グルーポンが売っているものは何か

今回のおせちの件、グルーポンは悪くない、という人が結構いることに驚き。
グルーポンは、店から広告料をもらってクーポンを「タダで配布」しているのではないよね。クーポンを「有料で販売」しているわけだ。そのクーポンの価値はほとんど金券に等しくて、何%オフで、本来の価値を提供することを保証…少なくとも買った客には期待させているものだよね。言い換えると、1万円のチケットを5000円で売っているようなもので、それが実際には5000円の価値しかありませんでした、というのは羊頭狗肉みたいな。
グルーポンはお店にとっては従来のクーポンマガジンと同様に、宣伝料を払っているだけのイメージかもしれない。だから、そのサービス内容が本来のものと違っても問題なかろうと考えてしまうかもしれない。でも、それは大間違いで客にとってみれば、本来の額面の価値があるからこそ、お金を出してクーポンを買うわけだ。そのクーポンは、先の例で言うと1万円の額面の金券そのものである。じゃないと割引率が嘘だから虚偽の記載だよね。
だから、グルーポンの責任として、額面に見合った価値があるものをお店にきちんと提供することを遵守するようにお店に理解させることはあるはずだし、どう考えても無理な契約をしていないかどうか、チェックすることも必要だよね。今回の件で言うと、相手の会社のキャパを超えたかどうかなんてグルーポンにはわかりっこないという意見が合ったけど、そうではない。相手のことをノーチェックで金券出すってのはありえないでしょう普通。

ところで、このような商品券の類を発行するには、財務局への登録が必要なんだけど、グルーポンは、旧社名のクーポッドも含め、去年の11月末現在、登録されていないみたい。
http://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyoj/mae.html
ちなみに、ぐるなびは登録しているみたい。なんか売ってたっけ。これかな?
もしかして、結構やばかったりしませんかねグルーポン。もちろん、これは特定のところでしか使えないから発行の際に事前に登録が必要な類の金券ではありません、という解釈もあるだろうし、そのあたりは専門家の方の意見を待ちたいところではありますが。

商品券の関係法規などについて(1/2追記)

本題ではないけど、触れた手前、調べてみました。ありがたいコメントもありましたので参考にさせていただきつつ。

Q2.前払式証票とはどのようなものが該当しますか?
A2.商品券・ギフト券など前払いで購入した証票を前払式証票といいます。
法律の規制を受ける前払式証票
法第2条第1項1号
金額が記載され又は電磁的に記録されている証票 (度数表示を含む)
【参考例】商品券・ギフト券・文具券・お米券・テレホンカード
法第2条第1項2号
物品の数量が記載され又は電磁的に記録されている証票
【参考例】ビール券・清酒券・清涼飲料券
法律の規制を受けない前払式証票(法定除外)
政令第1条
① 乗車券、乗船券、航空券
② 施設または場所に係る入場券(通常併せて発行される施設利用券)
【参考例】映画、演劇、演芸、音楽等の入場券、競馬場、競輪場等の入場券、遊園地、美術館、動物園、博覧会の入場券等
③ 特定の施設又は場所の利用者が通常使用できる食券等など
政令第2条
使用期間が6月以内の証票

http://www.mof-kantou.go.jp/kinyuu/purica_/qa.htm

これわかりにくいですけど、政令第2条にあたるものは除外で、それは法第2条第1項にこう示されています。

第2条  この法律において「前払式証票」とは、次に掲げる証票その他の物(乗車券、入場券その他の政令で定めるもの及びその発行の日から政令で定める一定の期間内に限り使用できるものを除く。)をいう。

hourei.info -  リソースおよび情報

こっちは政令

第2条   法第2条第1項 に規定する政令で定める一定の期間は、6月とする。

http://www.lawdata.org/law/htmldata/H02/H02SE193.html

つまり、使用期限が6ヶ月以内なら前払式証票にあたらない。
では、グルーポンの有効期限はと言うと…

9.クーポンには有効期限があり、有効期限を過ぎると利用できなくなります。この場合、当社は会員に対してクーポン購入代金を返金いたしません。なお、有効期限は、最も長い場合であっても、クーポンの発行日から6ヶ月が経過する日の前日までであり、6ヶ月以上使用できるクーポンはありません。

http://www.groupon.jp/about-terms/

をを、まさにここに該当しないようにはずしてきているわけですね。

ただ、前払式証票に該当しない、ということは、未使用発行額面が増えたときに供託金からの返金がないってことですから、未使用状態でグルーポンが潰れたら、すぐさま紙切れになっちゃうってことですね。

というわけで、少なくとも未登録の状態が何かに違反しているわけではないということはわかりました。

事件そのものについての感想追記

僕は、あのおせちを売った会社を断罪しようと言う気は毛頭ないんですよね。なぜなら客じゃないから。ネタとしてはすごいし、写真とか、いろんなものを見ても不誠実な部分はあると思うけど、部外者が断罪するのはどうかと思います。黙って潜在顧客であることを捨てるだけです。
グルーポン系の集客も、事案によってはきちんとした効果が出るでしょうし、消費者とお店の双方が幸せになるための仕組みであってほしい。そのためにはお店が無理をしてしまってもダメだし、利用した消費者もちゃんとお店を評価してほしいと思っているわけです。
在庫処分数量限定大幅値引きとか、そういうのが本来形だと思うんですよね。客寄せのための金券値引きとかよりは来店したらキャッシュバックとかのほうがマシだと思うし、そもそもグルーポンの案件で店が儲かることは多分ありえないということを店側も念頭においてほしいし。
とにかく、いいお店がフラッシュマーケティングと言う言葉に煽られて、背伸びをした結果、不幸な結果になることだけはないように願っています。