全然わからない 俺は雰囲気でコミケに参戦している
Vtuber活動5年目に突入した。動画投稿も100本達成したし大好きな漫画『噓喰い』の作者・迫先生ともコラボできたし、まだ何かやり残したことってあるかな…そういえば俺、コミケで同人誌って出したことなかったな…退くか武蔵、いや進むか二天一流。俺はコミケにサークル参加することにした。
まずは出す同人誌の内容を決めるところから始めた。
ちなみに俺は普段の動画では偉そうに漫画について語っているが、自分自身は全く画が描けない。
参考までに、これは最近俺が描いたバットマンだ。
なので小説を書くことにした。小説なら大学時代に推理小説研究会に所属していたので書いたことがあるし、Vtuber デビューして以降もフォロワーからリクエストをもらって夢小説を書いたりはしていたので、執筆の経験はあった。
個人的に小説を書くことは好きだ。文字という人間を刺激する情報媒体の最小単位のみで完結している構造からして美しい。あと動画より手間かからずサクッと書いて手軽にチヤホヤしてもらえるし。つか動画って光とか音とか文字とか構成要素がゴチャゴチャし過ぎていてキモいわ。あんなの好き好んで作ってる奴は気が触れているとしか思えない。
次に出す同人誌のジャンルを決めることにした。当然だが、やっぱりどうせ書くなら好きな漫画のヒロインにしたい。熟考の末、『ぼっち・ざ・ろっく!』の廣井きくりor『ふつうの軽音部』の幸山厘、イカれたベーシストとイカれたベーシストの二択になった。
しかし、この二択に極限まで悩んだ。Vtuber活動史上、最も悩んだと言っても過言ではない。
これは俺が大学時代にサークルで推理小説を書いていた時期に染みついた習性だと思うのだが、まずオチを思いついてから逆算して書いていく。必然的に『書きたい』ではなく『書ける』作品を書いていくことになる。二次創作をする上で重要な点として、その作品及びキャラに対して独自の解釈を展開できるほどの『行間』を見出せるか否かがあると思っていて、そういう意味では7:3で廣井きくりか…?と思っていた。『ふつうの軽音部』に比べて『ぼざろ』の方が原作の巻数も多いしアニメも1クールやっているし主役のスピンオフもやっているので公式から供給されている情報量が多い。俺は画が描けないのでサークルカットも本の表紙イラストも他の絵師様に外注しなくてはいけない。依頼するならコミケ参加申し込みの期限も迫っているので、何の同人誌を書くのか早く決めなくてはいけない。『書きやすい』のはどちらか。理性では廣井きくりを選択していた。しかし気付けば理性以外の俺が幸山厘のイラストを絵師に依頼していた。オベリスクの巨神兵を生贄にしてブルーアイズホワイトドラゴンを召喚した海馬社長の気持ちを追体験した。
ちなみに冬コミの締め切りは8月中旬だったのだが、参加申し込みをした直後に『ふつうの軽音部』が次に来るマンガ大賞でめでたく1位を獲得してしまい、なんか傍から見たら俺が爆速同人イナゴみたいになってしまった。違いますからね。1位になったのは参加申し込みした後ですからね。
サークルカット&表紙イラストを依頼したのはトダケンジγさん@b_con22という絵師さんだ。以前に配信でチラッと「今年は冬コミに出たいな~」と話したら直後に「是非お手伝いさせて下さい!」と頼もしいリプをもらった。フォロワーも5万人以上いるし画力も申し分ないだろう。そう思ってトダケンジγさんのメディア欄を遡るとひとつの問題が発生した。描く女描く女、全員おっぱいがデケェ。体重の半分ぐらいおっぱいが占めていそうな女しかいねぇ。いや勿論おっぱいがデカイのは何も悪い事じゃない。結構なことだ。しかし繰り返すが今回イラストを依頼するキャラクターは幸山厘である。右も左も分からない初コミケ参加で心細い中せっかく声をかけてもらえたのはありがたいが、幸山厘の胸をデカく描くようなら、もう報酬を鉛玉で支払うしかない。(このおっぱい星人は駄目かも知れんな…)そう思いながらも俺の脳内ではハリソン山中が囁いていた。
「つまらないじゃないですか…巨乳好きの絵師に巨乳キャラを描かせても…あえて巨乳絵師に金を積んで胸部が控えめなキャラのイラストを描かせることで、どんなSEXもドラッグも及ばない、最高のエクスタシーを感じることができる…違いますか?」
最もフィジカルで、最もプリミティブで、そして最もフェティッシュなやり方でskebを依頼させて頂きます。
そして納品されたサークルカット用のイラストがこちらだった。
ここまで描くのに眠れない夜もあっただろ!!(神絵師ボディビル大会の掛け声)
しかもちゃんと胸部も控えめに描いてくれている──プロやな──
何だ…この神イラストは…完璧じゃないか…今度から俺のXのアイコンこれにしても良いか?
引き続き表紙イラストも依頼しつつ、俺も原稿を書き始めることにした。
しかしこれが思いの外、大苦戦した。
全然書けない。これまで『書ける』ものばかり書いてきたせいで『書きたい』ものを書くための筋力が衰えていたのだろう。
そもそも『ふつうの軽音部』という漫画、1話あたりに投下される新情報が多く常に登場人物の新たな側面や関係性が更新され続けていく漫画なので、俺の中ではお世辞にも各登場人物に対する解像度が高いとは言えない。特にこの幸山厘とかいう女、何?
そんなこんなで自分で原稿を書いてはボツにする過程を繰り返すことになる。
プランA:『ふつうの軽音部』本編の はとっちと厘ちゃんが出会ってから文化祭ライブまで、一連の流れを厘ちゃん視点で舞台裏から語る話。(ジョジョ外伝小説『OVER HEAVEN』みたいな)実は はとっちと矢賀ちゃんがファミレスで桃ちゃんの悩みを聞いていた時にすぐ後ろの席では厘ちゃんが聞き耳を立てていただとか、1年初期に解散したバンドの内ひとつは厘ちゃんが陰ながら潰していた、みたいな話を書く予定だった。でも、せっかく二次創作するならもっと大胆な独自解釈を展開した方が楽しくないか?の思いが拭えず、なかなか筆が進まずにボツ。しかし作中の「やっぱり、はとちゃんを神だと見抜いた私の目に狂いはなかった…!」「あ、うん。厘ちゃんが狂っているのは目じゃなくて頭だからね」みたいな会話は気に入っていた。
プランB:ヨンスがタイムリープして学校生活を繰り返す話。文化祭が終わった後、勢い余って厘ちゃんに告白してフラれた直後に1年目の入学式に戻ったヨンスは、今度こそ厘ちゃんの好感度を稼ごうと軽音部2周目に挑むのだが…みたいな話。ちなみに黒幕は未来で はとっちが死んで闇堕ちマッドサイエンティストになった厘ちゃんで、過去に戻って はとっちを助けるため時間跳躍する薬を発明してヨンスがその実験体に選ばれたみたいなオチだった気がする。同じく筆が進まずにボツ。
プランC:ヤンデレの厘ちゃんに死ぬほど愛されて夜しか眠れないはとっち、みたいな話。これはオーソドックスなヤンデレ百合モノだったこともあり、一応40ページ弱ぐらいの分量を最後まで書き上げることができた。しかしシナリオの都合上どうしてもオリキャラを絡ませて話を展開させなくてはならず、それが自分の中でモヤモヤしてしまい、結局はボツにした。しかし『幸山厘は学校の扉程度の型が古くて単純な構造の鍵なら前髪のヘアピンを利用してピッキングできる』というオリジナル設定はなかなか気に入っていた。
プランD:はとっちと厘ちゃんがヨンスの死体を埋めに行く話。王道の一緒に死体を埋めに行く系の百合である(実際に読んだことはないけど)。あらすじ以上に面白い原稿を書ける気がしなかったので一行も書かずボツにした。
そんなこんなで悪戦苦闘している内に神絵師トダケンジγさんから表紙イラストも納品された。
俺の立場でこんなこと言うのもなんだけど、アレだぞ。
もうちょっと手を抜いても誰も文句言わねえぞ。
もはや原稿を書き上げる前から『表紙負け』の誹りを免れない状況になってしまった。
それでも俺は原稿を書き上げなくてはならない。もし仮にここで俺が原稿を落としたらただオタクが身銭を切ってskebを依頼しただけになってしまう。
しかし行き詰まる進捗。気分転換も兼ねて俺はアマプラで映画を見ることにした。何となく選んだ作品は『羊たちの沈黙』。過去に視聴済みの映画だったが何故この映画をもう一度見ようと思ったのかといえば『羊』という単語を無意識の内に幸山厘と結び付けていたからかも知れない。
そして本編を視聴し終える頃、俺の脳内には新たなイメージが浮かんでいた。
高校卒業から10年後、鳩野ちひろが訪れた拘置所。ガラス越しに「久しぶり、はとちゃん!」と拘束衣を着せられたままガチャガチャと音を立ててはしゃぐ幸山厘。(高校卒業後、大学~社会人の間に軽音部に所属する四白眼の女子高生を8人殺害した罪で裁判に掛けられている)
まあコレは無いな…いや、しかし、ちょっと待て。『本編の10年後』を舞台にする、というコンセプトは悪くないんじゃないだろうか。高校卒業後の話であれば、これからも絶えず更新され続けていく原作の公式設定とあからさまに抵触する確率も減るだろうし…いや別に原作で新情報が開示された結果として公式設定と食い違う二次創作も全然アリだと思うけど、俺自身が書くとしたら何となく気になってしまうだけで。
こうして俺はプランEのプロットで晴れて初の二次創作同人小説『愚策』を書き上げることができた。(タイトル自体はコミケ参加申し込みの時点で前もって決めておいたけど)
結局のところ1冊の同人誌を書き上げるのに4ヶ月かかった。全然お手軽にサクッと書けねえぞオイ!この時間と労力があれば普通に動画3~4本は投稿できたぞ!
それでも幸いなことに締め切りの2週間ぐらい前には書き終えることができたので、あとは印刷所に入稿するまで、ひたすら推敲を繰り返していた。入稿直前、矢賀ちゃんの名前を『古賀ちゃん』と誤記していたことに気付き慌てて修正した。あぶねぇ。やっぱり推敲って大事だ。しかし2週間も繰り返し読み直し続けていると一種のゲシュタルト崩壊みたいなもんだと思うんだけど段々と自信が薄れてくるというか、果たして今、自分が読んでいる小説が面白いのかどうかよく分かんなくなってきた…面白い小説って何だ…?基本的に俺は動画にせよ小説にせよモノを作る際には他人と協力せず1人で完結できる体制を好んでいたのだが、今回の同人誌作りに関しては絵師のトダケンジγさんを巻き込めたことがプラスに作用したと思う。一度他人を巻き込んでしまうと必然的に責任が生じるので途中で投げ出しにくくなるのだ。
しかし原稿を書き上げたはいいものの、まだ他にも考えなくてはいけないことがあった。コミケ当日に頒布する同人誌の部数である。コミケ初参加で100部は多いって話も聞いたことがあるけど…原作は人気漫画だし…表紙も神イラストだし…原作・作画担当の先生方にも告知を捕捉されてあろうことか拡散してもらっていたし…
公式に認知されたら地獄行きか…それなら俺は特等席だ
しかし何部売れるか全く読めん。
「刷る前にアンケとるんは女々か?」「名案にごつ」
まあ『絶対に買う』が120人ちょいだから120部は刷るとして…実際のところ残り180人の『買えたら買う』の温度感ってどれぐらいなんだ…?基本的にインターネットの人間って噓つきばかりだから6人中5人は買いに来ないと仮定して…+30部でキリもいいし150部ほど刷ることにした。(結果的には完売してもイラストの依頼料やら本の印刷代と相殺し合って負担にも収益にもならず、ほど良い塩梅の部数になった)
そんなこんなで不安もあったが期日までに入稿!ちなみに今回、俺が利用した印刷会社さんはこちらでした。
他の印刷所と代金を相見積しても安かったし、何よりもホームページに記載されている注文までの流れが非常にわかりやすかった。あと余談だが実はこのポプルスさん、本の印刷を注文する際にオプションでポスターも割引して刷ってくれるサービスがある。しかし俺は当初そのオプションを見落としており、本の原稿を入稿した後日にサークルスペースに設置するためのポスター(表紙イラストを拡大したもの)を別個に注文してしまった。しかしポプルスさんは何も言わず同一の注文として受注してくれて、オプション扱いで割安でポスターを作ってくれた。粋~!!
こうして同人誌の問題は片付いた。あとは当日の体制である。
もっと規模がデカいサークルであれば美女レイヤーさんを4人雇って、はーとぶれいくメンバーのコスプレ売り子なんかも頼めたのかも知れない。しかし俺のフォロワーに募集をかけたところでヨンスが16人ぐらい集まるだけである。トーナメント方式で殺し合わせて最強のヨンスを決める以外に使い道がない。
こうなれば道は一つしかなかった。
俺自身が売り子になることだ…!
ちなみにコミケ当日で1番恥ずかしかったのは更衣室で着替える瞬間だった。他の男性コスプレイヤーは初音ミクとかガンダムとかブルアカとか、めちゃくちゃ気合入れてメイクしたり着替えたりしていたのに、俺だけジャケット着て顔面の皮を被って実質10秒ぐらいで終わったのが逆に恥ずかしかった。しかも何だよバーチャルYouTuberピエ郎って…誰だよ…そんなヤツいねえよ…。
今回は大学時代の後輩(コミケにサークル参加経験アリ)の2名に助力を乞うて参戦してもらい、いざコミケ開会。最初に本を買いに来たのはグラスチルドレンのガムテだった。「ピエ郎さんがコミケ参加するって知って絶対このコスで来ようと思ったんスよ!」とのこと。最初に買いに来てくれて良かった。完売後にやって来られても「遅いよ…」って呟くことしかできなかった。
その後も続々と現れる買い手の皆さん。やっぱりピエ郎の視聴者が多かった。そして始まるファンとの心温まる交流。※短時間で100人以上と話したので4割ぐらい記憶違いがあるかも知れない。あったらゴメン。
「美容師やっているんですけど、よくお客さんとピエ郎さんの話するんですよ!『BLEACHのポエムとち〇ちん亭語録を交互に朗読してみた』の話題で盛り上がったりしますよ!」近所に出店して欲しくなさすぎる。
「ピエ郎さんの『ワートリ』レビュー動画からインスピレーションを得てワートリの世界観を舞台にしたTRPGを製作しました!是非もらってください!」お金払うって言ったのに受け取ってくれなかったので結局タダでもらってしまった…ワートリのオタク、マジで行動力の化身が多すぎる。他にも好きな動画で「ワートリのレビューが好きです!」って言ってくれる視聴者の割合が非常に多かった。
「ピエ郎さんが書いたデルウハ殿の夢小説に助けられて…」とわざわざ開会前に握手を求めに来てくれた夢女子の方もいらっしゃった。いや助けていないけど。あなた(夢主)作中で死んでいたけど。
シャツにピエ郎の顔写真を貼って会いに来てくれた奴もいた。初めて見た瞬間、普通に「引くわ…」って呟いちゃった。同じ奴が2回目にスペースを訪れた時には俺の顔写真はなくなっていた。気付いたら剥がれ落ちていたらしい。それ結果的に俺の顔写真が床に落ちてめちゃくちゃ踏まれまくっていることにならないか?
ちょくちょく写真撮影も求められたので応じた。ツーショットで俺が親指を立てると瞬時に片手ハートを作って応じてくる奴らが多くて練度が高かった。
何故か色紙と一緒に『ふつうの軽音部』4巻を持ってきて「コレにサインして下さい!」って頼んでくる人もいた。俺が描いた漫画じゃねえぞ!※流石に直じゃなくて単行本を覆っているビニールに書いた。
そんなこんなで、開会から約2時間で完売!
いやぁ…わざわざサークルスペースに来てもらって買えなかった人には申し訳なかったが…嬉しい誤算だった…完売後にサークルスペースを訪ねに来てくれた人数と残り時間的には更に50部…100部?ぐらいは追加で刷っても売れていたかも知れないが…今回は初参加ということもあり手堅くいかせてもらいました。
あと来てくれた視聴者と初めてオフで会話して思ったんだけど、お前らってガチで血肉が通った状態で実在していたんだな…てっきりインターネット上にしか存在しないバーチャル的なアレかと…
ピエ郎チャンネル視聴者、みんな空気を読んで長居することもなく手短に会話を切り上げてくれて、しかしその短い言葉には優しさと温かみが詰まっていた。あんまり優しくされると今後ぞんざいに扱いづらくなるから辞めて欲しかった。
差し入れとかファンレターもいっぱい貰った。ありがとうございます。特に面白かったのは思いっきり『○○株式会社』ってデカデカと社名が印刷された付箋に応援コメントを書いて差し入れに張り付けて渡してきた奴だった。絶対、仕事中に職場の備品に書いただろ。
そして降臨する『ふつうの軽音部』作画担当・出内テツオ先生
しかも図々しいことにサインまで貰ってしまった。
もしかしたら漫画家先生が一介のファンの二次創作同人誌を買いに来られることに思うところがある人もいるかも知れない。しかし、あの文豪・京極夏彦先生や漫豪・藤田和日郎先生だって自作のファンの同人誌即売会に足を運んでいた逸話がある。故に令和の漫豪であるクワハリ先生&出内先生の両氏が自作の二次創作同人誌をお買い求めになられても何ら不思議ではないのだ。
ちなみに出内先生とは『ふつうの軽音部』連載以前から気付いたらFF内の関係だった。単行本オマケのQ&Aコーナーで好きな漫画に『嘘喰い』を挙げるほどの『嘘喰い』愛読者だったからだ。
ピエ郎「好きな立会人って誰ですか?」
出内先生「立会人というより、私は伽羅が好きで…!」みたいな会話もさせて頂いた。みんな大好き伽羅さん。
結果的に今回の初コミケ参加は大成功と言って良い結果に終わった。
全ては『ふつうの軽音部』を連載している寛大な両先生と大切な視聴者たちに支えられたからこそ、ここまで来ることができたのだ。
ありがとう…出内テツオ先生…クワハリ先生…その他の有象無象…
しかし初のコミケ出展は有意義な体験だったが、来年以降どうするかはまだ決めていない。やっぱり同人誌の製作に集中するとどうしても動画とか全然投稿できないし。あと今回は冬コミだったから良かったけど、次回の夏コミは慎重に判断しなくてならない。俺自身も受肉して初めて知ったことだが、俺ってほとんど鼻呼吸できない。夏場だと最悪、命に関わる。
それから「今回の同人誌、通販・委託はしないんですか?」と多くの方から質問された。正直に言うと俺がこの世で最も苦手なものは『手続き』なので普通にめんどいという理由で気乗りしなかった。
あと『天』で老アカギがわざわざ深夜に板前を起こしてフグ刺しを注文したのと同じ理由で、年末の忙しい時期にわざわざ遠方から足を運んでくれる人間の『気持ち』それ自体を味わいたかった。そもそも俺だけに多大な労力をかけながらテメエは家から出ずボタンをポチるだけで同人誌を読みたいなんて、そんなしみったれた了見が許されると思っているのか?しかし考えてみれば俺もコミケに必要な備品とか大体amazonで揃えたしな…わざわざ飛行機や新幹線に乗って買いに来てくれた方もいたので、そいつらに対する義理立てじゃないけど仮に委託・通販するとしても少し間を空けると思います。刷れる予算にも部数にも限りがあるけど一応、前向きに検討してみます。
そしてコミケ後はサークルのメンバーで打ち上げをした。
そう…!世の中にはない…コミケで同人誌を完売させた後に呑むより…美味い酒など…!
あんまりよく覚えていないけどベロベロに酔っ払った。後日、聞いた話だと俺は帰りに駅の構内で「OH!遊戯ボーイ!そっちは違う穴デース!」と大声でペガサスの物真似をしていたらしく後輩から「殺そうか迷った」と告げられた。殺してくれたら良かったのに。