東映株式会社を退職します/セクハラについて

はじめに

セクハラ・パワハラ・過重労働で労使交渉をしていた東映株式会社を、10月2日に退職しました。

会社で長時間労働・セクハラ・パワハラに遭い精神疾患を患った上、その被害に対する会社への対応が不十分で、不信感が募っている中、たまたま、以前より興味を持っていた企業よりオファーを頂いたため、転職することを決めました。

今後も会社との交渉は続けていきますので、現状をお伝えさせていただきます。

現場環境の改善は不十分

東映は労働環境改善に真摯に向き合ってほしいです。

現状、「ユニオンに加入している人がひとりだから要求は個別の事案に限られる」と言われ、建設的な話し合いをしてくれない状況です。テレビ企画制作部部長は団体交渉で、本件に対し「労働時間路管理していくことが難しいのであれば(プロデューサーとしての)適性の問題」「仕事の向き不向きがありますよね」など発言し、会社が原因で起きている問題を、ひとりの能力の問題に矮小化しようとしています。

団体交渉で争っていた未払い残業代については、要求したのは私ひとりだったのに対し、該当社員全員に対し過去2年分を支払いました。(しかも、ここで私のみ算出方法を変えられ、過少に払われるという嫌がらせを受けました)
個人的要求事項が社内全体の問題と捉えられないという理屈はおかしいと思います。

セクシャルハラスメントの対応について

私は2019~2020年、スタッフAさん(60代)よりしつこいLINEを受けました。
しばらく未読無視していたところ、電話がかかり、SMSがくるなど、追撃をされました。この時期から、撮影所で仕事をするときはAさんに遭わないか常に不安を感じていました。Aさんは、私が未読無視をしている理由を「飲みに行く約束を破ったから怒っている」と勘違いしており、認知の歪みを感じました。

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人事部の女性社員に相談したところ、「東映ホットラインに通報してほしい」と指示がありました。東映ホットラインとは、完全第三者の内部通報窓口です。

通報してすぐ、解決策として「撮影所責任者が直接Aさんに注意をする(私の名前を出す)」と提案されました。Aさんとは今後も撮影所で遭う可能性も高く、報復のリスクがあったため、その案を断りました。

解決策が浮かばなかったところ、東映ホットラインから社内会議室で面談しようと言われました。この日程調整をしている間に、別作品の撮影現場で、別のスタッフ(Bさん・60代)からハラスメントを受けました。
Bさんからはボディタッチをされたり、「俺の彼女になるか?」と言われたりしました。一番辛かったのは、向かい合うシーンのスタンドインをさせられたことでした。当時の私は製作部で、スタンドインは助監督の仕事のはずでしたが、トランシーバーで私を名指してきました。男性二人が向かい合っているシーンでしたし、私が指名される理由は特にないと思いました。
「俺の目をじっと見ろ」と言われましたが、最初はBさんの首の辺りを見て、目を合わせないようにしました。すると、またも「俺の目を見ろ」と言われました。頭が真っ白になり、周りに数十人いるスタッフのうち誰かひとりでも助けてくれないかと思い、周りのスタッフに目を向けましたが、目が合ったスタッフから「見つめ合うシーンだから見つめ合えよ!」と怒鳴られ、パニックになりながら、なんとかスタンドインをやり遂げました。

※この撮影時はカメラテスト中だったためキャストの方々は現場にいませんでした

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Bさんからは、スタンドインをした日と、2日後に、なぜかLINEをもらいました

東映監査部との話し合い

社内会議室での面談には、東映監査部の男性社員2名がきました。第三者を謳っているホットラインなのに、出てきたのは東映社員だったので驚きました。
監査部社員からは、話し合いの冒頭に

「はっきり言うと、これはストーカー事件にもなり得ない、現状では。そういうことなので、まずはぴしゃっと無視、ブロック」
(録音文字起こしより)

と言われました。ストーカー被害に多少でも知識のある人であれば、ブロックは逆上される危険があるとわかるはずです。

私は「逆上したらどうするのか?」と尋ねましたが、監査部の社員は「逆上してきたらそのときにまた連絡してください」と言われました。

また、監査部社員は「(現場で聞き取り調査した結果)Aさんは若い女の子が来たら誰にでも同様のことをやっていて、常習犯である」と言ってきました。そして、「誰でもやっているから、あなたがブロックしても気にしないと思う」と言われました。

こうした態度の他にも、「◯◯さん(女性上司)には相談しなかったのか?」と相談先をたらい回しされそうになったり、「#metooがない限り現場は変わらない」と言われたり、加害者男性を面白がるような態度をとられたり、とにかく酷いもので、相談する意味がほとんど無いように思えました。

結局、「スタッフルームに注意喚起の貼り紙をする」「AさんからのLINEは未読無視(ブロックを提案されましたが、私が拒否したので、未読無視に落ち着きました)」と結論が出て、私は釈然としないまま、しかしこれ以上話しても意味がないという失望のもと、場を後にしました。
この経緯を人事部の女性社員にメールをしました。監査部の男性社員たち(50代)より人事部の女性社員(20代)の方がよっぽど真摯に向き合ってくださったのですが、年功序列の社内風土が祟り、ハラスメント対応に若手社員は口を挟めないようでした。人事部の女性からは「本件で会社に絶望感を抱くことも無理ないです」と返信をもらいました。

貼り紙の内容について

数日後、私が確認・承認しないまま注意喚起の文書が貼り出され、本問題は「円満解決」ということになったようでした。

貼り紙には、私が盛り込んでほしいと言っていた「ボディタッチをしないでほしい」という内容は書かれていませんでした。
また、話し合いで盛り込むと約束した「部下にハートマークを送らないでほしい」という内容も、掲載されていたのは

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という、他社で起きているから自社でも気をつけようという言い方で、釈然としない気持ちになりました。「悪気なく」「ハートマークに見えて」など加害者側に立っている文章でした。

その後、別作品の上司にAさん・Bさんと同じ職場で仕事をしたくないことを話しましたが、取り合ってもらえず、結局同じ職場で働くことになり、精神的なストレスを受けました。

これらは、ハラスメントをしてきたAさん・Bさん個人だけの問題ではなく、組織風土、相談体制自体にも問題があると考えています。

現在、弁護士により聞き取り調査を行なっていますが、数年前の出来事ということもあり、記憶してくださっている方が少ないのではないかと危惧しています。そして、「証言が集まらなかった」を理由に、本件をなかったことにされないか、ただただ心配です。

労使交渉をしていることに関して

会社で働いていて疑問を抱いたとき、交渉する方法はいくつかあります。弁護士を雇って裁判したり、週刊誌に訴えたりすることも選択肢としてあるかもしれません。

その中で、労働組合に加入して闘うという選択肢もあります。

このメリットとしては、まず、労働三権があることです。労働三権のなかには団体行動権という権利があり、労使交渉に関する情報発信の権利も保障されています。だから、こうしたnoteでの発信もできるのです。労働組合に加入し、団体交渉で会社と話し合うことができたので、これで解決できればよかったのですが……。現状、その団体交渉という場所で会社側の対応が誠実ではないため、こうしてnoteで発信をしたり、応援してくれる皆さんに東映のお問合せフォームに送っていただくなどして、東映が姿勢を変えざるを得ないと思わせるようSNSでの抗議活動をしております。

また、労働組合に加入するメリットとして、「闘い方を教えてもらえる」ということもあります。私ひとりでは労基署に申請したり、厚生労働省で記者会見をひらいたり、抗議活動で法に触れないレベルを見測ることができませんでした。適応障害になって日々の生活も難しい中、組合のサポートがあってこうした活動ができました。

(社内にも労働組合がありますが、社員で構成されているため愛社精神や帰属意識が強いため、第三者となる外部の組合に相談することにしました)

私は今東映と闘っていますが、これは東映だけの問題でもなく、映像業界全体の根深い問題であると感じています。同じ業界で過重労働やセクハラパワハラに遭っている人は、ぜひ無料相談までご連絡ください。

ご協力のお願い

私は東映の態度が、合理的に解決に向かって対話を重ねるという姿勢ではなく、具体的な議論に移らずに個人攻撃を重ね、私が精神的につぶれるのを待っているように思えました。

本noteをご覧になってくださった方には、Twitter等SNSにてnoteの拡散をご協力いただきたいです。
作品が変わっても、本件には引き続き注目していただけると幸いです。

<過去の経緯はこちら>

■相談窓口について

現在悩んでいる人や、労働組合に加入していないフリーランスの方などを対象に、常設の相談窓口を開設しています。ぜひ相談してみてください。

電話番号:03-6804-7650
(平日17~21時/日祝13~17時 水曜・土曜休み)
メール:[email protected]

また、活動に対する寄付について、この場を借りてお伝えさせていただきます。

私たち運営費の大部分は寄付で成り立っていますが、費用の不足が私たち総合サポートユニオンの課題となっています。総合サポートユニオンの活動に賛同し、寄付をいただける方は、noteのサポートや、下記の振込先をご利用ください。

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また、私たちは映像業界の労働改善の取り組みに参加したい方、協力者を常に募集しております。
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