The Whole Product-CADDiのサービス開発を貫くPhilosophy
キャディ株式会社 プロダクトマネージャーの笹口です。
突然ですが、キャディには”Whole Product”という言葉があります。
キャディとして初めてこの言葉を使ったのは、昨年8月に公開したこちらの「キャディの技術を知る」です。
このnoteでは、キャディが掲げる”Whole Product”とは何なのか、そしてなぜそれを大切にしているのかについて書いていこうと思います。少し長いですが、お付き合い下さい。
事業戦略としての”Whole Product”
昨年10月に公開したキャディの採用資料、「トップマネジメントへの招待状」、皆さんお読み頂けたでしょうか?とても気持ちを込めた資料なので、まだの方は是非目を通して頂けると嬉しいです。
さて、この資料の17ページ目がこちらになります。
ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、元々”Whole Product”というマーケティング用語が存在します。Theodore Levitt氏の著書、マーケティング論の中で用いられた言葉です。
マーケティングにおけるWhole Productとは、ざっくり以下のような概念です。
・企業が顧客に販売する製品そのものが持つコアな機能と、その製品を購入した人や企業がその製品が発揮してくれると期待する機能の間には、常に大きな差がある(期待値との乖離)
・この差を埋めない限り製品は購入者の期待に応えることは出来ず、ユーザーは満足しない
・そのために、本来の製品の周辺に補助製品や補完サービスを数多く揃えることで「ホールプロダクト」つまり「完全な製品」を実現する
そしてLevitt氏によれば、プロダクトには以下の4つのステージが存在します。
いうなれば、マーケティング用語としてのWhole Productとは、コアプロダクトの機能を拡充してユーザーの要望に応え、さらに補完サービスや補助製品を加えていくことで顧客の期待を満たしていくというフレームワークです。
こちらがレビット氏が提唱しているWhole Product Modelのチャートです。Generic Productから徐々にその機能を拡張し、Potential Productを目指すという概念が示されていますね。
そして既に皆さまお気づきかと思いますが、下図(再掲)はまさにLevitt氏のWhole Product Modelの概念を採用しています。
キャディは製造業の受発注プラットフォームとして、まずは板金と切削加工という金属加工の特注品領域から事業を始めています。この領域だけでも製造業に対して提供可能な価値は非常に大きく、日々その拡大を目指しています。
しかし、ゆくゆくは図面・BOM管理やファクタリング事業など、プラットフォームとして受発注や製造業の枠をも超えた様々な事業の展開を予定しています。CADDiが目指していることはまさに製造業におけるPotential Productの実現であり、今はその根幹となる受発注プラットフォームを構築しているフェーズなのです。
以上が”Whole Product”の一つ目の意味合いです。これに加えて、キャディではさらにもう一つの意味を込めています。
TechとBizが一体となってCADDiというプロダクトを構成する
昨今、製造業では数値制御された工作機やIoT、3DCADといった技術の登場によるデジタル化が進んでいます。しかし、例えば紙(FAX)や電話でのやりとりが多く行われているなど、まだまだアナログな領域も残っています。
AIやRPAなどの自動化技術が発展してきているものの、紙などのアナログ情報の処理は、まだまだ人の方が早くて正確です。さらに、製造指示書(図面)に記載のない条件が暗黙的に存在していたり、記載があるのに無視してよい指示があったりするなど、機械的な処理が難しいケースが多いのが現状です。
キャディは独自のアルゴリズムを用いた見積の自動化や、町工場の強みを活かした最適発注などによって製造業全体の取引コストを下げ、100年以上イノベーションが起きていない製造業調達市場の負を解消しようとしています。
私自身、これらはテクノロジーの力なしには為し得ないと考えていますが、まだまだアナログな要素が多い現状を考慮すると、テクノロジーの力だけで為し得ることでもない、と考えています。
製造業は、例えばデジタルマーケティングのようなデジタルネイティブな産業ではないので、今後いくらデジタライゼーションが進んだとしても、製造業の根幹に人が介在しなくなる未来はまだ当分先になると思っています。それは、キャディが一定アナログな情報を扱い続けるということを意味します。
ですので、製造業と向き合うCADDiというサービスは、常に技術と人の最適配分によって成り立つべきなのです。
これをキャディでは”Tech”と”Biz”と言い換え、両者が一体となってサービス開発していくことを”Whole Product”と呼び、それによってカスタマーサクセスとサプライパートナーサクセスの両軸を実現しようとしています。
お客様や協力パートナー様にとって、CADDiとのインターフェースはWEBかもしれませんし、ご訪問した営業担当かもしれませんし、電話で応対する社員かもしれません。
そして、各場面でCADDiが提供するサービスは機械的に算出されたものかもしれませんし、人が何かしら作業した結果かもしれません。
そういったプロセスや方法にかかわらず、その時に出しうる最適な価値提供にこだわり、かつ局所的な対応ではなくCADDi全体の提供価値を常に最大化していく。そして、それを全員で考え、実行していく。
そんな思いが、”Whole Product”には込められています。
最後に
お読み頂きありがとうございました。
”Whole Product”はキャディという会社自体を一つのプロダクトとして捉える考え方です。文中では、会社を表す場合にはカタカナのキャディ、プロダクトを表す場合にはアルファベットのCADDiと意図的に使い分けてみました。
内容関するご質問など、ご連絡はいつでも大歓迎ですので、気軽にDMを頂けたら嬉しいです。
もし”プロダクトとしてのCADDi”についてもっと知りたい!という方がいらっしゃいましたら、相方の白井が書いてくれたこちらのnoteを是非ご覧ください。少し長いですが、全体像を解像度高く理解頂けると思います。
ありがとうございました。