PC-8801版『オホーツクに消ゆ』① グラフィック制作会社をつきとめるまでの話
『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ』。このページを見つけたほどの方であればあらためての説明も不要だと思いますが、堀井雄二さんがシナリオを手掛けたアドベンチャーゲームです。
さて、その『オホーツクに消ゆ』のキャラクターデザインといえば、1987年に発売されたファミコン版を担当した荒井清和さんを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
ファミコン版はぼくもなんども繰り返しクリアした大好きな作品のひとつで、荒井さんに直接お会いする機会があったときにはパッケージにサインを書いていただいたほどです(そういえば荒井さんのサイン会自体、自分が仕事として企画提案したイベントだったことを書いていて思い出しました。大盛況で楽しかった!)。
2024年夏にNintendo SwitchやSteamで発売予定という、リメイク版のキャラデザも荒井さんが手掛けていらっしゃるんですよね。
その発売を楽しみにしつつ、今回ここに記すのはファミコン版よりも前、1984年に発売された、NECのパソコンPC-8801版『オホーツクに消ゆ』のこと。
ぼくが初めて出会った『オホーツク』はこのPC-8801版で、たしか山下章さん著の『チャレンジ!! パソコンA.V.G&R.P.G』で紹介されていたのがきっかけだったと思います。
物心ついた頃から「最果て感」に惹かれがちな子どもだった自分にとってオホーツクという舞台はそれだけで魅力的でしたし、当時の高性能なパソコンだからこそ表現できたであろうシリアスで大人びた雰囲気のグラフィックには大いに惹きつけられたものでした。
さて、そんなPC-8801版『オホーツクに消ゆ』。ソフト付属の説明書にスタッフ一覧が掲載されているのですが、グラフィック担当についてはなぜかわからない形になっています。
「協力」としてクレジットされている中のどなたかなのだろうか? 他のパートが比較的明らかになっているだけに、魅力のグラフィックを手掛けたのが誰だかわからないのはモヤモヤしてしまいます。
長年にわたってうっすらぼんやりとアンテナを張りつつ、思い出したときにときどきSNSで情報求む的なことをつぶやいたりもしていたのですが、全く情報が入ってきません。
そんななか、Xのフォロワーさんで、『オホーツクに消ゆ』について研究をされているteshima takashiさんに紹介していただいた、『ビデオゲーム史を巡る冒険シリーズ② 北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ PC雑誌の黎明とアドベンチャーゲームの金字塔誕生の背景』という同人誌に貴重な記述を発見することができました。
下は、元『ログイン』誌の編集スタッフであり、『オホーツクに消ゆ』の開発元、ログインソフト(アスキー)のスタッフでもあった宮野洋美さんのインタビューからの引用です。
つづいて、同じく塩崎剛三さんのインタビューより。
グラフィックは外注だったのか! さっそくこの情報をteshimaさんに共有したところ、彼のつながりで貴重なソフト『英雄ヤマトタケル』の説明書の画像を見せていただくことができました。SNS、やっぱりすごい。
協力欄に記載されている「株式会社シフカ」を調べてみると、グラフィック制作会社のようです。ここがオホーツクに関わっている可能性はあるな……これはぜひ確認してみたい!
しかし40年も前のことについていきなりお問い合わせするわけですから、なるべくご迷惑にならないよう、しっかりシフカさんについて下調べをして、これまでの経緯もわかりやすく説明できるように準備を……ん? 見たことのないnoteが検索で引っかかりました。
なんと、シフカさん直々の、PC-88版『オホーツクに消ゆ』の開発秘話でした!! やはりグラフィック制作を担当されたのはシフカさんだったのです。
いやあ……これまで知りたかったことが当事者の言葉で語られていて感無量。比較的新しい投稿とはいえ、いままで見つけられなかったのが不思議なほどです。
しかし実はこの直前、すでにシフカさんに、昔担当されていたかもしれないお仕事の件でお伺いしたいことがある旨のコンタクトをとり、社長直々にOKのお返事を頂戴していました。
もともとはシフカさんがオホーツクの開発に携わっていらっしゃったかを確認することがメインの予定でしたが、それについてはぶじ確定済み。そこで急遽、シフカさんのnoteに書かれている内容を元に、もう少し詳しくお話をお聞かせいただけることになりました。
というわけで次のエントリーでは、株式会社シフカの長田智行社長からお聞かせいただいた、PC-8801版『オホーツクに消ゆ』の制作エピソードについて投稿する予定です。
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