会話・他人の言葉

 なんてことないのになぜか残っている言葉。

 

友達が「学校でハムスターの本を読んでたら1日が終わっていた」と話してくれた記憶。時間を忘れて熱中したという意味ではなく、普通に読んでたらいつのまにか全ての授業が終わって放課後になっていたらしい。

 なんてことないけど下手したら一生覚えてそうな、奇妙な重量感がある言葉。

 

小学校の頃、録音した自分の声がおかしい事に気がついた吉川くんに、「それはね、骨伝導といって……」と話しかけたところ、「後で聞くね!」と流された。20年経ったけど骨伝導の事はまだ話してない。

 これは今からでも吉川くんに話すことができればやっと忘れられるのかもしれない。

 

星のカービィアニメで最終話付近、街中に小さいザコ敵が溢れかえってしまってイタズラ放題大騒ぎ!みたいな展開になった回がありまして、その中でザコ敵がガソリンスタンドを襲う一幕がありました。 そのザコ敵がガソリンスタンドでガソリンをその辺に撒いてイタズラしており、店員さんがザコ敵に向かって、 「あぶないよ〜あぶないよ〜…」って注意をしてまして、なんてことない一幕なんですがなぜか他のカービィアニメの中身はほぼ忘れてもその「あぶないよ〜あぶないよ〜…」の一幕だけまぶたにこびりついて忘れられません。 店員さんのその「あぶないよ〜あぶないよ〜…」の言い方から感じる100の「親切」「優しさ」みたいなものをすごく感じて、なんでいい人で素敵なんだ…!そしてそんな人の店をイタズラするなんて…!とすごく悲しい気持ちになってしまいます。あのおじさん…アクスタできないかな(顔もないモブだったけど)

「アニメの内容覚えてないけどここだけ覚えてる」みたいなのめっちゃあるな。羅列したら楽しそう。

 

集会に使われるホールに、コウモリの死体が落ちてたらしいって話を知らない生徒がしていた。小学校の頃の記憶。

 自分で確認してないからこそ引っかかり続けているのかもしれない。

 

中三の時、理科の授業で水星の話題が出た瞬間カースト最上位の男子が「セーラーマーキュリー!俺の初恋!!!!!!」と叫んだこと。

 そいつのことちょっと好きだな。

 

小学校のころ、ドッジボールか何かをしている時に「ちょっと隠れさせて!」といつ知り合ったのか本当にわからない上級生の人が背中に隠れてきたこと

 良くも悪くもないけど、妙に印象的な出来事だ。

 

職場のかなりユルい先輩が「ポケットにグミを入れておくとハッピーになれる」と言ってポケットのグミを嬉しそうに見せてくれた。後日、まだポケットにグミを入れているか聞いたら「ポケットにグミが入っているといつの間にか食べまくっちゃうからやめた」と言われた。

 含蓄があるなあ。

 

友達の家で飼っている猫を友達のお父さんが「コンティゴン」と呼んでいた時期があること

「時期がある」ってのが謎でいいな。多分そういう名前ではないのだろうな。

 

実家のすぐ近くに山があり、夏はクワガタがよく採れるんですがある日母親からLINEで「クワガタが網戸にくっついてたので飼うことにしました。名前はポポ、イタリア語でうんちという意味です」と送られてきました。 写真もあったんですが立派なミヤマクワガタでした。

 音から決めたのか意味から決めたのか気になる。

 

あれは自分が中学3年生だった頃、スマホを手に入れてLINEを始めてから2年目。使い方にもだいぶ慣れてきてTwitter経由でネットの人間とLINE交換して何十人ものLINEグループに入れてもらった時の話。その中にいた20代後半の男性が何かを誤字して「ふぉぉごぉ」と一言。 正直どういう会話の流れでそうなったのか、何の誤字だったのかは全く覚えていないのですが、なぜかその場面だけはしっかり脳裏に焼き付いています。龍が如くのキャラクターをアイコンにしていました。

 こういう本当に意味がない文字列が記憶に焼き付いてるの最高だな。

 

小4の最初の登校日。始業式で新しい担任が去年大学を出たばかりの若い先生に決まったあと、冬休みの話や新しい担任の話でざわざわする教室の中、ふだん寡黙でクールな奴がはしゃいだ口調で隣の席に「間違って大学の問題出されたらどうする?w」と話しかけていた。

 絶妙だ。寡黙なやつが急にはしゃぐとなんだかよくわからないユーモア出てきがち。

 

近所のスーパーの塀に食パン(8枚切り)の袋が置いてあったこと。姉と「『日常』でありそう」、「みおちゃんがツッコミを入れるのが見えた」と言いながら帰った。あまりにもシュールだったので未だに覚えています。

「8枚切り」までバッチリ覚えているのがかなり良い。5〜6枚切りならここまで印象に残ってないだろうな。

 

高校1年生の時、授業中全く無駄話をしない数学教師がいた。その方は県内の強豪部活動の顧問だったからか、声が大きくクラスメイトが居眠りをしているとめちゃくちゃにぶちギレており、その先生が本当に怖くて怖くてたまらなかった。 ある日、数学の問題にショートケーキとチョコケーキが出てきた際、先生が「俺どっちも好かん。チーズケーキが好き」と言い出した。普通の先生だったら可愛い〜と思うが、怖い先生には可愛いとか諸々を通り越して恐怖だった。急にそんなことを言い出したのか理解出来なかった。

 笑える雰囲気でもないから自分の中で消化できないよねこういうの。

 

中学3年生のとき、何の時間だったか、何処からその話になったかも忘れましたが、担任の先生が「私ね、結構些細なことをいつまでも覚えてるタイプなんですよ。例えば今ね、〇〇くんが筆箱の中身をごちゃごちゃ触ってるのをね、多分ずっと覚えているんですよ」と言っていたのを何故かずっと覚えています。(注意とかそういう感じの雰囲気だったわけでは無いです) 『ああ、何かそういう、別に忘れてもいいのに覚えてることあるよね〜』と勝手に心のなかで共感していたからかな、と思います。

 先生、俺まさにこういう話がしたかったんです。

 

幼少期姉と飼い犬を公園で散歩させていると犬が排便をする姿勢に入りその時姉が犬のおしりを触り「うんちが出てくるのがわかる」と宣言していた。

 触らんでもわかってくれ。いや、直接手で感じ取ることを重視してたのかもしれないか。

 

小学5、6年生の頃、運動会のかけっこかなんかの競技で体育座りして順番待ちしていた時。 隣の友人と何の話でそうなったんだか、セックスの話をした記憶がある。 「なんかな、男の人のちんちんをさ、女の人のここに入れるんやって」「えー…何それ、怖…」「なー」という会話だけ鮮明に覚えている。

 セックスのメカニズムを知った瞬間なので忘れてもべつにいい記憶とするにはもったいない気もする。何気ない会話ではあるんだけど。

 

小学生のときに、母親と出かけた先で、「ちょっと数字覚えといて。7213。」とお願いされた。 何の番号か分からないまま、7213、7213・・・と頭で何度も繰り返して忘れないようにしていたが、結局その日も翌日も、覚えておいた数字を使うことはなかった。 数か月後に、「前に言われた7213って何なの?ずっと覚えてるんだけど。」と母親に聞くと、「分からん。何の数字?」と言われた。 それからかれこれ20年くらい経つが、いまだに覚えている。

 お手本にしたいほど完璧な記憶容量の無駄遣い。

 

何気ない

 本当に何気ない出来事なのに。

 

大学の授業で、自分の斜め前に座っている人の筆箱が、中学生の頃好きだった女の子が使っていた紺色の筆箱だったこと。昔の記憶が呼び起こされて、今でも妙に覚えています。

 理由込みで良いな……。

 

マンションのロビーを通った時、ソファに座ってゲームをしている男の子のSwitchからコインを取る音が聞こえて、「今彼はマリオオデッセイをしているんだな」と思いながら出かけました オデッセイが出た頃の記憶なので7年前とかだと思います

 これはすごいぞ。コインの音を聞いただけで7年もこんなこと覚えちゃってる。

 

実家の外壁を塗り替えた後、車庫の電気のスイッチプレートの所にちっちゃい虫が塗り込められているのを見つけた。何年も「居るなぁ」と思いながら過ごした。

 そこにずっといるから「ずっと覚えてる」とは別かもしれないけど、何気なさがちょうどいい。

 

バイト先のパートのおばさんは折り紙が好き。

 本当に死ぬほどどうでもよくて顎が痛くなるほど笑いました。

 

丸亀製麺で食べたうどんがクソ長くて、箸でつまんだまま直立して腕を胸の辺りまで持ち上げてもなお終わりが見えなかった

 うどん食べるたびに「あの時のが長かったな」と思い出すことになる。

 

小学生時代、いつも一緒に下校していた友達がその日なぜかきゃりーぱみゅぱみゅの「ファッションモンスター」をフルで歌い始めたのをただ聴きながら帰ったこと。

 フルで。その場で出来事を消化しないとずーっと残っちゃうんだろうなというのがだんだんわかってきた。

 

いつもご飯に連れて行ってくれてかわいがってくれる、めっちゃ好きだった先輩から突然これから焼肉食べに行こうと誘われた。場当たり的に他のメンバーを募ったが皆予定が合わず、別に私は2人でも……と言ったら「いや、サシで焼肉はダメだろ」となぜか断られたこと。焼肉以外は2人で食べにいくこともあったのに

 他人のよくわからない基準の話って面白いな……。

 

務中に同僚の靴が壊れたので靴流通センターに一緒に買いに行った。

「あの時靴買いに行きましたよね」って言っても「そうですね」で終わりそうなのが良い。

 

小学6年生の卒業が見えてきた時期、あと数ヶ月で普段一緒に登下校してた友達と会えなくなること、この学校に一切の用がなくなることが幼心にとても不思議で、ある日の帰りに突拍子もなく「いつも使ってるこの校舎の、この階段の下り6段目の角に、今、埃がめちゃくちゃ溜まっていることも思い出せたりするのかな?」と意識的に記憶したこと。

 これも「意識的に記憶したこと」自体を覚えてる系。その覚えてる内容のどうでもよさが最高。

 

20年以上前、散歩中のビーグル犬が原っぱのど真ん中でウンコをしていた。飼い主が一生懸命ウンコを拾う横で、なんかやたら誇らしげな表情で空を見上げていたビーグル犬の姿が忘れられません

 犬のうんこネタを二つも掲載してしまった。うんこしてる犬って大抵不安そうだから、たしかに誇らしげだと記憶に残りそう。

 

「自分もこういう記憶ある」という方はこちらから投稿ください。次がなかったらごめんなさい。

 最後に次のページで「どうでもいい記憶というにはちょっともったいなくないですか」と思ったものを紹介させていただく。上で紹介した分にもあったけど。

 

次ページ:レギュレーション違反