アメリカ陸軍の次世代ライフル・機関銃は一体どのメーカーに?!
SIG SAUERがNGSWシステムの最終納入を完了と発表
OUTLINEでも度々お伝えしてきている、アメリカ陸軍で進むNGSW(Next Generation Squad Weapon:次世代分隊火器)選定プログラム。昨年はTrue Velocity社が17万発の新弾薬6.8 TVCMを納入したことが報告されたが、今年になってSIG SAUER(シグ・ザウエル)が火器類及び弾薬を最終納入したと発表した。
SIG SAUERが納入したとするものは、NGSWシステムと銘打ったセットで以下の4点で構成される。
①6.8×51ハイブリッド弾
②NGSW-ARベルト給弾式軽機関銃
③NGSW-Rライフル
④次世代サプレッサー
弾薬やライフルについては既に発表されているモデルから更にマイナーチェンジが進み、サプレッサーに至っては大幅な小型を実現しているようだ。各納入物の詳細は以下の通り。
6.8×51ハイブリッド弾
より高い燃焼ガス圧に対応しつつ軽量化も実現したカートリッジで、5.56NATO弾に比べ弾速や貫通力も向上している。NGSW-AR軽機関銃とNGSW-Rライフル両方の共通弾薬として使用する。
NGSW-ARベルト給弾式軽機関銃
現行モデルであるM249に比べ40%も軽量化されているが、新型弾薬の性能のお陰もあり有効射程の倍増や、リコイル低減による射撃精度の向上、安定したベルト給弾、アンビ仕様など、分隊支援火器としてあらゆる点で改善されている。
NGSW-Rライフル
既に特殊部隊などで採用が進んでいるとされるMCXプラットフォームをベースに開発され、NGSW-ARと同じくアンビ仕様のライフルとなっている。折り畳み可能なストックや交換可能なM-LOKハンドガードなども備えている。
次世代サプレッサー
以前の納入モデルでは発砲音の低減のみならず、フラッシュや有害ガス逆流の低減も謳われていたが、今回は発砲音の低減のアピールに留まっている。同様の機能のままの小型化なのか、機能をある程度オミットしているのかは不明。
SIG SAUERは、これらのシステムが1つの企業によって1つの統合システムとして設計・製造されていることに意義があるとし、銃器と弾薬の開発がそれぞれ別会社であるGENERAL DYNAMICSとTrue Verocityや、巨大な親会社を持ち多様な組織の中の1つであるTEXTRON SYSTEMSをけん制しているように見える。
SIG SAUERはかつてはスイスとドイツを拠点とする巨大工業企業を母体とする銃器メーカーを起源にするが、現在はアメリカ子会社が完全に分離・独立しアメリカにて独自の銃器開発・製造を行う企業となっている。(ただし、アメリカ・ドイツ・スイスのどの国のSIG SAUERも親会社をL&O Holdingとしている。)
また、NGSW開発のために培われた技術を使用した新製品が、今後数か月で複数リリースされるそうだ。
6.8×51ハイブリッド弾の民間仕様であるSIG FURYハイブリッド弾は既にニュースにもなっているが、この弾薬を使用できるボルトアクションCROSS RIFLEは既に販売を開始している。
昨年、大量の試作弾薬の納入があったため弾薬はTrue Verocityで決定か?!とも思われたNGSWの選定だが、アメリカ陸軍としてはまだまだ選定の途中というのが実情のようだ。
しかしNGSWの選定は2021年から2022年にかけて最終決定が下されるとされており、佳境に入ってきているのは確かだ。果たしてどの候補が採用されるのか、今後も最新情報を追っていきたい。