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星名美怜さんを時差18時間で応援しています

当時の星名美怜さんは扱いが難しい存在でした。

ヤンチャそうなお友達とのプリクラやTwitterが次々と流出し、その内容はオタクの脆弱な精神を痛めつけるには充分な鋭さを持っていました。

事務所の対応も苦し紛れのやけっぱち。それで納得しようと努めていた人も沢山いたと思うけれど、やはりそう上手くはいかず

皆んなどこか美怜ちゃんの話題を避けていた様に感じました。

ところでぼくは「まやまにあ」です。真山りかさんの事が好きだからエビ中のオタクになったぼくにとって、美怜ちゃんの事はそれ程重要な事件ではなく、シンプルにちょっと美怜ちゃんの事が好きじゃなくなっただけでした。

けれどなんというか、空気が悪かった...。誰推しかは関係なく全体的に、オタクの空気がどこかずっと重かった。

その頃ぼくはまだ流行りの芸能人と数人の知り合いだけをフォローし、呟く事もなく殆ど作っただけで満足していたTwitterアカウントしかなく、時々エビ中について検索しては情報を収集しているに過ぎないニワカだったけれど、それでもオタク達から漂う嫌な雰囲気は確かに感じていました。

皆んな、嫌いになる事も出来ないけれど、その行いに納得する事も出来ない星名美怜というメンバーに対して、どういう気持ちでいればいいのかわからない、そんな感じだった様に思う。

そんな頃、いつもの様にエビ中について検索し話題を漁っていたぼくは、とあるツイートと出会いそれがすっかり忘れられなくなってしまいました。

彼(彼ら)はあろうことか美怜ちゃんの事をガッツリそういう目で見ていたのです。当時のエビ中のオタクの間には、そういった趣向は禁忌であるという共通の認識があったと思うのだけど、それらのツイートにはそんなモノは木っ端微塵にする程の威力があり、何よりも滅茶苦茶におかしかった。

件の事件以降、どういう気持ちで見ていればいいのかわからなくなっていた美怜ちゃんのことで、あんなに楽しい気分になったのは久しぶりでした。

気付けば彼らの美怜ちゃんに対する数々の無礼極まりないけれど愛に満ちたおバカなツイートを見る事が日々の大きな楽しみになっていて、そしていつしかぼくは事件の前よりももっと美怜ちゃんの事が好きになっていました。

その後。エビ中のオタクになって1年ほどして、やっと人生初のアイドルとの握手会に真山りかさんの特典券を握り締めて赴き、そして見事に事故った(緊張し過ぎて頭が真っ白になってしまいましたよ😭)帰り道、どうしても感想を呟いてみたくなったぼくは、とうとうこの「うつぶせ」というアカウントを取得し、名無しのROM専オタクからコテハンのオタクへと一歩足を進め、その足を沼に沈めはじめます。

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所謂オタクアカウントという物を初めて作るにあたって、ぼくがしたかったのはとにかく美怜ちゃんのツイートでした。Twitterってこんなに面白いのかと、美怜ちゃんて嫌いでいるより好きになった方がずっと良い、可愛くて楽しくてハァハァする事を禁じ得ないアイドルなんだと、そうぼくに思わせてくれたツイートの数々、ぼくもあんな風にTwitterを使いたいなと思っていました。

同じ頃、ぼくは仕事の都合で海外への移住が決まり、翌年の2月のはじめにハワイへと引越しました。

数少ない友人からの誘い、別段好きでもなんでもない南の島での生活。ぼくはただダラーっと適当に仕事をしていればそれで良いのかなぁなんて、漠然とそんな風に考えていたけれど、それは大きな間違いだったんだという事をすぐに理解しました。

そもそもブラック企業だった事はまあともかく、大事なのはハワイ(オアフ島)という土地はまず物凄い田舎なんだという事、そして住民の大多数はサーフィンと週末のBBQの事しか頭にない事、そんな土地にアイドルという存在を知っている(必要としている)人間などいないという事実。それらは後に超インドア派であるぼくを苦しめることとなります(おうち時間サイコー!😆)。

海外旅行の経験も最長で精精2週間弱、英語もわからずそもそもハワイに対しての興味も知識も無かったぼくには遊ぶ余裕など無く、オフィスと会社が用意したコンドミニアムを行き来するだけの毎日を送っていました。陽がある時間は外での現場作業、暗くなってからはデスクワーク、とにかく忙しくて大変でしたし、会社は生活面のサポートはしてくれなかったので、家探しやら銀行口座の開設やらインターネットやケータイの契約やら、英語がわからないぼくにとって移住したての頃はまさに地獄の様な日々でした。

そんな生活の支えになったのがTwitter。現地で上司となった友人はとてもいい奴で、沢山助けてもらったのだけど彼は残念ながらアイドルには全く興味が無い人種(それはそう)で、最大の趣味で生きがいにすらなりつつあるアイドルオタクとしての自分は常に孤独を感じていました。

当時のエビオタのTwitterは今ほどオタク同士の現実での繋がりは無かったとはいえ、そもそもライブにもいけず日本のテレビもオフィシャルのYouTubeすらも見られない環境では、最新の話題で盛り上がるオタク達の事が羨ましくもあり憧れでもありました。

Twitterを見ている時間、呟きの数が日に日に増して行きました。そして何より早くエビ中に会いたくてたまらなかった...。1年ほどの加熱期間を経て人生初の握手会で事故り、初の大学芸会で沸いて、浸かりたてだった私立恵比寿中学の沼から2ヶ月で引き離されてしまい、辛い日々の中の最大の楽しみがすっかりエビ中とその話題で盛り上がるTwitterを見る事になってしまうのに、時間はかかりませんでした。


そんなこんなで半年以が過ぎて。仕事にも慣れ、住む家も見つけ、家具も揃えインターネットも契約し、Twitterのみんなよりも遅れてとはいえスターダストチャンネルでエビ中++も見られる様になって、一応それなりには納得のいく生活をおくれる様になった頃、事件はおきました。

美怜ちゃんのスキャンダルです。

その内容についてはここでは省きますが、おかげさまでエビ中は当時彩ちゃんがレギュラーを務めていたRの法則のゲスト出演をはじめ、いくつもの仕事を失い、文春法を喰らったグループというレッテルを貼られてしまい、何よりも星名美怜というアイドルの是非が問われる様になりました。(未だに星名美怜でググるとその時の記事や写真が出てきてしまいます...)

美怜ちゃんが問題を起こすのは初めての事では無いし、今回は一緒にいた他所のアイドルはクビになってしまった程のやらかしであり、到底擁護できる様な事柄ではありませんでした。

他の多くのオタク達と同様に、当然ぼくもブチ切れました。

でもなんていうか、結局ぼくは真山さん推しのオタクだし、なんかちょっと慣れてきちゃったところもあったと思います。対岸の火事というか、その怒りには今ほど熱量は無かった様な気もしますし(まあ、いくらか病んで酒量が大きく増大してはいましたしツイートも荒れていましたが)

それよりも、その後発表された星名美怜1st写真集「MIREITOPIA」の発売がぼくにとっては衝撃的でした。

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時差18時間。

エビ中の話題は、どんなに考えない様にしていても実際には遥か遠くの出来事で、出演したテレビの放送後の盛り上がりも、ライブやイベント後の感想も、ぼくにはただただ一人で収集している画面の向こうの情報でしかありませんでした。

だけどMIREITOPIAは違う!

実際に美怜ちゃんが来て、撮影して、遊んで、ご飯を食べて、寝転がって...情報ではなく触れる事ができる確かな現実としてそこに存在してくれている。

独りおいていかれている様な、疎外感にも近い寂しさを感じていたぼくにとって、それがどんなに嬉しかったか...

自分が住んでいる街に、いつも見ている風景の中に、美怜ちゃんがいる。毎日その事ばかり考えている大好きなエビ中メンバーが!

本当に嬉しくて嬉しくて、こんな幸せな事ってあるだろうかとマジ泣きして喜びました。

 MIREITOPIAが届いてからはそのロケ地探しをするのが最大の楽しみになりました。殆ど特定できたし、写真も沢山撮れて本当に楽しかった、めちゃくちゃいい思い出です!

そのロケ地探しをやっていく中で、現地の人達との交流がうまれ、そして凄く素敵な経験をさせて貰いました。

そもそもこの時点でぼくはハワイでの生活に嫌気がさしており、英語も習得できず(必要になった時に最低限の勉強だけしていました...)現地人の友人など一人もいませんでした。ですがMIREITOPIAのロケ地探しをするにはどうしても彼らとのやりとりが不可欠であり、時には協力をお願いする必要もありました...。

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例えば。この写真はメニューに店名が書いてあったので場所はすぐに特定できたのですが、写真を撮る為には店員さんに事情を説明する必要がありました。

ランチの閉店時間の少し前に入店し、まずは普通に食事を楽しみました。 MIREITOPIAにも写真が載っている紫のバンズのハンバーガー!美味しかった...!

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殆どのお客さんが帰ったのを見計らってお店の人に声をかけました、いかにも地元民の若い女性の店員さんでした。拙い英語で「この写真集を見て欲しい」「これはこのお店だと思うんです」と伝えると彼女はとても驚いて、 MIREITOPIAを食い入る様に見つめ、大興奮でページをめくりながら何度も「Cute!!」と叫んでいました。

「このモデルの子は誰なの?」と聞かれてぼくは舞い上がりました。彼女は日本で人気のアイドルで、ぼくは彼女のファンでここに来ましたと伝えると、店員さんはMIREITOPIAを持って厨房にすっ飛んで行きました。奥から店長さんらしき偉い人が出てきて、スタッフ皆んなで美怜ちゃんの写真を囲み「ここじゃん!マジかよ!」みたいな感じでめっちゃ喜んでくれました。閉店作業を始めようとしていた筈なのに近くの席に案内してくれて、写真撮影にも喜んで協力してくれました。

正直もの凄く感動しました。現地の人達がMIREITOPIAを見てこんなにも喜んでくれて、そして美怜ちゃんの事を「可愛い!」っていってくれて。私立恵比寿中学の星名美怜というアイドルは、日本の事なんて全然知らない外国の人でさえもこんな素敵な笑顔にしてしまうんだと思ったら、ぼくはただのオタクなのに美怜ちゃんの事が凄く誇らしくなったし、ぼく自身本当に嬉しかった。

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上は美怜ちゃんのブログに載っていた写真。

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このビーチを探していた時に偶然見つけてめちゃくちゃテンション上がりました。でもどうやら個人のお宅の様で、流石に写真を撮るのは諦めようと思っていたところで中の人から声をかけられました。通報されるやべえ!と思ってMIREITOPIAとブログを見せると意外にも大喜びで、こちらからお願いするより前に向こうから「写真撮っていきなよ!」と言ってくれました。どうにもここは別荘の様な物で、自分が使っていない時は人に貸し出しているという事らしく、持ち主の彼もまさか写真集に使われていたとは知らなかった様子でした。

持ち主である彼がいる時に、彼の都合のいいタイミングで出会わなければ敷地内に入れるなんて事はまず出来なかった筈で、ガチで(これは奇跡か?)と思った。しかもまた嬉しそうに美怜ちゃんの事をめちゃくちゃ褒めてくれる...。

そんな経験を繰り返しているうちに、前よりちょっぴりハワイの事が好きになってきている自分と、美怜ちゃんが自分にとって真山さんとは別に大切な存在になってきている事を否定できなくなってしまいました。


時間は過ぎて、ハワイ時間の2月7日。

外での仕事を終えて、ぼくはいつもの様にオフィスでPCに向かって作業をしていました。一呼吸、そう思ってスマホをのぞき、そしてりななんの訃報を知りました。

何も考えられなくなって、とにかく気分が悪くて、作業を途中でやめて早退しました。

酷かった、耐えられなかった。酒ばっか飲んで、飯が食えなくて、手が震えてて、すぐに涙が出てきてどうにもならなかった。

顔見知りのオタクとか、オタク仲間なんて存在がいるわけもない自分にはTwitterしかなかった。毎日泣いて、ひたすらTLを覗いて皆んなのツイートを見ていた。日本のテレビは見られないから、ニュースはYouTubeで見るしかなかったけど、自分から覚悟を決めて見るなんて勇気のいる事は怖くてできなかった。

ご家族やメンバーやスタッフさん、関係者の方もそうだし。歳の近い、自分と同じ様にアイドルしか拠り所がなさそうな幾人かのオタクの事も凄く心配だった。

ぼくは彼女に会った事も無いのにこんな状態になっているのに、実際に手に触れて彼女の目を見てお話をした事がある人の悲しみなんて、想像もできないと思った。

嗚咽の様な悲痛な呟きとか、不毛な言い争いとか、怒りや批判や心無い噂とか、Twitterでも色んな事があったけど、それは皆んな同じ気持ちから出たモノで、責める気にはなりませんでした。

皆んなが悲しくて、悔しくて寂しくて怖くてやりきれなくて、どうしようもなかった。

色んな事を考えてた、どうしてあんなにハワイに行きたがってたりななんではなくて、全然興味も無い自分なんかがハワイにいるんだろうとか、このお店に彼女が来たらきっと大喜びしていたに違いないとか、このご飯めちゃくちゃ美味そうにいっぱい食べるんだろうなとか。ここで彼女が写真を撮ったら、どんなに美しかったろうとか。

ぼくも、誰も、立ち直る事なんて出来ないまま、絶望のままに時間は過ぎていって、そして送る会が執り行われました。

会場に行く事が出来なかった人はぼく以外にも沢山いるでしょうけど、どうにも耐えられなくて、何かしなければ気が狂いそうだった。

せめて日本に向かって、海に献花しようと思いました。MIREITOPIAの表紙の自宅近くのスーパーマーケットにちょうど青い包みの花束があったので、それを買って、エビ中放送部が内容を変えて曲だけを流した回のセットリストを聴いて、ボロボロ泣きながら花束を潰さない様に一人きりでバスに乗って

島の北西部、優しい家主が写真を取らせてくれた家のあるあの海に行きました。

美怜ちゃんが来ていたあのビーチ

会場にもいけない、慰め合う誰かもいないけれど。

ぼくにとって、エビ中との唯一の接点はMIREITOPIAでした

この砂浜なら美怜ちゃんも一緒に献花してくれている様な、そんな気持ちになれるんじゃないかと思って。独りきりでは辛過ぎるけど、美怜ちゃんと一緒なら、皆んなと同じ様に自分もりななんを送る事が出来るんじゃないかと。

あんなに行きたがっていたのに彼女が来られなかったハワイの海は、放った花束をゆっくりとのみこんでいきました。

花束を見送った後、ボリューム最大で「できるかな?」をかけました。スマホのスピーカーではどうせ波の音にかき消されしまうんだけど、りななんの歌声がこの場所に響いたらいいなと思って。

立てなくなるくらい泣いてしまったけれど、この場所に来て自分なりにやれる事をやれて、あの時間があって本当によかったと思います。

長い様で短かかったハワイでの日々の中で、あの日が一番印象深い日になってしまいました。


そんな事もあって、結局のところ。ぼくは星名美怜というアイドルの事を何か特別な気持ちで見ている様な気がします。一番好きなアイドルは?と聞かれたら、勿論真山りかさんですと即答するのですが。美怜ちゃんの事は、好きとか推すとか、なんかそういう感情とは別のところにいる存在になってしまった感覚です。

星名美怜というアイドルが、人種や言語や文化の壁なんか関係なく沢山の人を笑顔にするところを目の当たりにしたし、勝手にだけど力を貸してもらったもらった様な、助けてくれた様な気もしているから。

本当に凄いアイドルなんだぞと思っているし、この先の大きな可能性も信じています。

だから。「星名美怜」の事を嫌いになってしまう人が増える様な、そんな蔑むような行いは、たとえ本人であっても絶対に許せないし、凄く悲しい。  それを無かった事にしようとするのも、ましてや肯定しようとする考えも、ぼくには耐え難い...。だって、その過ちも含めて美怜ちゃんなんだって思うから。色々とやらかしてしまって、でもエビ中の事やファンの事、アイドルでいる自分自身の事が大好きで

そんなの腹立つくらいわがままだけど、でもそれが美怜ちゃんだから。そんな美怜ちゃんを、そのまま受け入れて見続けていたいと思う

やってしまった事はいつまでも消えはしない。けれど未来を信じる事は出来るのだから、存在しないスキャンダルをネタに美怜ちゃんを笑い者する様な人がいたら本当に嫌だし、信じられない気持ちになる。


知っている人もいるかもしれませんが、ぼくは暫くTwitterから離れていました。

あんなに楽しかったTwitter、大切な場所だったTwitterが

とても居心地の悪い場所になってしまったと思った。

信じられない

そんな気持ちのままTLを見ている事はぼくには出来なかった、何を呟いてもどこにも届かない、意味のない空虚なモノに感じてしまって。

呟きたい事も読みたいツイートも無い、共感しあえるとは思えない人達。

そう感じてしまったらやってられなくなってしまった。


でもやっぱり、ぼくはどうしようもなくTwitterが好きみたいです。はじめて客観的に、俯瞰的にオタクのツイートを見ていたけれど

今、シンプルに本当につまらない事になってるなと思っていて。なんていうか、皆んなイライラしてる感じ

そりゃこんな状況では仕方がないのかも知れないとは思うのだけど、ぼくはTwitterが好きだから、皆んな本当はめちゃくちゃ面白いんだって思ってるから

自分に素直でよくて、思った通りで勿論いいのだけど

色々と、ちょっとクールダウンしてみたらどうかなあと思います。

我慢して感情を抑えつけるべきだとか、無理やり楽しんでる自分を演じるべきだとか

そんな事ではないんだけど

ここらで一息ついてみるというのも案外悪くはないかも知れませんよ

なんて言ってみるテスト

Twitterは楽しい所だし沢山の素敵な出会いもある場所な筈だから、怖いと思わないで欲しいし、ぼくもいるのが嫌だとはもう思いたくないです。

だから

時差18時間で星名美怜さんを応援しています

いつまでも

そんな事を言っていた頃の、そんなオタクで在りたいなと思いました。


こんな無駄に長い駄文を読んでくださった皆様、どうも有難うございました

そういう訳でぼくはTwitterに帰りたいと思います

バッキバキのリビドーを携えて。

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