MINOLTA M-Rokkor 28mm f2.8 Review作例 Leica M Mount 広角オールドレンズ
MINOLTA M-Rokkor 28mm f2.8 Review作例 Leica M Mount 広角オールドレンズ。今回購入した個体は超クモリ玉でソフトフォーカスレンズに近い写りで昇天した。用途によるが安価なクモリ玉は絶対に買いだ。レンズ重量も137gと超絶軽い。YouTubeでまったり解説もしています。
MINOLTA M-Rokkor 28mm f2.8のレンズ外観Review
コーティングが何色か判断できない位クモってる。見れば見る程ひどい。
見た目ライカ。
絞りの操作感とクリック音が高級感ある。
Made in Japan
最短撮影距離0.8mなのでヘリコイド付きマクロアダプターを装着すると体感で18cm位まで寄れる。
正直クモリは見たくない。ブツブツしてて気持ち悪い。
正直ピントリングは凹み型よりこの三角みたいな形の方が滑らなくて操作しやすい。ライカの凹み型はマジで滑る。扇形のタイプもありそちらの方が操作しやすい。
クモリの割にレンズの状態はかなりいいのよ実は。
押し入れとかに眠ってたのか?本当にクモリ以外は美しい。絞り羽根も見事。
油染みなし。ヘリコイドも絞り羽根も動作バッチリ。
すごい写りするぜこのレンズ。作例をお楽しみに。
MINOLTA M-Rokkor 28mm f2.8とは ライカとミノルタの提携
ライカとミノルタの業務提携により1973年に生まれたライカCLの後に、絞り優先のカメラの製造をミノルタがライカに持ち掛けたが、拒否された為、独自で製造したカメラがCLE。M-Rokkor 28mm f2.8はそのCLEの交換用レンズ。
ここで少し当時のライカの大人の事情を振り返ってみよう。
ドイツ国内の賃金が異常に高騰し、ライカは自分たちの半分の生産コストで競合する日本メーカーに追い抜かれた。ウェッツラーでコストをカバーする価格でライカを生産することは不可能となった。その為、ライツ経営陣は1971年に2つの大きな決断を下した。
1つはカメラとレンズの開発と生産を日本の写真技術産業の大手メーカーと対等な提携関係を結ぶ。そして2つ目は、カメラボディの組み立て拠点を低賃金国で自社工場を構築すること。飛行機で3時間の距離のポルトガルに工場を設立した。
「Made in Germany」のブランドがなくなると信頼性も薄まるかと危惧されたが、最終的な組み立てをドイツで行えばドイツ製を刻印できる為、このリスクは回避された。しかし、レフレックスカメラの組み立ては高度な技術を要し、熟練された技術者でないと生産は不可能な為、より簡素な構造のカメラの再設計を余儀なくされた。
MINOLTA M-Rokkor 28mm f2.8はクモりやすい 購入の経緯
歪みが少なく小型軽量でコストパフォーマンスがいい広角レンズとしてライカM型ユーザーからの評価も高い本レンズ。ただし、レンズが非常にクモリやすく、現在の中古市場で状態がいい個体を見つけるのは至難の業だ。
どこを探してもあまりにもクモリがひどい個体が多い為、筆者もずっと避けてきたが、この際、どんなにクモっていてもそれ以外のレンズの状態がよければ安く入手してみようと思い、購入に踏み切った。結果、ソフトフォーカスかよ!って位ソフトな描写になり、これはこれでよしとした。
最近ジャンク級ダメージレンズの魅力に気付き始めた。そうか、ダメージジーンズも経年で味が出ている。オールドレンズも昔のレンズで様々な環境で様々なカメラマンに使われてきたので、ダメージがあるのが普通だし、むしろ、素晴らしいカメラマンが酷使してきたレンズなんて魂がこもってそうで、胸キュンだ。
逆にコレクター級に状態のいいレンズは魂が入っていないし、最悪研磨されて元の写りとは違う可能性もある。経年劣化も味として考えられるようになると、オールドレンズ上級者と呼べると思う也。
MINOLTA M-Rokkor 28mm f2.8 レンズ構成図Review
5群7枚レトロフォーカス型。実測値137g。ちなみにLeitz Elmarit 28mm f2.8 2ndは実測値285gなので約半分の重量。レンズ構成図を見ると基本ガウスの思想でレトロフォーカス型の要素を取り入れた感じ。事実ライカも公式に「ライカの広角レンズはレトロフォーカス型ではなく対象型だ。
ライカはレトロフォーカス型のレンズを作ったことは一度もない。」とアナウンスしている。まぁビオゴン型もトポゴン型もガウスだし。これを言ったら本末転倒だが、レンズ構成は人間が勝手に作ったただのカテゴライズ。とらわれ過ぎてもよくない。
MINOLTA M-Rokkor 28mm f2.8 スペックReview
- 発売年:1981年
- レンズ構成:5群7枚レトロフォーカス型
- 画角:75度
- 最短撮影距離:0.8m
- 最小絞り値:f22
- 重量:137g
- 発売当時価格:54000円
MINOLTA M-Rokkor 28mm f2.8 作例Review
ジャンク級の超クモリ玉。正直、ここまでソフトフォーカスになるとは思わなかった。2024年現在、中古相場で5~6万円で売られているが、本レンズはくもりがひどいダメージレンズとしてその半値以下で入手できた。どうせなら…と発想の逆転。
うん、いいな。
ハイライトの滲みがエモい。新宿にシネマレンズの下見に行くついでに初お供。カメラ屋でレンズの状態の確認と試写を楽しみキノプラズマートを購入した。
これは別日で用事がてらスナップ。ソニーサービスステーションでイメージセンサーのクリーニングを依頼した日。
掃除のおばあちゃんを見て日本に対し感じることはないか。
標識と一体化する中ボス。
ラスボス。暗部の描き方はライカにも負けないロッコール。そう、Rokkor PG 50mm f1.4もすごくよかった。
中ボス。
いい感じにアーティステックに貼られたステッカーを中途半端に剥がして台無しのアート感覚ゼロの業者の残骸。
子供が笑う声が聞こえて何も見えないままシャッターを切る。
MINOLTA M-Rokkor 28mm f2.8で実写した感想Review
今回ひどいクモリのレンズを敢えて購入して試写した正直な感想を述べる。エモい写りで非常に気に入った。光学にダメージはあるがレンズ元々の性能は高いので滲みの中に芯があり諧調も豊富でいい味が出ている。
ダメージがあるレンズこそ本当のオールドレンズだと思った。昔のレンズが発売された当時のまま現代で使ってもそれはオールドレンズと言えるのだろうか。経年劣化があるからオールドレンズとしての魅力が高まるのではないか。
コレクションや観賞用としてオールドレンズに価値を見出すなら使用目的ではないことになる。それはそれでいい。レンズを売却目的の投資対象として所有するのであれば。ただ、多くのカメラ好きな人は道具として撮ることが目的だろう。
レンズは絞り羽根やピントリングなど撮影に支障があるくらい動作に不具合があると使いにくく不便だが、光学に多少ダメージがあっても、重要なのは「写りはどうか?」に尽きる。
今回、本レンズの作例を見て「面白い写りだ」と感じた方は、機会があれば安く売られているダメージレンズを一度試してみてほしい。クモリレンズやバルサム切れレンズは、意外と結構愛せることに気付くだろう。
手がかかる子ほどかわいいじゃないが、筆者は、ダメージレンズ特有の個性ある特別な写りが貴重で愛おしく思えた。Mロッコールはクモる硝材を使用したレンズなんだ。当時は意図しなかっただろうが、これがこのレンズ本来の写りなのだ。
まとめ
Mロッコール28/2.8クモリレンズはいかがだっただろうか。レタッチいらずのハイスペックコンパクトオールドレンズに仕上がっていた。かなり気に入った。
今回は以上。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。