【VRChat向け3Dモデル想定】景品表示法について



はじめに

昨今、Boothでの3Dモデル販売が活発ですが
景品表示法への注意はショップさんによってマチマチかと思います。

景品表示法とは

景品表示法は、不当な表示や過大な景品類の提供を厳しく規制することなどにより、一般消費者が適正に商品・サービスを選択できる環境を守ります。

引用:https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/assets/representation_cms201_240806_05.pdf

というもので、簡単に言えば『商品の不当な表示から消費者を守る法律』です。
故意でなかったり、過失がない場合でも該当すれば規制の対象となりますので注意が必要です。

適用範囲は「事業者」であり、「商業、工業、金融業その他の事業を行う者」です。

●2024年10月29日追記
この「事業者」には、海外の事業者も含まれます
『日本国内の一般消費者向けに商品またはサービスを提供している場合』に対象となります。
日本法人を有しているかどうかは関係ありません。

参考:https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/faq/premium/introduction#q5

法人化していない個人は含まれない可能性がありますが、Boothの利用規約に

第5条 ショップオーナーの義務および責任
3. ショップオーナーは、本個別サービスを利用して自身のショップを運営する際、特定商取引法、割賦販売法、不当景品および不当表示防止法、薬事法、その他関係法令を遵守するものとします。

引用:https://policies.pixiv.net/

と記載がありますので、結局のところショップオーナーは皆これを守る必要があります。

著者紹介

まずは私について。
私はBoothにてアバターを販売している者です。

なるべく正しい記載をするように心がけますが
法律の専門家ではないので、間違っている箇所等ありましたらご指摘いただければと思います。

それでは本題に入ります。


不当表示について

不当表示とは、

一般消費者に商品・サービスの品質や価格について、実際のもの等より著しく優良又は有利であると誤認される表示

引用:https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/assets/representation_cms201_240806_01.pdf

のことです。さらに引用させてもらうと、
①優良誤認
②有利誤認
③その他

の3つがあります。
順に解説していきます。

引用:https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/assets/representation_cms201_240806_01.pdf

①優良誤認

商品を実際よりも良く見せる表示のことです。

実際のものや事実に相違して競争事業者のものより著しく優良であると一般消費者に誤認される表示を優良誤認表示として禁止しています。

引用:https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/assets/representation_cms201_240806_01.pdf

VRChat向け商品で考えると

⚫️商品画像に映っているアバターや衣装が、説明もないのに実際には同梱されていない
だと優良誤認に当たる可能性があります。

例1:優良誤認に当たる可能性のある商品ページ

商品ページの画像がこれだけ、本文にも同梱物の記載がない!
の場合は優良誤認に当たります。
最近よくある『商品ページ画像にリアル影システムを使用しているが注意書きがない』ももしかすると抵触するかもしれません。
また、胸シェイプキー対応などの表記も正確に行うよう注意しましょう。

②有利誤認

価格を実際よりも安く見せかけるなど有利に見せる表示です。

商品やサービスの価格 などの取引条件について、実際のものや事実に相違して競争事業者のものより著しく有利であると一般消費者に誤認される表 示

引用:https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/assets/representation_cms201_240806_01.pdf

例を記載します。

  1. セール価格!と記載しておきながらセール前価格での販売実績がない(二重価格表示)

  2. 100人のみ先着で購入可能!と記載しながら実際は全員購入可能

これらをVRChat向け商品に当てはめて考えてみます。

⚫️販売開始セール
将来の販売開始価格を対象としたセールは、実際にその価格で一定以上の期間販売しなければ二重価格表示になります。

例2:有利誤認(二重価格表示)に当たる可能性のある商品ページ

⚫️期間限定販売
『期間限定でアバターor衣装を販売!』などと記載しながら、実際には何度も販売している場合
有利誤認にあたる可能性があります。

例3:有利誤認に当たる可能性のある商品ページ

これらはBoothでよく見かける表示ですが、気をつけないと景品表示法違反になります。
違反した場合は最悪、課徴金が課せられたり事業者名の公表がされたりと良いことがないので気をつけたいですね。

③その他 誤認されるおそれのある表示(2024年10月29日追記)

こちらには、上記の2つに該当しない表示が含まれています。
今回はこの中からBoothでの商品販売に関係のありそうな『ステマ規制』についてのみ取り上げます。

景品表示法で規制されるのは、広告であって、一般消費者が広告であることを分からないものです。
※広告には、企業がインフルエンサー等の第三者に依頼・指示するものも含まれます。
※インターネット上の表示(SNS投稿、レビュー投稿など)だけでなく、テレビ、新聞、ラジオ、雑誌等の表示についても対象です。

個人の感想等の広告でないものや、テレビCM等の広告であることが分かるものは対象外です。

引用:https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing

つまりは、『広告であることを隠して宣伝してもらうこと』が規制されるようになりました。

VRChat向けで考えるならば
⚫️有名VRChatterに頼んで、依頼であることを隠した状態でTwitter/ブログ等にて宣伝してもらう
は違反となってしまう可能性があります。

例4:ステルスマーケティングに当たる可能性のある広告
作成:https://hi0a.com/demo/-js/js-talk-twitter/

しっかりと
・広告、PRであることを明記する
・アンバサダーとして宣伝してもらう(アンバサダーであるという認知や表記は必要です)
などの対応をした上で、宣伝してもらいましょう。


景品規制について

景品表示法には不当表示だけでなく、懸賞についての規制もあります。
こちらにも様々なものがありますが、今回は下記の3つについて解説します。
①オープン懸賞(参考)
②一般懸賞
③総付景品

①オープン懸賞(参考)

オープン懸賞は、景品規制の対象外の懸賞です

新聞、テレビ、雑誌、ウェブサイト等で企画内容を広く告知し、商品・サービスの購入や来店を条件とせず、郵便はがき、ファクシミリ、ウェブサイト、電子メール等で申し込むことができ、抽選で金品等が提供される企画には、景品規制は適用されません。このような企画は、一般に「オープン懸賞」と呼ばれています。

引用:https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/premium_regulation

つまりは⚫️Twitter上でのプレゼント企画 がこれにあたります。
誰でも応募ができる形式かつオープンな場で発表する際は規制対象にあたりません。
ただし、これらを満たせなかった場合は次の一般懸賞に該当し、規制対象になります。

②一般懸賞

商品・サービスの利用者に対し、くじ等の偶然性、特定行為の優劣等によって景品類を提供することを「懸賞」といいます。

引用:https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/premium_regulation

Twitter上でのプレゼント企画の場合でも、
⚫️商品の購入者のみで抽選
⚫️過去に商品を購入したことのある人だけで抽選
などを行う場合はこちらに該当してしまいます。
その場合は規制を守る必要が出てくるので注意しましょう。

③総付景品

一般消費者に対し、「懸賞」によらずに提供される景品類を指します。
つまり「おまけ」のようなものです。

引用:https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/premium_regulation

⚫️商品の購入者に期間限定でおまけのプレゼント
などを行う際はこちらに該当する可能性があります。
限度額は1000円以上の商品の場合、取引価額の20%までです。

こちらも該当の企画を見た覚えがあるので、注意が必要かなと思います。


さいごに

景品表示法などの規制は内容が難しい上に、Boothの個人事業主に適用されたことは現状では一度もないと思います。
だからといってこれからも規制されない……とは限らないので注意しておくに越したことはないと考えています。
何より、購入者さんにはなるべく真摯でいたいですしね。

最後になりましたが、ここまでお読みくださりありがとうございました。

作成:2024年10月28日
追記:2024年10月29日

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