シロクマの屑籠

p_shirokuma(熊代亨)のブログです。原稿に追われてブログ記事はちょっと少なめです

元気のない時は気に入ったアニメを再視聴する

 
info.b-sideproject.jp
 
以前、podcastでお世話になったB-sideさんから、「世界メンタルヘルスデー」の企画として「自分のトリセツ」について一言寄せてとご依頼いただきました。
 
このコーナーでは、自分で自分のメンタルをメンテするのにいい方法*1を挙げていくわけです。podcastでご一緒させていただいた小原ブラスさんは「激辛麻辣湯でリセット」を挙げて、奥津マリリさんは「最高の朝ごはん」を挙げていらっしゃいますが、どちらもわかる気がします。こういうのって自分のほうから意識的にワンアクション入れたほうが切り替えのスイッチになりやすくて、激辛麻辣湯や最高の朝ごはんなどは、そういうものとして機能しそうですから。
 
私は「『ぼっち・ざ・ろっく!』を一話から最終話まで観る」を挙げました。
 

 
元気がない時って、良かったアニメをもう一回視なおすには良いように思うんですよ。で、最近の私の場合、それが『ぼっち・ざ・ろっく!』だったのでした。
 
 

元気のない時は新作アニメを観たくない

 
昨今は春夏秋冬にアニメが始まり、それとは別に映画館では劇場版の新作が放映されています。アニメ愛好家にとって幸福な時代、と言えるでしょう。
 
最近の私も『逃げ上手の若君』や『負けヒロインが多すぎる!』などを視聴し、あー、はー、眼のこやしになる作品ですね、今をときめく作品ですね、などと思っていたのでした。
 
しかし、いつでも最新のアニメを観たい気分になれるわけではありません。
仕事やイベントが集中している時には、最新のアニメ、見る気持ちになってこないんですよ。これはゲームや書籍も同じで、時間的・体力的にゆとりのない時に新しいものに手を付けるのはしんどいものです。たぶん効率的でも効果的でもないでしょう。時間も体力もないなかで新しい作品に挑んでも、集中できないのです。集中できていなければ、作品を楽しむことも作品をよく理解することも困難になってしまいます。
 
そういう時に好ましく思えるのは、再視聴、リピートです。
 
もともと私は地方の田舎育ちだったので、最新のアニメが無制限に観られる環境ではありませんでした。そうしたなか、民放で放送されたアニメのなかで気に入ったものを録画し再視聴していたのですが、そういうことを不遇の時代にやっていたためか、なにかアニメの再視聴に救いのようなものを感じるんですよね。
 
でもって、再視聴だから視ている最中に寝落ちしたっていいし、つけっぱなしにしたうえで家事をやったって構わない。いわば、正座してアニメ視てなくていいんですよ。ぞんざいに視聴できること、つけっぱなしにしておけることの幸福さ!
 
今日、すごい勢いでたくさんアニメが作られていて、最新作を観ないで済ませるのはとても勿体ないですが、考えてみれば、名作や傑作の誉れ高い作品を一度しか視ないのはもっと勿体ないことですよ。湯水のように作られているアニメではありますが、しかし、ひとつひとつの作品には作る側の情熱や工夫が詰まっていて、そして名作や傑作はそのてっぺんに位置する作品なわけです。
 
そういうアニメを何度も楽しむのも幸福だし、そういうアニメこそ、再視聴の時には必ず発見や新しい喜びがあったりします。新作を一生懸命に視るだけがアニメ愛好家の道じゃないなと、そういう時に思うのです。
 
 

二回目だから、元気がないから見え方が変わる

 
それから疲弊している時って、実は違う角度からアニメを見るチャンスでもあると思えるのです。
 
というのも、人間は体調が違う時には物事が違って見えるし、たとえばアニメ、たとえばゲームの受け取り方も変わるからです。
 
今年の8月末から9月はじめに『ぼっち・ざ・ろっく!』を再視聴した時には、各話の緩急の上手さがやけに目に入ってきました。それと後藤ひとりのネガティブなギター弾き語り。前に見た時はちっとも面白くなかったのに、今回は妙に笑えてしまい、ぼっちちゃん、面白いやつだなと思いました。と同時に、あのギター弾き語りのギターの音色が妙に染み入ったんですよね。こういうのは疲労あってのことだと思います。
 
こうしたことは『CLANNAD』の再視聴時も『ゾンビランドサガ』の再視聴時も『Psycho-pass』の再視聴時にも起こったので、疲れた時にアニメを再視聴するのはアリだと思いますよ。ゲームもそうで、元気な時にはしょうもないと思えた『スイカゲーム』も、疲れた時にはなかなか楽しかったです。ってことは日本人、疲れているんかなーとも思いましたが。
 
まあそんなわけで、疲れた時のアニメ再視聴、おすすめです。
単なる精神力や体力の節約ではなく、アニメと良い加減で付き合ううえでも一回目の視聴では気付かなかった魅力を再発見するうえでも、良いことじゃないかなと思うのです。今週末の私は、『リコリス・リコイル』とか視ちゃおうかなと思っています。
 
 

*1:もちろん、精神疾患に該当する水準は想定外といううえでの方法とみています