いわゆる「ステマ」、「法的に問題となる可能性あり」との判断を消費者庁が示す
2012/05/10 06:40


↑ 口コミサイトのビジネスモデル
消費者庁では2011年10月28日付で景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)におけるガイドラインとして【「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」の公表について(PDF)】を発表。その中でいわゆる「サクラ行為」に言及、法令上問題となりうることについて触れた。その後「食べログ」などでステマが表面化し問題視されたのを受け、「口コミ投稿の代行を行う事業者に依頼し」などとの表現と共に、この指針が追加増強されることとなった。
口コミサイトなどでは「(一般の、事業者とは無関係な)消費者による口コミ情報は景品表示法で定義される”表示”には該当せず、したがって、景品表示法上の問題が生じることは無い」とした上で、
1.商品・サービスを提供する事業者が、顧客を誘引する手段として、口コミサイトに口コミ情報を自ら掲載し、又は第三者に依頼して掲載させる
2.当該「口コミ」情報が、当該事業者の商品・サービスの内容又は取引条件について、「実際のもの又は競争事業者に係るものよりも」著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認されるもの
2.当該「口コミ」情報が、当該事業者の商品・サービスの内容又は取引条件について、「実際のもの又は競争事業者に係るものよりも」著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認されるもの
のような場合には、景品表示法上の不当表示として問題となるとしている(具体的には景品表示法第2条第4項の「顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品又は役務の内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項について行う広告その他の表示」に該当しうる)。
要は商品に関連する情報が、商品・サービス提供側とどこまで関係があるのか、事業者の表記になるのか、そして事実なのか否かの問題といえる。
具体的事例として、
商品・サービスを提供する店舗を経営する事業者が、口コミ投稿の代行を行う事業者に依頼し、自己の供給する商品・サービスに関するサイトの口コミ情報コーナーに口コミを多数書き込ませ、口コミサイト上の評価自体を変動させて、もともと口コミサイト上で当該商品・サービスに対する好意的な評価はさほど多くなかったにもかかわらず、提供する商品・サービスの品質その他の内容について、あたかも一般消費者の多数から好意的評価を受けているかのように表示させること。
※ゴジック強調は当方で追加
※ゴジック強調は当方で追加
などの事例が追加されており、事実と異なる表記が行われた場合であること、口コミ代行事業者への依頼により実質的には、商品・サービスを提供する事業者側の情報提供と解釈されうることを強調している。
一方、冒頭でも触れたが具体的な表示が景品表示法に違反するか否かは、個々の事案ごとに判断され、口コミの類がすべて問題視されるわけではないことも強調されている。
今件はきっかけが口コミサイトでの問題発覚ということもあり、「口コミサイトに対して」との周知認識が強いが、ブログも併記されていること、「情報が掲載され、それが第三者に知らされること」を前提としているため、口コミサイトやブログに限らず、ソーシャルメディアも含めたCGM(Consumer Generated Media、利用者が内容を創って行くメディアのこと)全般に及ぶものと解釈した方が良い。場は違っても「広告その他の表示」と解釈されうるからである。
一部プロモーション、広報展開の切り口・手法・サービスとして、ステルスマーケティングを積極的に展開する・顧客に推奨している事例もある。しかしそれらの行為は商品展開側の広告表記手段の一環として捕えられ、事実と反する内容に関しては景品表示法上の問題が発生しうることを十分に理解しておくべきだろう。
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