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DEMOfall08レポート

【ビデオ関連ソリューション編】
RealNetworksが“合法的”DVDバックアップソフトを発売

会期:9月7日~9日(現地時間)

会場:米国Sheraton San Diego Hotel & Marina



●DVDをHDDなどへバックアップして管理・再生

RealNetworks CEOのRob Glaser氏

 「Real Player」などでお馴染みの米RealNetworksは、同社が発売を予定しているDVDライブラリソフト「RealDVD」のデモを行なった。このソフトは、DVDのコンテンツをHDDなどのストレージへバックアップする機能のほか、ライブラリ機能を備える。

 DVDのバックアップ(リッピング)機能というと著作権に関わる問題が取り沙汰されるグレーなイメージもあるが、本アプリケーションはDVDのコピープロテクション技術であるCSSの暗号化をそのままにHDD上にイメージを展開する動作をする。つまり、メディアを利用せずにHDDなどへデータを移してはいるものの、再生プロセスとしては通常のDVDに近い状態であるので、「合法」であることをアピールしているのが大きな特徴だ。

 とはいえ、HDD上でDVDコンテンツを扱うことのメリットは、実演されたデモンストレーションからも伺うことができる。本製品ではDVDのバックアップを行なう段階で、サーバーからカバーイメージをダウンロード。ちょうど、iPhoneなどのカバーフローのように、DVDパッケージのジャケットでタイトルを選択できる。

 そして、取り込んだタイトルにはタグも埋め込まれており、例えばタイトルのカテゴリやレーティングなどによって絞り込むなど、デジタルライブラリらしい検索性の向上も図れる。TVシリーズなどのように、複数のメディアで構成されるようなタイトルの場合でも、1つのタイトルとして管理することが可能だ。

 ちなみに、このDVDのバックアップイメージは、DVDメディアの内容を丸ごとバックアップしている。よって、DVDに含まれるメニューや特典映像なども視聴できるようになっている。

 DVDのバックアップは、PC内蔵のHDDや、外付けHDD、USBメモリなどに置くことができる。ポータブルHDDなどにバックアップすれば、別のPCに接続して再生することもできる。このときは、USBなどでHDDやUSBメモリを接続した時点で、アプリケーション側が自動的にライブラリを更新し、画面にタイトルが追加されるようになっていた。

 この機能は一歩間違うと不正コピーにつながりかねないが、RealDVDのライセンス管理は自分のPCであることを認証させるようになっている。例えば、デスクトップPCとノートPC×2台は同じAさんの所有物である、ということを認証することで、バックアップしたDVDのコピーを個人利用の範囲に留めることになる。

 バックアップ作業自体も簡単で、メディアを挿入すると、自動的にカバーイメージを含むコンテンツ情報を取得。[Save]ボタンを押すだけでバックアップ作業が開始される。また、挿入したDVDを再生中にバックグラウンドでバックアップを作成することもできるようになっている。

 価格は49.99ドルとなるが、来月が予定されている登場直後は29.99ドルで販売される予定。これはPC1台のライセンスが含まれているが、4台のPCで使える追加ライセンスが19.99ドルで販売される予定。OSはWindows XPおよびVistaに対応している。

取り込んだDVDタイトルのライブラリは、カバーイメージが一覧表示される カテゴリやレーティングなどの条件によって、タイトルを絞り込むこともできる
複数枚で構成されるタイトルもひとまとめにして管理が可能。どこまで視聴したかも把握しやすい DVDを挿入すると、カバーイメージやコンテンツ情報などをオンラインで自動取得。Saveボタンを押すだけで取り込みが開始される

●モバイルデバイスをメディアサーバーに

AWIND CEO兼CTOのKuolung Chang氏

 プロジェクター製品などを手がける台湾のAWINDは、モバイルデバイスからイメージやムービーを転送してディスプレイへ出力する「MobiShow」と呼ばれるデバイスをデモンストレーションした。

 MobiShowとモバイルデバイスはWi-Fiで接続。モバイルデバイスの画面内容をそのまま映し出すことができるほか、モバイルデバイス内に含まれるプレゼンテーションファイルや、静止画、動画などもマルチメディアファイルを再生することができる。

 ユニークなのは、MobiShow側に特定ファイルの再生エンジンを持っている点である。モバイルデバイスの画面をそのまま映し出すとなると、モバイルデバイス側の解像度に制限されてしまう。本製品の画面出力機能もその点は同じで、解像度はそのままにスクリーンサイズに合わせて拡大表示が可能なだけである。

 しかし、「mTVic」というアプリケーションと組み合わせることで、モバイルデバイス内のストレージに入っているファイルを“そのまま”MobiShowへ転送。MobiShow側でデコード処理をして再生させることで、動画ファイルのオリジナル解像度のままディスプレイへの出力が可能なのである。

 動画ならばMPEG-1/2、WMV9、DivX、Xvidに対応(H.264は現時点ではデコーダチップの制限で対応できないという)。これらの動画を、モバイルデバイスに合わせた形式へ変換する必要はなく、単純にPCからモバイルデバイスへ転送しておくだけでいい。この変換が不要であるという点もメリットとして挙げているが、DLNAなどのようにモバイルデバイスをメディアサーバーとして活用しようという発想で作られたものだ。

 プレゼンテーションファイルについては、専用の「PTG」形式のファイルを作成する必要がある。これはPC上でPowerPointや画像ファイルなどからコンバートすることが可能で、最大XGA(1,024×768ドット)までの解像度の情報を持つファイルとなる。デモでは、会議などにラップトップなどを持ち込まなくても、携帯電話とMobiShowだけをポケットに入れて参加できるというアピールを行なった。

 このmTVicは、モバイルデバイスからMobiShowへの転送プロトコルなども含めて、オープンプラットフォームとして仕様が公開される予定。Web上の動画配信サイトなどに呼びかけて、動画をディスプレイへ出力するようなアプリケーションの登場に期待しているという。

 MobiShowは年内にも市場に投入される予定で、価格は150~200ドル程度が想定されている。当初はWindows Mobileのみの対応となるが、将来的にはiPhoneやBlackberry端末もサポート。モバイルデバイス画面を出力した際のアップスケーリング機能の実装なども予定されている。

モバイルデバイスからのデータをディスプレイ出力するMobiShow。2つのモデルはデザインは違うは機能は同じとのこと Windows Mobileの画面をそのまま映し出した例。ズーム表示はしているが解像度はそのまま
専用のPtGファイルによるプレゼンテーション。PowerPointからコンバートして作成したもので、アニメーション表示なども再現される 動画ファイルもモバイルデバイスの解像度に依存することなく、ファイルのオリジナル解像度で再生される

●インターネット上の動画をまとめた番組表サイト

Invision.TV創業者およびCEOのDerrick Frost氏

 Invision.TVが実施したデモは、同社が開始したインターネット番組表サイトの紹介である。インターネット上には動画配信を行なうサイトが無数に存在しているが、代表的なサイトからデータベースを作成して、TV番組ガイドのように利用できるようにしたものである。すでにベータ版としてサービスを開始している。

 初期画面では、動画配信サイトごとに動画が整理して表示されており、まさにTV番組表がチャンネルごとに表示されているのと似たような格好になっている。

 しかしながら、このデータベースにはインデックスも作成されているので、検索性も高いのが特徴で、カテゴライズや特定キーワードから動画を抽出することもできる。

 また、この表示内容のパーソナライズも可能で、自分でプレイリストを作成したり、お気に入りの動画をマークしておいたり、興味のあるカテゴリに絞って動画を表示する、といったことも可能になっている。

 ソーシャルネットワークサイトとの連携などユーザー同士のコミュニティも意識されており、Invision.TV上で興味あるジャンルを登録してプレイリストを公開したり、動画やプレイリストなどをFaceBookに埋め込んで表示するウィジェットも提供される。

 ユーザーは無料で利用が可能だが、ビジネスモデルとしては、動画配信サイトとのパートナシップを呼びかけている。動画配信サイトをInvision.TVへ登録することで、そのサイトへのユーザー誘導をしやすくする。Invision.TVはユーザーが嗜好に合わせてパーソナライズすることができるので、対象となる動画に興味あるユーザーを引き付けることができるという流れになる。

Invision.TVのメイン画面。動画サイトごとにカテゴライズされて表示されている。ここから興味のあるジャンルのみを表示するなどの絞り込みができる パーソナライズ機能であるMY.TVメニューからは、自分の嗜好に合わせた表示絞り込みや、プレイリスト作成などが行なえる 各動画に付けられたアイコンから、友人へURLをメールしたり、FaceBookへ動画を埋め込むなどの機能を実行できる

●見たい番組を自動的に表示するTV向けプラットフォーム

beeTV創業者のRodolfo Hecht Lucari氏

 イタリアに本社を置くbeeTVがデモを行なったのは「Personal Content Channel」と呼ばれる、動画再生プラットフォームのテクノロジデモである。

 これまでのTV番組は、さまざまなチャンネルで提供される番組から、ユーザーが自分で見たいものを探して視聴するというスタイルだった。しかし、チャンネル数が増え続けると、こうしたスタイルでは見たい番組を探し出すのが大変である。beeTVのメインの機能は、視聴者の嗜好に合わせた番組を自動的に選別する、というところにある。

 これは、その人のプロフィールや生活パターン、視聴パターンに合わせて、独自のアルゴリズムで番組を選別していく。もちろん、ピックアップされた動画とは違う動画を見ることもできるようになっており、その履歴も参考にしてパターンがアップデートされていくことになる。

 また、このプラットフォームはPCだけでなく、TV用セットトップボックスやモバイルデバイス上で動作可能なのも特徴となっている。こうした幅広いサポートを武器に、動画配信サービス、TV配信サービスなどを提供する企業に向けてアピールしている。

「Personal Content Channel」では視聴者が見たいと思うはずの番組を自動抽出して案内する。このデモは映画のみピックアップされている 違う番組を任意に指定したり、違うジャンルの番組を抽出するような指定も可能。次からの自動抽出には、こうした情報も参考にされる Personal Content ChannelはPC、TV、モバイルデバイスへの配信サービスで利用が可能になっている

●P2Pではない動画配信・共有ツール

CEO兼創業者のChristopher Penner氏

 RemoTVがデモを行なった「Channels!」は、PCなどから任意の動画を配信するためのプラットフォームで、サーバサービスとソフトウェアから成るもの。一般的な動画共有サービスとは異なり、例えば自宅のPC上から直接的に動画を配信する手法を採るので、自宅のPCが動画配信用ストレージという役割を持つのが大きな特徴になっている。

 配信する動画は、PC上で動作するデスクトップアプリケーションに登録する。このさい、配信対象となるユーザーを限定したりすることで、家庭用ビデオの共有などにも活用することができる。動画の登録自体はエクスプローラのコンテキストメニューに項目が用意されるので非常に容易だ。

 そして、配信はP2Pではなく、RimoTVが提供するサーバーを介して行なわれる。サーバーを介することでP2Pのようなセキュリティリスクを負うことがないほか、ポートを開放するなどの設定も不要になる。また、配信側ユーザーのPCがオンラインかオフラインかを受信側がサーバーを介して知ることもできる。

 さらに、これもChannels!の大きな特徴となるが、サーバー上でプロトコルおよび動画コーデックの変換を行なうことで、あらゆる動画をモバイルデバイスなどで視聴することができる。モバイルデバイスでの視聴は専用アプリケーションが提供される。

 サービスはすでに開始されているが、今後は動画をキャッシュする仕組みなどを作って、配信側PCがオフラインでも視聴できるなどのアップデートを行なっている予定だという。

配信側のPCは専用アプリケーションを利用。エクスプローラから動画を選択して、アプリケーションに登録する 配信する動画の指定では、配信先の指定が可能。RimoTVのサイトではユーザー認証も行なわれるので特定ユーザーへの配信も可能だ
RimoTVのサイトへアクセスして利用するのがPCからの基本的な視聴方法。ほかに、FaceBookなどへの動画埋め込みもできる モバイルデバイスからの視聴も可能で、この場合はモバイルデバイスで再生可能な動画形式への変換がサーバー上で自動的に行なわれる

□DEMOfall08のホームページ(英文)
http://www.demo.com/

(2008年9月10日)

[Reported by 多和田新也]

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