and began writing songs together. Ben Moore, who would go on to handle engineering for all of Hot Snakes’ albums (and plays in a soul band called The Styletones as a musician), was brought in as an engineer, and they proceeded the recording at Big Fish Recording in San Diego.

 

Delta 72 - It's Alright

 

John played the resulting recordings to Rick in New York, and the former duo was back together again. Rick was so pleased with the soundtrack that he immediately decided to join the band. With the addition of Rick's guitar and vocals, the ensemble which the band describes as "Down-stroke Warlords" is complete. The band's name, which is often thought to be a metaphor for feces, was actually taken from a sign John's grandfather saw in Taiwan for a restaurant specializing in snake cuisine.

 

The recording also features a guest appearance on the chorus by the female bassist Kim Thompson who is a former member of Delta 72 the same as Jason, Cupid Car Club, and Skull Kontrol where Rick had previously appeared as a guest vocalist. In 2000, the legendary duo returned with their 1st album "Automatic Midnight" on Swami Records. The album was made without bass, with John's Suicide-like keyboards playing the role of a bassist. The sharp guitar work clearly shows the influence of one of their all-time favorites Wipers, and Rick's vocals which are more melodic and expressive than ever with more intensity and vigor than ever. The result is smart, energetic R&R with the fiery garage sound of RFTC and Delta 72 underneath and the complex post-hardcore of Drive Like Jehu streamlined into a compact, streamlined form.

 

Hot Snakes - Automatic Midnight Unreleased Tracks

 

2001: Rocket From The Crypt Reboots

Meanwhile, RFTC which had been stagnating was signed to Vagrant Records, a pop-punk indie label in Los Angeles. As their first release after the move In 2000, they released a split 7" with label mates Get Up Kids. Then the band started working on a new album with their old friend Jon Wurster of Superchunk as a support drummer. The production team included Mark Trombino, Donnell Cameron, and Stuart Sikes, known for his work with The White Stripes and Cat Power. As they recorded in LA and Memphis, finally, a new drummer officially joined the band.

 

That was Ruby Mars, who has a fictional background as a one-armed drummer. That true identity is Mario Rubalcaba, a professional skater from San Diego who is now also the drummer of the heavy psych-instrumental trio Earthless. Mario had started his musical journey with the melodic hardcore band 411. Then he has played in numerous bands such as Chicano-Christ with Final Conflict members, a chaotic hardcore band Clikatat Ikatowi which surprisingly reunited in 2024, and Thingy with Rob Crow. At the time, he had moved to Chicago and was playing in Sea of Tombs, so he was unaware that Atom had even left RFTC.

 

However, after participating in a recording of The Black Heart Procession, he connected with the RFTC members through Pall Jenkins. Feeling a strong synergy during the rehearsal sessions where he participated after listening to their demos, Mario decided to return to San Diego and officially joined the band.

 

Clikatat Ikatowi - Too Simple

 

With the new label and lineup fixed, RFTC finally released their 6th album, "Group Sounds" in 2001. The band made a successful return to the scene with a high-energy masterpiece that evoked the band's cohesiveness as its album title named after the Japanese GS movement in the '60s indicated.

 

Incidentally, during the tour following the album’s release, Keith Morris, the vocalist of Circle Jerks and the early Black Flag, also visited their show. This led to Mario later joining Keith’s new band Off!. Mario's return to San Diego also led to his involvement in projects not only Earthless but also side projects like Mannekin Piss and Spider Fever with John’s younger brother, Dean, where he played guitar and vocals. He even briefly played in Sultans in place of Tony, showcasing his prolific output to rival John’s.

 

 

RFTC at Middle East Cambridge, MA 04/15/01

 

Meanwhile, Hot Snakes, initially seen as a side project, solidified into a full-fledged band as they recruited a bassist for their touring needs. That bassist was Gar Wood, who had played in Fishwife, Tanner, and Beehive & The Barracudas, and had a long-standing relationship with both John and Rick, having also worked on RFTC recordings. With Gar’s addition, Hot Snakes became a complete band, and in 2002, they released  2nd album "Suicide Invoice" with more cerebral sounds. The album received high praise including an 8.8 score from Pitchfork Media, a website that "stole" the name from their band. Hot Snakes started running simultaneously with RFTC just like in the days of Drive Like Jehu.

 

That same year, RFTC also released their 7th album "Live From Camp X-Ray" on Vagrant, which was more garage-punk than ever. The title refers to the controversial detention facility at Guantanamo Bay due to abuse of prisoners, established after 9/11 under the Bush administration. Despite the title, the album was not a live recording but a studio album, produced by John himself at Drag Racist Studio, mixed by Ben Moore, with liner notes by Long Gone John from Sympathy For The Record Industry. The title reflected their strong criticism and anger towards the U.S. government and the atmosphere in the country at the time.

 

RFTC - I Can't Feel My Head

 

In the following 2003, they released the EP "On The Prowl / Come On EP" on Sympathy For The Record Industry, recorded during their sessions with Jon Wurster. That same year, John, ND, and Mario carry out the recording with Sonny Vincent, the legendary New York punk figure from the band Testors (whose works Swami Records had reissued), for a collaborative album "Sonny Vincent With Members of Rocket From The Crypt". Although the album wasn’t released until 2009 due to some reason, in 2015, it was reissued as "Vintage Piss" under the name Sonny Vincent & Rocket From The Crypt, with additional tracks and a new mix.

 

In addition, on the album "Dan Sartain Vs. The Serpientes" released in 2003 on Swami by Dan Sartain, a R&R singer from Alabama who sadly passed away in March 2021 at the age of 39, features a whole host of peripheral players. RFTC members, Gar Wood, Dean Reis, and Dustin Milsap, among others, played various instruments as back up on the record.

 

Sonny Vincent with RFTC

 

At the same time, Hot Snakes, which had been increasingly moving beyond the realm of a mere side project, saw a lineup change because Jason left the band to focus on his other group, Burning Brides based in Philadelphia (the frontman Dimitri Coats would later join Off! alongside Mario). For replacement Jason, Mario took on the drummer in parallel with RFTC, and they released their 3rd album "Audit In Progress" in 2004, which was even more aggressive than their previous works.

 

Notably, one of its tracks "This Mystic Decade" was later featured in the best-selling US video game "Grand Theft Auto V" in 2013. Also, Doug McCombs, the bassist of the renowned Chicago post-rock band Tortoise, named this album one of his favorites and praised John’s guitar playing as "a genius at guitar riffs".

 

Hot Snakes - Braintrust

 

2005: The Breakup of Hot Snakes and Rocket From The Crypt

After the album release, Hot Snakes embarked on an active tour. In the UK, they also performed live in the studio on legendary DJ John Peel's show on BBC Radio. Shortly after that, John Peel passed away, resulting in their session being the final performance of the historic and long-running program. The recordings from this live session were released in 2005 as an EP titled "Peel Sessions" from Swami Records. Also during their 2005 tour, they performed a studio session for Australia’s radio station JJJ, which was later released as the live album "Thunder Down Under" in 2006, also through Swami.

 

Hot Snakes - Lax for Triple J

 

Despite what seemed like smooth sailing for Hot Snakes, the band had already decided to disband during that tour. Upon returning to the U.S., it was officially announced on Swami Records' website in May 2005 that the band would cease its activities. In the fall of the same year, the band contributed a song to the soundtrack for the video game "Tony Hawk's American Wasteland" featuring professional skater Tony Hawk. They covered DC hardcore originator Government Issue's "Time to Escape" and this was the last song the band worked on before disbanding.

 

Hot Snakes - Time to Escape 2012

 

Shortly after this announcement, unexpectedly, it was revealed that RFTC would also disband, with their final show set for Halloween that year. Although the detailed reasons were never fully explained, it appeared that the members, due to their respective circumstances, could no longer dedicate the time required to keep the band going.

 

The farewell show was held at the Westin Horton Plaza's Grand Ballroom in their hometown of San Diego, and accommodation plans were offered for fans traveling from afar, with tickets selling out quickly. The event referred to as their funeral was hosted by Elvis tribute singer El Vez, formerly of The Zeros, and the members dressed in costume put on an extravagant show with several guests like Jon Wurster of Superchunk and Chris Prescott of No Knife, who once played with the band. The event was captured on camera, and a rough-cut version of the DVD "RFTC 10-31-05" was released in limited quantities on Swami Records in 2006. Although the final release was delayed due to a fire at the video production company, a complete live album titled "R.I.P." consisting of a CD and DVD was officially released by Vagrant in 2008.

 

RFTC - I'm Not Invisible from RIP DVD

 

With both bands ending almost simultaneously, their busy musical careers seemed to have come to a close. However, their passion for music has not cooled, and they would launch new projects of their own.

 

2006-2007: Formation of Obits and The Night Marchers

In Brooklyn, Rick formed a new band named Obits as its guitarist and vocalist in 2006. He teamed up with Sohrab Habibion, who has also worked as a graphic and sound designer at Funny Garbage. Sohrab was the singer and guitarist of Washington DC post-hardcore band Edsel, known for their split with Jawbox and releases on Jade Tree, and met Rick through a mutual acquaintance after moving to New York. They naturally became friends, sharing a love for music and art, and began jamming together. The band also included Rick's friend Scott Gursky, the former drummer of the DC country rock band Shortstack. After a period of songwriting and rehearsals, they played their first show at New York’s venue Cake Shop in January 2008.

 

Soon after, a bootleg recording of the show leaked online, prompting the band to officially upload tracks to MySpace. This led to them catching the attention of Sub Pop, and they soon signed with the label. With former Edsel members Geoff Sanoff and Girls Against Boys' Eli Janney as producers, they released their 1st album "I Blame You" in 2009, followed by 2nd album "Moody, Standard and Poor" in 2011. After Scott left the band, Soulside, Girls Against Boys, and Bellini drummer Alexis Fleisig joined, and they released their 3rd album "Bed & Bugs" in 2013.

 

Obits Live on KEXP

 

In 2014, Obits toured Japan with Tim Midyett, a former member of Silkworm (The Crust Brothers with Stephen Malkmus of Pavement, and later Bottomless Pit) whose works were released on C/Z, Matador, and Touch and Go Records. They performed in Tokyo and Osaka along with Discotortion whose artworks were done by Rick, and a tour-exclusive single compilation CD "L.E.G.I.T." was also released. Incidentally, the author, I was not using social media at the time, only found out about their Japan tour days after it ended (a big regret), and this ended up being Rick’s only visit to Japan, meaning the opportunity to hear him sing live was forever lost...

 

In the following 2015, the band abruptly announced their breakup. Sohrab and bassist Greg Simpson went on to form SAVAK with drummer Matt Schulz (known for playing with Holy Fuck). However, Rick and Sohrab seem to have remained on good terms, as Rick did the artwork for their 2016 debut album Best Of Luck In Future Endeavors. As of 2024, SAVAK is still active. In 2021, six years after the breakup, Obits released a live album titled "Die At The Zoo" through New York’s Outer Battery Records, which was originally recorded in Brisbane, Australia in 2012. However, this release didn’t signal a reunion; the band remained fully disbanded.

 

Meanwhile, John focused on running Swami Records, hosting the music program "Swami Sound System" on local radio station KBZT (later migrating to streaming platform liveone), managing Bar Pink Elephant (later renamed Bar Pink), which he co-founded with friends, and raising his son named Tiger. Accordingly, rare for him, he took a break from band activities for a while. But in 2007, John formed a new band called The Night Marchers, named after the myth of the traditional Hawaiian ghosts. Joining him were former Hot Snakes members Jason on drums and Gar on guitar, along with Tommy Kitsos, who moved to San Diego from Canada, formerly of CPC Gangbangs on bass. They began recording at City Of Refuge, John’s new studio that replaced Drag Racist Studio, which had burned down. Then, they released their debut album "See You In Magic" through Vagrant in 2008. The album showcased a R&R sound with more classical elements, drawing inspiration from artists like Bo Diddley, The Byrds, and The Zombies.

 

Night Marchers - Closed for Inventory

 

Though there was a gap between releases, in 2013, they put out a more solid 2nd album "Allez! Allez!" along with a split EP with Mrs Magician, both on Swami Records. In 2021, they released an EP featuring unreleased tracks from their 2nd album sessions "Wot's Da Use / Dosed" along with "Live At Bar Pink" which is a live LP recorded in 2010 and packaged in hand-crafted sleeves made from discarded record covers donated by a local record store. When releasing the live LP, John posted "RIP Night Marchers" on his Facebook, indicating that it was likely the band’s final release.

 

Although they have gone their separate ways, it’s interesting to note the commonalities between their respective bands: the minimalist and spacey sound of Obits and the massive and jangly sound of Night Marchers, both of which sound like a return to each other's roots in surf rock, garage punk, power pop, and rockabilly, It is evident how much they shared the same musical tastes. Therefore, it was no longer natural for them to separate their activities. Once again, John and Rick revived their partnership as Down-stroke Warlords.

 

Night Marchers on Dirty Laundry TV

 

2011-2013: Hot Snakes and Rocket From The Crypt Reunions

On July 29, 2010, while each was working with Obits and Night Marchers, both bands performed together at The Casbah in their hometown of San Diego. During the encore, John, Rick, Jason, and Gar—Hot Snakes’ original lineup—played a set together, performing three songs from their first album: "If Credit's What Matters I'll Take Credit," "Automatic Midnight," and "No Hands."

 

Hot Snakes 07/29/2010

 

Then, the following year 2011, the band was selected to perform at All Tomorrow's Parties "Nightmare Before Christmas 2011" in the UK, curated by New York alternative art-punk band Les Savy Fav, and the official reunion was announced. They adopted a dual drummer formation with Jason and Mario, alternating based on their schedules or even by individual songs in one show. On November 4, just before ATP, the entire band reunited for a surprise comeback show at Bar Pink, which John owned, announced on the day of the show itself. From then on, they resumed regular live performances and festival appearances, reactivating their ongoing activity.

 

Hot Snakes Reunion 11/04/2011

 

Later that same year, in October 2011, RFTC also made a one-day comeback for a one-off event. The classic lineup of the band including Atom appeared on the children's TV show "Yo Gabba Gabba!" where John regularly performed as the character The Music Swami. They performed the song for the show "He's a Chef" (composed by Adam Deibert formerly of Bikeride and The Aquabats), and the music video was aired.

 

RFTC - He's a Chef on Yo Gabba Gabba

 

Initially intended as a one-time reunion for the TV show, the performance sparked momentum for a full revival. The following December 2012, RFTC officially announced the resumption of their ongoing activities. Like Hot Snakes, both two drummers, Mario and Atom joined the band again for alternate drumming duties as needed. The following Easter, on March 31, 2013, they kicked off their return with a secret comeback show at Bar Pink.

 

RFTC - Easter Resurrection 2013

 

This marked the beginning of a series of live performances around the world, including appearances at Metallica's Orion Music + More Festival and Riot Fest in Chicago. Here in Japan, they performed at Fuji Rock Festival 2013 and Join Alive 2013. During their set on the White Stage at Fuji Rock, they paid tribute to Hideki Yoshimura of Bloodthirsty Butchers, who had passed away that year, delivering their performance amidst heavy rain and thunder.

 

Additionally, during their UK tour that year, six series EPs "HITS! The Monkey Islands" were released and sold exclusively at the merchandise tables. Each EP featured covers of artists from the hometown of the city they performed in, including Buzzcocks, Status Quo, and Boomtown Rats, and the fact that each EP had different tracks depending on the show made it a nightmare for collectors.

 

RFTC - Sturdy Wrist at Metallica's Orion Music + More Festival

 

2014: The Reunion of Drive Like Jehu

And in August 2014, an incredible announcement shocked San Diego: Drive Like Jehu would reunite for their first live performance in 19 years. The concert was set to take place at the Spreckels Organ Pavilion in Balboa Park, the world’s largest outdoor pipe organ venue. The idea was born when a friend involved with the venue approached John for advice, and he suggested a collaboration between DLJ and the pipe organ for a free concert. Although Mike and Mark had been away from performing for a long time, they quickly regained their groove after a few practice sessions. 

 

 

On the day of the concert, August 31, thousands of people gathered to witness the performance. In addition to the original band members, guest vocalist Rob Crow made an appearance, and the venue’s resident organist, Dr. Carol Williams, joined in as they played their classic songs with the beautiful evening light in the background.

 

DLJ with Dr. Carol Williams at Balboa Park 08/31/14

 

Reflecting on the band’s dissolution years earlier, Mark had always felt a lingering regret, and he confessed to feeling conflicted whenever Hot Snakes played DLJ songs live. However, He says that the reunion show was the best night of his life and that he can finally finish his band career without any worries. That being said, what was initially meant to be a one-off performance garnered so much attention that the band began receiving large offers from all over. In response, the members decided to perform mainly at various festivals across North America in 2015, marking their full return nearly two decades after their last activity.

 

In April 2016, the band was also slated to curate and headline the "All Tomorrow's Parties" festival, planned to be held over three days in Manchester. They handpicked a stellar lineup that included RFTC and Hot Snakes, alongside legends like Wire, Mission of Burma, Flamin' Groovies, as well as Martin Rev and John Cale. But just before the event, the unthinkable happened: ATP Festivals declared bankruptcy, and the festival was canceled just days before it was set to take place.

 

Although the band continued to perform at various locations after this, their activity quieted down in August of that same year. There was talk of writing new songs during the reunion, but the members felt it was just for a revival, and the recording sessions never materialized. Eventually, the band entered another period of hiatus. 

Drive Like Jehu - 8/28/2016 - Bunk Bar. Portland, Oregon - YouTube 

 

That said, the combination of John and Rick was still alive and well. They became even more active after coming here. However, an unexpected and heartbreaking parting lay ahead.

 

Drive Like Jehu.at Primavera Sound 2016 in Porto

 

 

→ John & Rick 4: Plosivs & Swami And The Bed Of Nails

John & Rick 2: Rocket From The Crypt & Drive Like Jehu ←

 

 

References:

Interview - ROCKET FROM THE CRYPT - Ausgabe #42 - Ox Fanzine

http://tonybrowndiprima13.blogspot.com

5-10-15-20: Converge's Kurt Ballou | Pitchfork

Ben Moore - Production, tracking, & mixing - San Diego | SoundBetter

The Styletones | The Styletones

The Styletones | San Diego Reader

Cult & Culture Podcast Episode - Episode 22 feat Mario Rubalcaba

Conan Neutron’s Protonic Reversal - Ep170: Mario Rubalcaba

Interview with Drummer Mario Rubalcaba - Rum & Tattoo Blog - Sailor Jerry

Hot Snakes: Suicide Invoice Album Review | Pitchfork

No Reconciliation Necessary: Doug McCombs' Favourite LPs | The Quietus

This Mystic Decade | GTA Songs Wiki | Fandom

Rocket From The Crypt blast off again – San Diego Union-Tribune

Break-ups: Rocket From The Crypt (1990-2005) | Punknews.org

Rocket From The Crypt: Speedo's Army - Magnet Magazine

https://obitsurl.com/

#222 - Sohrab Habibion (Edsel, Kids for Cash, Obits, SAVAK) — Washed Up Emo

Shortstack – Free Dirt Records & Service Co.

Wild thing :: The Obits interview

https://www.linkedin.com/in/sohrabhabibion

an end of 2009 interview w/ Sohrab Habibion of Obits

Interview: Rick Froberg of Obits - Spectrum Culture

Record Review: Obits' Moody, Standard and Poor - ALARM

SWAMI SOUND SYSTEM - LiveOne - Music, Podcasts and more

San Diego Reader | Here's the Deal: Bar Pink

Marching, onwards: Speedo on rock 'n' roll past and present / In Depth // Drowned In Sound

John Reis Is Among Familiar Faces With His Latest Project, the Night Marchers – OC Weekly

John Reis starts Speedo with members of Hot Snakes, CPC Gangbangs | Punknews.org

Rocket From the Crypt Push Through Fierce, Top-Secret Reunion Show

Rocket from the Crypt | San Diego Reader

"So einen Sound gibt es doch heute nicht mehr"—Drive Like Jehu im Interview

Drive Like Jehu, an Organ, and the Classiest Reunion Ever

Ep. #217: Do You Compute - The Story of Drive Like Jehu - Kreative Kontrol

Interview - HOT SNAKES - Ausgabe #137 - Ox Fanzine

All Tomorrow's Parties' Drive Like Jehu-Curated Festival Cancelled | Pitchfork

The Strange Return of Drive Like Jehu

Hot Snakes: The return of the ‘down-stroke warlords’ – Chicago Tribune