レンズの名前にはよくわからない記号がいっぱい
レンズの名前には、焦点距離や開放F値といった基本スペックのほか、機能やクラス、タイプなどをあらわす記号が含まれています。でも、種類がたくさんあるうえに、メーカーによってまちまちなルールになっているので、実のところ、カメラ関係の仕事を30年ほどもやっているワタシ自身もこんがらがることがあるほどです。
なにしろ、同じ機能なのにメーカーによって違う記号が使われていたり、反対に同じ記号なのに意味がまるっきり違っていたりすることもあるのです。カメラをはじめたばかりの方や、これからはじめようと思っている方にはちんぷんかんぷんなのではないかと思います。
たとえば、手ブレ補正は、キヤノンは「IS」ですが、ソニーは「OSS」ですし、ニコンは「VR」とばらばら。パナソニックは「O.I.S.」とピリオドつきなのに対して、フジフイルムはピリオドなしの「OIS」です。かと思えば、オリンパスはキヤノンと同じく「IS」だったりして、わざと混乱させようとしているかのようです。
一方、「G」という記号は、ミノルタが高性能タイプのレンズにつけたのが最初ですが、その後、ニコンが絞りリングを省略したレンズにつけるようになりましたし、パナソニックにいたってはマイクロフォーサーズ用レンズ全部に「G」がついていたりします。
また、キヤノンの「L」は高性能タイプのレンズの代名詞的存在として知られていますが、オリンパスやペンタックスでは同じ「L」が廉価版のレンズにつけられる記号になっているのです(いずれも現行ではありませんが)。もう、ややこしくてかないません。
とは言え、レンズの記号の意味が読み取れるようになると、カタログを見ながら次に買うレンズを選びたいときに、自分のカメラに対応しているレンズがどれで、欲しい機能を持っているレンズを見分けるのも簡単になるので覚えておいて損はありません。
ということで、今回は、各社のレンズの名前に使われている記号の意味をそれぞれのメーカーごとに解説していきます。
基本的なレンズの名前の構成
さて、レンズの名前の基本パターンは、
です。
接頭辞にはおもにブランド名(NIKKOR、Planar、ELMARITなど)、マウント名、対応フォーマット、レンズのランクなどが含まれます。接尾辞にはおもにAF駆動用モーターの種類(USM、SSM、PZDなど)のほか、手ブレ補正の有無や使われている特殊な素材(ED、DO、FLなど)が含まれます。
わかりやすいのは「Fish-eye(フィッシュアイ=魚眼)」や接写用の「Macro(マクロ)」「Micro(マイクロ)」などで、これは機能がそのまま表記されている例です。ただし、マクロ機構を内蔵したズームレンズにも「Macro」がつけられている場合があって区別が難しい場合があります(スペック表の最大撮影倍率の数字をチェックする必要があります)。
また、同じメーカーでも発売時期によって名前のつけ方のルールが違っていることもありますので、こちらも注意しないといけません。
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ここからは、各社のレンズの名前を見ながら、それぞれの記号の意味を説明していきます。オリンパス、キヤノン、ソニー、ニコン、パナソニック、ペンタックス、富士フイルム、シグマ、タムロン、トキナーと国内主要レンズメーカーをまとめました。
オリンパス OLYMPUS
オリンパスのレンズの名前は例えばこんな感じです。ここにある要素をひとつずつ紐解いていきましょう。
- M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
- M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4 IS PRO
- M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 EZ
M.ZUIKO DIGITAL(ズイコーデジタル)
ブランド名です。「M.」はマイクロフォーサーズ(ミラーレスのシステム)をあらわします。
一眼レフのフォーサーズ(現行ではありません)用のレンズは「M.」の付かない「ZUIKO DIGITAL」です。
ED = Extraordinary Dispersion
特殊低分散ガラスを採用していることを意味します。
EDガラスは色収差(色にじみ)の低減には欠かせない素材で、レンズの高性能化に高い効果を発揮します。
PRO
高性能タイプの「M.ZUIKO PRO」シリーズのレンズにつけられています。ほかに「M.ZUIKO PREMIUM」シリーズや無印の「M.ZUIKO」シリーズがあります。
IS = Image Stabilization
レンズ内手ブレ補正機構を内蔵していることをあらわします。オリンパスはボディ側に手ブレ補正機構を搭載していますが、より高い補正効果を得られるよう、M. ED 12-100mm F4 IS PROとM. ED 300mm F4 IS PROの2本にはレンズ内手ブレ補正機構も備えています。
EZ
電動ズーム機能を持ったレンズを指します。動画撮影時にスムーズなズーム操作が行なえます。
そのほか
同じスペックで2代目となるレンズには「II」がついています。また、外観変更をあらわす「R」がついたレンズもあります。
ちなみに
「M.ZUIKO PRO」シリーズは防塵・防滴設計となっています。また、「M.ZUIKO PRO」シリーズではありませんが、M. ED 60mm F2.8 マクロとM. ED 12-50mm F3.5-6.3 EZ、M. ED 14-150mm F4-5.6 IIの3本も防塵・防滴設計です。
キヤノン CANON
キヤノンのレンズ名はこのようになっています。
- EF 70-200mm F2.8 L IS II USM
- EF-S 10-18mm F4.5-5.6 IS STM
- EF-M 28mm F3.5 マクロ IS STM
EF / EF-S / EF-M
「EF」はフルサイズ対応、「EF-S」はAPS-Cサイズ専用レンズであることをあらわします。「EF-M」はミラーレスカメラ用で、現時点ではAPS-Cサイズ用のみとなっています。
L = Luxury
高性能タイプのレンズであることをあらわします。
蛍石やUD(Ultra Low Dispersion=低屈折・低分散・異常分散特性を持ったガラス)、非球面レンズを採用したレンズで、かつ一定水準以上の性能を備えたレンズにだけつけられています。
IS = Image Stabilizer
手ブレ補正機構を搭載していることをあらわします。
II
同じスペックで2代目となるレンズにつけられます。3代目以降には「III」「IV」「V」がつけられます。
USM = Ultrasonic Motor
AF駆動源として超音波モーターを搭載していることを意味します。キヤノンの場合、リングUSM、マイクロUSM、ナノUSMの3種類がありますが、いずれもレンズの名前には「USM」だけがつけられます。
STM
AF駆動源としてステッピングモーターを搭載していることを意味します。
ステッピングモーターは動画撮影に適したモーターと言え、新しいレンズに多く採用されています。ミラーレスのEF-Mレンズはすべてこのモーターを使用しています。
そのほか・その1
フルサイズ対応のレンズにはティルトとシフトのアオリ機能を備えた「TS-E」と、等倍以上の高倍率撮影が可能な「MP-E」もあります。いずれもマニュアルフォーカス専用レンズです。
そのほか・その2
特殊な素材としては、EF 400mm F4 DO IS II USMの「DO」もあります。これは「Diffractive Optics=回折光学素子」の略で、絞り込んだときに画質を低下させる要因として知られる回折現象を、レンズを小型化する目的で利用した最新技術のひとつです。
ちなみに
キヤノンの大口径望遠ズームは、初代がEF 80-200mm F2.8 Lで、これは超音波モーターを搭載しておらず、また、外観も黒色でした。2代目がEF 70-200mm F2.8 L USMで、手ブレ補正機構を搭載したEF 70-200mm F2.8 L IS USMが登場し、さらに高性能化をはかった現行のEF 70-200mm F2.8 L IS II USMがつづきます。つまりは4代目になるわけですが、70-200mmのF2.8でISとUSMを搭載したタイプとしては2代目なので「II」となります。このルールはほかのメーカーも共通しています。
ソニー SONY
ソニーのレンズ名はこのようになっています。
- FE 70-200mm F2.8 GM OSS
- Sonnar T*FE 55mm F1.8 ZA
- 500mm F4 G SSM
FE / E
ソニーのミラーレスカメラはEマウントを採用していて「E」がつけられていますが、途中から加わったフルサイズ対応レンズは「FE」がつけられています。
「E」も「FE」も同じマウントなので、フルサイズ、APS-Cどちらのカメラにも取り付けることが可能です(フルサイズ機に「E」を付けるとケラれる)。
Distagon(ディスタゴン)/ Planar(プラナー)/ Sonnar(ゾナー)/ Vario-Sonnar(バリオ・ゾナー)/ Vario-Tessar(バリオ・テッサー)
ツァイスレンズにつけられる名前で、おもに設計のタイプによって異なります。末尾に「ZA」がつけられます。「Vario」は可変であることを意味し、ズームレンズであることをあらわします。
G / GM=G Master
いずれも高性能タイプのレンズをあらわします。「GM」は「G」のさらに上の性能を持っていることを意味します。
OSS = Optical Steady Shot
光学式手ブレ補正機構を内蔵していることを意味します。電子式手ブレ補正と区別するために「Optical=光学式」が追加されています。
SSM = Supersonic Wave Motor
超音波モーターを搭載したレンズにつけられています。
FE 70-200mm F2.8 GM OSSにもSSMは使用されていますが、2つのリニアモーターを組み合わせたシステムとなっているからか、名前に「SSM」がありません。
SAM = Smooth AF Motor
レンズ内のDCモーターでAF駆動を行なうレンズにつけられています。
そのほか・その1
接頭辞に「DT」が含まれるものは、Aマウント(一眼レフ/トランスルーセントミラーカメラ用)のAPS-Cサイズ専用設計であることをあらわします。「E」「FE」「DT」のいずれもついていない無印のレンズがAマウントのフルサイズ対応レンズとなります。
そのほか・その2
135mm F2.8[T4.5]STFとFE 100mm F2.8 STF GM OSSの2本の「STF」は「Smooth Trance Focus」の略で、アポダイゼーション光学エレメントを採用して理想のボケ味を追求したレンズにつけられます。なお、アポダイゼーション光学エレメントによってレンズをとおる光の量が減ってしまうため、実用上のレンズの明るさをあらわす「T値」も併記されています。
ニコン NIKON
ニコンのレンズ名はこのようになっています。
- AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8 E FL ED VR
- AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6 G VR
- Ai AF Zoom-Nikkor ED 80-200mm f/2.8 D<New>
NIKKOR(ニッコール)
ブランド名です。以前は「Nikkor」でしたが、最近のレンズは全部大文字になっています。また、ズームレンズも以前は「Zoom-Nikkor」でしたが、今は「NIKKOR」のみとなっています。なお、ミラーレスのNikon 1用レンズは「1 NIKKOR」となります。
AF-S / AF-P / AF
「AF-S」は超音波モーター(SWM=Silent Wave Motor)を、「AF-P」はSTM=ステッピングモーターを搭載したレンズを指します。「AF」表記のレンズはカメラに内蔵されたモーターでAF駆動を行ないます。
Ai = Automatic Maximum Aperture Indexing
絞りリングの突起によってレンズの開放F値をカメラに伝達する仕組みを持ったレンズにつけられています。今は電子接点でレンズの情報をカメラに伝達するようになっています。
DX
「ニコンDXフォーマット」に対応したAPS-Cサイズ専用設計であることをあらわします。フルサイズ(ニコンFXフォーマット)に対応したレンズには記号はつきません。つまり、「DX」がないレンズがフルサイズ対応ということです。
E / G / D
「E」は電磁絞り(レンズ内のモーターによって絞り羽根を駆動する仕組み)を採用したEタイプレンズであることを意味します。なお、Eタイプレンズに対応するカメラはかぎられますので、購入前に必ず確認してください。
「G」は絞りリングを持たないGタイプレンズ、「D」は測光やストロボ調光の高精度化に寄与する距離情報を得るための距離エンコーダーを内蔵したDタイプレンズであることを意味します。
FL = Fluorite
蛍石レンズを採用していることをあらわします。蛍石は色収差の低減に絶大な効果があり、レンズの軽量化にも寄与しますが、高価で加工が難しい面もあります。
なお、蛍石はガラスではないので、「蛍石ガラス」と言うのは間違いです。
ED = Extraordinary Dispersion
特殊低分散ガラスのことを指します。これも色収差の低減に効果があり、フィルム時代は高性能タイプのレンズにしか使われませんでした。最近は低価格タイプのレンズにも多く使われているせいで、ありがたみは少し薄れつつあります。
VR = Vibration Reduction
手ブレ補正機構を内蔵していることをあらわします。
そのほか・その1
AF-S 300mm F4 E PF ED VRの「PF」は「Phase Fresnel=位相フレネル」の略で、回折現象を利用した光学素子の一種です。キヤノンの「DO」同様、レンズの小型化に大きく寄与します。
そのほか・その2
AF DC 135mm F2 Dなどの「DC」は「Defocus Control」の略で、ボケ味を調整できるDCレンズにつけられる記号です。DCリングを回すことで前ボケや後ボケを変化させられるのが特徴です。
そのほか・その3
2代目であることをあらわす「II」がついているレンズもあります。
「1 NIKKOR」には「PD」や「AW」がつくものがありますが、それぞれ電動ズーム、防水であることを示します。
そのほか・その4
PC-E NIKKOR 24mm F3.5 D EDなどの「PC」は、「Perspective Control」の略で、アオリ機構を持つレンズにつけられる記号です。以前はシフトアオリ機構を持つレンズにつけられていたものですが、現行のPCレンズはティルトアオリ機構もあわせ持っています
これも最近になって命名ルールが変更されており、以前は電磁絞りを持つPCレンズが「PC-E」だったのが、2016年発売の19mmでは接頭辞が「PC」で接尾辞に「E」がついています。
ちなみに・その1
ニコンのレンズはある時期から名前のつけ方のルールが変わっています。「Nikkor」と「NIKKOR」の違いもそうですし、「VR」が接頭辞に含まれるものもあれば、接尾辞に含まれるものもあります。また、以前は2代目モデルに「NEW」がつけられるのが普通でした。
なお、開放F値を「f/数値」で表記しますが、意味としてはほかのメーカーの「F数値」と同じです。
ちなみに・その2
以前、レンズ内にAF駆動用モーターを内蔵した「AF-I」レンズがありましたが、わりと短期間で姿を消しました。「AF-S」レンズがAF駆動音の静かさを売りにしている理由が想像できます。
パナソニック PANASONIC
パナソニックのレンズ名はこのようになっています。
- LUMIX G X VARIO 35-100mm / F2.8 II / POWER O.I.S.
- LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm / F2.8-4 ASPH.
- LUMIX G 20mm / F1.7 II ASPH.
LUMIX / LEICA
前者はパナソニックブランド、後者はライカブランドのレンズであることをあらわします。
ズームレンズには「VARIO」がつきます。「LEICA DG」レンズには設計のタイプなどによって「Nocticron(ノクチクロン)」「Summilux(ズミルックス)」「Vario-Elmarit(バリオ・エルマリート)」「Vario-Elmar(バリオ・エルマー)」「Elmarit(エルマリート)」といった名前がつけられています。
G / DG
前者はパナソニックブランド、後者はライカブランドのマイクロフォーサーズ用レンズであることをあらわします。
X
ナノサーフェスコーティングなどを採用した高性能タイプのレンズにつけられる記号です。
II
同じスペックの2代目をあらわします。ボディ内手ブレ補正と連携するDual I.S.2への対応や外観の変更などが行なわれています。
ASPH. = Aspherical
非球面レンズを使用していることを意味します。
歪曲収差の低減や小型軽量化などに効果があります。パナソニックは非球面レンズ技術に絶大な自信を持っていて、そのあらわれとも言えます。が、最近は各社とも廉価版のレンズにも非球面レンズを使っていますから、あまりありがたみはありません。
POWER O.I.S. / MEGA O.I.S.
「O.I.S.」は「Optical Image Stabilizer」の略で、光学式手ブレ補正のことです。電子式手ブレ補正と区別するため「光学式」が含まれます。
「POWER O.I.S.」は効果の高いタイプで、特にゆっくりしたブレに対する補正力が強化されているのが特徴です。
そのほか
G X VARIO PZ 14-42mm F3.5-5.6などの「PZ」は電動ズームをあらわします。液晶モニターのタッチ操作でズーミングすることも可能となっています。
ちなみに
焦点距離と開放F値のあいだなどに「/」を挟むのが公式のスタイルですが、通常は無視されることが多いです。
ペンタックス PENTAX
ペンタックスのレンズ名はこのようになっています。
- HD PENTAX D FA★ 70-200mm F2.8 ED DC AW
- HD PENTAX DA 15mm F4 ED AL Limited
- smc PENTAX DA 17-70mm F4 AL[IF]SDM
PENTAX
旭光学工業時代からのブランド名です。
HD / smc
レンズのコーティングのタイプをあらわします。従来のものが「smc=super multi coating」で「HD」は最新のHDコーティングを意味します。
FA / DA
対応フォーマットを指します。「FA」はフルサイズ対応で、「DA」は基本的にはAPS-Cサイズ用ですが、例外的にDA★ 200mm F2.8 ED[IF]SDM、DA★ 300mm F4 ED[IF]SDM、HD DA 560mm F5.6 ED AWの3本はフルサイズにも対応可能とされています。
★
公式には上つきの小さめの「★」で表記され(読みは「スター」)、高性能タイプのレンズであることを示します。
ED = Extraordinary Dispersion
色収差の低減に効果の高いEDガラスを採用したレンズであることをあらわします。
AL = Aspherical
歪曲収差などの低減に効果の高い非球面レンズを採用したレンズであることをあらわします。
IF
ピント調節方式にインナーフォーカスを採用したレンズであることを意味します。
レンズ内の一部だけを動かしてピント合わせを行なう方式で、全体を動かすのに比べて高速なAFが可能です。また、ピント精度を高める効果も期待できます。以前は超望遠レンズなどにだけ使われてきた手法ですが、最近はさまざまなレンズがIFやRF(リアフォーカス)を採用するようになったこともあって、省略するメーカーが増えています。
SDM = Supersonic Direct-drive Motor
超音波モーターによるAF駆動を行なうレンズであることを示します。
DC
レンズ内のDCモーターでAF駆動を行なうレンズであることを示します。
PLM = Pulse Motor
レンズ内のステッピングモーターでAF駆動を行なうレンズであることを示します。
AW = All Weather / WR = Water Resistant
「AW」は防塵・防滴設計であることをあらわしています。
「WR」は簡易防滴設計となっています。なお、DA★ 16-50mm F2.8 ED AL[IF]SDMなどのように、防塵・防滴設計ながら「AW」がついていないレンズもあります。
Limited
描写性能だけでなく、質感などにもこだわった趣味性の高いレンズにつけられます。
そのほか・その1
接頭辞に「FA J」「DA L」がつくものは低価格タイプのFAレンズ、DAレンズであることをあらわします。
フジフイルム FUJIFILM
フジフイルムのレンズ名はこのようになっています。
- FUJINON XF 50-140mm F2.8 R LM OIS WR
- FUJINON XF 56mm F1.2 R APD
- FUJINON XC 16-50mm F3.5-5.6 OIS
FUJINON
ブランド名です。
XF / XC
ともにXシリーズのレンズ交換式カメラ(ようはミラーレスカメラ)に対応するレンズであることを示しますが、「XC」は廉価版のシリーズにつけられています。
R
絞りリングを備えたレンズにつけられています。それ以外のレンズは、カメラ側の電子ダイヤルで絞りの設定を行ないます。
LM
AF駆動源としてリニアモーターを採用していることを示します。
ミラーレスカメラでは、一眼レフでは主流の超音波モーターよりもステッピングモーターやリニアモーターが多く使われています。
OIS = Optical Image Stabilization
光学式手ブレ補正機構を搭載していることを示します。
WR
防塵・防滴設計のレンズであることをあらわしています。
APD
アポダイゼーションフィルターを採用していることを意味します。
ソニーのSTFレンズと同様。レンズをとおる光の量が少なくなるので、絞りリングにT値が表示されています。
II
同じスペックで2代目のレンズであることを意味します。
シグマ
シグマのレンズ名はこのようになっています
- APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM
- 135mm F1.8 DG HSM Art
- 16mm F1.4 DC DN Contemporary
APO(アポ)/ EX
「APO」はアポクロマート(Apochromat)を意味し、色収差の少ない望遠系のレンズにつけられる記号です。
「EX」は高性能タイプのレンズであることを示します。ただし、いずれも新しいSGV(Sigma Global Vision)プロダクトラインにおいては使われていません。
DG / DC / DN
対応するフォーマット、カメラのタイプを示します。「DG」はフルサイズ対応、「DC」はAPS-Cサイズ以下用、「DN」はミラーレスカメラ用となります。
APS-Cサイズのミラーレスカメラやマイクロフォーサーズ用は「DC DN」となります。
OS = Optical Stabilizer
レンズ内に手ブレ補正機構を搭載していることをあらわします。
HSM = Hyper Sonic Motor
AF駆動源として超音波モーターを内蔵していることを意味します。
Art / Sports / Contemporary
それぞれSGVプロダクトラインのレンズの末尾につけられます。
「Art」は画質を最優先にした設計が特徴です。「Sports」は画質だけでなくAFスピードやハンドリングなどにも配慮した仕様の望遠系レンズにつけられます。「Contemporary」は画質を保ちつつ小型軽量化をはかったシリーズとなります。
タムロン
タムロンのレンズ名はこのようになっています。
- SP 70-200mm F/2.8 Di VC USD G2 Model A025
- 16-300mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD MACRO Model B016
- 18-400mm F3.5-6.3 Di II VC HLD Model B028
SP
高性能タイプをあらわす記号です。
Di / Di II / Di III
それぞれ対応するフォーマット、カメラのタイプを示します。
「Di」はフルサイズに、「Di II」はAPS-Cサイズ専用となります。「Di III」はミラーレスカメラ用で、APS-Cサイズ用とマイクロフォーサーズ用があります。
VC = Vibration Compensation
手ブレ補正機構を内蔵していることを示します。
USD = Ultrasonic Silent Drive / PZD=Piezo Drive
どちらも超音波モーターを採用していることを意味します。
タムロンでは、リング型の超音波モーターを「USD」、円弧型のコンパクトなユニットになっているタイプのものを「PZD」と区別しています。
HLD = High / Low Torque-modulated Drive
低速でも高速でも高いトルク(回転力)を発揮するモーターによってAF駆動を行なうレンズにつけられています。
LD = Low Dispersion
異常低分散ガラスのことで、蛍石やEDガラス同様、色収差の補正に威力を発揮します。
以前は高性能タイプのレンズにだけ使われていましたが、次第に安価なレンズにも多く使われるようになったこともあって、最近は省略される傾向となっています。
Aspherical
歪曲収差の低減などに効果のある非球面レンズを採用していることをあらわしますが、これも「LD」と同様の理由で省略されるようになってきています。
G2
新シリーズであることを意味しています。
コンセプト的にはSP 35mm F/1.8 Di VC USD Model F012なども同じラインに属するように思えますが、「G2」はつけられていません。
Model
レンズのモデル名をあらわしており、同じスペックのレンズでも区別できるようになっています。
ただし、アルファベットと数字のつけ方のルールがはっきりしないこともあって、モデル名だけではちんぷんかんぷんになりやすいという弊害もあります。
ちなみに・その1
開放F値は「F/数値」が公式のスタイルですが、ニコンやパナソニックと同様、カメラ専門誌などではほかのメーカーとの統一をはかるためもあって無視されることが多いです。
ちなみに・その2
SP 90mm F2.8 Di MACRO 1:1 VC USD Model F017などの「MACRO 1:1」は、等倍撮影が可能なマクロレンズであることをあわらします。MF時代やAF時代の初期はマクロレンズの最大撮影倍率は0.5倍が一般的だったこともあって、タムロンでは等倍撮影が可能なものには「1:1」をつけています。
トキナー
トキナーのレンズ名はこのようになっています。
- AT-X 70-200mm F4 PRO FX VCM-S
- AT-X 14-20mm F2 PRO DX
- FiRIN 20mm F2 FE MF
FiRIN(フィリン)
ミラーレスカメラ向けの高性能タイプのレンズシリーズにつけられたブランド名です。
AT-X / PRO
一眼レフ用の高性能タイプのレンズにつけられている記号です。
FX / FE / DX
対応するフォーマット、カメラのタイプを示します。
「FX」はフルサイズの一眼レフ対応、「DX」はAPS-Cサイズの一眼レフ専用、「FE」はソニーEマウントのフルサイズ用です。
VCM = Vibration Compensation Module
手ブレ補正機構を内蔵していることを意味します。
S
リング型の超音波モーターを内蔵していることを意味します。なお、同社唯一の「VCM-S」レンズであるAT-X 70-200mm F4 PRO FX VCM-Sは残念ながら生産が終了しています。
MF
マニュアルフォーカスレンズであることを意味します。
まとめ
今回は、国内のおもなカメラメーカーとレンズメーカーについて調べてみましたが、それだけでもかなりの分量になってしまいました。これを全部覚えるのは大変ですが、自分が使っているメーカーのぶんだけでもチェックしておくと、次にレンズを買うときなどに役に立つのではないかと思います。
レンズの名前に含まれない記号や言葉もたくさんありますので、そちらのほうも機会があればチャレンジしてみたいと思っています。
一覧表あります
今回の内容を一覧表にしました。PDFで大きく見ることもできます。