雑誌協会、節電対策として今夏も月刊誌と隔週刊誌の締切2日間前倒しなどの事前公知

2012/04/21 07:10


節電社団法人日本雑誌協会は2012年4月20日、同協会に所属する関連企業をはじめとした雑誌業界に携わる企業などに対し、今夏の電力対策及び課題改善への要請を発表した。詳細はゴールデンウィーク明けとしながらも、現時点で昨年の夏期・冬期に実施した対応(【月刊誌と隔週刊誌、夏期締切2日間前倒し・正式発表】)に加え、取次と協議した上で発行点数の調整などに取り組むとしている(【発表リリース】)。



昨年2011年夏、そして冬は東日本大地震・震災に伴う物理的な被害、電力需給問題を起因とする小売店や流通網の被害、インクや紙などの原材料不足、電力需給の不安定化による稼働時間・稼働率の問題など、多種多様な難題が出版業界に到来。日本雑誌協会では2011年夏・冬それぞれにおいて、各種調整・規制を行い、これらの問題に対応している。

すでに同協会では震災をきっかけに大震災対策特別委員会を設立、この委員会のもとでさまざまな課題の改善に向けた取り組みを進めている。今回の発表はそれを再確認すると共に、現時点における今夏の状況予想・分析と、それに伴う取り組みの事前周知の意味合いを持つ。

直接の「震災」のような非日常的な事態へのスピーディーな対応、極力の通常流通体制の維持(要は非常時のリスク分散・回避)については、「輸配送のバックアップ体制の改善」「拠点の分散化」「製本・搬入輸送体制の対応策」の構築とマニュアル化を漸次実行中。「輸配送のバックアップ体制の改善」のマニュアルは今夏提示をめどに作成中とのこと。

一方、震災後一年が経過した今年に至るも「さまざまな事情で」状況は改善せず、むしろ悪化しているとすら評せる電力需給への対策について、今夏においては現時点で次のように言及している。

●認識
・電力事情はいまだに不透明
・昨年の東京電力管轄だけでなく、全国規模での対応が必要になる可能性が高い
・電気料金の値上げによるコスト対策も必要
・結論として状況は昨年以上に深刻

●対応
・基本的には昨年夏冬に実施した3原則を実施
 ①週刊誌以外の定期雑誌の48時間の繰上げ進行(週刊誌は基本日程厳守)
 ②台割(仕様)、部数、配本通知の早期化(早期の決定、連絡で、印刷生産の早期の組み込み実施)
 ③ザラ紙・ラフ紙用「特色インキ」を15色に絞り込み(インキ業界と連携「印刷工業会統一15色基準」)
・さらに日本出版取次協会と協議の上、1日あたりの発行点数250点(定期雑誌、増刊・別冊・ムック・コミックス)目安の調整に取り組む。

原則的には昨夏とほぼ同じではあるが、最後の「総量規制」の点で昨夏では「定期雑誌の発売は原則として通常通りの発売日を順守を基本と定め、その他の不定期刊行誌(増刊・別冊・ムック・コミックス)で発行点数、業量の平準化(まとめて一度にではなく、ばらしての作業)」との但し書きがあり、「250点」はあくまでも目安でしかなかったのに対し、今回・現時点ではそれらの前提が取り除かれており、優先順位が逆転している(さらに「業量の平準化」は「販売面、店頭活性化などの視点からも永年の課題となっています」と別途説明されており、現状では実施が難しい・優先順位が低いことを示唆している)。

これらの対策について協会側では現時点で「基本的に」とし、事前周知・注意喚起の意味合いを持たせた上で、「ゴールデンウィーク明けの経済産業省からの方針発表」を待ち、それに基づき関連業界内で事情を精査、協議した上で正式に決定していくとしている。

時間生産工場や流通システムの物理的破損からはあらかた復旧を果たしているものの、生産・流通工程においては酸素であり血液に等しい電力事情を起因とし、今件リリースでも言及されているように、出版業界(もまた他の製造業同様に)昨年夏以上の厳しい環境下におかれることが予想される。

先日4月20日に経済産業省では沖縄電力をのぞく日本国内の一般電気事業者9社に対し、今夏の電力需給に関する情報の報告を求めたと公表している(【今夏の電力需給に係る報告の徴収を行いました】)。この回答に合わせ、今件リリースにもある通り同省から今夏の方針が発表されることになる。現場による死に物狂いの努力で物理的復旧が進む一方、電力需給で回復を果たせないという意思決定レベルでの失策を受ける形で出版業界から発表された今件対策は、「尻拭い」として認識されるのかもしれない。



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