高齢化社会を迎え、特養(特別養護老人ホーム=介護老人福祉施設)への入所はより一層厳しさを増しています。
実際に私の祖父も、2016年時点で要介護5でも、とある特別養護老人ホームでは50~99人待ちでした。
2016年時点でこの状態ですから、今後は選り好みできない状況です。
だからこそ、費用的な部分も勘案して特別養護老人ホームへの入所を希望するなら、なりふり構わず、複数の特別養護老人ホームへの入所申込をするべきです。
- 特養へ入所するための条件は?
- 特養でかかる費用はどのくらい?
こんなお悩みにお答えします。
本記事をご覧の方は
という方が多いのではないでしょうか。
本記事では特養(特別養護老人ホーム)の入所条件と、実際の料金表に基づく費用について解説します。
ぬくぬくが祖父を特養に入所させたときの資料をもとに解説しますよー
5分くらいで、特養の入所条件と料金が分かりますので、ご一読いただけますと幸いです。
なお、数ある介護施設の中で、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)の位置づけは次のとおりです。
公/民 | 施設の種類 | 入所可能な介護度 | 認知症対応 | 看取り |
---|---|---|---|---|
公的 | 特別養護老人ホーム (介護老人福祉施設) | 要介護3~5 | ○ | 施設による |
公的 | 介護老人保健施設 | 要介護1~5 | ○ | 施設による |
公的 | 介護療養型医療施設 | 要介護1~5 | ○ | ○ |
公的 | 軽費老人ホーム | 自立~要介護3 | 軽度まで可 | × |
公的 | ケアハウス | 自立~要介護3 | 軽度まで可 | × |
民間 | 介護付有料老人ホーム | 自立~要介護5 | ○ | 施設による |
民間 | 住宅型有料老人ホーム | 自立~要介護5 | 軽度まで可 | 施設による |
民間 | シニア向け分譲マンション | 自立~要介護5 | 軽度まで可 | 施設による |
民間 | グループホーム | 要支援2~要介護5 | ○ | × |
民間 | サービス付き高齢者住宅 | 自立~要介護3 | 軽度まで可 | × |
民間 | 高齢者専用賃貸住宅 | 自立~要介護3 | 軽度まで可 | × |
民間 | 高齢者向け優良賃貸住宅 | 自立~要介護3 | 軽度まで可 | × |
民間 | 健康型有料老人ホーム | 自立のみ | × | × |
特養(特別養護老人ホーム)とは?
特養(とくよう)は「特別養護老人ホーム」の略で「介護老人福祉施設」とも呼びます。
「特別養護老人ホーム」は老人福祉法に基づく名称で、「介護老人福祉施設」は介護保険法による名称です。
特養は、要介護3~5で介護が必要な方の“終(つい)の棲家”と例えられるように、状態の安定したかたが入所するため、出入りは少なく、新規入所の難易度は難しくなっています。
実際に、厚労省の「令和元年介護サービス施設・事業所調査の概況」にある特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)の利用率を見てみると、9割強埋まっている状態です。
特養と老健(介護老人保健施設)の違い
比較項目 | 特養 | 老健 |
---|---|---|
施設目的 | 身体介護・生活支援 | 在宅復帰のためのリハビリ |
入所条件 | 要介護3以上 | 要介護1以上 |
入所可能期間 | 制限無し(終の棲家) | 原則3か月 |
費用 | 安い | 高い |
おむつ代 | 介護費用に含む | 自己負担 |
洗濯サービス | 介護費用に含む | 自己負担(委託可能) |
特養と老健の違い①:施設の目的
特養は、身体介護や生活支援をして、安定的に生活していく終の棲家を目的としています。
一方、老健は、リハビリなどをメインとし、最終的には自宅で生活していくことを目的としています。
ただし、本来特養に入りたい人が、部屋が満杯で入れないため、特養への入所が決まるまでの一時的な拠り所として老健を利用する人もいます。
私の祖父も、特養への入所が決まるまで、老健に入所していました
特養と老健の違い②:入所条件
特養は要介護3以上でないと入所できません。
老健は要介護1以上で入所できます。
特養と老健の違い③:入所可能期間
特養は、入所期間に制限はありません。終の棲家と例えられる理由ですね。
老健は、原則3か月間しか入所できません。
特養と老健の違い④:費用
一般的に、かかる費用は 特養 < 老健 です。
特養の方が安く、老健の方が高いです。
なお、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)への入所するまでの介護施設として介護老人保健施設への入所をお考えであれば【介護】介護老人保健施設の入所条件と費用はいくら?をご覧ください。
特養と老健の違い⑤:おむつ代
おむつ代は介護施設によって異なります。
私の祖父が入所した特養では、おむつ代は介護サービス費に含まれており、自分で買って持っていく必要はありませんでした。
私の祖父が入所した老健では、おむつ代が介護サービス費に含まれておらず、隔週でおむつを自分で買って持っていく必要がありました。
特養と老健の違い⑥:洗濯サービス
洗濯サービスも介護施設によって異なります。
私の祖父が入所した特養では、洗濯は介護サービス費に含まれており、洗濯は老健がやってくれました。
私の祖父が入所した老健では、洗濯が介護サービス費に含まれておらず、委託先事業者の紹介を受けて、有料サービスを利用して洗濯してもらうことで、毎週自分で持ち帰って洗濯して老健へ届けるのは不要でした。
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)の3つの入所条件
特養へ入所するための3条件をかんたんに解説していきます。
特養入所条件①:介護保険の要介護度が3~5であること
特養の入所条件1つ目は、「介護保険」の「要介護度」が「3~5」であることです。
例えば、排泄や衣類の着脱などに介助や介護が必要となってくると、要介護3にあたります。
特養入所条件②:入院治療が必要無いこと
特養の入所条件2つ目は、入院治療が必要無いことです。
特養はあくまで生活の場であり、医療を目的とした場所ではありません。
したがって、治療が必要な方は入所できません。
特養入所条件③:病気があっても、安定状態であること
特養の入所条件3つ目は、持病があっても安定状態であることです。
特養は治療が目的ではありませんが、持病で薬を飲んでいる程度で、安定状態であれば入所できます。
薬も、介護保険適用対象の薬であれば、特養の医師が処方してくれるため、外部の病院へ通院は不要です。
ただし、特に終末期に多いケースで、介護保険適用外の薬が必要になった場合、入院や施設退所が必要になります。
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)の実際の料金表
特養に入所したら、かかる費用は3つあります。
実際にぬくぬくの祖父が特養へ入所していただいた料金表をご覧いただきましょう。
利用者負担1~3段階の料金表
利用者負担4段階の料金表
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)の料金表の見方
特別養護老人ホームの料金は次の3点で決まります。
詳しく見ていきましょう。
特養の料金決定条件①:介護保険証の要介護度の区分
特養の料金が決まるひとつ目の条件は「要介護度」です。
介護保険証に記載されている「要支援1~2」または「要介護1~5」を指します。
「要介護度」の目安は下表のとおりです。
No | 要介護度 | 介助や介護が必要な日常生活能力 |
---|---|---|
1 | 要支援1 | 起き上がり・立ち上がり |
2 | 要支援1/要介護1 | 片足での立位・日常の意思決定・買い物 |
3 | 要介護2 | 歩行・洗身・爪切り・薬の内服・金銭の管理・簡単な調理 |
4 | 要介護3 | 寝返り・排尿・排便・口腔清潔・衣類の着脱 |
5 | 要介護4 | 座位保持・両足での立位・移乗・移動・洗顔・整髪 |
6 | 要介護5 | 麻痺・食事摂取・外出頻度・短期記憶 |
要介護度に応じて、特養の料金表の横軸が決まります。
特養の料金決定条件②:負担限度額認定証の「利用者負担段階」(食費と居住費)
特養の料金が決まるふたつ目の条件は「利用者負担段階」です。
負担限度額認定証に記載されている「利用者負担段階」によって特養の料金が変わります。
負担限度額認定証は、「市町村民税課税世帯」「市町村民税非課税世帯」「生活保護受給者」によって「利用者負担段階」が変わります。
なお、負担限度額認定証の申請を行っていない場合「利用者負担段階=第4段階」です。
「利用者負担段階」で、特養の料金表の縦軸(利用者負担段階1~4)が決まります。
特養の料金決定条件③:介護保険負担割合(介護サービスの自己負担割合)
特養の料金が決まる3つ目の条件は「介護保険の負担割合」です。
本人および世帯の所得に応じて、介護保険負担割合が決まります。
医療保険(国民健康保険や後期高齢者医療保険)における「1割負担」「2割負担」「3割負担」を決めるのと同じイメージですね。
「利用者負担割合」で、特養の料金表の横軸(割合)が決まります。
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)の料金例
では、実際に私の祖父が特養に入所したときの料金例を見てみましょう。条件は次のとおりです。
適用項目 | 適用区分 | 条件適用詳細 |
---|---|---|
要介護度 | 4 | ※介護保険証の認定介護度 |
利用者負担段階 | 第4段階 | 市町村民税課税を受けているため |
介護保険負担割合 | 2割負担 | 本人合計所得:290万円(年金) かつ 世帯年金収入:290万円(年金) ※世帯分離 |
特養の料金表【利用者負担4段階の料金表(2割負担)】に照らし合わせると¥164,796になります。
実際に特養からもらった請求書はコチラです。
晩年は入退院を繰り返していたので、まるまる1か月間の請求書はこの1か月分しかありませんでした。
なお、本請求は2018年での請求書で、2021年現在では介護サービス費・食費・居住費の自己負担が上がっています。
特養の入所は厳しいので、同時に複数の特養へ申し込みしよう!
いかがでしたでしょうか?
特養へ入所するためには、要介護度が3~5が条件ですが、最初に見て頂いたツイートのとおり、2021年現在、特養のの空き部屋数は、ほぼほぼ無いと言っても過言ではありません。
個々の事情もあるとは思いますが、施設側も要介護度の重い順に優先度を高める傾向にありますので、事実上、要介護度4以上でないと特養への入所はできないのが現実です。
だからこそ、特養への入所申し込みは、同時に複数申し込みましょう!
複数の特養に申し込みするのは当たり前で、申し込みで面談したときに優しい口調で「他の施設へ申し込みされてます?」と必ず聞かれますが、「申し込みしています」と答えても問題ありません。
ぬくぬくも、同時に3か所の特養に申し込みして、全て「他でも申し込みしています」と答えて、2か所から入所可能な旨、ご連絡いただいています。
以上、ご参考になれば幸いです。