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ついに復活の「VAIO Z」。約958gのフルカーボン仕様、Core H35搭載で34時間動作
2021年2月18日 13:00
VAIO株式会社は18日、14型モバイルノート「VAIO Z」を発表した。本日より予約受付を開始し、3月上旬より出荷する。価格はオープンプライスで、量販店取り扱いの個人向け標準モデルは30万9,800円からの見込み。
前世代のVAIO Zは2015年にフリップ型が、2016年にクラムシェル型が投入されたが、それ以降は新設計の機種が投入されず、VAIO SX12やSX14といった「Sシリーズ」がVAIOのモバイルノートを牽引していた。
今回発表された「VAIO Z」はクラムシェル型を採用し、IntelのハイエンドCPU「Core H35」シリーズを搭載。同シリーズはTDP 35Wとなっており、現行のTiger Lake世代のUプロセッサ(TDP 28W)よりも高いクロックを引き出せる。このほか、PCI Express 4.0世代でシーケンシャルリード6GB/s超えのSSDを実装するなど、性能面で大きな優位点を備えている。
ハイエンドパーツを実装しながら、重量は最小で958gと1kgを切り、フルHDモデルの場合はバッテリも最大34時間駆動と、従来製品よりも大幅に動作時間を改善。新開発で大容量・薄型軽量の53Whバッテリが使われているとのことで、4Kモデルでも最大17時間駆動を可能とし、モバイルノートとしての総合的な性能を突出させた。
今回TDP 35WのハイエンドCPUを冷却するために、日本電産株式会社と共同開発した新設計のデュアルファン搭載クーラーを装備。低騒音な流体動圧軸受け機構のほかに、不等配ピッチで最適化されたファンの羽は、同等サイズのファンと比較して、騒音値を下げつつ風量を約30%向上させることに成功したという。
なお、Core H35を搭載しつつ、1kgを以下のノートは現在世界で唯一という。
量販店モデルでは、Core i7-11370H搭載の2モデルと、Core i5-11300H搭載の1モデルを用意。メモリは16GBで、SSDは512GBと共通。最上位が4K液晶と5Gモデムを搭載し、残り2モデルがフルHD液晶でモデム非搭載。価格は30万9,800円から41万9,800円。Web直販のCTOモデルでは、メモリの32GB構成や、SSDの2TB化、Windows 10 ProとTPMの搭載などが選べる。
型番 | VJZ14190111B | VJZ14190211B | VJZ14190311B |
---|---|---|---|
CPU | Core i7-11370H (4コア/8スレッド、3.3~4.8GHz) | Core i5-11300H (4コア/8スレッド、3.1~4.4GHz) | |
GPU | Iris Xe Graphics | ||
メモリ | LPDDR4x 16GB | ||
ストレージ | NVMe M.2 SSD 512GB(PCIe 4.0 x4) | ||
ディスプレイ | 14型4K非光沢液晶 HDR対応、DCI-P3カバー率99.8% | 14型フルHD非光沢液晶 | |
解像度 | 3,840×2,160ドット | 1,920×1,080ドット | |
OS | Windows 10 Home | ||
バッテリ駆動時間 | 約17時間 | 約34時間 | |
汎用ポート | Thunderbolt 4×2(DisplayPort、USB PD対応) | ||
映像出力 | Thunderbolt 4、HDMI | ||
無線機能 | 5G(Nano SIM)、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1 | |
WANの対応バンド | 5G: n1/2/3/5/7/8/12/20/28/ 38/41/66/71/77/78/79 4G: B1/2/3/4/5/7/8/12/13/14/ 17/18/19/20/25/26/28/29/30/32/ 34/38/39/40/41/42/46/48/66/71 3G: B1/2/4/5/6/8/9/19 | - | |
Webカメラ | 207万画素 | ||
セキュリティ | 顔認証センサー、指紋認証センサー | ||
その他インターフェイス | ステレオスピーカー、ステレオマイク、音声入出力端子 | ||
付属アプリ | Office Home & Business 2019 | ||
本体サイズ (幅×奥行き×高さ) | 約320.4×220.8×12.2~16.9mm | ||
重量 | 約1,059g | 約982g | 約958g |
店頭予想価格 | 41万9,800円 | 34万9,800円 | 30万9,800円 |
VAIO Zならではの新たな試みとして、筐体の全面にカーボンファイバー素材を採用。カーボンファイバーはマグネシウム合金の約2倍の比弾性率を備えており、軽量モバイルノートでよく使われるマグネシウムリチウム合金やアルミ合金よりも剛性が高いという特徴を備える。
カーボンファイバーがノートPCの素材として使われるのはめずらしいことではないが、曲げ加工といった立体成型が難しいため、平面部材での使用にとどめるのが普通だった。しかし、今回VAIOは東レ株式会社との協力により、ノートPCの天板から底面までの4面すべてをカーボンファイバー積層板で構成することに成功。剛性と軽量さを合わせ持つ、まったく新しいVAIO Zを誕生させた。
また、5Gモデムを搭載するモデルも用意しており、次世代の高速通信が可能。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの国内主要キャリアのモジュール認証を取得済みで、4x4アンテナを使ったSub6の通信を利用することができる。
ポート類は、これまでのVAIO製品と異なり、レガシーポートがなくなって、Thunderbolt 4(USB Type-C)が2基、HDMIと非常にシンプル。USB Type-A端子は装備されていない。Type-Cは筐体の左/右側面にそれぞれ配置され、USB PDとDisplayPort Alternate Modeをサポートしている。
また、丸形コネクタのACアダプタも使用されておらず、充電はUSB PDでのみ行なう仕様へと変わり、最大65W出力のGaN(窒化ガリウム)採用小型USB PD充電器が付属するようになった。
キーボード周りも新しくなっており、キーストロークが従来の1.2mmから1.5mmへと深くなり、ストロークが安定したことに加え、キートップにへこみをつけることで打鍵感を改善。パンタグラフの材料も見直され、静音性が増しているとする。
キーボードは日本語配列と英語配列を用意し、日本語配列はかな文字なし/かな文字あり/かな文字なしで隠し刻印の3種類を、英語配列は隠し刻印の有無で2種類を展開。キーボードはパームレストの耐指紋性能が向上し、汚れがつきにくくなり、キートップも新しいフッ素含有UV硬化塗装で皮脂汚れによるテカリが軽減されている。
Windows Helloによる生体認証は、指紋と顔認証の2つに対応。指紋認証センサーは電源ボタンに内蔵されており、電源投入と同時に認証も行ない、スムーズにWindows 10にログイン可能。
顔認証センサーは、今回人感センサーが搭載されたことで、離席時の自動ロック、着席時のロック解除からの顔認証で即作業画面に戻れるといったセキュリティと利便性を兼ね備えた使い方を提供している。オプションとして、スマートフォンから位置情報確認やロック/アンロック命令、消去命令を実行できる「TRUST DELETE for VAIO」も用意されている。
Web会議周りの機能として、カメラにプライバシー保護のためのスライド式シャッターが用意され、物理的に映像を遮断できるようになった。そしてマイクの集音性能を上げるとともに、キーボードの打鍵音などを拾いにくくするために、制振性の高いゴムを採用して密閉性を向上させるといった試みもなされた。
剛性については、これまでの90cm 6方向の落下試験に加え、76cm 20方向の落下試験を追加。さらに、鉄板への落下、150kgfの加圧振動、液晶ハウジング加圧、ディスプレイとキーボード面へのペンはさみ、キーボード水かけ、角衝撃、本体ひねりといった数々の試験をパスするとともに、今回から米国防総省の調達規格であるMIL-STD-810Hに準拠した試験も行なわれ、堅牢さを強調している。
高速CPUを選べる「SIGNATURE EDITION」
VAIO Zでは通常モデルのほかに、直販のCTOで選べる「SIGNATURE EDITION」を展開。SIGNATURE EDITIONでは、Turbo Boostで最大5GHzまで動作する高クロックのCore i7-11375Hを選べるほか、カーボンファイバーの繊維目を活かした塗装を施すといった特別仕様にすることも可能となっている。