オモコロを校正する
はじめのはじめに
画像が極端に少なく、文字が極端に多い記事です。画像の連なりでテンポ良く読み進められる記事とは違って、読ませる記事となっておりますので、おわりのおわりまでじっくり読んで、また一番最初からもう一度読み直していただけると、新たな発見があるかもしれません。よろしくお願いします。
はじめに
本記事は校正者目線でオモコロの記事を読み、その所感を書き連ねていく内容となります。読者さんにとっても、オモコロライターさんにとっても、文章を読んだり書いたりする際の気付きになるようなことをお伝えできると思いますので、どうぞお付き合いくださいませ。
まずはじめに、大事な注意点をお伝えさせていただきます。
本記事は
「オモコロの記事は間違いだらけでダメダメ!」
と糾弾するものではございません。
「急に何だ?」と思われるかもしれませんが、後ほど指摘だけを煮詰めたExcelをご覧になった際「オモコロの記事ってこんなに間違ってるんだ……」とネガティブな気持ちになってしまうかもしれません。
ですが、ご安心ください。
オモコロの記事は「ダメダメ」というほど言葉が間違ってもいなければ、記事の見た目が極端に崩れて読みにくいというわけでもありません。事実、指摘が入らなかった記事もたくさんありました。
誤解を恐れずに言うと、私は言葉が間違っていても読めるならそれでいいと思っています。まったく校正者らしからぬ発言ですが、その真意は最後にお話しします。
「オモコロの記事、もっとこうだと読みやすくなるんだけどな……」という気持ちで記事を書いたので、読者の皆さんもオモコロライターの皆さんも、肩の力を抜いて気楽にご覧ください。
校正・校閲とは
校正・校閲は、文章の間違いを直したり、体裁を整えたりする仕事です。おそらく大多数の人は意識したことがないと思います。むしろ意識させないために頑張っている、とも言えるため、知名度は低いほうが好ましいのかもしれません。
数年前に校閲ガールというドラマで取り上げられたこともありましたが、基本的にはあまり表に出るような仕事ではありません。例えるならシステムエンジニアの保守業務に近いでしょうか。
具体的な作業内容としては、誤字確認、表記統一、事実確認、差別語確認など、多岐に渡ります。辞書を引いたり、ネットで検索したり、図書館まで出向いたりと、より良い文章のために校正者は日々奔走しています。
そもそも校正と校閲は何が違うのかというと、以下の通りです。
校正には正解がありますが、校閲には正解がありません。すべての間違いを拾い尽くす校正力と、執筆者の意を汲んだ適切な修正提案ができる校閲力を併せ持つ、それが理想の校正者です。
それではこの2つを、例文を用いて説明しましょう。
この文章を「校正してください(事実確認不要)」と言われたら、
この2点を指摘して終わりです。
さらに「校閲してください(要:事実確認)」と言われたら、
といった点まで指摘します。ハンバークの濁点抜け、気付けましたか?
ちなみに一応説明しますが、永田さんと原宿さんが本当に不老不死なのかどうかを事実確認するのは、野暮というものです。小ボケに整合性なんぞを求めていては、校閲の仕事は永遠に終わりません。その辺の判断、線引きを行うのも、校正者の手腕のひとつです。個人的には不老不死であってほしいですけど。
そして指摘にはすべて疑問符「?」がついています。これは執筆者第一の考えに基づいているためです。漢字や言葉、事実が間違っていたとしても、執筆者がOKと言えば間違ったまま載せても良いのです。そのため、基本的に校正者は修正の提案のみに留めます。
余談ですが、昨今話題のAI(人工知能)を使用して、校正・校閲を自動化させようとすると、校正はできます(というか、すでにある)が、おそらく校閲はできません。
特に日本語は語順の解釈の幅が異常に広いので、主語・述語などの判断が正確にできず、執筆者の意向をほぼ汲み取れないと思われます。今後の展望としては、AIが執筆した小説を人間が校閲する、なんていう時代が来るかもしれません。いや、もしかしたらこれもすでにあるかもな。
なぜオモコロを校正するのか
私は普段、仕事で小説を読んでいますが、趣味でミステリ小説や専門書、一般文芸書なども読んでいます。しかし、ただ本を読んでいるだけで校正の知識が身に付くかと聞かれると、答えはNoです。
学生が参考書を読んで知識を身に付けるように、校正者がスキルアップのために知識を身に付けようと思った際には、何を読めば良いのでしょうか?
「書店に置いてある本、片っ端から全部読めばいいのでは?」と思った方、残念ながらそれはあまり効果的ではありません。なぜなら出版済みの本にはすでに校正が入っているからです。綺麗な宝石を一所懸命磨いても見栄えが変わらないように、綺麗な文章を読んでも校正スキルは磨かれません。
つまり、校正の入っていない誤字脱字の多い原石のような文章をたくさん読んで、直すべき言葉を拾いながら校正スキルを磨きたいわけです。
しかし、書店には十分に磨かれた本しかないし……どこかにちょうどいい塩梅の原石がないものか──
ありました。
文章が間違いだらけでもない、しかし、校正者が読めばすぐ気付くような間違いが(実は)ある、なにより内容がとても面白い。
そうだ、これを機に校正しながら記事を読んでみよう。
ということで、オモコロの記事を校正しながら読み、その過程で気付いたことをExcelにまとめていくことで校正スキルを上げよう! というのが目的です。校正しながら、と言ったにも関わらず、しっかり楽しみながら記事を読んでいます。何事も楽しくやるのが一番。
レギュレーション
以下、校正においての注意点や決め事を載せます。細かいので流し見する程度でOKです。
・すべての誤字や統一を指摘できているわけではない
→最初から言い訳のようなことを書いて大変恐縮ですが、私も人間なので拾い切れないところもあります。加えて、今回は1記事に対して長く時間を取れなさそうだったので、曖昧な申し送りや統一に関しては、細かいところまで全部見切れておりません。
ただ、致命的な誤字は9割8分拾えている自信があります。
・小説の体裁とWEB記事の体裁は違うので、普段の仕事で入れている指摘をそのまま適用しない
→そもそも、縦書きと横書きという大きな違いがあるので、体裁については厳しく見ません。しかし、体裁は揃っていたほうが読みやすくなるので、小説の体裁も、主に約物についてご紹介します。詳しくは後述。
・4コマ、漫画、動画、ラジオのカテゴリーは除外する
→絵の中に文章が書かれていると検索で文字が引っかからず、統一などの確認が難しいため、4コマと漫画記事は除外します。漫画家ライターさん、すみません。
また、動画やラジオの紹介記事、チャットがメインの記事、コロモーから募集したものを紹介する記事も今回は見ません。あくまでもライターさんが書いた記事がメインということで。
・対象記事は2020年8月~2023年8月に公開されたものとする
→あまりに記事の数が膨大なので、直近3年間分の記事を対象としました。今回読んだ記事の数は約1000記事です。ちなみに20日間かけて読んだので、1日当たり平均50記事読んでいることになります。毎日50記事、間違い探ししながら記事を読む。言うのは簡単ですが、実際は結構大変です。
余談なのですが、最近あまりにオモコロの記事を読みすぎて、永田さんに「クソ記事書いてんじゃねぇよ!!!!!!」と恫喝される夢を見ました。嬉しかったです。
校正結果
前置きが長くなりましたが、さっそく今回校正した結果を載せます。
こちらのリンクから内容をご覧ください。
何これ?
「これを見てどう楽しめと?」という、戸惑いの声がはっきり聞こえます。私は2週間ほど、嬉々としてこのExcelを埋める作業に没頭しておりました。超楽しかったです。
このExcelの見方を軽く説明すると、シートが6つ+1つで分かれています。
メインの6つのシートは【誤字】【申し送り】【統一】の3つに分けられ、その中でも特に多い指摘類は【カテゴリ】として一括りにされています。
【誤字】シートが校正寄りの指摘で【申し送り】シートと【統一】シートが校閲寄りの指摘といえます。それを意識して校正と校閲の指摘内容の違いを見比べてみるのも面白いかもしれません。
シート内の言葉や漢字を流し見して「へぇ~これって実はこっちのほうが正しいんだ!」と、気付きを得ながら楽しんでいただければと思います。
【感想】シートには、今回の校正作業で抱いた感想を書き連ねています。「この記事が面白かった!」というシンプルな感想から、「感嘆符の後ろ、アキ統一されてる! すげぇ!」といった校正者視点での感想もあります。時間がある方はおまけとしてご覧ください。
それでは、具体的な中身について触れていきます。
誤字ベスト5
まずは【誤字】シートから。
このシートには、誤字以外にも脱字や衍字(余計な文字が入っている)、敬語の誤用などの、致命的な間違いが中心にまとまっています。
こう申し上げるのも大変恐縮ですが、このシートで指摘されている言葉は私の修正案のほうが9割5分正しいと断言できます。しかし、だからといって「これらは間違っているので、問答無用で修正しなさい」とは言えません。前述の通り、校正者は提案しかできないのです。
それでは、膨大なデータを参考に、どういった言葉が間違いやすいのかを見ていきます。ここでは校正者目線で特に目にした誤字を5つ選びました。この5つ以外の誤字についてはシート内のカテゴリごとにそれぞれ解説していますので、そちらをご覧ください。
第5位
一番最初
これは誤字ではなく誤用に当たります。『最』の字に『1番』という意味が含まれているため『一番』と重複しているわけです。もし修正する場合は『最初』か『一番初め』のどちらかになります。
おそらく、口頭で使うことに慣れ過ぎてしまっている可能性があります。私も未だに口で言ってしまいそうになりますが、文章では間違わないように書きたいところです。
第4位
~にも関わらず 例:昨日言ったにも関わらず
誤字打率高いです。9割は超えています。
正しい漢字は『~にも拘わらず』で『拘らず』と書いても良いのですが、「拘る」との誤読を避けるために『わ』を入れたほうが良いそうです。
しかし、本当はひらがなが一番正しいとのこと。漢字だの送り仮名だので迷って結局間違えるくらいなら、最初からひらがなで書くのが最も賢い選択と言えるでしょう。もしかしたら本記事で一番大切なことかもしれません。
漢字に迷ったらひらがなで書こう!
第3位
長きに渡り
「これ、ストレートに『亘り』って書いてある記事、見たことなくない?」というくらい、『渡り』と誤って書かれていることが多いです。打率は実に9割8分。約1000記事読んだ中で、たった1記事だけ『長きに亘る』と正しく書かれていたものがあり、リアルに声を上げて拍手しました。誇っていい。
時間や空間の広がりに対しては『亘り』、何かが移動するときは『渡り』を使います。これも漢字の見極めが面倒だったらひらがなで書きましょう。
ひらがな最高!
第2位
~なさそう 例:できなさそう
厳密に言うと「正しく使えている場合もあるが、おそらく感覚で使い分けをしていて、その説明はできないだろう」という理由から第2位です。
例を挙げると、大多数の人は「『多そう』の対義語は?」と聞かれると「少なそう」と答えますが、「『できそう』の対義語は?」と聞かれると「できなさそう」と答えることでしょう。正しくは『できなそう』ですが、語感で『さ』を入れたり入れなかったりしていると思います。
解説すると、推定の『~そう』を付ける場合、動詞の否定の『ない』には『さ』が入らず、形容詞の否定の『ない』と、有無の『ない』には『さ』が入ります。推定以外だと、過剰の『~すぎ』も同様です。
第1位
例え 例える
これも9割打者。圧倒的誤字量産表現です。『例』の漢字は『例えば』の用法でしか使われないので、今後どこかで『例え』『例える』を見かけたら間違っていると即断していいです。
しかし、正しい漢字をご存じの方もごく稀にいらっしゃるようで、正しく書けている記事もいくつか目にしました。にもかかわらず第1位の理由は、別にあります。
『たとえ』という言葉は、『喩え/譬え』の漢字で「比喩表現をするとき」に用いられる場合と、もう一つ、「仮定表現をするとき」に用いられる場合があります。後者は「たとえ、明日世界が滅亡しても」のような使用例です。この漢字は『仮令/縦令』と書きます。は?
つまり『例えば』『喩え/譬え』『仮令/縦令』の3種類を使い分けなければならないのです。いい加減にしろ。
これも使い分けるのが面倒なのでひらがなで書くことをおすすめします。『たとえ』と書けば、読みやすさは損なわれますが、少なくとも間違いにはなりません。
【誤字】シートを眺めてみてわかったこととしては、同音異義語の間違いが多いということです。これは慣れるものではなく、正しい知識を得ることで改善できるものなので、知らないと永遠に間違え続けることになります。
とはいえ、一応は読めるのでそこまで致命的というほどでもありません。どちらかというと、脱字や衍字のほうが読みにくさに繋がるので、そちらを積極的に撲滅していきたいところです。
加えて、何度か前述しましたがひらがなはとても大事です。同音異義語に限らず、漢字が連続するような熟語頻出使用傾向の高尚自説考察論文などを書く際は、ひらがなを適度に織り交ぜることで、読みやすさに繋がります。高尚自説考察論文って何?
ひらがなを見て、文脈から漢字を想像し、意味を補完する。日本人だけが持っている特殊能力です。
せっきょくてきにひらがなをつかっていきましょう。ひらがなさいこう!
当て字と話し言葉
次に【申し送り】シートを見ていきましょう。
このシートでは、間違ってはいないけれど、修正するかどうかを執筆者に判断していただきたい言葉をまとめています。あえてこの書き方にしているのか、それとも単に間違っているのかの判断が付きにくいものもあります。
当て字のカテゴリに指摘がたくさん入っています。これは本来の意味ではない漢字を当てている言葉になります。例えば『ご存知』。これは動詞の『存じる』が由来なので、本来『じ』はひらがなが正しいのです。
しかし、当て字は間違いというほどでもないので、極論、編集側の方針で当て字許容とし、これらの指摘を無視しても構いません。校正者はいつでも徒労上等の覚悟で指摘を入れています。
とはいえ、申し送りの中でもかなり迷ったのが話し言葉です。いわゆる『ら抜き言葉』と『い抜き言葉』というやつ。「見られる」を「見れる」「食べている」を「食べてる」など、オモコロの記事はとにかくこの2つの『抜き言葉』が多いです。
小説では会話文以外での『抜き言葉』は撲滅する傾向にあるため、それに倣って最初のうちはすべて指摘していました。しかし、途中でふと気付き、「これって実際に企画参加者が喋っているものを文字起こししているなら、話し言葉でも問題ないのか……」と考え始め、指摘を入れなくなりました。
他にも「~とか」は「~など」、「~みたいな」は「~のような」というように、話し言葉から書き言葉への置き換えが推奨されていますが、座談会のような記事だと、むしろ話し言葉のほうが臨場感やライブ感があって適切ではないかと思います。ここに、小説とWEB記事の違いの妙が出てきます。
『校正』と一口に言っても、間違っている言葉を必ず直さなければいけないわけではありません。状況に応じ適切な表現を選ぶことのほうが大切です。
表記統一
次は【統一】シートです。
このシートには、記事の中で漢字とひらがなの両方が使われているものをまとめています。言葉として間違っているわけではないので、そのままでも問題ありませんが、統一されていたほうが読みやすいのは確かです。
数としては『できる/出来る』『うまい/美味い/旨い』『頂く/いただく』あたりが多いです。複数人登場する記事だと、同じ表現でも発言者によって漢字・ひらがなで揺れるので、それを記事内で統一するか、原文を変えずに揺れ許容とするかは、編集側の方針に依るでしょう。
個人的には、言葉は揺れていてもいいと思っています。「うまい!」と「美味い!」と「旨い!」では、読み手に与える印象も変わってくるので、発言者によって使い分けるのはありかなと。ただ、過剰に揺れるのはNG。
ちなみに、今回の私の統一作業は、完全に記憶だけで勝負しています。「あれ……この表記、さっき漢字使ってなかったっけ……?」くらいの感覚で拾っているので精度は甘々です。しっかり統一するならメモを取ったほうが確実ですが、今回はスピード優先。こういう作業をAIに投げたい。
約物の体裁
約物とは、句読点や感嘆符、括弧などの記号類のことを指します。
オモコロには大勢のライターさんが在籍しており、オモコロという1つの大きなメディアの中で、それぞれのライターさんがそれぞれの体裁で記事を書いています。それを含めての個性と言えるので、一概に「体裁は統一したほうがいい!」とは言えません。
しかし、約物だけでも整理すると記事が読みやすくなるので、ここでは、ほぼすべてのライターさんに当てはまる約物に関する体裁のお話をします。
・句点の有無
→句点があったりなかったり。こういう箇条書きの項目であればなくても構わないのですが、文章の最後には入れたほうがいいです
句点は基本入れたほうが見栄えが良くなります。
・三点リーダーが1字分
→小説の体裁は2字分が基本です……1字分だと…普段から小説を読み慣れている人からすると…間隔が狭く感じます…間違いではないんですけどね…ぜひ三点リーダーを贅沢に……2字分……使ってみてください……。
・丸括弧と句読点の位置関係
→小説の体裁では丸括弧の後ろに句読点を入れます(これが基本です)。丸括弧の前に句読点を入れたり、(ちょっと不恰好)最後に句点を入れないのもありっちゃありです(ただし、どれかに統一しましょう)感嘆符は括弧の前に入れるのが基本です!(感嘆符は前で句読点は後ろ。ややこしい!)
・感嘆符の後ろのアキの揺れ
→感嘆符の後ろは全角1字分空けるのが小説の体裁の基本! 稀にちゃんと空いている記事を見かけては、感心の声が口から漏れ出ました……!記事を書く際に使用するソフトに『感嘆符の後ろを自動的に1字アキにする機能』とかあるんですかね? あったら便利ですね!!たぶんありません!!!
・感嘆符が全角と半角で揺れている
→特に多いのが複合タイプの感嘆符。全角は文字扱いで半角は記号扱いとなっています。何で⁉ ちなみに小説では全角が使われます。そうなの!?
個人的には全角を使ったほうがいいと思っています! 半角は細いので! 読みにくいと困るよね!!!! ね!!!!
ちなみにメタ的な話になりますが、本記事も自分で校正しております。
約物体裁、表記統一、行頭一字下げ、もちろん誤字チェックも。
そしてWEB記事ならではの校正ですが、改行で熟語が泣き別れにならないような体裁の調整もしています。こんな感じで改行時に熟語が別れると、行末と行頭の文字を脳内で組み合わせて熟語を補完しなければならず、少々面倒です。そこで、言い回しや表現の変更、読点を入れるなどの工夫をして、できるだけ行頭から熟語が始まるように調整しています。この読みやすさに配慮した体裁調整は、校正者でなくとも着想、実行できます。
ただ、読みやすさに配慮した記事の作り方を意識するのはいいのですが、それがそのまま面白い記事に繋がるかどうかは別問題です。これが現実。
おわりに
文字ばかりの記事を最後までご覧いただき、ありがとうございました。
読者の皆さんにとって、普段あまり意識したことのなかった言葉や漢字をご紹介できたと思います。本記事を読み、今後目にする言葉や漢字の意識が少しでも変わったら嬉しいです。
校正のスキルアップを目的としたとはじめに書きましたが、結果として、私の校正スキルは間違いなく上がったと思います。長さも体裁もジャンルもバラバラな記事をがむしゃらにたくさん読むことで、誤字を拾うセンサーが研ぎ澄まされました。今後も続けて読んでいきたいと思っております。
最後に総評という形でまとめると、ライターの皆さんは、思っていたより正しく間違えられていたと思いました。「正しく間違えられる」というのは決して悪い意味ではありません。「間違っても仕方ない言葉が多かった」と言い換えても良いでしょう。
脈絡のない言葉が紛れていたり、主語と述語が対応していなかったり、「こんにちは」が「こんにちわ」になっていたりなど、そういった初歩的な間違いはほとんどなく、読みにくさは感じませんでした。前述しましたが、同音異義語の間違いは指摘されるまで気付けないので、これを機に少しずつ覚えていくのも良いのではないでしょうか。
ライターさんにおかれましては、今後記事を書く際に、体裁を整えたり、漢字を調べたり、統一を意識したりして、読みやすい記事の執筆を積極的に心掛けていただければと思いま──
というのは建前で、
間違いとか体裁とかどうでもいいから
伸び伸びと勢いよく記事を書いてほしい
というのが本音です。
おわりのおわりに
「今まで散々間違いだの体裁だのに言及しておいて、なに突然無責任なこと言ってんだ?」と思われるかもしれませんが、こう進言する理由はちゃんとあります。冒頭の「読めればそれでいい」に繋がる話です。
細かい言葉の正確性に惑わされて、記事の内容まで縮こまり、あまつさえ締め切りに間に合わなくなる、これでは本末転倒です。
それなら言葉や体裁なんて間違っていてもいいから、勢いで書いたほうがいいものができるというもの。締め切り的にも、モチベーション的にも。
言葉が間違っていても、読みにくくても、内容さえ面白ければ評価されると思っています。ライターさんは執筆に専念し、言葉のチェックは必要なら校正者に投げれば良いのです。そのために校正者はいます。
誤字誤用が蔓延るちょうどいい間違い具合の記事を今後も読みたいとか、そんなことは全然思っていません。思っていませんよ。
オモコロライターの皆さんには、これからも面白い記事をたくさん書いて読者さんを楽しませてくれることを期待しております。
それでわ、さようなら。
……
……?
……それでわ?
……こいつ、最後の最後に誤字書きやがったな、と思いましたか?
お気付きになった方はおめでとうございます。本記事が少しでも読者さんに影響を与えられたのだと嬉しく思います。
しかし、記事の最初から誤字に気付いていた方はどれくらいいらっしゃるでしょうか?
実は本記事内に、わざと誤って書かれた言葉が5つ存在します。
その言葉とはずばり、前述した誤字ベスト5の言葉です。
最後までご覧になった今なら捜し出せるはずです。自分が校正者になったつもりで、どこに誤字が隠れているのかを意識しつつ、はじめのはじめから読み直してみるのも一興かと存じます。
それでは、今度こそさようなら。