アラフォー同人女が20年ぶりにコミケにサークル参加したらほぼ異世界転生だった件
のみぞうと申します。ども…
タイトルの通りなんですが、縁あってコミックマーケット100(通称:コミケ/夏コミ)に久しぶりにサークル参加してみて、当然といえば当然なんですが、同じ世界なのに時代が違えば中身がぜんぜん違っててカルチャーショックを受けました。これを書かないと俺達のコミケは終われねえぜって気がするので書きます。
正確にいうと20年は経ってないかも…?わかりやすさ重視で20年て書いちゃいましたがほんとは多分17年〜19年くらい…かも?四捨五入したら20年です。正確にはおぼえてないごめん。
気づいたことひたすら書いてたらめちゃくちゃ長文になってしまった。多分読んでで面白いのは私と同世代のオタクの人だけだと思う。高齢オタクのみんなー!加齢に負けずに頑張って生きていこうね!
0.バックグラウンド
0-1.異世界転生前(約20年前)
生息ジャンル
某ミニ四駆兄弟漫画⇒某ア○ラスのゲーム⇒某マイナーミステリ小説
最後がマジでマイナー過ぎて匂わせもできない(京○堂とかではない)当時のコミケでも数サークルしかなかったので完全に特定されてしまうので秘密です
当時流行ってたのは幽○とかスラ○ダンクとかガン○ムウ○ングとかワン○ースとかハン○ー○ンターとかF○Ⅶとか封○演義とかク○ガとか…だいたいその辺の時代の人です。順番は前後してるかもしれない。
補足
なんだかなんだで10年弱同人やってました
主に学生時代
腐女子
当時はBLのことを「やおい」って呼んだりもしましたね
今は別に腐ってても腐ってなくてもどっちでもイケます
漫画描いてた
思い出すとああああああああああってなるので触れないでほしい(いわゆる黒歴史)
同人活動を辞めた理由
あるネットゲームにハマってそっちが忙しくなったから
本当にひどい。そんなことやってないでちゃんと勉学に励め
転生前のバックグラウンドに共感していただける方はきっとこの漫画も好きだと思うので貼っておきます。
0-2.異世界転生後(今)
生息ジャンル
同人を辞めてネットゲームにも飽きていろいろあって、なんとなくセキュリティが趣味になりました(急展開)。オタクの承認欲求全開でセキュリティに関する技術同人誌書きたい!って思ったのがきっかけで20年ぶりに本を作る気になりました
そしたらお友達の桐生あんずさんがコミケにスペースとってるというので委託参加させていただくことに
ジャンル分類は評論・情報
漫画ではなく文字中心の本
1.原稿中に感じた異世界転生
1-1.データ入稿が当たり前
薄々思ってたんですけど今はデータ入稿が主流なんですね。めちゃくちゃ便利ですね、締切遅くなるし!!!(重要)
異世界転生前は、画材屋さんで漫画原稿用紙を買って紙とペンで原稿描いてたわけですよ。
鉛筆で下書きして消しゴムかけたり(水色の色鉛筆で書くと消しゴムがいらないという裏技があった)線を引くにも定規使ったり(つけペンで定規使うにはコツが必要だった)
吹き出しのなかのセリフを自分で印刷してノリではりつけたりしてました、写植ってやつな。いまその概念あんの…?あとワープロ現役で使ってた(ワープロって何?っていう若者はぐぐってほしい…もう…説明しきれない…)
灰色の表現のためにスクリーントーンを貼ったり削ったり、消耗品なのに1枚400円くらいでしたっけ?学生のお小遣い的にきつかった記憶がある。なのに絶対使わない変な柄とか買っちゃうの…なんだったんでしょうね…あれ…。
あとツイートにも書いてますけど、紙の原稿なので物理的に配送しないといけなかったので、その辺の手間が半端なかった。封筒入れたり切手貼ったり宅配便使ったり…。集荷の時間に詳しくなるのもその辺が理由で、印刷所の締切に間に合う到着日が指定できる日の宅配便の営業所の最終受付時間が事実上の原稿締切になるからです。今は当日の朝10時締め切りでいいとか、まじかーパラダイスじゃん。(※当然印刷所によります)
1-2.オンデマンド印刷の登場
高度に進化した科学は魔法と区別がつかない、とは言いますが。印刷技術も20年ですごい進化してるんですよね。
一番感じたのが「オンデマンド印刷ありがてええええええー!!」ってことです。
多くの弱小サークルにとって、一番危惧するのが在庫を大量に抱えることだと思うんですが、少なくとも20年前はコピー本 or オフセット本(最小ロット200部とかだった気が。しかも高額)の二択しかなく、印刷屋さんに頼むときはいつも大博打でした。そして大量に余る在庫。
いや私の経済状況(当時学生)による印象バイアスがかかってる可能性もあるのですが、オフセットで小ロットだとどうしても高いよね?
今回は最初なので50部だけ刷ったんですが、弱小サークル的には結構ちょうどよかったと思います。電子書籍(後述)もあるしねー。もう在庫を大量に抱えなくていいんだ…必要なだけ刷ればいいんだ…ありがとう印刷屋さん。ありがとうテクノロジー。ぼくはここにいていいんだ。
ちなみに実家に帰ると多分まだ20年前の在庫が大量にあると思いますあああああああああああああ(どうやって処分すればええんや)(もう売れない)
1-3.表紙フルカラー本が当たり前になってる
上記の通り、印刷屋さんに頼む印刷代が高かったので、フルカラー本はなかなか作れませんでした(※弱小サークルで学生だった私の場合です。フルカラー本がなかった訳ではない)
でも表紙がスミ(黒)一色だとなんだか寂しい…そこで活躍したのが2色刷りや3色刷りです!!イメージわかない人はこんなのです(これは本文の例だけど…こういうのを表紙でやってたんですよ)
フルカラー表紙より安いことが多かったのでよく使ってました。
原稿用紙にトレーシングペーパーを重ねて、別版(スミ以外の色)で塗りたい場所をベタにしておくと、完成品では版画の要領で重ねて印刷してもらえるーみたいなことやってたんですよ。当然ちょっとズレたりする。それも味 。
うまく説明できているか自信がないですが…もういまはそんなことしないで普通にカラーで印刷すればええやんって感じですよね。
オライリー本の表紙ですら普通にフルカラー印刷してるよな多分。こういうのは二色刷りでぜんぜん再現可能です(が、今ではわざわざ二色刷りする方がコストが高くなるんだろうなあと思う)
1-4.個人情報…とは?
個人情報保護法が施行されたのは2005年、今から17年前です。つまり、20年前には個人情報保護の概念自体がほぼありませんでした。
今となっては信じられないんですが、同人誌の奥付には普通に個人宅の住所と本名が書いてありました。何なら雑誌の文通相手募集欄みたいなのにも普通に住所載ってたしなんならFAX番号を載せてたりした…よね…?流石に電話番号はあんまり載ってなかったが。
なので、私の実家においてある在庫には実家の住所と本名(旧姓)がばっちり書いてあります。今更売れないのはこれが理由です★
K-B○○KSとかに大量にあるであろう中古本はどういう取り扱いになってるんだろうか…地味に気になる。
1-5. ノンブルが3からじゃなくてもいい
細かい話なんですが、多分データ入稿が主流になったからセオリーが変わったのかなーってところに、ページ数(ノンブル)があります。
昔は表紙から順番通りに原稿用紙を揃えて封筒に入れて入稿するので、本文のページ数は3から始めてくださいって常識があった気がするんですよね。
今は表紙データと本文データを分けて送付するから、本文のページ数は通し番号が振ってありさえすれば1からでも3からでも別にかまわんようになったのかなーって気がしました。たぶん。詳しくないのでしらんけど。もしかしたら印刷機が進化して印刷の工程が変わったのかもしれない。
とにかく私の中では「本文は3ページめから始まる」が常識だったので、今持ってる手元の同人誌よくみたらほとんどが1から始まってて地味にびっくりしました。異世界かと思った。
2.コミケに感じた異世界転生
2-1.オンラインでサークルチェックができる
すごい!!ハイテク!!
ROMカタログはギリギリ存在してたような気がするんですが…買ったことなかったな。なのでどんなものだったのかはよく知らない。
みんな本屋で分厚い紙のコミケカタログ買ってました。私はあまりに厚すぎるから日付ごとに切り分けたりした(ここで培ったスキルは後に分厚い技術書を分冊するときに生かされることになる)
何ならお金ない学生は当日ゴミ箱でカタログ拾ってサークルチェックしてた。入場後の会場ではきれいな状態のカタログが大量に捨てられているということがよくあったのです(入場待機中にカタログ見ながら付属の地図にチェックいれて、本体は戦利品を持つスペースを確保するため捨てる運用)
↓いやほんとそう思います。無理では。でもやってたんだよな…
個人的にはカタログのうしろの方についてるマンガレポートがすごい好きだったので、アーカイブが見れるようになってて嬉しかったです。インターネット最高。
2-2.一般参加が有料になってる
有料になったらしいという風の噂は以前から聞いていたのですが、実際に目にするまではあんまり信じてなかったです。
たしか昔は、コミケの一般参加は人数が多すぎてお金をとろうとするとそのお金を保管する場所や保安上の問題がでてくるので無料やむなし、みたいな論理だったと思うんですが。オンライン決済の普及などでその辺がクリアされたこととか、コロナの影響とか、いろいろあって有料になったんだろうなあ(勝手な想像です。しつこいですが異世界転生してるので経緯とか一切知りません)とか思いました。
入場制限もちゃんと効いてて、尋常じゃないくらい混雑するってことがなくて(まあそれなりに人多いけどさ)とても快適にコミケを楽しめました。ありがてえ。
追記:違うらしいので訂正(サークル参加だけではなくて一般参加も有償化しては?って意見があったときにコミケットプレスかなんかでこういう回答されてるの見たと思うんだよなー。とはいえいい加減なこといってごめんね)
2-3. 同人グッズの変化
グッズを出してるサークルさんもありましたが、ハイクオリティなポーチとかストラップとか、なんか役に立ちそうなものを売ってる…!!あとかわいいアクセサリーとかも見た。すてき。
ラミカ(コピック手塗り)みたいな何に使うんだオブ・ザ・イヤー的なものって見なくなりましたね?
あと、これは想像してましたが同人便せんを一切見ませんでした。ノートはギリギリ見た。いっそ今作ったらウケるのでは。もちろんグラデ印刷のやつ。
同人封筒もお揃いのやつプリントゴッコで刷る。と思ったらプリントゴッコがなくなってた…。これから一体どうやって同人封筒を作ったらいいんだ…
このへんは御手洗直子先生の漫画がめちゃくちゃ面白いのでぜひ。
2-4.ポスターめちゃくちゃある
これはジ ャンルの違いかもしれないんですけど、どのサークルも大きさの違いはあるものの大抵ポスター立ててませんか?昔はなかったと思うんですよねー。あってもせいぜい壁サークルだけのものだった気がしてる。
なんでかな?って理由を考えてたんですが。今は事前に宣伝としてSNSにお品書きを流すことが多いからその延長かな?と想像しました。画像をそのまま印刷したら良いからね。簡単だし来る人にもわかりやすいよね。
あとキン○ーズとかコンビニとかで簡単にポスターが印刷できるようになった、ってのも大きそう。
異世界転生前の個人の印刷はA3が限度だったんじゃよ…しかもコンビニによってかなりカラーのクオリティが違ったんじゃよ…まだインクジェットのコピー機多かったので、結構荒かったというか…印刷あんまりきれいじゃなくてがっかりさせられるというか…。たしかセブンイレブンだけレーザープリンターだったから必ずカラー印刷はセブンでやってた。
このように異常にコンビニのコピー機に詳しくなるのも当時のオタクあるあるです。
3.同人誌通販に感じた異世界転生
3-1.電子書籍の通販すっごいラク!!
電子書籍というものが世に出てきて20年以上経ってると思うんですが(存在自体はあったと思う)データ入稿との合せ技でさらに便利になりましたね。
そもそもデータ入稿用のデータをそのままBOOTHとかに登録すればそれで世界中に通販ができる。しかもオンライン決済。サークル側はなにもする必要がないし、前述のように在庫を抱える心配もない。すごい!!画期的すぎる!!!
3-2.物理本の通販もめちゃくちゃラク!!
とはいえ紙の本(物理本)派の方も結構いらっしゃると思うんですよ。私も気持ちはわかります。
物理本であっても、送料はかかるけど結局BOOTHに登録してコンビニに出すだけで匿名配送できる。神はインターネットに居る。すばらしい。便利すぎる。
じゃあ異世界転生前の通販どうやってたか気になりますよね?(通販の文化自体はあった)
よくある通販の手順はこうです
まずお目当てのサークルさんのペーパー(お品書きや告知などをまとめたチラシのこと)を、返信用封筒と切手を同封したお手紙を書いて郵送で請求する。初手は知らない人に手紙を出すことになるので、礼儀にかなりうるさかった記憶がある(※後述)イベントなどで直接ペーパーを受け取った場合はこの手順をはぶいて良い。
サークル主がペーパーを郵送で送り返してくれる。いい人だと生絵を描いてくれたりする。
ペーパーが送り返されてきたら、それを見ながら欲しい本の重さと金額を自分で計算して(ペーパーには本のタイトルや価格とともに重さが記載されているのが一般的)本の代金として定額小為替、送料分の切手と宛名シール(タックシールに自分の住所と名前を書いたもの)を同封して通販お願いしますってお手紙を書く
サークル主が本を郵送で送ってくれる
サークル主は定額小為替を郵便局で換金する
こんな感じです!!今思い出しながら書いててめまいがしそうになりました。めんどくさすぎる。びっくりだ。でも結構普通にやってた。
そもそも定額小為替(ていがくこがわせ)って通じる?
郵便で現金を直接送ることはできないので(レターパックにかぎらず現金送れは全部詐欺です)郵便局で定額小為替っていう金券的なものを買って、それを送るんですよ。同人以外だと戸籍謄本を郵送で請求するときに役所に送るときに使いましたがそれ以外の用途は知らない。
今同人ペーパーってあるんですか?って、一応あんずさん(若者代表)に聞いたら「ちょっとわかんないです…」って言われました。ですよね…。
そんなわけでサークル主は常に大量の郵便を処理する必要があるため、やたらと事務処理能力が鍛えられた気がする。結構みんな自分の住所のハンコとか持ってた。会社にあるようなやつ(最近の会社にはそれもないね…弊社にもなさそうだなあ…)
3-3.手紙書かなくなりましたね
異世界転生前は手紙をたくさん書いていたんですよ。文通相手とか何人もいた(今はみんなどうしているのだろう。元気かなあ。)
いまでいうとどういう関係だろう、メル友?って思ったけど今はメル友もあんまり言わないですよね。SNSの相互フォロワーよりはもっと濃い関係性で、よく話すけど会ったことない他人みたいな感じでした。
お手紙のやりとりが多かったので、前述の同人便せんと同人封筒って結構普通に使ってたんですよね。インターネットが普及して、みんなお手紙を書かなくなったので便せんと封筒も消滅したんだろうなあ。
手紙のマナーみたいなのにも結構厳しかった気がしていて(これは女性特有の文化なのか全体的にそうだったのかはわからんけど)オタク向け雑誌とかに手紙の書き方がよく特集されていました。
拝啓で始めて敬具でしめるとか、前略ではじめて草々でしめるとか。なんかそういうアレです。SNS世代からしたら江戸時代か?って思われるのではなかろうか…ほんの20年かそこら前ですよ…。多分昔のオタクは手紙の書き方にめちゃくちゃ詳しいと思うから必要になったら頼るといいですよ。
4.まとめ
オタク特有の早口の自分語りを書き綴ってしまいました。
異世界転生前はあらゆることに手間が必要だったり、色んな消耗品を買うためにちょいちょいお金が必要だったり、活動を続けていくためには今よりも様々なコストを支払う必要があった気がします。
それが良かったことももちろんあるのですが、今は色んなテクノロジーの発達で、より純粋に自分の好きなことの表現のために時間やお金をかけることができるようになっていたり、時間や場所を問わずに繋がれるようになったことで、色んなコラボレーションが加速する、ほんとにオタクにとっていい時代になったなあと感じました。
とりあえず夏コミめっちゃ楽しかったー!冬は自分でサークル参加したい!
ではこのへんで。
5.後日談
冬コミで完全版を頒布しました
この記事に大幅に加筆修正加えて完全版にした本を冬コミ(C101)新刊として持っていきました。部数を完全に読み間違えて13時前に完売してしまって、スペースまで来てくださった方には申し訳なかったです。ありがとうございました。
BOOTHでも買えます
完売したので再刷しました。BOOTHで買えます。老人会の方に大変好評です、よろしくどうぞ。