【感想】〜100年続くクラブのDNAのために〜 10月20日木村オーナー講演(中四国放射線医療技術フォーラム)
【〜お読みになる前に〜】
ご覧いただきありがとうございます。
このページは、講演内容を箇条書きでまとめたものです。
録音等は行っていないため、細かな表現や数値は実際とずれがある場合があります。また、サッカーに関わる内容のみ記載します(と言っても9割がサッカーの内容でした)。ご了承ください。
【3行要約(さらっと読みたい方へ)】
・多くの人に愛されるクラブを目指したホスピタリティの重要性
・現在のファジらしさのベースは木村オーナーの碧眼
・サポーターとしての自覚と振る舞い
【講演内容】
①導入「日本サッカーの構造」
上記図のとおり、日本サッカー界はJ1を頂点に、ピラミッド構造となっており、各リーグにおいてプロ・アマチュア問わず1位になるチャンスがあります。
また、J1上位クラブは、アジアNo1クラブを決める「ACL」、ACL優勝クラブは世界No1クラブを決める「クラブワールドカップ」へと進んでいきます。
上位リーグに進むほど、より多くの人が目にする機会が増え、クラブの知名度、ひいては選手やスポンサー、地名の知名度向上に寄与することになります。
例えば、埼玉県のクラブ「浦和レッズ」はACL以上のリーグの出場経験が多いため、「浦和」という地名が海外のサッカーファンに知られています。
また、知名度の高さは広告効果が高いことを意味します。
そのため、上位リーグになるにつれて多くのスポンサーの参入と多額のスポンサー料により、企業は広告塔の役割としてクラブを活用します。
②クラブ順位とチーム人件費について
※著作権を考慮し、今回は講演内容のまとめとなります。
簡潔にまとめると、クラブ順位とチーム人件費(選手年俸)は相関関係にあり、
J1J2は相関係数0.8。J3でも0.5と非常に高い相関関係があるそうです。
(相関係数とは、2つの事柄の関係性の強さを示すもので、1に近づくほど、関係が強いことを意味します)
例外はもちろんありますが、どれだけ年俸の高い選手(価値のある選手)を獲得できるか、つまり獲得できるための資金を調達できるかが、各クラブに課せられたミッションの1つです。
③クラブの収入源
では、クラブにおける収入源は何なのか、木村オーナーは次の順位であると紹介しました。
1位:放映権
2位:スポンサー料
3位:入場料(チケット代)
4位:グッズ販売料
5位:選手の移籍金
※移籍金は、金額によって、上位となる場合があります。
(余談:この順位がクイズだったのですが、3・4位を一緒のものだと思い、回答してしまった人がいたそうです。※僕です)
また、移籍(補償)金には移籍係数(選手の年齢によって移籍金にかけられる係数。20歳10倍→21歳9倍・・30歳1倍)が存在し、移籍市場ではいかに若い(将来性がある)ことが重視されているかが感じられます。
元ファジアーノ岡山の佐野航大選手は、今後市場価値がさらに高くなるでしょう。
また浦和から期限付き移籍中の早川選手も価値が上がると考えられます。
移籍金について述べましたが、この5つの中で、クラブ単独でコントロールできるものは、チケットとグッズになります。
つまり、各クラブは、チケット販売(現地観戦)者を増やすための施策を行う必要があります。
④「インサイト」をつく
具体的な方針などの紹介の前に、「インサイト」について木村オーナーから紹介がありました。
Q.「インサイト」とは?
・インサイト:本人も意識していない心の確信
例)高級車 :世界最速の車の所有
→所有できる成功者としての優越感
ディズニー:乗り物を楽しむ
→ 家族や友人と過ごす非日常
サッカー :?(紹介ありませんでした)
→テレビで伝わらない雰囲気の共有
→そのもの自体の価値ではなく、そこから生まれる体験・経験に対する価値
つまり、現地観戦における「体験・経験」に価値をつける必要があるそうです。
⑤サッカーにおけるシフトチェンジによる分析
シフトチェンジ:デジタル化におけるデータ分析
→観戦チケットのQRコード化の実施
※木村オーナーは当時クラブ単独で調査を行うことを考えていましたが、Jリーグ専務理事に就任したこともあり、Jリーグ全体として分析を行うことにシフトしたそうです。一番の理由は費用面だそうで、良い意味で立場を生かしたアクションだと思います。
【調査結果】
・初めて試合を見た人が再来場する割合は2割
・そのうち3回目来場する割合はそのうちの2割
・3回来場した人は離脱率(スタジアムに訪れない率)が大幅に下がり、DAZNなどの有料視聴を購読・年間パスを購入する人が増加する
・女性来場比率は38%(世界一高いそうです)
→3回現地へ足を運んでもらうための施策が必要
また、初めて観戦するきっかけづくりを作る施策が必要です
⑥初来場と再来場の要因
・初来場
・きっかけの90%は「誘われたから」
・来場日を試合の2ヶ月以上前に決める人が多い
・20%は「2度と行きたくない」と回答
→観戦時の周り(周囲5m以内)のマナーが大きな原因の1つ
例)汚いヤジ、前席の椅子を蹴る等
↑
ファジアーノは対策として、スタッフによる監視と声かけをしてるそうです
・再来場の理由
・「サッカー以外の部分」が楽しかったから
例)ミニコンサート、スタグル、ワークショップ、サイン会など
→試合の勝敗より「スタジアムの雰囲気」に好感をもち再来場する人が多い
⑦各クラブに求められる方針
・年間に山となる試合を3〜4試合作る
(うち1つはシーズン序盤が望ましい)
・最初の無料招待を厭わない
※チケットを払い来場するサポーターへの公平性の担保が必要
・誘う側が誘いたくなるような仕掛けづくり
・少年団等に対する家族を含めたプロモーション
・「スタジアムは楽しい」と前面に出したJリーグとクラブのプロモーション
・30代女性を想定
(補足)経営陣や戦略部署の方が50代であることを前提に12〜20歳下の年代をターゲットとした企画立案するというものです。
・スタジアムのホスピタリティの充実
⑧終わりに
・木村オーナーの座右の銘
「生き残る生物は、強いものでも賢いものでもなく、変化する者だけである」
ーチャールズ・ダーウィンー
・主役は選手と思いがちですが、裏で支えるスタッフもサポーターも誰か1人でも欠けてはいけない存在。
それぞれの役割の主役の意識を持ち関わり合うことが大切。
【まとめ】
元々木村オーナーの講演は、中四国放射線技術フォーラム(放射線技師の方向け)の一環でしたが、しっかりサッカーの内容9割以上で話されたため、いわき戦を前に来場したファジサポにとっては非常に面白い講演でした。
クラブのベースにある資金。その調達に大きく関係するサポーターの満足度を上げ、新規複数回来場をしてもらうためにも、行きたいと思わせる雰囲気やコンテンツの練り上げに尽力していることを感じました。
また、専務理事という立場を存分に生かしたアクションをJリーグのため、ファジアーノ岡山のために行われている姿がわかり、木村オーナーがオーナーであることに非常に心強さを感じました。
一方、クラブが様々な施策を考えていますが、サポーター個々人の立ち居振る舞いも求められます。他クラブでは出禁になる人を耳にすることもあります。
ファジのサポーターはファジらしさを持ちつつ、ファジらしい雰囲気づくりの一助を担う姿勢を続けていくことが大切と感じました。
先の記事で述べたように、いわきFCさんの姿勢から学ぶことも多いと感じました。
【Coffee Break】
・現日本代表の森保一監督に、サンフレッチェ広島の監督後はファジアーノの監督就任を木村オーナーが打診し、当時快諾されたそうです。
しかし、日本一に導いた監督の評価は日本サッカー協会でもトップクラスのため、代表監督に就任されたそうです。日本を背負い世界と戦い終わった後はぜひその手腕を岡山で発揮してほしいです。
・ファジレッドの由来は、雉の目(の周り)の色が赤だからそうです。細部にもストーリーが散りばめられていることに感心しました。みなさんご存知でしたか??