掲載日:2020.10.13
年始に受け取る手紙と言えば年賀状ですが、いざ聞かれると意外と知らないことも多いのではないでしょうか。
今回はいまさら聞けない年賀状の歴史や基本知識、マナーなど、年賀状にまつわるさまざまな情報をご紹介していきます。
年賀状の基本知識
毎年なにげなく送っている年賀状ですが、その歴史や背景、販売されている年賀はがきの発行枚数や種類など、年賀状の基本知識は意外と知らない方が多い部分です。
まずは知っておきたい年賀状の基礎知識をひとつずつ解説していきます。
年賀状の歴史
年賀状の歴史は平安時代から始まったと言われていることをご存知でしょうか?現存する日本最古の年賀状は、平安時代に藤原明衡が編纂した手紙の文例集「庭訓往来」に収録されている正月の文例と言われています。
江戸時代までは飛脚が手紙を運んでいたため送料が高かったので、年賀状の交換は武家や商家が中心で、一般の庶民には馴染みのないものでした 。
しかし、江戸中期から後期にかけて町人文化が花開いた時代、江戸市中で配達をおこなう町飛脚が増加し、それに伴って庶民にも年賀状の習慣が広がり、馴染みのある存在になっていきました 。
明治時代に入り近代郵便制度が整備され、1873年に郵便はがきが発行されると、年始の挨拶を安価に送れることから年賀状をはがきで送る習慣が急速に広まり、1891年のお年玉付き年賀はがきの発売から15年ほどで約1億枚の年賀はがきが送られるなど、国民行事として定着しました。
当時はまだ年賀はがきの特別取扱というシステムが確立していなかったことから、縁起が良い1月1日の消印を求めて年末年始に郵便局に投函が集中しました。
郵便事業に支障をきたす状況を緩和するため、1899年から年賀郵便の特別取扱が始まったのが、今日の年末に投函して元旦に届く年賀状の習慣に繋がっています。
最近連絡をとっていない方への近況報告や、日頃の感謝を込めた年始の挨拶など、年賀状は年の初めの挨拶としてその存在意義を保ってきました。
しかし、時代の変遷とともに、年賀状を取り巻く環境も変わりつつあります。
インターネットが普及し、SNSを始めとしたさまざまな連絡手段で日常的に連絡が取れるようになった昨今、年賀はがきの発行枚数は年々減少傾向で、今後も緩やかに減っていくと予想されています。
年賀はがきの発行枚数
● 2016年 :32億167万2000枚
● 2017年 :31億4207万7000枚
● 2018年 :25億8600万8000枚
● 2019年 :24億5929万5500枚
● 2020年 :19億4000万枚(予測)
*日本郵便株式会社の公式発表数を独自に集計
参考:https://www.post.japanpost.jp/kifu/data/h0811_nenga.pdf(日本郵便株式会社HP)
年賀状の種類と値段
年賀状の印刷方法や、デザインの種類によって用紙が異なります。手書きやレーザープリンタで印刷する場合は普通紙。イラストをインクジェットプリンタで印刷する場合はインクジェット紙。インクジェットプリンタで写真を印刷する場合はインクジェット写真用紙が最適です。
■用紙の特徴
● 普通紙 :手書きやレーザープリンタで印刷に適している(63円/枚)
● インクジェット紙 :インクジェットプリンタで印刷に適している(63円/枚)
● インクジェット写真用光沢 :写真入り年賀状の印刷に適している(73円/枚)
■キャラクターはがき
● キャラクター年賀はがき :キャラクターが印刷された年賀はがき。(63円/枚)
ディズニーやサンリオ、ジブリなど、可愛らしい絵柄のキャラクターが印刷された年賀はがきです。
■寄付・広告付き
● 寄付金つき年賀はがき :寄付金5円が含まれている(68円/円)
● 広告つき年賀はがき :宛名面の下部に企業などの広告が含まれている年賀はがき(58円/枚)
寄付金や企業広告が含まれる年賀はがきです。寄付金つきの場合、1枚あたり5円の寄付金が加算されています。
広告つきのはがきは、宛名面の下部に企業や商店などの広告が印刷されており、広告料金の分1枚あたり5円が減算されています。
年賀はがきのお年玉賞品一例
お年玉商品は特賞と1等は毎年内容が変わります。2019年と2020年は日本郵政が東京2020オリンピック競技大会のサポーターであることから、東京2020オリンピックのペアチケットが特賞にラインアップされました。
2019年はダブルチャンス賞があり、郵政記念日である4月20日に2回目の抽選が行われて、シリアルナンバー入りの特別仕様になった特別お年玉切手シートが約1万本発行されました。
開会式と閉会式のペアチケットが追加されたオリンピックのペアチケット3種が特賞の目玉となりました。
年賀状の販売はいつから、どこで購入できるの?
お年玉付き年賀はがきは毎年11月1日頃から発売されます。9月初旬から10月末まで購入予約ができるので、大量購入の予定がある場合や、キャラクター年賀はがきなどの売り切れやすい年賀はがきが欲しい場合は事前に予約しておくとよいでしょう。
郵便局の窓口やコンビニエンスストア、日本郵政の公式サイトからのネット通販のほか、郵便局の店頭やスーパー、家電量販店、駅前などの特設ブースでも購入が可能です。
また、24時間対応の「ゆうゆう窓口」がある大型の郵便局では、休日や夜でも年賀はがきの購入ができます。
お年玉付き年賀はがきの販売は翌年の1月第二金曜日までになります。
官製はがきや私製はがきを年賀状として送ってもいいの?
官製はがきや私製はがきも、ルールに則っていれば年賀はがきとして投函することができます。官製はがきを年賀状として使用する場合は、宛名面の額面が記載されている下に赤字で「年賀」と書きます。
私製はがきの場合も同様に、切手の下に「年賀」と書いてください。年賀切手やお年玉付き年賀切手を貼り付けた場合でも、「年賀」は記載したほうが良いでしょう。
赤字で「年賀」と書かれているはがきは年賀状として扱われ、1月1日以前の投函でも元旦以降に配達されます。年賀の記載を忘れると普通の郵便物として扱われ、投函から規定日数で配達されてしまうので注意しましょう。
官製はがきと私製はがきとは?
官製はがきとは、通常はがきのことで、日本郵政が常時販売しています。はがきの宛名面に切手の代わりに切手相当額の印刷がされています。
私製はがきは個人で作る郵便物で、第二種郵便物の規格に沿った素材や大きさであれば普通はがきと同じ料金で郵送できます。規格を超える場合は第一種郵便物の扱いとなり、郵便料金が変わるので注意してください。
参考:https://www.post.japanpost.jp/service/standard/two_size.html(日本郵便株式会社HP)
知っておきたい!年賀状の正式な書き方
近年ではさまざまなデザインの年賀状が増えていますが、年賀状の書き方は受け取る相手に対するマナーがあります。
年賀状の正しいとされる書き方を一度チェックしておきましょう。まず宛名書きですが、日本語では縦書きが正式になります。
しかし縦横は表面と裏面を合わせるのがはがきの正式な書き方でもあるため、もし年賀状が横向きのデザインである場合は、宛名書きも横書きする必要があります。
年賀状のデザインには下記の5つのポイントを必ず盛り込みます。
(1)新年の挨拶(賀詞)
(2)昨年のお礼
(3)新年のお付き合いのお願いや、相手の幸せを願う言葉
(4)添え書き
(5)年号、月日
(3)に関しては手書きで添えても良いでしょう。また、近況伺いや報告なども一緒に書き添えます。
句読点は諸説ありますが区切りがつくため縁起が悪いとされるため、新年のお祝いである年賀状では句読点の代わりにスペースや改行を用います。
賀詞を使う際には、相手との間柄で注意が必要です。よく使われる「賀正」や「迎春」は、本来四文字の賀詞を省略したものなので、目上の相手や取引先に使用するのは失礼になります。
一文字や二文字の賀詞は避け、「恭」や「敬」の入った「恭賀新年」、「敬頌新禧」のような賀詞を使用します。目下の相手や親しい間柄であれば、「あけましておめでとうございます」を始めとした賀詞が良いでしょう。
また、忌み言葉になる言葉は避けます。去年の「去」は離れるという意味がある忌み言葉なので、前年の話題をメッセージに添える際には「昨年」または「前年」とします。
いつまでに出せばよいの?届くタイミングは?
年賀状は正しい受付期間中に投函する必要があります。例年12月15日前後から投函の受付がはじまり、12月25日前後に元旦に到着する年賀状の受付を終了します。
12月26日以降28日頃までに投函した年賀はがきは三が日中の到着、それ以降は松の内(1月7日)頃までの到着となります。
1月8日以降は年賀状ではなく寒中見舞いとなりますが、年賀はがきは1月第二金曜日まで販売されています。
まとめ
いかがでしょうか、意外と年賀状について知らなかった基本知識もあったのではないでしょうか。
平安時代から続く古い風習である年賀状は、時代の変遷とともに少しずつ形を変えながら国民行事として定着した、新年のおめでたいご挨拶です。年賀状を書く時のマナーに気をつけながら、今年も楽しく年賀状を交換しましょう。
※この記事の内容は、2020年10月現在のものです。
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