写真を始めてしばらくすると、自分の写真のレベルを客観的に把握したくなりませんか?検定ブームの昨今ですが、実は写真にもあるんです。その名もフォトマスター検定。なんだか怪しい名前ですが、写真の上達を考えている方にはすごくおススメな検定です☆
今回はそんなフォトマスター検定について簡単にご紹介!
フォトマスター検定って??
世の中に検定という名がつくものは数あれど、写真に関した検定でまともなものはこの”フォトマスター検定” くらいしかありません。ネーミングが超絶怪しい感じがしますが、文部科学省が後援している結構まともな検定なんです。
大事なポイントは”写真の上手さ”を計る検定ではなく、"写真の技術、教養の知識"を計る検定ということです。まぁペーパーテストなので当然といえば当然ですね。
なんだーとガッカリする人がいるかもしれませんが、写真というのはセンスだけでなくて、カメラを使いこなす知識や教養も必要になってくるので"写真の技術、教養の知識"というのは上達する上でとても大事な要素です。特に、写真がデジタルになってからはデジタル特有の技術も数多く出ているので、とっても大事なのです。
センスだけでも十分良い写真は撮れますが、バックグラウンドにある写真に関する知識があるのと無いのでは、上達のスピードは雲泥の差だと思っています。一人ではなかなか進まない勉強も、期限が区切られた検定ならなんとか頑張れますよね。
また、全部で4階級の検定なので、毎年ひとつずつ級を上げていくなんて目標を立てれば写真を続けていくモチベーションにもなりますね!
フォトマスター検定の概要
階級区分
フォトマスター検定の階級は1級、準1級、2級、3級の4区分(エキスパート向けにEXという階級もありますが、一般の方にはあまり関係ないかも)
各階級のざっくりとしたレベル、対象はこんなかんじ(デジカメWathchより)
1級
他人の指導を前提としたレベル。写真とカメラに関して、正しく科学的に解説できる。一例としては、撮像素子の構造、撮像素子の高画素化と高密度化による画質への影響、高感度ノイズと長秒ノイズの違い、クイックリターンミラーの特徴、ストロボのTTL調光と外光式調光の違い、焦点距離・口径・F値の計算など。
準1級
写真とカメラに関する高度な知識がある。一例としては、撮像素子の受光の仕組み、レンジファインダーカメラの仕組み、シャッター速度と絞りの関係、全周魚眼レンズと対角魚眼レンズの違い、PLフィルターの原理、日中シンクロにおける調光方法、レフ板の使い分け方など。
2級
基本的な知識をベースとして、一般的なレベルで写真を楽しむことができる。たとえば「被写界深度」という言葉の意味がわかるだけでなく、どのように表現に活かせるのかがわかるレベル。
3級
製品のパンフレットや取扱説明書に書いてある中心的な内容が理解できる。ピントが合っている、露出が合っている写真が意図的に撮れるというレベル。当初の設定レベルは中学校や高等学校の写真クラブやDPE店の接客業務レベル。
---
写真を始めたばかりの方なら3級、ある程度知識を持っている方なら2級くらいから始めるといいですね。
いきなり1級に挑戦してもOKです。
試験内容
共通問題(70%)と専門科目(30%)で構成されています。専門科目はフィルムカメラ、デジタルカメラ、フォトレタッチから選択。
カメラの一般的知識のほかに、デジタル理論、レンズ、アクセサリー、プリント、投影技法、文化、モラルなど幅広い分野から出題されます。共通問題の中にはフィルムに関する一般的知識が問われる問題も出るので、デジタル選択だからといってフィルムの知識がまったく必要ないというわけではありません。
合格基準は大体7割以上の得点らしいです。すべてマークシートですが、ちゃんと勉強しておかないと7割突破は大変ですね。
合格率は1級/22%、準1級/35%、2級/79%、3級/89%(平成23年実績)となっています。2級、3級は比較的高い合格率ですが、1級、準1級は難関の試験です。。
試験時期
通常は年1回、11月の中旬くらいです。今年(平成24年)は11月18日(日)の予定です。
試験会場は日本全国結構多くの会場で実施されるので、地方の方でも受けやすいです。また、級の組み合わせによっては午前と午後で2階級のダブル受験も可能。
年に1回しかない試験なので、タイミングを逃すと1年後になってしまいます。。今からだとちょうど試験まで3ヶ月。勉強を始めるのにも良いタイミングですね。
検定料
3級/3,800円 から 1級/6,800円 まで。詳細は上記のリンクからご確認ください。
気軽に受けるにはちょっとお高いかな。。?なんて思ってしまいますが、しっかり勉強して受験するなら妥当なお値段なんじゃないかと思います。私が受験したころよりちょっと値上がりした気がする。。w
どんな問題が出るの??
各級こんな感じの問題です。(フォトマスター検定HPから引用)
3級
4.次の文章を読んで、( )内に入る正しい言葉の組合せを①~③の中から選べ。
「AEとは、現在、ほとんどのカメラが搭載している自動露出制御機構のことである。その中で、『シャッター速度優先AE』は、(ア)を撮影者が設定し、被写体の明るさに応じて適切な(イ)をカメラが自動的に決める露出制御のモードである。」
①ア:絞り値、イ:シャッター速度
②ア:シャッター速度、イ:絞り値
③ア:シャッター速度、イ:ISO感度
2級
6.次の文章を読んで、( )内に入る正しい言葉の組合せを①~③の中から選べ。
「カメラのファインダーの仕様を示す際に、(ア)と(イ)が用いられる。(ア)は、実際に写しこむ画像とファインダーで見える範囲とを比率(%)で表したものである。(ア)が100%の場合、ファインダーで見た範囲と全く同じ範囲を写しこむことができ、より正確な(ウ)が可能になる。」
①ア:倍率、 イ:視野率、ウ:ピント合わせ
②ア:視野率、イ:倍率、 ウ:フレーミング
③ア:視野率、イ:倍率、 ウ:AFロック
準1級
4.次の文章を読んで、正しい記述を①~③の中から選べ。
「多くのレンズシャッター式カメラ(コンパクトカメラ)のシャッター機構は、レンズ内またはその近傍に組み込まれている。このレンズシャッターは、フォーカルプレンシャッターと比べてどのような違いがあるか。」
①フォーカルプレンシャッターと比べて長時間露光には不向きで、最長10秒程度までしか設定できない
②フォーカルプレンシャッターと違い、ストロボ同調速度が1/60秒程度より遅くしか設定できない
③フォーカルプレンシャッターと比べてより速いシャッター速度でもストロボの発光に同調できる
1級
4.次の文章を読んで、( )内に入る正しい言葉の組合せを①~③の中から選べ。
「写真用レンズは、できる限り収差が少なくなるようにしているが、(ア)では球面収差または色収差を適度に残して効果を得ている。モノクロ撮影においてはどちらの収差でもよいが、カラー撮影では一般的に(イ)だけを残したものが用いられる。」
①ア:円像(円周)魚眼レンズ、イ:色収差
②ア:対角線魚眼レンズ、イ:球面収差
③ア:ソフトフォーカスレンズ、イ:球面収差
どうでしょう?
どこまで答えられそうですか?準1級、1級はかなりマニアックですねw 解答はこのエントリーの最後で。他の問題は上記リンクから参照できます。
どうやって勉強すればいいの?
かなりカメラに詳しい方でも、1級くらいだとなにも勉強無しで合格は厳しいと思います。逆に3級くらいならカメラの説明書レベルをしっかり理解できていれば、特に対策は必要ないと思います。
とはいえ、安くは無い検定料を払って受検するわけですから、確実に合格しておきたいところですね。フォトマスター検定用の問題集がいくつか出ているので一冊用意しておくと良いと思います。
3級、2級の方なら問題集1冊しっかりやればほぼ間違いないです。
準1級以上を目指すならもう一冊、日経BPソフトプレスかは発行されている「体系的に学ぶ、デジタルカメラのしくみ 第2版」が超おススメ。カメラの仕組み、イメージセンサーの仕組み、レンズ収差の原理、デジタルファイルの知識など、これ1冊で大方のカメラの基礎知識が学べます。
試験対策でなくても、カメラ好きなら一度読んでおくべき本。
また、デジタル分野ではその年に出た最新の技術や規格(最近だと裏面照射型CMOSだとかSDカードの新規格だとか)について問われる問題も出題されることがあるので、日ごろからカメラ、写真関係の情報サイトから情報収集しておくことも大事ですね。
---
私は一昨年受験したので、日本カメラ社の「フォトマスター検定合格 平成22年度」と上記「体系的に学ぶ、デジタルカメラのしくみ 第2版」を買って1級合格しました♪
私はかなり短期集中型の体質で、問題集を使った本格的な勉強は試験2~3日前からの超短期決戦だったのであまり参考にならないと思いますが(その前から写真、カメラ関係の情報収集は日ごろからしていましたが。。)、上記2冊分の分量であればじっくりやっても1~2ヶ月あればこなせると思います。
---
一度試験対策の勉強をすると、自分が得意な分野と不得意な分野がはっきりしますし、不得意な分野を潰してしまえばより広範囲な写真の知識が身につきますから、一度受験してみることをおススメします!
勉強していてわからないことがあれば、直接質問していただいてもOKですよ♪
---