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田舎民になって、サイボウズデイズを楽しめなくなった

えっとね、タイトルの直後だけど少し追記するよ。
田舎に住んでいたらサイボウズデイズを楽しめない訳じゃない。
田舎に住んでいたら先進的な働き方ができない訳でもない。

実際、地方の小規模企業でイケてるところをいっぱい知っている。取材したり、飲みながら話を聞いたりしてきた。

でも、そんなところばかりじゃない。
そんなところを選べる人ばかりじゃない。

ライター業が、つまんなくなった

もうね、きっかけは私のエゴ。
コロナ渦でリアルイベントが減って、人とふれあうことが減って、正直、つまんなくなった。そこに体調不良が重なって、取材をするだけしたのに、2ヵ月くらい筆もとらずにゴロゴロ寝てばかりいた。記事にならないので、それまでにかけた交通費は持ち出しで赤字。原稿を書かないから信頼もがた落ち。幸いにして妻が稼ぎ頭なので、飢えずに済んだ。

パートのおばちゃんになった

実は友人に、保育施設を経営している人がいる。彼女の施設のおかげで我が家の育児はとても助かった。友人としても、育児の恩人としても、見捨てられない存在。なのだけど。地方零細企業では当たり前なのかもしれないけれど、非効率な事業形態のままだった。しかも、本人たちはそれが非効率だとか古くさいとか思っていない。改善すべきとも。なので、リハビリを兼ねて、押しかけ女房することにした。Macbookとkintoneを持ち込んで、効果を感じたらカネをくれと。契約としては事務、ITサポートの業務委託だけど、実態は事務、総務のパートのおばちゃんと変わりない。

kintoneまでの道のりが遠い

kintoneがTV CMで、「ヒョウケイさん、重い」ってやっている。が、私が押しかけた会社ではヒョウケイさんは軽い。ただ印刷レイアウトを整えるだけだから。保育施設なので、園児名簿を作る。Excelを使う。でも、園児の月齢は手計算。Excelに数字を打ち込みながら、片手で電卓を打っていることもある。本当に、ただレイアウトを整えるためだけにExcelが使われる。だからヒョウケイさんはいつまでたってもスリムで、軽い。

ヒョウケイさんが軽いだけじゃない。そもそも、デジタルで情報共有する意義を理解してもらえない。必要な情報はすべて印刷され、ファイリングされ、インデックスがつけられ、目次に内容が書き込まれている。

「ここに来ればすぐに必要な情報を見ることができる。なぜファイルを共有する必要があるのか」

完全に異文化だった。「情報共有するためにこういう便利な道具があるよ」って話以前に、情報共有の必要性を説かなくてはならない。ファイルサーバーもないしExcelを共有するとこまでも行っていないので、バージョン問題も起きない。

「最新の情報は?」
「ファイルのインデックスを見て最新日付のものをみてください」

紙だ。そして、誰もそれで困っていないのだった。

困っていないことは、解決できない

kintone hiveなどでよく聞く話。「こうなるといいだろう」と押しつけても、現場が困っていなかったら受け入れてはもらえない。むしろ、「手間が増える」などの反発をくらう。

ITを使い慣れた人なら、知っている。
「便利になるなら、やり方を変えてもいい」

しかし、同じやり方を続けてきた人は、知らない。
「慣れれば便利かもしれないけど、なぜなじんだやり方を変えなくてはならないのか」

必要性を感じない、課題だと思っていない、困っていないことを、ITで解決することはできない。

今まで見ていた世界は、雲の上の世界だったのだと思い知る

いまの職場の視点でサイボウズデイズを見ると、どのサービスも現場の理解を得られそうにないし、ほんの数千円のサービスであっても経営者の理解を得られそうにない。

私の個人的な視点から見れば、毎月数千円、数万円で色々なことが解決するなら安いじゃないかと思う。その分残業が減って給与支払いが減る方が大きいだろう。全体を見渡せる給与の高い先生が、休日に出勤してまで対応していたりするのだから。その人件費で、あのプラグインとかあのプラグインとか買えると思うんだけど。

そんな状況を考えながらサイボウズデイズのブースを見て回ると「たけーな」「これは社長がウンと言わねーな」で終わってしまう。そして思うのだ。「この程度の投資もできない企業が生き残る意味はあるのか」と。

かつての私なら、間髪入れずに「転職した方がいんじゃね?」「そういう会社は死ねばいいと思うよ」と言っていただろう。実際、たまにFacebookで愚痴ると「早く逃げた方が」「助ける価値はないと思います」などのコメントがつく。いずれも、私が泥船ごと沈まないようにとの配慮のコメントだ。私だってわかってる。泥船だとわかって乗り込んだのだから。

社長である友人は、経営拡大を進めてきた。泥船であっても、水辺で遊んでいれば怪我もない。しかし彼女は、そのまま海に漕ぎ出してしまった。何人もの従業員を乗せて。おそらく、地方の中小零細企業の多くが似たような状況なのではないだろうか。

kintone hiveで発表するような人たち、業務改善へ、変化へと舵を切った企業。それらの話が今は、雲の上の世界にしか見えない。クラウドだけに。

これからどうすればいいのか

見当もつかない。

長野県で奮闘する井領さんの気持ちに、一歩近づけた気はした。

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