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娘が生まれたので育休をとっています

先日第一子となる娘が生まれ、育休を取ってちょうど一週間が経った。

生まれるまでも、生まれてからも騒々しい日々だったが、現状なんとかなっている。今もサポートしてくれる身の回りの人や、サービス、医療、何より妻に感謝の気持ちしかない。

この記事は、生まれる前後や育休を取るまでの絶妙な心持ちと、娘が家に来てからの忙しさ、感情や考え方の変化、そして今の感謝の気持ちを父として今後も忘れないようにしておくための記事である。

立ち会い出産

出産当日は10月22日木曜日、深夜に妻が「陣痛来たかも…」と言ってから、すぐ会社に休みの連絡を入れ、タクシーに乗り込んだ。

コロナ禍で、普段の定期検診も夫であっても同行できないという状況が続いており、エコーを一緒に見たりという事ができず寂しい気持ちがあったが、10月当初は一時的に落ち着いていた時期でもあったため、夫である私のみ立ち会い出産に挑む事ができた。

出産は壮絶だった。

妻は今まで見たことないような顔と声で痛みに耐えながらどんどん精神的にも参ってくるし、その間に夫に出来ることはいきみ逃しにテニスボールを押し当てたり声掛けをするくらいである。

深夜から声掛けを始めて24時間持つような体力をもっていない事は自覚があるので、とにかく妻が落ち着いている時間に一緒に休み、妻が辛い時は出来ることをやる。

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妻が辛くない時間帯で
人生を賭けた試合に負けたテニスプレイヤーの如く休む私
(妻撮影)

人間はどんどんしんどくなっていく人を見ながら応援し続けられるように出来てはいないのがよく分かった。立ち会い出産を終えて、次の日の深夜に家に帰ってから、土日含めて頭が回らないくらいヘロヘロになっていた。


もちろん、誰より頑張っているのは妻であって、大仕事を成し遂げようとする強い身体と気持ちに対する感謝が最も大きい。私以上に壮絶な1日だった事、また出産後も身体も心も大変だったことは横で見ていた私から見ても間違いがない。

ここでは、妻の身体の辛さや心情を私が書くといった事は避けるが、自分自身が相当にしんどく、感情が乱高下する中で何より感動した事と比較して、妻がその何倍ものエネルギーを使って娘を出産した事が知れた、というだけで出産に立ち会った価値が大きいと今でも感じる。

立ち会い出産によって妻に休んで欲しいという気持ちが強まるという言説を見てはいたものの、人間は実際に体験するしないでは天と地ほどの差がある訳で、自分の身に染み込ませる事が出来たのがとても良かった。

諸先輩である母親の皆さんすごいし、父親の皆さんもすごい。
医師も医療もすごいし、こんな不安定な出産という過程を経てやっと生まれてくる子供もすごい。
母子共に健康で本当にありがたい。

そんな気持ちでいっぱいになった経験だった。


予定日より早く陣痛が来たためであって、時期がずれれば立ち会いできなかったかも知れないし、前日も遅くまでPC作業をしてしまっていたのを省みると、自分がやるべき事やタイミングに気を張って生きていかないとなと思うなどした。苦手な自覚があるので頑張りたい。

出産後から育休まで

出産の後、一週間病院で妻子共に入院し、その後2週間、産後ケアセンターに泊まる形を取った。

産後ケアセンターは、金額的には一瞬目玉が飛び出るような額ではあるものの、一部が医療費控除の対象となる情報を得たり、直近で政府からの給付金もあったので、背中を押してもらう形になった。

私の実家は愛媛だし、このコロナ禍で両親共に気軽に来れるような状況ではなく、新生児のお世話をする事自体が初めての我が家において、実際この選択は非常に良かったと妻も言っているし、私も感じている。


妻は、産後まともに動ける状態ではなかったので、とにかく育児より休むことを優先すべき状態だったし、育児に関する知識こそ得られても体験を持っていない私が、いきなり娘を見ながら妻の療養に気を配りつつ家事をして仕事をする、というのは自分の体力的にも難しかっただろうと今振り返っても思う。

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めちゃくちゃ健康的で美味しいケアセンターのごはん
デザートも含めて私も食べたけど美味しかった

私は週末この施設に出向き、ミルクやおむつ替え、沐浴を複数回経験してから、家に迎え入れる形になった。これはかなり良くて、いきなり連日連夜ではないので労力も小さく、かつ経験する事で妻が家に帰ってくるまでにやらなければならない事を自覚できた。

妻自身もこのケアセンター期間は良かったとのことで、病院退院時はまだ蒼白であった顔も、かなり元気な状態で家に帰ってきてくれた。


出産自体が予定日より早まったことから、一週間は私がリモートワークしつつ育児を手伝う形になる期間があったが、その辺りの「育休に入るまでのマージン」を上手くケアセンターで調整出来た点も良かった。

育休に入るにあたり、私が持っていたプロジェクトを引き継ぐ作業を一ヶ月ほどかけて行った。引き継ぎの背景には、チームメンバーの多大なるサポートもあったが、何より生まれてから3週間、妻子が十分休める状態で自分が仕事に打ち込む期間があったことで、後腐れを最小限に抑える事ができたと思う。

そもそもこの施設を教えてくれたのは上司なので、何より感謝である。


こういった、産後の育児指導をメインとする施設ではなく「母親が産後に休むための施設」というのは、韓国や中国ではかなり普及しているらしい。
核家族化が進む中、こういった施設がもっと日本に増えて、みんなが手軽に楽できるようになれば良いのにと思う。

育休に至るまでのお気持ち

元々、育休を取るぞという心持ちだけはあった。

妻は私と付き合っていた頃に適応障害で仕事を辞めていて、そのメンタルの変化を見てきているというのもある。加えて、我が家は前年に一度初期の流産を経験していて、その時の妻の体調や精神の揺れに私も当てられて仕事ないし活動が不調になった経験もある。

今回の妊娠中も、つわりで辛そうな妻を見ていたり、コロナで外に出れないストレスを妻が感じているのは肌で感じられたり、初期に大量出血で病院に行ったりしている。

育児はまだまだこれからだが、そういった経験から、出産という作業がいかに不安定で安全なものでないという事は認識していて、どういう結果になったとしても休むための心持ちでいた。


IT業界の諸先輩を見渡しても、男性が育休を取るのは自然である。

サイバーエージェントのエンジニアの7ヶ月の育休記事。

半育休(時短勤務)という形で1年間子供と一緒にいる選択をしているエンジニアの振り返り記事。

Googleに転職後すぐ育休(Google社の制度による有給)に入り、3ヶ月間子供と過ごしたkumagi氏の記事。

当然、私が勤務するエムスリー株式会社にも育休を取った諸先輩方が居る。

育休を考えるに当たって、こういった諸先輩方を見てきていて、相談に乗ってもらう事も幾度も行ったため、先述の通り当然育休は取るものだという心構えで居た(上記記事の冨岡さんはもう転職してしまったが相談には乗ってもらった)。

何より子供の成長を最大限見ていたいし、妻にも諸先輩のZoom相談会を聞いてもらうなどして、育休を取るぞという雰囲気を強めていった。


気持ちこそ強かったが、上記の記事それぞれについて共通するような悩みや不安ももちろんあった。

育休は"休"という字が使われていますが、出社してソリティアしている人よりもよっぽど働いている気がします。世間の風圧に押されてしまい、若干罪悪感とか焦りを感じる場面もありますが…
 --- とあるエンジニアの育休振り返り(3ヶ月目)
私が育休中に特に感じた育児のつらみは以下の3つです。
・生活リズムの崩壊
・不安と自己嫌悪
・睡眠不足
 --- 育児休業を支えるあれこれ
育休を取りながらの勉強、できる人はできると思いますが、自分にはほぼ無理でした。
技術が進んでるんじゃないか...仕事が進んでるんじゃないか...
勉強できてない... 本を読むことすらできてない...
と、ネガティブ思考の悪循環に陥ってしまう期間もありました。子供が寝る30分とか、寝付いたあととか、ちょっとした空き時間は毎日できます。
勉強しなきゃ... コード書かなきゃ...でも自分も疲れてて寝てしまう... ああ、明日こそ...
 --- 仕事大好きエンジニアが半年間パパだけの育休をとった話

私は、仕事人間とまではいかないものの、夜中まで趣味でプログラミングをしてYouTubeやSNSで技術動画や記事を読んで仕事でもプログラミングをしているような、他の趣味といえばTwitterくらいしかないタイプである。

特に自分が、勉強できない、プログラミングできない、仕事できない状態に置かれ、そういった中で他の忙しさに追われるような経験が殆どないので、上記のような自己嫌悪や悪循環に陥るのは見え透いたようなものだった。


また、社会的な圧力も感じる事もあった。

実際に「育休終わりに同じプロジェクトに戻るのはムカつく」というセリフを聞いたり、直近同じように育休を取ったソフトウェアエンジニアのブログに対して「ポーズだけ」のようなはてブコメントが付いているのを見て「は?この人がどれだけの気持ちの上で書いてるか考えろこの」と一喜一憂するなどした。

IT業界外の人に育休の話をすれば「育休!?男性で!?仕事大丈夫なの!?」と驚かれ、他人の有給取得で似た事言ったらおかしいのは解るだろうに何故育休では…と思うこともあった。

業界外では、小泉進次郎が育休を取ったブログを書いた事が記憶に新しい。

「あぁ、世の中の男性もこういう葛藤を抱え、育休を取りたくても取りにくい思いを抱えながら働いてるんだな…」と、当事者として痛感しました。正直、ものすごく悩みました。
 --- 小泉進次郎『育休取得について』

小泉進次郎ともなれば絶対相当な嫌味を言われたろうに、それをここまでオブラートに書ける辺りはすごい。彼が好かれる理由であり、育休推進の旗振りとして期待がかかる理由でもあることがよく分かった。

彼の言う通り、育休は休みではない。
育休のイメージ自体が変わって欲しいと今も思う。


育休の前後で転職する諸先輩方も目にしてきたが、こんだけ社会的な圧力もあって、仕事しながら大変な引き継ぎが必要で、数ヶ月後また戻って1からやるなら、会社と合意取って転職するのも人生の正解の1つだわなと思った。

今回は、転職する候補も私を必要としている企業も特にパッと思いつかなかったし、今の職場でもっと頑張りたい事があったので、とにかくこの不安を解消するように色んな人に育休の体験談を聞いた。おかげで、かなり圧倒的な強い気持ちで育休に取り組めている。

相談による情報収集は本当に大事。情報があるかないかで全然違う事を私も痛感したのでブログを書いているというのもある。

育休の途中経過

基本母乳による授乳以外、家事や寝かしつけ、沐浴を諸々全てやっている


先述の通り、元から過集中で深夜4時までプログラミングをしてから寝て10時に起きてパジャマのまま仕事なり活動を始めるような、生活破綻者だったので、深夜のミルクや寝かしつけは楽勝…と思っていた。

実際楽な日もあって、3時にミルクを飲んで寝て私も寝れるような日もあるが、たまに5時まで泣きますみたいな日があって絶望する事もある(私はガンギマリナイトと呼んでいる)。

普段は「泣かぬなら寝かせてみせようホトトギス」とイキっているが、そういう日は、伝家の宝刀パパコースターもオシャブリパラダイスも意味を成さない。

無量空処の如く、ただひたすらに遅い時間の経過を待つことになる。
これは経験しないと表現しきれないが本当に無限のような時間に感じる。


子供は抱っこして歩かないと落ち着かないらしい。夜中に家の中をひたすら散歩するのは、集中してプログラミングして起きている時間とは訳が違った。

(引用論文によると諸説あるようだが専門でないのでここでは言及しない)


日中も少しでも和らげるためにパパコースターを実施するものの、ミルクを飲んでいる時と寝ている時以外は、ちょっと油断すればすぐ機嫌を損ねてしまう。

東京の街中を車で運転している時のようなもので、集中してコードを書いたり本を読んだり仕事について考えるのは、やはり難しい。

ここは事前に諸先輩方に聞いて知った通りなので、狭く深い範囲を勉強することは集中出来ないので一旦諦めて、最近はYouTubeで技術動画を見ながらあやしたり、リモートになった国際会議の動画を見ながら、広く情報収集する形を取っている(技術系のYouTube動画のチャンネルを調べて記事にしたりしたのはこれもあった)。

これくらいなら出来るし、悪くない感じで回っている。オススメ。育休終了後どういった形で復帰するかわからないし、手は動かせないいものの、幾分かマシにはなると思う。


最初は、会社のSlack通知を見ていたりしたが、「皆仕事しているのに私…」という罪悪感が凄くて本当に精神的に良くないので、1日1回見れたら見るかもくらいにした。

最近Twitterで進捗すごい人を見ても強く何か思うことはないが、こと仕事となるとすごい感じるんだなあと思うなどしている。社会からの疎外感のようなものが一気に訪れるからだろうか。

私が居なくても仕事は回る。属人化しない良い仕事をしてきた証拠。
今は一旦そう思うようにしている。

ツイートも少々疲れて社会的な判断が若干鈍っているかもしれなくとも、なるべく今思った事をツイートするようにして、家庭外とのコミュニケーションを増やすようにしてる。息抜きは大事。


娘はかわいい。
こんな子供可愛いことある?ってくらいかわいい。

本当に今の可愛さは明日には別の可愛いさになっているのがわかるほど、常に接して、日々の成長を感じられるので良い。ありがたい。

おわりに

出産当日生まれてから妻と雑談する中で、この体験をブログにでも残せばきっと良いよという会話をした。

「何か書こうとは思ってたんだけど、事前に悩んだり浮かんでた内容は本当に小さいものだったわ…感謝しか思いつかない…」
という私に対して
「いやいや、それとこれとは別。あなたの育児に関連した悩みを読んで考える人が出てくるのは良いことなんだから。」
と返されて、出産という体験の後にこれ言えるの強いなと思った。

妻も娘も守れるように、がんばりたい。


このブログも、初稿は10月末に書き上がったものの、妻のレビューをもらったり、他の育児情報集めの方が忙しかったりで今の時期になった。

育ててくれた両親、育休に当たってサポートしていただいいたチームメンバー、お祝いの言葉をくれたフォロワー、Amazon欲しい物リストから贈っていただいた皆様、妻のご友人、そして何より妻に感謝したい。




 おまけ

マジで友達は大事。今回は会社の人に相談したが、もっと気兼ねなく日頃からお互いに情報のやり取りができる人大事。同年代の友達居るなら大事にしろマジで。



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