買い物山脈
新品購入は何年ぶりか!? 高性能でコンパクトな「ThinkPad X1 Nano」を買ってみた!
2021年4月20日 06:55
- 製品名
- ThinkPad X1 Nano(2021年)
- 購入価格
- 207,724円(1年間 プレミア サポート付き)
- 購入時期
- 2021年2月18日(納品3月30日)
- 使用期間
- 2週間
筆者がライティング業務をするようになってから、紆余曲折20年近く経過しているが、今も変わらず使い続けている唯一のブランドが「ThinkPad」だ。英語キーボードを装備したThinkPadを使うのが筆者のライティングツールとなる。
ThinkPadにこだわる理由
ThinkPadを使い続ける理由は明白で、“赤ポチ”こと「トラックポイント」があるからだ。キーボードの「G」、「H」、「B」の中央に埋め込まれた赤いポッチに軽く力を込めて触れることでマウスと同等の操作ができる。キーボードの領域内でマウス操作が行なえるため、操作の切り替えを意識せずに行なえるので、1度慣れてしまうとその効率の良さはかなりのものだ。
以前はデスクトップPCではマウスを使っていたので、色んなマウスの動作も楽しんでいたが、近年ではデスクトップPCでもレノボが発売する「ThinkPad トラックポイントキーボード」のトラックポイントで済ますようになってきたので、マウスを触るのが週に1度あるかないかのレベルとなっている。
そういう意味では、ThinkPadにこだわる必要はなく、スティック型のポインティングデバイスさえ装備してくれていれば、どこのノートPCでもかまわないのだが、昨今のメーカー各社はどこも採用してくれない。
また、トラックポイントも魅力だが、それと同じくらいキーボードのタッチ感の相性の良さもThinkPadを使い続ける理由の1つだ。ThinkPadのキーボードと言えば、こだわりで使う同業者も多い逸品だが、あまり柔らかすぎず、それでいて芯のある打ち心地。パスタで例えるならアルデンテのようなものだ。
英語キーボードを使う理由はこちらの方がキー数が少ないから。キーが少なければ当然レイアウトはより柔軟に行なえるし、キーサイズも大きくしやすい。
英語キーボードについてはそもそも国内で購入する際にオプションで選択できるメーカーが少ない。また、年中金欠の筆者の場合、すべての機材を新品で買うわけではなく、中古で買って後からカスタマイズするという導入も多い。このとき、英語キーボードの部品をオークションやAmazonなどで購入するのだが、ThinkPadの英語キーボードは他社の部品と比べると圧倒的に購入しやすい。
以上のような理由から、筆者にはThinkPadしか選択肢がないのが現状なのだ。
これまで新旧問わず数多くのThinkPadに触れてきたが、とくに印象に残っているのは20年も前に発売された「ThinkPad s30」だろう。この機種は今でも1台手元に残しているが、B5ファイルサイズながらもフットプリントをオーバーするフルサイズキーボードを備える唯一無二の斬新なデザイン、ミラージュブラックの光沢天板の美しさと、それでいてコンパクトさを両立する本体は今なお魅力の1台だ。
また、2010年発売の「ThinkPad X201s」もかなり印象深い。12.5型/1,440×900ドットと当時としてはなかなか高精細なワイド液晶を搭載し、最上位モデルではArrandale世代のCore i7-620LMを内蔵するなど、今でもキッチリメンテナンスすれば現役で使用できるレベルだ。筆者手持ちのX201sは無線LANデバイスが死亡したり、内蔵SSDが不調になるなど、現役復帰させるにはハードな状態になってきてしまったため、継続利用を諦めた。
X201sが不調になってきたので、次を探すことになったが、トラックポイント的事情と10~12型のコンパクトサイズがストライクゾーンの筆者にとって、ベースの選択肢は当時ThinkPad X200番台のシリーズしかなかった。ところがこれ以降登場するX200番台のシリーズは筆者にとって魅力だった機能がどんどんなくなっていくのである。
まずX220以降、タッチパッドが搭載されるようになった。個人的にはトラックポイントのみを搭載することでパームレスト部をあまり取らない作りのデザインが好みだったのだが、タッチパッドの搭載により、パームレスト部がかなり大きくなってしまった。時代の流れもあり、ひじょうに残念な変更点だが、これはこれで慣れると使いやすいので最近は気にしていない。ただし、誤作動することが多いため、設定でタッチパッドは必ずオフにしている。
次にX230以降、キーボードの種類がアイソレーションタイプに変更になった。キータッチや打ち心地などがかなり変化してしまうが、こちらも仕方がないところと割り切っている。とはいえThinkPadのアイソレーションは割と筆者と相性がいいようで、おそるおそる使ってみると割と短時間で慣れることができたので、これもこれでヨシとしている。
こうした事情もあり、X201s以降、何を使うか試行錯誤を繰り返していた筆者が次に目をつけたのが2015年発売の後期「ThinkPad Helix」だ。「ウルトラブックプロキーボード」装着により、ThinkPadらしいトラックポイント付きキーボードが利用でき、CPUはCore M-5Y71、メモリ容量は最大8GB搭載可能、ディスプレイは11.6型とコンパクトサイズながら、ペン対応タッチパネル内蔵のフルHDディスプレイによるタブレットということで、これを気に入って購入してからは、つい先月までメインのライティングツールとして使用していた。
とはいうものの、やはりメモリ8GBのCore Mシリーズでは、だんだんと日々の作業が苦痛になっていく。ブラウザ動作が重くなり、画像処理でも妙なエラーが多発する。こうした細かいエラーの積み重ねは作業のやる気に悪影響を及ぼす。買い替え時だな、とは以前から考えていた。ところが、11.6型サイズの「ThinkPad Helix」シリーズは後継モデルが出る気配がない。そんなタイミングで筆者の目に止まったのが、今回紹介する「ThinkPad X1 Nano」だったのだ。
これまでも何度か「ThinkPad X1 Carbon」シリーズについては、興味を持ち、実際に中古で買って試してみたこともある。だがやはり14型はサイズが大きく、筆者の狭いテーブルには向かない。
今回「ThinkPad X1 Nano」に惹かれた一番の理由は、なんといってもそのサイズと内蔵パーツだ。13型の2Kディスプレイを搭載ということで通常のCarbonシリーズと比べて少し小さく、重量1㎏未満と軽量なのも嬉しいポイントだ。
また、サイズが小さく軽量化しているとなると、内蔵パーツで妥協する場合が多いが、今回はメモリ容量最大16GBが選択可能で、EVOプラットフォームに準拠。プロセッサは最新11世代Core i7-1160G7で、内蔵グラフィックスが大幅に強化されているのでゲームもできる! ……まぁゲームをやる気はないが、やるやらないではなく、できるというのが重要なのだ。ぶっちゃけここ5年ほど自作を含めてあまり新しいパーツを自腹で買っていなかったのでここらで久々に最新のCPUに触れてみたかった、というのもある。
ということで、久しぶりに新品のThinkPadを購入する運びとなったので、その様子を紹介したい。なお、製品自体のレビューは平澤氏により掲載されているので、ベンチマークや製品の詳細などはそちらをご覧いただきたい。
ついに到着! 久々の最新ノートPCはテンションが上がることばかり
今回筆者の選択した構成はかなりシンプルだ。まずはCPUだが、キャンペーン期間中だったこともあり、Core i7-1160G7モデルが安かったのでこちらをチョイス。メモリは16GB一択、ローカルストレージは昔から最小限構成なので、今回もSSDは256GB。自宅作業が多いため、WWANは選択できるがあえて選択せず。ポートリプリケータも不要、それ以外のオプションもほぼすべて外すが、英語キーボードのチョイスは忘れない。
ただ、発注をかけ終わってから拡張ポートがThunderbolt 4×2とオーディオジャックのみというのを思い出したので、純正のポートリプリケータの1つも用意しておけばよかったと思ったが後の祭り。とりあえずはUSB-C対応の多機能USB Hubでも買っておけば済むだろうという判断だ。
2021年2月18日に発注をかけて、筆者宅に到着したのが3月30日。今回はJACCSSの分割ローンを使用したため、そうした手続きに時間がかかった可能性もあるが、それなりに待たされた印象だ。こうして我が家に久々の新品のThinkPadが到着した。
まずは本体のサイズ感について見ていこう。以前使っていたThinkPad Helixと比べるとフットプリントがほとんど同じ、というよりThinkPad Helixの方が少し大きかったのには驚いた。
理由は明白で、ThinkPad Helixは液晶ディスプレイ自体は11.6型だが、タブレット+ドッキングステーションという構成の都合上、ドッキングコネクタの部分にかなりにゆとりを持たせてあるため、フットプリントが同サイズのノートPCと比べるとそれなりに大きくなっていたからだ。そのため、狭額縁のディスプレイで小型化を意識して作られたThinkPad X1 Nanoと比べるとサイズがほぼ同じくらいになったわけだが、これは嬉しい誤算だ。実際に同じ場所で入れ替えて使っていても違和感がほぼ感じられない。
レビューを読んだり、レビュー執筆で機材を借りて新しいデバイスに触れることは仕事柄よくあるが、実際に自分の手持ち機材として使ってみると気が付くことはたくさんある。なかでもすごく便利に感じるのは、顔認証による自動ロック解除からの自動ログインだ。椅子に座るタイミングで勝手にこちらの顔を認識して、座り終わる頃にはいつの間にかログインが完了している。以前は指紋認証でも同じ感動が味わえたが、これは非常に効率とテンションが上がる。
また、最新のCore i7-1160G7と16GBメモリも感触良好だ。筆者はブラウザとして、新EdgeとGoogle Chrome、Firefoxをすべて導入し、3つとも起動して用途に応じて使い分けている。利用可能な拡張機能に差があるからだ。以前は長時間起動しているとFirefoxがリロードしなくなったり、反応しなくなるなど、明らかにスペック的な事情で動かなくなるトラブルが発生していたが、こうしたトラブルは皆無となった。
また、OneDriveフォルダ内の画像編集中にエラーが発生するという謎の事象も以前のThinkPad Helixでは頻発していたが、ThinkPad X1 Nanoになってから一切発生しなくなるなど、何をやるにせよ、PCのスペックに起因する挙動の不満はなくなったことで、改めてPCを買い替える意味、というものを実感している。
個人的残念ポイントは底面に排気口を備える点だ。これだけ薄くて軽いため、そこそこの大きさの排気口が必要になるのは理解しているが、排気口が底面にあると、筆者が最近愛用していた「MOFT」が貼れないのだ……。
MOFTとはクラウドファンディングで資金調達して製品化した傾斜スタンドを後付けするアイテムだ。ThinkPad Helixに装着して常時使用していたのだが、これが使えず残念だ。仕方ないので、今回は据え置き型のノートPCクーラーとして、エレコム「SX-CL20BK」というノートPCを載せるだけで傾斜と冷却が行なえる物を追加購入して常用している。
USB PDってそういうこと? モバイル運用で大失敗
これだけ軽くて薄ければ、是非屋外に持ち運んで使いたい。ということで、先日取材の機会に恵まれたので、この取材に持ち出して、外出先での利用も試してみた。そして久しぶりのモバイルワークだったこともあり、かなり多くの勘違いと失敗を経験できたので、この情報を共有したい。
まず最初の失敗は調子に乗って標準のACアダプタを持っていかなかったことだ。バッテリ駆動だけで余裕があるだろうとの考えからだが、出先ですべてを完結させることを考えると、持っていくべきだった。
そして普段家でしか使っていなかったので気が付かなかったが、スリープモードのままだと、持ち運んでいるだけでもバッテリ消費がかなり高いという事。バッテリ駆動で持ち運ぶなら休止状態になるように設定しておくべきだった。
また作業を開始してからも、バッテリ駆動であるにも関わらず電源設定をフルパフォーマンス状態にしているなど、バッテリ駆動での利用という意識がまったくなかったこともあり、原稿を書いてる途中でバッテリ容量が20%を切るという大ピンチに陥ってしまった。
そしてもう1つ、「USB PD」の意味を完全に勘違いしていた。USB PD対応のノートPCであれば、USB PD対応のモバイルバッテリから充電したり通電して使える機能と勘違いしていたのだ。そのため、手持ちのUSB PD(18W)対応のモバイルバッテリを使ってThinkPad X1 Nanoに接続してみるが、これが全然充電されない。PC Watchのバックナンバーなど、よくよく調べた結果、ThinkPadの場合、USB PDの最大出力が45W以上なければ充電が行なえないことを理解した。
仕方がないので、慌てて近所の量販店にて、45W給電対応のACアダプタを購入し、AC電源が借りれる喫茶店に入って試すが、今度は手持ちのUSBケーブルがNGだった。恐らくUSB PD非対応ケーブルだったのだと思われるが、悪いことは重なるものだ。万事休すだったが、このときたまたま所持していたUSB PD対応のUSB Type-Cショートケーブルを試してみたところ、見事にThinkPad X1 Nanoが充電できたので、これを使用してちょっと充電しては作業、また充電して作業を繰り返すことで、原稿は無事に完成できた。なお、久々の外出取材の成果はこちら。
最近では外出の機会が減ってしまったため、モバイルでの活用の機会は減っているが、これだけ持ち運びやすいノートPCならきっと仕事のテンションも上がって、執筆のパフォーマンスもますます上がることだろう。2021年はガンガン書いていくぞ!