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『小悪魔ageha』はオッサンしか読まない雑誌だったのか

この記事は5月19日に更新しました。マガジンとしては「4月分の記事」のところ、更新が遅れてしまっており、大変申し訳ございません。

 


 

『小悪魔ageha』はオッサンしか読まない雑誌だった説

『小悪魔ageha』という雑誌

『小悪魔ageha』は、00年代後半に人気があった女性ファッション誌です。

2007年後半~2009年前半の『小悪魔ageha』

「生まれつきエビちゃんじゃなくたって 私たちは努力と一緒に生きていくんだ」(2007年10月号)
「細く! 細く!! 細く!!! とにかく細く!!!!」(2008年2月号)
「ヘアアレンジ大運動会♥」(2008年10月号)
「私たちの黒い闇 服を脱いだら皮膚をはいだら私たちは決して白くない。そして私たちの人生は巻き髪とともに♥」(2009年2月号)
「粘膜のどこに何mm引くか それが私たちには重要!!!」(2009年5月号)

2009年の新聞には、「夜の街で働く女性らの間で誕生したヘアスタイル『盛り髪』が、成人式や卒業式などの装いでも見られるようになった

『朝日新聞』2009年3月28日夕刊

という記事でも、「盛り髪」をいち早く取り上げて広めたものとして、『小悪魔ageha』が大きく紹介されていました。

「現在は月刊35万部(公称)を発行する。『盛り髪』の作り方や『デカ目』にするメークを詳細に手ほどきしている。紙面を飾るモデルはすべて読者」

2008年~2010年には、毎日新聞の調査で、女子高校生の「ふだん読んでいる雑誌」の上位に『小悪魔ageha』が入るほどでした。

『読書世論調査2010』(2009年6月調査)

※本来は大人向けの雑誌ですが、当時は憧れるJKも多かったらしいです。

 

今日の話題

そんな『小悪魔ageha』について、実は、読者層は女性ではなく、オッサンしか読まない雑誌だったというツイートがありました。

URL

個人的には、これは親御さんの勘違いかと存じます。

むしろ、「幼少期、黒ギャルに憧れて小悪魔アゲハを買ってきた」という部分が、当時のブームを思わせる体験談だと感じました。
(あの当時は、大勢の若い人がそういうノリで『小悪魔アゲハ』を買っていたというイメージを持っております)

 

「北国の海辺で身の上話の記事」

北国で身の上話のページ

この記述からすると、

URL

たぶん、買ったのは2008年11月号かと存じます。

『小悪魔ageha』2008年11月号

書かれている話は、新潟は都会より家賃と野菜は安いけど、給料も安いという内容でした。

夜職は時給3000円くらいで、週5で働いて、歩合込みで月収40万。ドレス代や化粧代の支出が多いので、手元には残らない……。
という世知辛い話を読んで、オッサンは気持ちいいですか?

 

記事全体について

このページは、2008年11月号の「私たちが今、生きている街 08'」という特集の一部でした。

『小悪魔ageha』2008年11月号

2007年11月号に「私たちが今、生きている街」という記事があって、その2008年版という感じ。

昨年は「5都市」だったのが、「15都市」にパワーアップしております。

※札幌・仙台・六本木・千葉・銀座・歌舞伎町・名古屋・新潟・ミナミ・北新地・祇園・神戸・静岡・広島・山口

その15都市のage嬢の物語のひとつが新潟でした。

「私の街」以外に、「私の恋」「私の闇」といったテーマのときもあり、だいたい年に4回くらいのペースで「身の上話」の特集がありました。
(人気記事ですが、毎号載っているわけでもありません)

 

北国以外のページ

「北国の寒そうな海辺に立って身の上話を語ってる」のは、新潟のページだけ。
それ以外のページでは、また別の背景になっています。

たとえば、名古屋のキャバ嬢のページだと……。

『小悪魔ageha』2008年11月号

「ご祝儀はうちらでも5万は包む、義理呼ばりでも3万。5千円札2枚に万札1枚で偶数避けて2万なんて、女がすたるで絶対無理!」という19歳の主張を聞いて、オッサン気持ちいいですか?

 

地方のページ

背景が田舎っぽい方向性になっていたのは、新潟・静岡・山口でした。

たとえば、両替町(静岡の歓楽街)のキャバ嬢は茶畑で撮影。

『小悪魔ageha』2008年11月号

地元最高! って感じの自分語りをしておられます。

それから、山口のエステティシャンは田んぼで撮影。

『小悪魔ageha』2008年11月号

この方は、普段からピンクのフリフリで外出して田舎町で浮いているそうです。

「仲間が欲しいって思う。床波にディアマンテができるより、あたしがそっちに行く方がよっぽど現実的
「私は田舎のプリンセス。吉幾三の気持ちが痛いほどわかるの。靴の汚れない東京へ行きたい

吉幾三の『俺ら東京さ行くだ』の心境が分かるとのことで、もしかしたら、この辺りから「オッサン向けの演出」と感じられたのかも?

(とはいえ、近い境遇の女性が共感できそうな内容で、オッサンしか読まない演歌の世界という印象も受けません)

 

前年のやつ

2007年11月号の「私が今、生きている街」はこんな感じでした。

『小悪魔ageha』2007年11月号

歌舞伎町・銀座・ミナミ・すすきの・仙台の5都市で、海の写真はナシ。

たとえば、ミナミの方は「19で妊娠してハタチで結婚出産そして離婚(笑)」という体験談でした。

『小悪魔ageha』2007年11月号

こういう「等身大ストーリー」で、『小悪魔ageha』読者の人気はあったようです。

『小悪魔ageha』2008年5月号

「本当の気持ち」「本当の過去」「きっと共感できる」という辺りは、この少し前に流行ったケータイ小説に通じる部分があるような気もします。

告白調の私語りで、実話系で、率直に語られる心情に読み手が共感……みたいな特徴は、「ケータイ小説」についてもよく言われるところです。

少なくとも、「オッサンしか読まない」のが透けて見えるような文章では無いと思います。

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