日本の経済が発展できたのは、みなさんご存知、戦後の高度経済成長による影響が大きいです。
しかし経済成長が終わり、一転して先進国になることのできた国は、国内の労働者に対する雇用体制が悪くなります。
そのかわりに、貨幣価値の安い外国の途上国へのアウトソーシング(仕事依頼)が多くなるのです。
この点については日本もまた、例外ではありません。
<途上国と先進国における労働者雇用>
途上国 → 国内の貨幣価値が安いので、国内の労働者が徹底的に労働力として使用される(高度経済成長期の日本)
先進国 → 国内の貨幣価値が高いので、海外の安い労働力が購入され、国内の価格の高い労働者は使用されない(現在の日本)
経済成長というのは相対的な側面を含んでおり、途上国が成長すると、逆に先進国が衰退する、ということもしばしばです。
かつての日本の経済成長もまた、相対的にアメリカの経済を衰退させることがありました。
実際1980年代になると日米経済摩擦が原因で、アメリカは日本にそれ以上の経済成長をとめるよう、世界最強の国家として脅しをかけたほどです。
<相対的に発展・衰退する国>
衰退する先進国 | 発展する途上国 | |
---|---|---|
昔 | アメリカ | 日本 |
現在 | 日本 | 中国・インド・アフリカ各国等 |
簡単に言ってしまえば、昔アメリカが日本の経済成長によって弊害が発生したように、現在の日本もまた、各途上国の発展による安い労働力の発生で、相対的に日本の労働者が損をする傾向になっている、ということです。
つまり海外に安い労働力があるかぎり、相対的に値段の高くなってしまう日本の労働力は、雇用対象になりにくい、ということが言えてくるのです。
戦前の「暴力を伴った資本主義」は、「列強」と呼ばれる力を持った先進諸国が、力の弱い国(現在の途上国)を支配して植民地にすることで、徹底的に資源を搾取していきました。
しかし世界恐慌を経て戦後になると、「無慈悲な資本主義が、結果的に世界恐慌や第二次世界大戦を引き起こした」、という捉え方が一般的となり、人権が重視されるようになります。
いわゆるケインズ主義の政策を中心とする、社会主義(国が経済に介入する性質)を導入した「修正資本主義」に変わっていきます。
(これについては、フランクリン=ルーズベルト大統領時代のニューディール政策が有名です。テネシー川流域開発公社に国が投資しています)
ですから現代では発展途上国でも戦前と比べ、国際的に人権が保証されています。
そのうえで資本主義の大原則である、「自由競争の経済活動」をおこなうことで、結果的には先述の日本の高度経済成長を皮切りに、やがては中国やインドをはじめとするBRICs、ベトナムやインドネシアをはじめとするVISTAといった途上国が、先進国に経済面でおいつくようになってきました。
最近では、かつて植民地として徹底的に支配されてきた、アフリカ諸国もまた、おいあげをはじめています。
これらの途上国の多くは、自国の貨幣価値の安さを利用して、国民の労働力を先進国へと積極的に売りにだしている、ということが共通点です。
また労働力確保のために、国民にはベビーブーム(大量の幼児出産)が押されます。
(ただしベビーブームは数十年後、高齢化社会や少子化社会につながるリスクがあります)
かつて先進国に徹底的に搾取されてきた発展途上国が、いまになって回復の兆しを見せているのは、ひとえに「戦後の倫理観」による効果で大きいということが、言えるわけです。
具体的には、先進国は富を奪取される要素の大きい、軋轢や反乱、戦争を恐れて、途上国の経済発展を容赦している。
そう言えば、説得力があるでしょう。
なお、大体先進国の富裕層は発展途上国に投資します。
これは発展途上国の経済発展で、途上国の貨幣価値があがることを見越して、利益を得ようとしているからです。
株で稼ごうとする際には、必ず知っておきたい仕組みです。
先進国にとって、安い貨幣価値の途上国は、労働力を購入する相手としては得ですが、逆になにかを先進国内で作り、それを売る場合には損となります。
貨幣価値が高いため、買い手がつかないというのが理由です。
結果的に先進国の一般人たちは、いわゆるデフレーション(国内の物価が安く貨幣価値が高い)の影響を、モロに受けることになるわけです。
● インフレ・デフレってなに?(参考記事)
かつてはこの対策として、他国との経済活動(貿易)に条件をもうける保護貿易や、ブロック経済などといった国策が、先進国内で頻繁におこなわれていました。
現在にしても「自国民の労働力の値段が高い」という現象が起きるのは、相対的に見て「他国の途上国の労働力の値段が安い」からです。
つまり政策としては、その相対的に安くなっている他国の労働力を、政府が経済に介入して無効化してしまえばいいわけです。
これが保護貿易やブロック経済の主な戦略内容となっています。
しかしこれらの排他的な経済体制もまた、結果的に経済的弱国を苦しめ、第二次世界大戦の原因となりました。
ブロック経済や保護貿易といった、国による経済干渉が、国際間の軋轢をうみ、戦争を引き起こす火種になるということを、すでに人類は学習しています。
ですので、やはり先進国が自国民の労働力の品質を守れないのも、戦争や他国からの経済制裁を恐れて、という理由が大きいのです。
もっとも前述の日米経済摩擦のように、逆に発展途上国が著しく成長しすぎれば、相対的に見て先進国が不利になることがあるので、そうした場合にも軋轢をうむことになります。
最近では安い労働力として主に購入されている中国もまた、アメリカにとっては対中貿易赤字となっているため、アメリカの中国に対する視線は厳しくなっています。
戦争や他国の経済制裁を恐れて、というよりも、ときには世界最強の国家であるアメリカからの制裁を恐れて、自国民の労働者の生活苦が余儀なくされている、と言っても、間違った認識ではありませんね。
以上のことより、途上国が発展しやすいことと、先進国の自国民の労働力が捨ておかれることは、密接に関連しています。
政党や総理大臣次第で、自分達の雇用状況が改善されると考えるステレオタイプの国民が多いですが、言うまでもなく、その発想は的外れです。
国際化した自由競争を前提とする現在の世界経済下では、政府が経済につけいる隙はほとんどありません。
経済図式としては、安い貨幣価値を持つ途上国がどんどん先進国のお金を吸収し、途上国の労働者が栄えていく。
それに対し、高い貨幣価値を持つ先進国は、先進国に見合った職、たとえば専門分野に特化した技術者・知識人や、会社の上層部のみが利益を得て、労働者は衰退していく。
より資本主義の特徴である「資本家と労働者の対立」という構図が、際立っていくことになります。
ありていに言い換えてしまえば、国際的に見たとき、あなたたち日本の労働者より、苦しんでいる人はたくさんいるのだから、多少の雇用体制の悪さには目をつむれ、ということを、世界は暗に言っているわけです。
日本の雇用体制が改善されないカラクリは、こうしたものです。
途上国がここまで、先進国の労働者から仕事を奪ってしまうような強みとは、一体なんなのか?
安い労働力。この一言につきます。
戦後の「戦争をさける程度に調整された自由経済活動」では、安い労働力というのはそれだけで先進国の各企業からは重宝されます。
これは戦後からずっと存在している、極めてシンプルな法則です。
これだけの理由で、各先進国の会社は途上国の労働者に仕事を頼みますし、逆に福利厚生などの雇用体制の充実した、お金のかかる先進国内の一般人を雇う(従来の日本の会社の感覚で言えば「養う」と言ってもいい)のを、躊躇してしまうわけです。
月給20万円で不平を言いながら働く日本人と、時給300円以下でも尻尾をふりながら喜んで働く外国人労働者。
会社は、どちらを採用したがるでしょうか?
これこそが、日本人労働者の雇用が改善されない理由の根本です。
これは私の予想ですが、この「先進国内の労働力があまり必要とされない状態」は、発展途上国、もっと言ってしまえば貨幣価値の低い国がなくなるまで、続くと考えられます。
世界全体の貨幣価値がまっさらに等しくなり、「世界共通貨幣」と呼べるものでも創れる状態になって、はじめて世界の経済は均衡する。
これこそまさしくアダム=スミスのいう、「神の見えざる手」が実現するとき、と言うこともできるでしょう。
日本国内だけを見れば、現在の世界経済の方針では、多くの日本人が損をすることになります。
しかし平和という意味で世界全体を見たときには、世界を平等に経済成長させるこうした動きは、極めて正しい姿と言うことができるのです。
もちろん日本の労働者は、そんな美学に甘んじて、自分たちの生活苦を捨て置くことはできないでしょう。
結局のところ現在は多くの会社が労働力を、海外の安い労働力でおぎなう以上、単なる労働者としての日本人は、今後大きく稼ぐことはおろか、さらに給料の減っていく状態となります。
ですので対策としては、海外労働者にできないことを、仕事にしていけばいいわけです。
<海外労働者との差異をつけるための今後の日本人の稼ぎ方>
知識や技術を身につけ、専門職で攻めていく
会社に依存しない独自の稼ぎ方を身につける(主に当サイトで紹介)
日本人が従来の生活水準の高さを保つためには、発展途上国の労働者にはできないような、技術や知識の必要となる職業で攻めていく必要があります。
しかしそれでも一日中、労働に時間を費やすことが前提となるのは、念頭においておくべきです。
また会社に依存することで安定した収入が保証されるぶん、基準以上の収入を稼ぐことは、そう簡単なことではありません。
会社に依存し、単純に会社の歯車の労働力となることで大きく稼げる環境は、もう貨幣価値の高い先進国となってしまった現代の日本では、とっくのとうに終わっています。
とりわけ日本の労使関係(経営者と労働者の関係)は、独特の「馴れ合い」と言われています。
過去オイルショック時に各先進国で、スタグフレーションという脅威があったとき、この危機を真っ先にのりきったのは日本です。
スタグフレーションをいち早く乗り越えられたのは、この馴れ合いの労使関係があったから、という意見が定説で、確かにかつてこそ、この日本独特の「馴れ合いの労使関係」は評価されました。
しかし現代では、この馴れ合いはお金を稼ぐ際には逆効果です。
ただでさえ値段の高い日本の労働者をあつかうわけですから、徹底的に経営者は日本の労働者を搾取します。
そして使い物にならなければ、リストラという形で処分します。
終身雇用という発想は円高の影響で、完全に過去のものとなりました。
お金は労働力に支払われるのではありません。
価値のあるものに支払われるのです。
昔の1ドル360円固定の貨幣価値が安い時代の日本であれば、日本の「安い労働力」が非常に価値のあるものに見えたから、いろんな企業から着目されました。
しかし現代の日本は、先進国です。
貨幣価値の高い国としてのクオリティーが問われる以上、これからはいざというときのために、会社に依存せず、自分一人だけでも誰かに価値を提供できる能力が、それぞれ日本の国民には必要となってきます。
私見ですが、現在の日本の労働者の雇用体制に問題があるというよりは、国民ひとりひとりの、先進国に住む人間としての、自覚・意識がないことのほうが、私としては問題のように思います。
単なる労働だけで稼げるようなら、いまごろ発展途上国の人々も優雅な生活を送れています。
優雅な生活ができるのは、それに見合うだけの価値を独力でプロデュースし、誰かに提供できているからです。
労働力だけでそれをまかなえている人がいるのだとすれば、私としては、それこそ奇跡の存在のように見えてしまいます。
国際化社会の現代では、海外途上国の労働者と同じことしかできないようなら、当然日本の労働者もまた彼らと同じ生活水準になっても、なにも文句は言えません。
そして国も世界経済には介入できないので、あなたを助けてはくれません。
日本に住んでいるという理由だけで恩恵を受けられる、なんて発想は、もう通用しないのです。
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