地面に落ちた長ネギ

いつだったかスーパーに行った時に僕が購入しようとしていた梱包されてない剥き出しの長ネギをレジ処理していた店員さんが誤って地面に落としてしまった。慌てて店員さんは「申し訳ありません、少々お待ちください」と頭を下げて野菜売り場の方へと1本の長ネギを握りしめて駆けていった。頑張れ店員さんあと少しだ店員さん、その角を曲がりさえすればすぐそこは長ネギ売り場だ。角を折れて視界から消えた店員さんは1秒後に再度僕の眼前に出現した。一本の長ネギを誇らしげに天に突き上げながら。ごめん今の言いすぎた、別に突き上げてはなかった。何はともあれ一本の長ネギを持っていて、僕は「ん?」と思った。いやいや、お前はさっき落とした長ネギと新たに売り場から調達した長ネギの二本をそれぞれ両手に握りしめて四乃森蒼紫の小太刀二刀流みたいな構えで登場しないと整合性が取れないんじゃないの? お前が一本しか長ネギを持っていないということは、結局落としたネギを知らない誰かが買ってくれればいいやと売り場にそのまま戻したか、或いは交換した振りだけしときゃ文句ないだろうと思って一旦こちらからは死角となる長ネギ売り場に消えて交換なんてしないでそのまま戻ってきたかの二つに一つになってしまうじゃないか。後者の場合は面白いからネギ売り場サイドからの視点で見たいわ。長ネギ握りしめた店員さんが長ネギ売り場に走って現れたかと思えば踵を返して去っていく、なんだよそれめちゃめちゃ面白いじゃないか。まぁそういう疑問はあったのだけれども、僕は割かしそこらへん無頓着で洗えばいいやと思う方なので特にそれでどうしたということもなかったのだけれど、建前でいいので衛生面配慮してますよってポーズをするのが大事というのは分かりつつも「建前としてやればいいのだ」って感覚があるとなかなか隅々まで気が回らないというか、徹底させるのも難しいものなのだろうなぁと思った。

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