2025/令和7年
112日 (

インタビュー 【トップインタビュー】再エネで町づくり=相沢清一・宮城県美里町長 2024/12/19 08:30

相沢清一・宮城県美里町長

 町の約7割を田畑が占め、緑豊かな田園風景が広がる宮城県美里町。2021年に「ゼロカーボンシティ宣言」を行い、50年の二酸化炭素排出量実質ゼロを目指している。相沢清一町長(あいざわ・せいいち=72)は「できるだけ再生エネルギーを使った町づくりをしたい」と力を込める。

 今、注力するのは基幹産業の農業を通じた環境への負荷低減施策。21年からは国内最大規模のレタス栽培の工場「美里グリーンベース」で太陽光や発光ダイオード(LED)を活用し、環境に優しいレタス栽培が行われている。

 今年4月には「アグリカーボンニュートラル推進協議会」を設立。来年度の実証実験を目標に、耕作地内に太陽光パネルを設置し、安定的な営農を行う、営農型太陽光発電設備の導入を目指す。「電気料金を下げて、稲作経営にマッチする形で所得が上がればいい」と期待する。

 町の一部は今年10月に再稼働した東北電力女川原発2号機から30キロ圏内の緊急時防護措置準備区域(UPZ)に位置する。「UPZという立場にいるので、二度と福島(東京電力福島第1原発)のような事故を起こさないよう安全対策はしっかりとしてほしい」と求めている。

 東北電力は使用済み核燃料を一時的に保管する乾式貯蔵施設を施設内に新設する計画を進めている。「最終処分地も決まっていない中で再稼働すれば、どんどん使用済み核燃料が積み上がっていく」と指摘し、「早急にきちんと再処理ができる計画を進めてほしい」と要望している。

 女川原発2号機が再稼働した今、避難計画の実効性も重要となる。町は、町内全部がUPZの中にあるという考えの下、県内で唯一、隣県の山形県への県外避難を想定した避難計画を策定した。

 しかし、どの地区の住民がどこへ避難するかなど、詳細な計画はこれからだ。「実効性があるかどうかも含めてまだまだ検証が足りない。町民の関心も高いので、協力しながら避難訓練や協議を進めたい」と今後、詳細を詰める方針だ。

 〔横顔〕趣味はドライブ。道の駅や温泉巡りが好きだという。座右の銘は「至誠天に通ず」。

 〔町の自慢〕水田地帯で緑が豊か、鉄道も通い、交通の要所で住みやすいところ。

(了)

(2024年12月19日iJAMP配信)

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