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[オーディオ] 今年買ったオーディオ機器

 いよいよ2024年もおしまいです。今年は本業の音楽ライターとしての音楽記事の執筆のほかに、オーディオ記事も書く機会が増えました。個人的なオーディオ熱も相変わらず続いていて、いろいろ散財しましたし、新しい機器もだいぶ増えました。ここで詳しいハンドリング・レポートを書ければいいんですが、多忙にかまけてなかなか手がつけられません。せめて記録のために、新たに導入した機器を簡単なコメントとともに列記したいと思います。

◎EDISCREATION  Silent Switch OCXO JPSM

◎EDISCREATION FIBER BOX 2 JPSM

 オーディオ用のスイッチングハブと、光アイソレーション用の機器。それぞれ2種あるうちの安い方「Japan Standard Model(JPSM)」を導入しました。定評のある香港のオーディオブランドの製品で、ずっと気になっていたんですが、いずれも20万円を超える(私にしては)高価格なので、辛抱強く中古の出物を探して、ようやく入手できました。作りがしっかりしていて安心感があるし、導入前と後ではS/Nが格段によくなり、音もクリアになってローレベルの再生能力があがりました。最近になって新しいモデルが出ましたが、JPSMでも30万超えと到底手の出るものではなくなりました。もちろんそのぶん音は良くなっているんでしょうが、私の環境では旧モデルで十分です。

◎Eversolo DMP-8

Saint Etienne 新作をQobuz24/96音源で再生

 ネットワークプレイヤー、最近ではストリーマーという名前が定着してきましたが、これもそのひとつ。中国深圳に拠点を置くメーカーです。ネットワーク・オーディオなどデジタル系は中国や韓国のメーカーが他を圧倒的に引き離して、性能対価格に優れた製品を出していますが、これなどその代表格でしょう。ここでは書ききれないほどの多機能。ほぼすべてのストリーミング・サービスに対応、DAC内蔵でプリアンプ機能も備えてますから、これと手頃なパワード・スピーカーさえあればそれなりのクオリティのオーディオシステムが完成してしまいます。もっとも私は外部DACを接続しているのでトランスポートとしてしか使っていませんが、それでもすべての機能を把握できているとは到底言えない。

 私がこの機器を購入しようと思った決め手は、Apple Musicに完全対応している、ほぼ唯一のストリーマーであること、そしてi2S出力端子を備えていることです。i2Sデジタル接続の音質的優位性は明らかで、私の所有するDAC(FERRUM AUDIO WANDLA)のi2S端子に接続した時の音はUSBをはるかに凌駕するものでした。内蔵DACの音もかなり良いですが、やはりWANDLAぐらいのDACを通すと全く違います。最近この上位機種であるDMP-A10が正規輸入されましたが、DMP-A10はi2S端子を備えていません。DMP-A8の36万円という価格は安いとは言えませんが、機能性 と音質を考えれば、かなりお徳用な機種だと思います。いわゆるハイコスパ機種、売れに売れているようで、私も注文してからかなり待たされました。

◎M2TECH Joplin Mk3

 アナログレコード用のフォノイコライザーです。それもADコンバーターを内蔵し、PHONO端子から取り込んだアナログ信号を32bit/384khzでデジタル変換し、必要なイコライジングを施してデジタル出力するという「デジタルフォノイコ」。つまりこの機器だけでは再生できない。外部DAC使用が前提というマニアックな機器です。この機種の最大の特徴はi2S端子を備えていて、PCM768KHz、DSD256という超ハイスペックなデジタルデータで出力可能なこと。そしてまさに私の手持ちのDACであるFERRUM AUDIO WANDLAはi2S経由で768KHz/DSD256のデータを受けることができるのです。私がこの機器を導入した最大の理由がまさにそこでした。

 Joplinで受けたアナログレコードの音をAD変換し、外部DAC(WANDLA)でもう一度DA変換してアナログ信号に戻す。つまり外部DACの機種によって音は大きく変わるわけで、そこがこの機器の面白いところです。アナログレコード愛好者は、せっかくのヴァイナルレコードのアナログ信号をデジタル変換することに抵抗がある人が多いと思いますが、論より証拠。768KHzに一旦デジタル変換した音は、私が今までアナログレコードで耳にしたことがないぐらい鮮烈でクリアで情報量豊かな音でした。超ハイスペックなハイレゾデータに変換することで、アナログ信号の奥に潜んでいた情報が根こそぎ引きずり出された感じ。私の環境ではDSD256よりもPCM768KHzの方が良いと思えました。JoplinのUSB端子ではDSD256/PCM768KHzの出力は不可能なので、DSD256/PCM768KHzで聞きたいならi2Sで繋ぐしかなく、i2S端子を備えたDACがWANDLAなど限られていることを考えれば、かなり限定された使用法ではありますが、アナログレコードからより多くの情報を引き出したいと願うリスナーは、一聴の価値があるかと思います。ちなみにJoplinはイコライザーカーブ可変機能も備えており、輸入代理店はそっちを売りにしているようですが、古いレコードを聴かない私にはあってもなくてもいい機能でした。

Joplin Mk3で384kデジタル変換
WANDLAはJoplinからの信号を32/768の最高スペックで受ける

 なおフォノイコライザーをオフにしてのデジタル変換も可能で、つまり愛用のフォノイコがあればそれをJoplinに繋いで使うこともできるようです(JoplinはADコンバータとして使用)。まだ試してませんが、たとえば評判の高いDSオーディオの光カートリッジとか、どんな音になるか興味深いですね。

◎THORENS TD-1600

 そしてつい先日導入したのが、日本に再上陸したばかりの名門トーレンスのアナログ・プレイヤーです。1601と1600の違いはオートリフトがあるかないかで、私が導入したのはオートリフトを持たない完全マニュアル操作のTD-1600です。

隣にあるのはテクニクスSL-1200 Mk3

 まだ導入して数日しかたっておらず、エージングも済んでいない段階ですが、ひとつだけ言えるのは、トーレンスという老舗につきまとう、レトロとかクラシックとか懐かしいとか古臭いとか、そういうイメージとは全く異なるということ。もちろん最新の優秀録音ハイレゾを最高スペックの現代ハイエンドスピーカーで聞くようなシャープでキレキレの音とは傾向は違いますが、現代のワイドレンジな録音にもしっかり対応しながらも、古い録音のレコードもいい感じで聴かせる対応力の広さが大きなポイントと言えると思います。もちろんトーレンスらしいまろやかでしなやかなトーンは維持しつつ、現代的な解像力も備えている。非常に懐が深くバランスの良いプレイヤーというのが現段階の印象です。最近の海外製プレイヤーの多くがシェル一体型のストレートアームなのに対して、新型トーレンスはカートリッジの交換が容易なS字型ユニバーサル・アームを採用しているのも大きなポイントです(海外モデルではストレートアームを採用してるようですが)、もちろんその優雅な外見は非常に魅力的。

 代理店の人の話によれば、アナログプレイヤーもエージング(?)が必要だそうで、真価を発揮するのはこれからでしょう。今までずっとダイレクトドライブの製品を使っていたので、ゆったり回りゆったり止まるベルトドライブの操作感に慣れず戸惑ってますが、現段階でも音は圧倒的に良くなりました。

Sigur Rosの新作45回転盤を聴く。カートリッジはPhasemation PP-200。素晴らしい音。

 このほかにもカートリッジやケーブルなどこまごましたものも入手してますが、それはまた追い追い。ここに紹介した機種も、時間があれば改めて詳しく紹介するかもしれません。

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小野島 大
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