買い物山脈
ようやく購入できた「VAIO SX12 ALL BLACK EDITION」は、やはり思った通り最高だった
2022年9月26日 06:21
- 製品名:VAIO SX12 ALL BLACK EDITION
- 購入金額:29万6,000円
- 購入時期:2022年7月1日
- 使用期間:約3カ月
「VAIO SX12」は、VAIOの12.5型モバイルノートだ。筆者は長年自作PCをメインとして使用しているので、ノートPCに求めるのは何よりも携帯性。そのため、コンパクトかつ軽量なこの機種がずっと気になっていた。だが、VAIO SX12は、Intelの第11世代Core登場後に第10世代Core搭載製品が発売されるといったように、型落ち感のあるCPUを搭載する製品が続いていたため、新しいテクノロジー好きの筆者としては手を出せずにいた。
しかし、今年の夏モデルでは、第12世代Coreを発表直後に搭載してきた。長い間注目していたこともあり、やっと来た絶好のチャンスということで、手元に結構新しめのモバイルノートがあったが、購入に踏み切ることにした。本稿では、今まで使用していた第11世代Core搭載モバイルノートである富士通の「FMV LIFEBOOK UH90/E3」との比較なども含めて、使い勝手を紹介したいと思う。
ALL BLACK EDITIONを選んだのは見映えだけではない
今回購入したのはVAIO SX12のプレミアムモデルである「ALL BLACK EDITION」。もともと黒色が好きな筆者はロゴさえも黒にして全体を漆黒としたALL BLACK EDITIONに惹かれていたが、選んだのはそれだけが理由ではない。
標準モデルで選択できる最上位CPUは12コア/16スレッドのCore i7-1260Pだが、ALL BLACK EDITIONには14コア/20スレッドのCore i7-1280Pが搭載されているからだ。CPUを換装できないノートPCでは、できるだけ性能の高いCPUを選んで長く使うというのが筆者の信条なので、CPUの違いを見た時にALL BLACK EDITION一択となった。
ちなみに、筆者の用途としては出先でのみの使用となるので、メモリは16GB、SSDは512GBを選択した。なお、ALL BLACK EDITIONならではのオプションとしては5G WANなどがあるが、そのほかのオプションは選択していない。購入金額は29万6,000円。
購入したSX12 ALL BLACK EDITIONの主なスペック | |
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メーカー | VAIO |
製品名 | SX12 ALL BLACK EDITION |
OS | Windows 11 Home |
Microsoft Office | なし |
CPU | Core i7-1280P(14コア/20スレッド) |
メモリ | LPDDR4X 16GB(デュアルチャネル対応) |
ストレージ | 512GB(PCI Express 4.0) |
ディスプレイ | 12.5型(1,920×1,080ドット、非光沢) |
通信 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.1、Gigabit Ethernet |
主なインターフェイス | Thunderbolt 4×2、USB 3.0×2、HDMI |
キーボード | 日本語キーボード |
カメラ | フルHD(207万画素)、Windows Hello対応 |
バッテリ駆動時間 | 最大26時間 |
本体サイズ(幅×奥行き×高さ) | 287.8×205×15~17.9mm |
重量 | 936g(実測) |
直販価格 | 29万6,000円 |
コンパクトボディに使い勝手のよい機能を凝縮
12.5型のコンパクトサイズということで画面サイズが小さいことは織り込み済み。それよりもキーボードの使い勝手が気になっていたが、それは杞憂に終わった。
キーボードは標準的な構成で、Shift、Spaceなどのコントロールキーが小さめだが、特に操作しずらいといったことはない。文字入力キーのキーピッチは19mmと標準でストロークも1.5mmと十分。SX12はキーボードに傾斜がつく構造となっていることもあり、非常に文字入力が快適に行なえる。
タッチパッドの感度も良好だ。確実に右クリック、左クリックが行なえる物理ボタンがついているのも操作性を高めている。
インターフェイスもThunderbolt 4端子を2基搭載するなど充実している。Gigabit Ethernetを装備する点も、不特定の場所で使用するモバイルPCとしては安心感がある。
思った以上に快適だったのは、指紋認証と顔認証の両方に対応している点だ。指紋リーダーは電源ボタンに搭載されているので、指紋を登録した指で電源ボタンを押せば、WindowsにサインインするのにPINやパスワードを入力する必要はない。加えて、PCを起動したまま離席するなどしてロックがかかった場合も、PCの前に座ればカメラが顔を認証して自動的にロックが解除される。これはなかなか便利だ。
なお、カメラはWeb会議などでの映りを最適化する機能を搭載しており、使う場所に応じて顔の明るさが適正になるよう露出を制御したり、顔が最適な大きさで中心になるように自動でフレーミングを調整したりできる。背景ぼかし機能も搭載しているので、出先でWeb会議に参加する際に重宝している。
第11世代Coreを搭載した富士通のモバイルノートと比較してみる
筆者はこれまで、第11世代のCore i7-1165G7を搭載した富士通の13.3型モバイルノート「FMV LIFEBOOK UH90/E3」を使用していた。これとVAIO SX12 ALL BLACK EDITIONを比較してみたい。
まずサイズを比較してみる。VAIO SX12 BLACK EDITIONは、287.8×205×15~17.9mm(幅×奥行き×高さ)。FMV LIFEBOOK UH90/E3は、307×197×15.5mm(同)。SX12の方が幅が2cmほど小さいため、少し小さめのA4カバンでも余裕をもって収納できるようになったのはうれしいところだ。
重量はVAIO SX12 BLACK EDITIONが936g、FMV LIFEBOOK UH90/E3が802gで、その差は134g。PC単体ではかなり重くなったと感じる。しかし、VAIO SX12 BLACK EDITIONはACアダプタが軽量なので、ACアダプタ込みだと、VAIO SX12 BLACK EDITIONが1,093g、FMV LIFEBOOK UH90/E3が1,054gとその差はわずか39gとなる。ACアダプタ込みで持ち歩いていた筆者にとっては総重量はあまり変わらない感じだ。
性能は期待以上にVAIO SX12 BLACK EDITIONのほうが高かった。下に実アプリを動作させ処理能力を計測する「PCMark 10」のスコアを掲載しているが、VAIO SX12 BLACK EDITIONのPCMark 10総合スコアは「5,513」、FMV LIFEBOOK UH90/E3が「4,458」で24%も上回っている。詳細スコアを見ても、全項目ともVAIO SX12 BLACK EDITIONのほうが高い。
アプリケーションの起動速度やWebブラウジング関連の処理性能などを計測するEssentialsのスコアでは7%、表計算アプリやワープロアプリの処理性能を計測するProductivityのスコアでは21%、写真や動画編集、3Dレンダリングなどデジタルコンテンツ制作に関わる作業の処理性能を計測するDigital Contents Creationのスコアでは45%上回っている。マルチコアが効くDigital Contents Creationのスコアは特に圧倒的の差だ。
VAIO SX12 BLACK EDITIONが内蔵する第12世代Coreは性能重視のP(Performance)コアと電力効率重視のE(Efficient)コアの2種類のコアを搭載。主にメインで使用している作業にPコアを割り当て、バックグランドで動いている作業にはEコアを割り当てることで、ユーザーが今一番やりたいことをストレスなく行なえるようになっている。
例えば、動画のエンコード中にWeb会議が始まった場合は、動画エンコードに割り当てられていたPコアがメインで使用するWeb会議アプリに割り当てられ、バックグランドに回した動画エンコードアプリにはEコアが割り当て直されるといった具合にだ。また、例えばPコアで何かの作業を行なっているときに、ウイルス対策ソフトなどが動きだしてもEコアがその処理を担当するので、Pコアで行なっているメインの作業は影響を受けない。
その効果もあってか、実際に使っていても、今までよりも明らかに快適だと感じることが多い。ベンチの数値以上に性能の差を感じる。第11世代Core搭載ノートPCから第12世代Core搭載ノートPCに買い替えるのはどうかな? などと考えていたが、買い替えて大正解だった。
すべてにおいて満足度が高い。モバイルノートが欲しいならオススメ
VAIO SX12 ALL BLACK EDITIONは、実際に手にしてみると高級感がありデザイン的にも完成度が高いと感じる。それだけでも所有欲を満たしてくれるが、性能も高く機能も充実している。コンパクトかつ軽量でモバイルノートとしても非の打ちどころがない。まさにすべてにおいて満足度が高い1台だ。
価格が高い点だけが唯一のネックとも言えるが、手軽に持ち運べて、どこでも快適に作業ができるモバイルノートが欲しいならオススメだ。筆者は久々によい買い物ができたと思っている。