無料の3DCGソフト「Blender」を武器にフリーランスとして1年働いてみた結果
こんにちは、Tomです!
2023年の夏ごろに7年間お世話になったCG会社を辞めて、勢いでフリーランスとして開業しました。とはいえ、最初の3か月は仕事せず、本格的に活動を始めたのは2023年末から。
それから約1年、なんとか生き延びることができました。
耐えた~~~!
フリーランスについてほとんど知識がない状態だったので、本当に大変な1年でした。
これからフリーランスを目指す人、興味がある人など、似たような境遇の人にとって少しでもお役に立てるように、フリーランスになって良かったことや苦労したことなどの体験を書き留めておこうと思います。
また、記事の後半では実際にどんな仕事をしたのか、そもそもBlenderで仕事はできるのかという事例も紹介していますので、3DCG業界に興味がある人、Blenderでのお仕事に興味がある人も楽しめる内容になっているのではないかと思います!
フリーランスになろうと思ったキッカケ
フリーランスになる前は、CG会社にキャラクターモデラーとして勤めていました。ゲームや映画、CM等に登場するキャラクターを3DCGで作るお仕事です。
そこでは7年ほど働き、オフィスもお洒落で設備も良く、周りの人も優しく面白い人ばかりで会社に不満はなく、むしろとても楽しい職場でした。
会社の人は業務以外で自主制作をしている人も多く、僕もそのうちの一人でした。
会社に勤めながら休みの日など余裕がある時には自主制作をし、できた作品をXやInstagram等、SNSを通じて発信する。
そんな日々を過ごしていました。
会社に勤めて3-4年ぐらい、SNSの発信でもそれなりにリアクションを貰えるようになってきた頃から、「もし自分一人でやっていくとしたらどのぐらい世間に通用するんだろう?」と思うようになることが増えてきました。
そんな中、ふと立ち寄った書店で一冊の本を見つけました。
高田ゲンキさんが書かれている フリーランスで行こう!会社に頼らない、新しい「働き方」 という本です。
内容は、高田さんが会社員からフリーランスになるまでの道のりやフリーランスになってからの苦労などを実体験を交えて描かれているもので、マンガ形式で読みやすくまとめられており、本が苦手な僕でもすらすら読めました。
何より知らない世界だったので当時ものすごくワクワクしながら読んだ記憶があります。
この本をキッカケにフリーランスという働き方を知り、それと同時に今まで会社に頼り切って働いていた自分が、自分の力だけでどれだけ世間に通用するのか試してみたい!という思いが日に日に強くなり、一人で働くという不安より好奇心の方が強くその気持ちが抑えきれずフリーランスを目指すことになったというのが経緯です。
目指すと決めたものの、職場環境に一切不満もなかったのでそこから辞めるという決断が中々出来ず、結局ずるずると3年ほど働きました。
7年目にして当時職場で仲が良かった先輩が辞めてしまったのをきっかけに、7年間お世話になった会社を退社する事を決意しました。
いざ憧れのフリーランスへ
とりあえず好奇心と勢いだけで会社を辞めて、後の事は「辞めてから考えれば良いか~!」と思っていたので、フリーランスになるための準備はほとんどしていません。唯一準備したことは、2-3ヵ月の生活資金ぐらいです。
今考えると自分でも結構恐ろしいことをしたなと思います。
とりあえず「自分の得意なキャラクター制作を軸に仕事を受けて行こう」というざっくりとした方針と無料の3DCGソフト「Blender」を片手に戦う事を決意し、開業届を出し、保険や年金など必要な手続きを済ませました。
※会社員時代はAutodeskのMayaを使用して3DCGを作っていたんですが、フリーランスになってからはMayaだと月額もかなり高額で維持費が負担になる事もあり、Blenderに完全に移行しました。
が、しかし…。
その後はしばらく遊び倒す日々。
なんたって1日中好きなように時間を使えますからね!
そりゃ遊んじゃいますよね!
時間が無限に溶けるMMORPGオンラインゲームでも始めちゃおうかな!?
そんな無敵の状態がしばらく続き、平日に映画やゲーム、買い物を楽しみ、まだ一切働いてないのに「フリーランス最高!」と調子に乗ってました。
でも、そんな生活も長くは続かず…。
しばらくすると「何やってるんだろう、自分」と我に返り、それと同時に将来の不安が一気に押し寄せて来て、現実世界に引き戻されました。
そう、本来の目的は個人の力でどこまでやっていけるのか。
こんなことをやってる場合じゃない!
このままではフリーランスになった意味がありません。
そもそも働かないと生活ができませんし。
でもいざ働こうにもどうやって仕事をとって良いのか分からない…。
今まではSNSで発信を続けていたこともあり、SNSを通じてちょこちょことお仕事のご依頼を受けることはありました。
会社員時代は給料がベースとしてあったので、細々と来る依頼をこなすだけでも一切困る事はありませんでした。
でも今はそのベースの給料が全くありません。
ちょこちょこ来るお仕事だけでは食べていくことが難しいんです。
いつ来るか分からない仕事を待ち、それをこなしていくだけではこの先不安定過ぎます。
なので安定した生活を維持するには、もっと仕事をとる必要があります。
そのためには、今以上に自分のことを知ってもらう必要があるなと考えました。名前が広がれば、勝手に仕事が来て生活には困らないだろ!!!という安易な考えです。
なので、認知度を広めて仕事をもっと貰えるようにしよう!作戦を決行する事にしました。
でもどうやって・・・?
何でもできる状態が故に一体何から始めればいいんだ!!?
ウワ~~~!!!!!
そんな中、知人からイベントのお誘いがきました。
名古屋で開催されている「クリエーターズマーケットに出展してみたら?」と。
※クリエーターズマーケットとは、ハンドメイドからアートなど、オリジナル作品の展示・販売を行うイベントで名古屋で行われているコミケやデザフェス的なイベントを想像して貰えると分かりやすいと思います。
前々からこういったイベントに興味はありましたが、正直出展するのは凄く迷いました。
そもそも出展するものが無いし「自分の作品を出展したところで見に来てくれる人が居るのか?」と。
ただ、自分のキャラクターをグッズ化したいなという気持ちは前々からあり、これをきっかけに自分の事を知ってもらえるかもしれない。
あわよくばグッズが爆売れしてそれだけで生活できるかもしれない!
そんな下心もあり、せっかくなので挑戦してみることにしました。
不安はめちゃくちゃありましたが、結果が出ても無いのに悩んでも仕方ないですからね。
そんなこんなで、会社を辞めて最初の3ヵ月は仕事を全くせず、会社員時代に蓄えたお金でやり過ごしひたすらクリエーターズマーケットに向けてグッズ制作を行っていました。
それと同時に僕のことを少しでも多く知ってもらえるように、当日宣伝用のチラシや名刺作りも行いました。
■当時作った名刺
グッズ制作って何かと大変なイメージでしたが、今や個人でもグッズ制作会社に依頼すれば簡単に作れちゃうし、1点からでも作れるんですよ!
便利な世の中になりましたね!
僕はフォロワーさんに教えて頂いた グラフィック というサイトや オリジナルプリント.jp といったサイトでグッズ制作を行いました。
イベントに出展するのは初めて、どれぐらい在庫が必要なのかも分からないし、当分はこのイベントの売り上げたお金でウハウハ生活する予定だったので調子に乗って色々作りましたよ。
作ったグッズ一覧
ステッカー
アクリルキーホルダー
Tシャツ
キャンバスアート
フォトプリント
トートバッグ
名刺
チラシ など
名前を売るためにイベント出展へ挑む
そして、イベント当日。
結果としては大赤字でした!
(涙)~~~!
が、僕は心の底からイベントに出展して良かったなと思っています。
何故かという作品の感想を初めて直接聞くことができたからです。
SNSでキャラクターを見て可愛い!と思ってきてくれた人。
わざわざ遠い所から新幹線を使ってまでブースに来てくれた人。
Youtubeで無料の3DCGソフト「Blender」のチュートリアル動画を出しているのですが、その動画について一言お礼を言いたい!ってだけでに来てくれた人。
色んな人が僕のブースに遊びに来てくれました。
今まで会社員時代では、クライアントさんから感謝されることはあっても、お客様からの感想はSNSで見る程度で直接聞くことはありませんでした。
みなさんの温かい言葉を直接聞いて、初めて「自分の作品が誰かの心を動かしている」という実感を得ました。そんな貴重な経験ができたので、僕はこのイベントに出て良かったなと思います。
大赤字でしたが…(涙)
ただ、この経験はお金では買えない価値があるなと僕は思いますし、何より僕が作ったグッズを誰かが持ってくれているってだけでもモチベが無限に湧いてきます。
それをおかずにご飯も2杯はいけるでしょう。
話は少しさかのぼり、ここからはクリエーターズマーケット開催の1か月前ぐらいのお話になります。
ついに貯金が底を尽きる
現実はそんなに甘くなく、グッズ制作に予想以上の出費が掛かり、所持金ももみるみる減っていく一方でした。
ついに会社員時代に貯めた貯金も底をつき、いよいよ本格的にフリーランスとして仕事に向き合っていかねば生活が出来ないという状態になっていました。
やばい!仕事しないと来月の家賃やばい!
デモ…シゴト…ドウヤッテトル?
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