鍵を落としたらいくらかかる?
ある日のことです。旅行先で気分良く口笛を吹いていた時、あることに気付いて顔面蒼白になりました。
あれ、鍵が……ない……
急いでいろんなところを探していろんなところに電話をかけたのですが、とにかく全く出てこない。旅行先なので別に盗まれる心配はないのですが、まいったなあと頭を抱えました(物理的に)。
さて、なくしてしまったものはしょうがないので、検索してみようか、と思ってGoogleにキーワードを打ち込みました。
中を見たところ、「鍵開け 5800円〜」という文字が。この「〜」はもちろん曲者で、当然高くなるということは予測してあるわけですが、何と言っても売上日本一、と書いてあるから問題なかろうと思いました。
しかし、ここではた、と思ったのです。
「これ、CPC(クリック単価)いくらだ?」
クリック単価を調べてみる
ということで、AdWordsのキーワードプランナー(クリック単価を調べられるツール)を開いてみました。そうしたところ、下記のような結果になりました。
これはやばい匂いがします。
具体的に言うと「キャッシング 返済」とか「キャッシング クレジット」などの高額ワードよりも高い金額です。
金融系のワードは、顧客から得られる利益が高いためとにかく一クリックが高くなるのですが、その上位表示単価と同じレベルです。
成約単価を計算してみる
クリック単価がこれだけ高いと、一つの案件が制約するまでに必要な広告費は相当高いのではないかと推定できます。
成約単価は下記の式で計算できるので、考えてみましょう。
クリック単価÷コンバージョン率÷申込後成約率)
例えば、コンバージョン率(クリック後に申し込み・電話する率)を(顧客も焦っているから高めに)20%程度と仮定します。
電話をしたあとや無料相談した後に成約する率を50%とすると、成約単価はこうなります。
2500円÷20%÷50% = 25,000円
これでも結構、広告費を安く換算しています。電話をしてみて、ちょっと違うなと思って切る人もいるでしょう。50%もあるかわかりません。コンバージョン率20%もかなり高い数値です。CPA(コンバージョン単価)はもっと高くてもおかしくない。
ただ、少なくとも、このクリック単価を見るだけでも、広告費に相当なお金をかけても成立するビジネスモデルであることは予測できます。
当然人件費や鍵の原価なども必要になるでしょう。通常、広告費は30%程度です。
ということは、「鍵 紛失」で上位に表示されている企業の平均の顧客単価は、安く見積もっても70,000〜80,000円程度ではないか、と推測されます。
実際、検索してみると、電話口では請求金額を教えてくれず、実際に鍵を開けられたあとに十数万円を請求された、というような、かなりグレーな体験談も散見されました。
なぜこのような状況がまかり通るのか
鍵の紛失は、はっきり行って相場観がわかりません。無くしてしまったことへの罪悪感もあるでしょう。
そういう中で、実際に出張で鍵を確認されてから高額を請求しても断りづらく、またあまり聞こえのいい話でもないので、体験談もネット上に上がらないのではないでしょうか。
この話の唯一の Take away は、「とりあえず検索連動型広告で上位表示されている鍵屋さんは、かなり顧客単価が高くなっている可能性がある」というあたりにしておきます。
僕は結局、近所の鍵屋さんを探して鍵を壊して入れ替えてもらいました。2万円弱。聞いてみたところ、新しい鍵の原価自体が結構するみたいです。
もし鍵をなくしてしまったら、ローカルな鍵屋さんを探したほうがいいかもしれません。自分から店に行って相談すれば金額も聞きやすいし。