『ダークパターン 人を欺くデザインの手口と対策』を読んだ
年の瀬に滑り込みで読了できたので感想を書き切る。
ダークパターンとは
一言で言うとタイトルのままで、人を欺くデザインのこと。例えば、空港の通り道を強制した店舗レイアウトがある。
各航空会社は「空港に2時間前には着いてチェックインと保安検査のための時間を確保しろ」と乗客に注意喚起を促す。しかし旅慣れた人からするとそんな時間いらないの知ってる。にもかかわらずかなり余裕を持った時間設定を喚起するのはなぜか?
それは保安検査場からラウンジまでの間のショッピングエリアに起因している。羽田や伊丹空港を利用したことがある人は身に覚えがあるはず。保安検査を通る前後には飲食店や土産屋、国際空港であれば高級ブティックなど多くのテナントが入っている。時間に余裕があれば足が店舗へ向かう可能性は高くなる。空港は店舗に対してテナント料を売上に対する歩合とすることで、必然的に儲かるという仕組みだ。
ダークパターンの類型
本書では以下のように分類例を挙げている。かつ、各分類例の説明や具体例を詳しく展開している。
基本的にはこれらの手法を組み合わせて用いられている。かつ、意図的にこうしたデザインになっている場合もあれば、結果としてそうなってしまっている場合もあるという。
本書で学べること
先に述べたダークパターンの類型と具体例を知ることができる。これだけでも「読みたい!」「おもしろそう!」となってる人は多いかもだけど、本書はそれだけではない。さらに一歩踏み込んで対策にまで言及している。
また対策についても、「既に施行されているが、失敗したもの」と「現在施行中のもの」が詳しく述べられている。最後に、今後の展望に関する著者の見解を以って締め括られる構成だ。
この辺の内容は本記事ではあえて触れないようにしてる。なので「気になるよ!」って人は是非本を買って読んでみてほしい!
感想
まず、A/Bテストの始まりの話が面白かった。A/Bテストの始まりは、新聞に異なるクーポンをつけてどっちが多く使われたかで効果を比較するものだったらしい。
かつ、A/Bテストは始まった頃から今に至るまで、指定した指標に対してどっちのバージョンの方がいいパフォーマンスを見せたか?しか見ていないことが本書では指摘されている。つまり、ユーザーにとっていいデザインか?の判断は行われないのだ。測定をする立場にある自分としては、結果をマーケターやデザイナーに伝える際にはその点も考慮したうえでテストを設計したいと思った。
この意識の持ちようをまさに本書の最後で著者が述べている。実際にデザインに関わる立場にある人間が、この意識を持っていないのであれば危険であると警鐘を鳴らしている。
そんな感じで、無意識にダークパターンを実装していないか?ダークパターンを見過ごしていないか?をシナリオテストのタイミングで気づけるように意識を持つようにしたい。