築地市場ネタを書いて、早6年…ようやく豊洲市場への移転が実現するゴール間際に…なんで延期したんだろう?(´・ω・`)

延期の理由が意味不明


小池都知事曰く移転延期の理由

1.安全性の懸念払拭
2.巨額・不透明な費用の検証
3.情報公開の徹底

言いたいことはこういう事


1.安全性の懸念払拭

延期するにせよ中止するにせよ移転するにせよ、我々の選択肢は
A:築地市場でセリをする
B:豊洲市場でセリをする
この二つしかないのです。
(中央卸売市場を廃止するという乱暴な選択肢は現実的じゃないので入れてません)

つまり、安全性の懸念を払拭したいなら、豊洲市場の汚染物質だけ計測してその数値だけにらんでいても意味がないのです。

リスク管理という観点で言えば、個々のリスクを吟味し、よりリスクの少ない方を選択すべきです。

以前書いた文を再掲

念の為危機を煽る人、安全マージンを唱える人、文系(科学リテラシーのない人限定)、みんな危険に対する感度の低い連中なんだろうなぁ。

人の安全を守る仕事をしている人で、とりあえず分からないからと「大きめの安全率」を主張する人はいません。「リスクを最小にする」為に、危険を正確に測り予測し対処し「危険率の最適化」を行います。

Aの危険を取り除いた結果Bという危険が発生しては元も子もありません。その判断が出来ないなら(安全率なんて考え方は人の命を守るプロはしない)、例えジャーナリストや学者であっても、口出しすべきではない。
http://d.hatena.ne.jp/ottyanko/20120328


築地市場で同等の環境調査を行い比較した結果、
「築地市場でセリをする」のと
「豊洲市場でセリをする」ので、
どちらが安全か比較し選択すべきなのです。


A:築地市場
既に排ガス問題からターレーを電動化するなど、深刻な大気汚染を抱え対策を続けている。慢性化する場内の渋滞、荷卸し待ちのトラックのアイドリングによる窒素酸化物(NOx)や、PM(粒子状物質)や、ベンゼン等の濃度は、計れば一目瞭然だが食品を扱う市場にふさわしくない濃度である事は過去の調査から明らか。

2008年の調査だと

二酸化窒素(NO2)0.055〜0.078ppm(1日平均値) 
環境基準値 1時間値の1日平均値が 0.04ppm から 0.06ppmまでの範囲内又はそれ以下であること

一酸化炭素(CO)1.5〜23.2ppm(1日平均値)2.1〜30.3ppm (8時間平均値)
環境基準値 1時間値の1日平均値が 10ppm 以下であり、かつ1時間値の8時間平均値が 20ppm 以下であること
http://www.shijou.metro.tokyo.jp/gyosei/taisaku/hakusho/2008/

既に2008年から環境基準値超えてます…
魚に付着する類のモノじゃないけど…働く人の健康には良くないね。

あまり都民をパニックに陥れたくないので、これ以上は言わない…


B:豊洲市場
既に7回の調査で環境基準値を全て下回っていて、夏・冬という高温期・乾燥期の2回のチェックも8月の調査で完了し、その結果も10月に出る状態(記事公開直後に既に出ていたのを発見)。法的にも知事がGOサインを出せばモニタリングが2年未満でもOK。閉鎖環境の為、建設直後の接着剤等から出る有機溶媒さえ揮発すれば(現在の室内測定で検出されているベンゼンはおそらくはその数値)、その後の汚染の心配は不要。土壌の汚染物質の除去に関しては既に完了し(内容は過去記事参照の事)、地下水ですら環境基準値以下。(地下水飲む施設じゃないので問題なし)

追記)
2016/8/31 最新データ 豊洲市場における施設内空気及び沿道大気の測定結果について
http://www.shijou.metro.tokyo.jp/press/2016/0831.html
(全て環境基準以下)
つまり過去に行った汚染処理が大成功していると言う事。
追記ここまで)



普通はAで続けるよりはBを選ぶ話。
もしくは、新たにAを計測しBと比較した結果より健康リスクの少ない方を選択する話。

しかし、モニタリング期間完了前の知事のGOサインという政治的リスクを取らずにAを選択した小池都知事、これが都民ファーストと言えるのでしょうか?

私にはとてもじゃないが、そうは思えません。

既に舛添元知事が行った安全宣言をひっくり返してまで…(´・ω・`)


(2分22秒から該当質問と安全宣言)

2.巨額・不透明な費用の検証

やって下さい、ぜひやって下さい。
でも、移転を延期しないと出来ない事じゃないので、延期の判断材料に入れないでください。政争に巻き込まないでください。


3.情報公開の徹底

やって下さい、ぜひやって下さい。
でも、移転を延期しないと出来ない事じゃないので、延期の判断材料に入れないでください。政争に巻き込まないでください。



■その他のデマ要因

世間じゃ色々変な話(移転反対派のデマや、4輪ターレーの図を書いてくる建築家の戯言)が出回っていますが、大抵のマイナス要因はデマ判定されてます。
ターレー曲がれます 底抜けません 連絡通路充分な広さあります トラックのウィング開ける必要ありません 店の幅は個々の仲卸の選択の結果 使い勝手は工夫次第 などなど…


この辺のデマ潰しは散々ツイートしてもう面倒なので転記はしない。コメントも含めてリンク先のTogetterを参照の事。
http://togetter.com/li/1014036

設計が悪いとか色々言われますが… 過去記事にも書いた通り、質疑応答も意見徴収も市場の意見を拾う場をことごとく移転反対のシュプレヒコールでぶっ潰されてきた中、完璧ではないにせよ、よくここまで構想を設計に落として建てたもんですよ。

都の職員と言うと都庁勤務の役人さんばかり思い浮かぶのだと思いますが、築地市場には場長・巡視さんを始め、衛生管理や様々な都の役人が、市場の業者さん達と一緒になって汗をかいて現場で働いています。そういう人達も設計に関与している事を忘れないで下さいね。(・∀・)




なので…私にとって小池都知事の移転延期は非論理的で意味不明にしか思えないのです。
(デマを信じて、己の保身に走ったとしか思えない)

都民ファースト?
都知事ファーストの間違いじゃね?


移転延期でかかる余計な費用は、
稼働していない市場の維持費、都知事都合の延期の為、各業者(大卸・仲卸他)への補償費用…もろもろ…(大型冷蔵庫を稼働させた大卸は激怒している)

保育園の5や10は建つ様な金額でしょうね。間違いなく…

もともと、就任1ヶ月程度でこの昭和の宿題をひっくり返すなんて愚かな話なのだが…(役人のレクチャーをフルに受けたとしても理解まで時間がかかる)それでも、この決断に至った理由は酷すぎる(´・ω・`)

延期でも予定通り続行でも何であっても(もちろん私は予定通りの移転を望むけど、その要望は脇に置いといて)、その理由が酷いというのは、正直論外なのである。
(延期した事が酷いのではなく、その理由が酷くて…この知事大丈夫?って話ね)


そもそも延期なら、いつなの?(´・ω・`) 
暫定でもいいからスケジュール出せよ…「来月移転ね」なんていきなり気分で言われても、誰も対応できないから… 移転費用を金融機関に融資してもらった仲卸は、今頃金融機関の担当と頭抱えているんじゃね?


過去の経緯や今北産業の方は以下を読んどいてね。
☆☆☆☆☆☆まとめ☆☆☆☆☆☆

築地市場移転が急務な訳
移転先(豊洲)の汚染除去の実態1
移転先(豊洲)の汚染除去の実態2
築地市場移転騒動
急転 築地市場移転へ
豊洲新市場予定地の液状化について 
新市場の設計はこれでいいの?(予定)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

おまけ
俺は確かに築地市場で働いたことはあるけど、仲卸にいたワケじゃないよ。築地市場には色々な仕事があるんだよ。(・∀・)ノシ

追記
このサイトでも述べられている事がまとまっている本(電子書籍)が出ました
(以前、土壌汚染処理に関してお問い合わせ頂き、その事がWebへ、そして電子書籍になりました)