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新規事業を加速させる"組織マネジメント-21選"

こんにちは。すべての経済活動を、デジタル化したいtakkyyです。バクラク勤怠・バクラク給与などHCM領域*の立ち上げ責任者をしています。
*HCM:Human Capital Management(人的資本マネジメント)

ありがたいことに多くのお客様にご導入をいただき、バクラク勤怠は想定以上のスピードで成長しております。結果、バクラク勤怠の立ち上げチームとしてLayerX 社内においてFY25-上期 - ベストプロジェクト賞をいただくことができました🎉 LayerXでは様々な部署で新規立ち上げや大型プロジェクトが始まっている中で選んでいただけたので、とても嬉しいです!みなさま、いつもありがとうございます。

Biz組織立ち上げから1年。節目として、主に組織マネジメントの観点(採用・オンボーディング・目標設定/評価・ミッション整理など)において、意識していることをまとめてみます。徒然なるままに書いた結果、21個だったので21選と記載していますが、特段意味はありません。笑

もっと高度なお話はバクラク事業部COOのmakiさんがまとめてくださっていますので、関連リンクを記事の最後にたくさん貼っておきます。オススメです!

前提

事業と顧客に向き合うことを第一にした時に、組織課題は事業の成長スピードを鈍化させる要因になります。理想は、組織課題が存在しない(存在しないは有り得ないので、限りなく少ない)状態です。その状態を実現するために、逆説的ではありますが、全員が事業と顧客に全力で向き合えるように、組織にも向き合う必要があると捉えています。


採用

新規事業はやりたいことに対して人手が足りない…となりがちです。ただし採用活動にリソースを割かないとその状態はずっと変わりません。全員採用のマインドで自分たちの仲間を自分たちで見つけるということが欠かせません。

01 - 本当に採用したい人を採用する

「あと1名いたら…」と喉から手が出るほど人手が欲しくなる瞬間は多々あります。グッと堪えて冷静に。「居てくれるとありがたい…」という状態で採用するのは、お互いにとって入社後ミスマッチになりやすいと感じています。選考プロセスで関わった全員が「一緒に働きたい!」と思える方のみ採用していくことが重要。

02 - 現在のポジションありきではなく、未来の組織/事業図・候補者のポテンシャルベースでの採用

「是非一緒に働きたいが、直近で任せられる良いサイズのミッションがないかも…」という場合は"GO"の判断が良いと思います。新規事業の立ち上げしていく過程で、周辺領域など新たにチャレンジしたいことが増えてきます。その時に「あ…あの人がいたら…」とならないように、前倒し採用が望ましい。ただし、泥臭く手を動かせるタイプでなければ、ゆくゆくの責任者アサインの前にGAPが大きすぎるため、期待値調整は大事。

03 - ポジション・役職ではなく、事業・ミッションへの共感

新規立ち上げ・責任者候補など、魅力的なタグだけを前面に出しての採用は危険。もちろん期待・可能性は伝えつつも、「明日からこれやってほしい」というミッション変更に対して変化適応できる人を採用すべき。
実際に、現在ISマネージャーを担ってくれている方は当初全くそのつもりではなかったはず…笑。「事業成長のために必要なことはなんでもやります」ということを心から思える人を採用することが大事。

04 - カジュアル面談は責任者がやりきる

元々は2次面接などを担当することが多かったのですが、初回接点でアトラクトをやりきることに振り切ってから、選考遷移率や承諾率が高まりました。責任者というカードを適切に活かすためにも、カジュアル面談こそ責任者が出るべきだなと思います。候補者の方々に事業の魅力や課題をプレゼンする中で、自分の中でも「うん、これを大切にしてもっと事業伸ばしたい!」という思いが芽生え、その場で思いついたお話を赤裸々にさせていただくこともありました。

05 - 採用もくもく会やる #全員採用

これはLayerXのノウハウの1つ。採用に向けたアクションを毎週30分チーム全員でやるというもの。他チームでやっていたので参考にさせていただきましたが、全員が採用への意識が向くのと、一人ではなくみんなで頑張ろうとなる仕組みなのでおすすめです。30分の間でスカウトを送る人もいれば、友人に声をかける人など自分ができる採用貢献を積み上げていきます。採用における行動数は嘘をつかない。必ず成果につながる。

結果、Biz組織は2025年4月当初6名だったところから、現在約20名近く組織に成長しています!(まだまだまだまだ積極採用中です💪)


オンボーディング

言わずもがな採用とオンボーディングはセットで切り離せない大事なものです。特に新規立ち上げにおいて、いかに早く立ち上がれるようにサポートするかは重要な指標。ただリソースを潤沢にかけきれるわけでもないというのが正直なところ。コンテンツなども整っていないことが多いですよね…。

個人的に好きな考え方として、Google発祥?のオンボーディングにおける5つの壁という観点で整理しています。どの壁までクリアできていて、どの壁で苦労しているのか認識を揃えるために活用するイメージです。

その上でオンボーディングにおいて特に大事にしている要素をご紹介。

06 - お手並み拝見感はNG

前職経験・肩書がすごかったり、ドメインに詳しかったりする方に対して「どんなすごいアウトプットがくるんだ?」という穿ったスタンスにならないことが最も大事。相互理解含めて心理的安全性が担保された状態でなければ、当たり前ですがうまくいきません。カルチャーアンマッチなどで片付けられることもしばしばありますが、受け入れ側のスタンスに課題があることが多いと思います。

07 - 関係構築以上に、環境構築をサポート

面接を通して雰囲気が合う方というのは入社後も人間関係にそこまで悩むことなく、関係構築いただける方が多いように思います。ただ、事業数字/ダッシュボード・会議体・Slackルール・Notionの構造・Salesforceの構造など、交通整理ができていない状態ではパフォーマンスを発揮しづらくなります。情報をオープンにしつつ、気になりそうな情報を先出しすること、「ここは全力で走っていいよ」という道を整備することが早期立ち上げにおいて大事な要素だと思います。

08 - アウトカムよりも、アウトプットを重視

もちろん成果が大事ですが、オンボ初期において成果を意識しすぎるあまりうまくパフォーマンスが高まらないという場合も少なくありません。「まずアウトプットを増やそう」という行動数に目が向くことで、周りのメンバーからしても「そういう考え方をするタイプなんだ!」「あ、ここが課題になっていそう!」など、どういうフォローの仕方がマッチするのかが分かります。

09 - Quick Winにこだわる

そうは言っても、成果が出ないとずっとソワソワしますよね。笑
営業系職種であれば入社初月早い段階で"初契約・初アポ"など分かりやすい成果を一緒に出すことにチーム全員でこだわるべきです。「○○さんのサポートがあったので…」と思う人が大半ですがそれでも良いので、一安心できる瞬間をつくること。

HCMグループの新入社員の方々は、想像以上の速さで立ち上がってくれています!コンテンツはもっと磨いていくべき伸び代。ただ新規フェーズの場合作ったものが2ヶ月後には使っていない場合もあるため、属人的に見えますがオンボにおけるスタンスやマインドを揃えて、全員オンボの精神でやることから始めるのが良いと思っています。


目標設定、1on1、業務遂行

やりがいも負荷も大きい新規立ち上げフェーズ。目標のチューニングやそもそも不確実性の高い中で、個々人の成長と事業の成長にどう向き合っていくべきなのか。正直こちらについては私自身も模索しながら、対話を重ねることで学びながらやっています。その中で意識している細かなことを言語化。(このセクションに色々な要素を詰め込んでしまいました。笑)

10 - 1on1は非同期で事前にある程度終わらせる

以下のようなシンプルなフォーマットでやっています。基本的には事前記入式にしていて、お互いに思っていることなどを記載しながら、それに対してコメントも入れています。こうすることで、本当に話したい内容にフォーカスできたり、捌けるアジェンダの数が増えるので業務進捗ではなく中期の話やブレスト・壁打ちに時間を使えるというのがメリットです。

1on1のフォーマット

11 - 目標設定よりも、毎月の振り返りを重視

設定した目標は変わることもしばしば。チューニングする前提で進めながら、毎月の状態を一緒に振り返り、内省しながらスピードと目線を上げて事業に向き合うことを重視しています。立ち上げフェーズは毎日に向き合い続けるため、視点が自然と下がってしまう(下げるべきでもある)ので、1on1では少し発散を多めにしています。個人的には点数にしてもらうことがおすすめ。10点じゃない理由は何か?どうなっていたら10点と言えそうか?という観点で目線を合わせやすいです。評価においてもサプライズなく進むので、毎月のGood & Requestの共有は大切にしています。

月次振り返りのフォーマット


12 - 1on1の頻度にメリハリをつける

誤解を恐れずいうと、1on1の頻度に対して全員平等にやる必要はないと思っています。「一旦週次で…」「隔週で継続を…」みたいになりがち。1回30min×全員×週次だと1on1だけで結構膨大な時間になります。対話は大事ですが1on1である必要性がどこまであるのか?は冷静に見極めるべきです。軌道修正と内省のためにmin月1回は実施することを心がけていますが、個人ではなく事業成長を起点にして「今どこに重点をおくべきか?」から逆算して誰との対話頻度を優先すべきかを考えています。
逆に頻度を下げているメンバーが他メンバーと適切にコミュニケーションを取れているか?は気にするようにしています。お伝えしたいのは「自分が1on1することだけが全てではない」という点です。(1対1で話すことが1on1ではない)

13 - マルチな役割を担うメンバーを疲弊させない

新規立ち上げフェーズにおいて、部署横断で動いてくれる方、オペレーションを整えながら業務遂行してくれる方は本当に貴重です。ただ、その方がBizOps所属ではない場合、比較的得意だからやっている or 自分がやらないとボールが落ちそうなので拾っているという傾向にあります。本来他の時間にもっと使いたいが、事業・組織のために貢献してくれている状態なわけです。他の方からめちゃくちゃ感謝されるしありがたい存在ですが、一歩引いて「事業インパクトはどうだっけ?」「自己成長できたのか?」と内省してみると"No"になってしまうこともしばしば。特定の誰かに負担がかかりすぎていないかは注視するようにしています。

14 - カレンダーマネジメント

業務調整や状況把握においてメンバーのカレンダーをよく見ます。マイクロマネジメントしたいというわけではなく、どの業務に何割、誰と主に会話していることが多いか?などの解像度が高まるからです。
その上で、シンプルに定例MTGや1on1が多い場合は減らすように働きかけたり、ミッション外のタスクが多そうなら切り出したり。新規事業立ち上げに限らずではありますが「やった方が良いこと」「キャッチアップのために出た方が良い会議」は増え続けるので、減らし続けることを意識しています。

立ち上げフェーズにおいてコミュニケーション総量は大事になりますが、非同期・同期の使い分けを意識しながら、メンバー全員が走りやすいように小石を取り除くという感覚でやっているように思います。とても心強いみなさんなので、あとは勝手に全力で走ってくれると信頼しています。(もちろん一緒に走りますが)


会議体の設計

数ヶ月単位でフェーズが変わるため、適切な会議体を設けること、なんとなく参加者を増やさないこと、会議をできる限りなくすことを意識しています。「この会議で意思決定していること少なくないかな?」という時は見直すべきサインだと思います。一方、人数が増える中で全体共有会や朝会/夕会などの伝達手段としての場は重要であり、一律に切り捨てるものではありません。

15 - 会議前にすべて場に出す

いろんな会議体はあれど基本的に共通にしているのが、事前記入です。会議が始まってから数字や課題を共有するのではなく、事前に課題が場に出ていて、数字も把握している前提から始めます。細かな質問も済ませておくことが望ましいです。参加メンバーの主体性を引き出すこと、会議内でのディスカッションの深さ、意思決定数にも影響するため、この運用にしてよかったなと感じています。

16 - 英気を養う賞賛の仕組みづくり

毎週金曜にWin Sessionという30分の定例会を設けています。新規立ち上げフェーズは"足りないこと"や"できていないこと"に毎日向き合い続けるため、週に1回はしっかり褒めようという時間です。NotionのDBに個々人が今週できたことにのみフォーカスしてポジティブに振り返ります。それに対してメンバーは感謝や賞賛のコメントを記載するというシンプルな設計です。
1on1も同じですが、無理なく続けられるものが良いと思っています。

Devチームとの連携・会議体についてはこちらのnoteでもまとめています💁


その他、チーム運営で意識していること

うまく分類ができず、その他というタグを利用していろんな観点をまとめてみようと思います。笑
365日事業に向き合い、点を高くうち、ビジョンを語り、目指すべき旗をたてるなどオーナーシップを持つなど大切にしていることはありつつ、対組織における行動として意識している部分を整理してみます。

17 - 雑さを許容し、スピードを最優先する

精緻なモニタリング、社内向けの共有のための整理に時間をかけない。細部にこだわらなくてよいというわけではなく、成果を出すために不要なところは削ぎ落として良いという考え。管理・調整ではなく、実行あるのみ。少ない人数がゆえにひとりひとりのスピードがとても大事。1つでも前に施策を進めきることを重視しています。コネコネ分析する時間があったら、全部見た方が早いし解像度があがります

18 - 毎日積み上がるものを大切にする

探索期間は「これでいいのだろうか…」とトンネルの中を走っている感覚にも陥ります。売上インパクトがすぐに出るものではなく、既存事業の方が大きいことも当たり前です。そのため、売上だけではなく手前のインプットの進捗のモニタリングを注視しています。
例えば、顧客からの要望リクエスト数、新しい発見(N1)の共有数など毎日行動し続ければ必ず積み上がるようなものです。たくさん情報が集まれば今進んでいる方向性が正しいのか、軌道修正した方が良いのか判断しやすくなり、「大丈夫。必ず成果が出る。」とチームの自信にもつながります。

19 - 毎週ブログを書いて発信する

「今何を考えているのか?」を知っていただくための自己開示と「メンバーに考えて欲しいテーマ」の目線合わせのための1つの手段として、基本的に毎週書いています。立ち上げフェーズは、方針変更や共有内容が多くSlackで共有していても流れるため、意識して欲しい観点をきちんと言語化するようにしています。対チームのためでありつつ、自分の内省・気づきの観点でもおすすめです。

20 - 調整業務は率先してやりきる

既存事業との連携や部を跨ぐ連携が発生することも多いですが、メンバーに依頼したとしても結果的に自分が確認するタスクは自分が出てその場で決めきります。チーム全体のスピードを早くするためにも調整・確認が発生しないことを第一に。メンバー目線で見ても、他部署とせっかく整理したのに、責任者の私に「いや、それAじゃなくてBにしたい」と言われたら面倒ですし再調整が必要になるので、手戻りしないような役割分担を意識しています。

21 - 売上以外のプロダクト価値にフォーカスする

リード・商談・売上を常に見ることはもちろん、ご利用企業がどの機能をどの程度利用してくれているか?リリースした機能は使っていただけているのか?を注視すること。使われないものを作らないというLayerXの羅針盤の1つでもあります。また、利用ユーザー数の推移も見ているのですが、個人的には「累計打刻回数」が好きな1つの指標です。バクラク勤怠を通じて毎日打刻してくれた軌跡として、なんだか感慨深いな〜と思いながら定期的に見るようにしています。改善アクションのためではなく、自分たちの事業・プロダクトが誰にどんな価値を届けられているのか?を考えるきっかけとして大切にしています。

色々書いてみましたが
新規事業立ち上げは、ある程度雑に整えながら、「このチームでならいける!」という効力感を育てること。事業成長が止まる要因としての「人が足りない…」「入社後、立ち上がらない…」「方針がズレる…」などの組織課題が大きくならないよう、小さな課題のうちに解消しながら走ることで、全員が事業と顧客に向き合える状態をつくっていけると考えています。

🔗 参考リンク
チーム運営に関するお話はこちら。

企業文化のお話はこちら。

おわりに - We're Hiring!

HCM事業に限らず、LayerX全体で全方位的に採用しています。
まだまだ多くのプロダクト・サービスを同時に立ち上げ中です。新規立ち上げフェーズとして事業を牽引していきたい責任者・メンバーを大募集しています!
(マーケティング・IS・FS・CS・PMM・事業責任者候補・事業開発/GTM戦略企画・PdM・エンジニア and more..)


カジュアル面談もWelcomeです!

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