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ロマンシングサガ2リベンジオブザセブンへの文句等

 ひさしぶりにnoteの更新をしようと思う。今回は最近やってるゲームへの文句です。
※一応有料記事だが、有料部分は最後180文字程度で、本編とは関係ない。

 表題ロマンシングサガ2リベンジオブザセブンを楽しくプレイ中の方、あるいはこれからプレイするのを楽しみにされている方、またあるいは今回のゲームを完璧なリメイク作品と思っている制作者の方におかれては、以降の文章では本作品への文句とネタバレが多く記されているのでできれば読まないことをお勧めする。尚、筆者は3D酔いがつらくまだクリアしておらず、以下の文句もゲーム途中での文句ということをご了承いただきたい。頑張ってクリアするつもりだ。また、こんな当たり前のことを書く必要もないとは思うが、このゲームを楽しんでいるのであればそれが一番だし、そのことを揶揄する気も当然ない。ひとつの作品に対して楽しんでいる人と苦い気分になる人がいて、ただそれだけということを理解している方に読んでいただきたい。本稿はあくまで(大抵のお喋りがそうであるように)私の主観に基づく趣味嗜好の話である。嫌だと思うものを書いて意味あるのかよと思う方もいるかもしれないが、私は価値を意味する「意味」の使い方に敵意があるのでそういった範囲での話には関知しない。なぜ悪口を書くのかといえば、Xで「このリメイク愛にあふれすぎだろ......」みたいな感想ばかり見かけてむかついたからというのが一番の理由だと思う。愛には一家言あるため一応文章として残しておきたい。老害とか逆張りとか言って切り離さないでほしい。以下が目次だ。


ロマンシングサガ2とは

 正しくはロマンシング サ・ガ2と中黒が入るのだが令和なので口語体で失礼する。ロマンシングサガ2(以後『ロマサガ2』)とは、1993年つまり私が小学生の頃にスクウェアから発売されたスーパーファミコンの人気ゲームソフトである。いわゆるドラクエやFFのような見下ろし型のRPGで、そういった画面の一部だけを見れば当時としてはオーソドックスなゲームに映る。ただ、このゲームには当時画期的だった特徴がいくつかある。フリーシナリオや年代ジャンプ、継承システムなどがそれだが、それらについては悪口と合わせて説明していきたい。というかロマサガ2を知ってる人以外はこんな文章を読むことに苦痛を覚えるだろうから、基本的には知ってるものとして進める。

リベンジオブザセブンとは

 ロマンシングサガ2リベンジオブザセブン(以後『リベサガ』)は今年10月に発売された、ロマサガ2を基にしたリメイク作品である。Nintendo Switch、プレイステーション5、プレイステーション4、PC(Steam)向けタイトルとして発売されている。リベンジオブザセブンという副題はひどくダサいためリベサガの悪口を言う場面以外では極力発したくない。この作品は、シナリオの構成、システム、各種デザイン、イメージイラストなどを現代の技術や流行りを取り入れて調整・追加している。また、2024年11月現在かなり売れて且つ好評らしい。結構なことだ。ただ、売れているしメタスコア上々だからつまりそれは面白いということ、これが正解、だからあなたの言うことは全部的外れ、しまいにはつまらないと感じたならあなたはターゲットではないですよというような、誰が喋ってるのかわからない、受け手として本末転倒なことを言うわけわからない権威主義的で全体主義的で新自由主義的な、もの自体と向かい合うことに興味ない奴がこういう時には湧いて出るものだが、売れてるだの売れてないだの言う前に自分自身の前頭葉に伺いを立てる癖をつけてほしい。
 それでは前頭葉を真っ赤にしながら、このゲームへの文句と少しの賞賛を段落に分けて書いていく。

キービジュアルについて

この人達が何をしている時の光景なんだ

 今回はswitch版を購入した。以前、あの最悪な仕上がりの(仕上がっていないのに発売した)真・女神転生Vをダウンロード購入してしまいメルカリに出品できないことを悔やんだことから学習し今回はパッケージ版を購入した。さて、イラストのタッチは商品のターゲット層によるので別によい。おそらく現代のオタクにたくさん売るために絵柄はソシャゲの購買層用のタッチにしたのだろうしょうもないが。そりゃ小林智美やそのフォロワーあるいは定型化されたアニメの文脈から外れたアートワークがよかったが様々な事情もありリメイクなわけだしこういった判断もあるのだろう。イラストレーターの絵柄がどうこうではなく、このキービジュアルには従来のロマサガ2のコンセプトとズレがあるように感じる。
 ロマサガ2には「皇位の継承」「年代ジャンプ」という画期的なシステムがある。主人公の皇帝は、ある問題を解決したり死亡(!)したり退位(リベサガのみ)することで次の皇帝へとその能力を継承する。そうすることで世代は変わり時代は進む。継承最初の皇帝であるレオンから、あなたが名前を決める最終皇帝へバトンを繋ぐまで、ゲーム中では帝国の歴史は数百年経過することになる。そのため「主人公」とは言ったがこれは一個人を指す言葉ではなく、ある歴史の中心にいる/いた、皇帝という役割のことを指している。また、仲間やNPCなど各時代の人物もそれぞれが職業や兵種など決められた役割を持っており、その容姿は世代が変わっても大きくは変わらない。序盤のシナリオに絡むフリーファイターのヘクターは、その無頼で奔放、優れた戦士に対しては忠実という人間性が人気のキャラクターだが、大事なのはヘクターがいることではなくいたこと、ある時代にヘクターという無頼な人物がいてそして時代が流れること、次の世代にはオライオンというフリーファイターがいて彼も彼の生きる時代の中で行動していく。彼ら彼女らの選択が世界と関わり時には関わらず、よかったことよくなかったこと全てが積み重なって歴史になってゆく。そうやって束ねられたものを歴代の皇帝と同じように背負った最終皇帝は最後のアンカーとして七英雄と雌雄を決するわけだ。乾杯!!!
 継承や年代ジャンプはシリーズの他の作品と比べても特異なシステムで、逆にいえばこのシステムがロマサガ2をロマサガ2たらしめていると言っていいと思う。リメイクは原典の再解釈が許される手法なわけだから、他のどんな要素を修正・変更したとしてもそれは(大変気に入らない場合もあるが)正当な改変として認められるべきだ。キャラクターの絵柄嫌だなあとおそらく本稿でさまざまな言葉を尽くして何度も書くだろうがそれは私の純然たる好き嫌いの嫌だなあなのでこれは大した意味を持たず、正当な手順を踏まえた改変であれば絵柄が気に入らなくても構わない文句は言うが。ただ、キャラクターを棒人間にしてもゲーム内容を紙に鉛筆で書いても絶対に変わらないような根幹の部分こそがコンセプトで、それはリメイクだからこそ揺らいではいけないと思う。ロマサガ2のパッケージは、いい天気の狭い広場でなんとなく剣を持ったソシャゲ色のSRキャラを立たせてその後ろにNとRの仲間たちを配置するのは適格ではない。一番偉い人を前方の地面に立たせて自分たちは階段上に立ったり座ったりするのは礼儀とか大丈夫なのだろうか。キャットは小汚い泥棒なのでいいが、ヘクターに関しては性格上問題ないように見えて忠誠誓ってるはずのレオンもいるんだからちゃんと立つべきだ。あとこの人たちが何をしている時の光景なのか。これはロマンシングサガ2のキービジュアルではなくソシャゲのキャラクターを人気順に並べた絵だ。ジェラールは主人公ではない。私はイラストレーターではないので具体的な画は浮かばないが、積み重なってゆく帝国の歴史を重厚に表現したり、あるいはリベンジオブザセブンと言いたいのであれば七英雄でも描くのが順当なデザインだと思う。少なくともこのキービジュアルに愛は感じない。序盤に出てくるキャラを一旦置いてみましたという感じの初稿みたいな絵をロマサガ2のキービジュアルにしないでほしい。見た限り、このイラストレーターの方が得意なのは一枚絵とかよりもキャラクターのリデザインのほうだと思うので、もっとロマサガ2の中心にいる人が口を出して一緒にキービジュアルを作ってほしかった。
 ちなみに、原作のロマサガ2(SFC)はこう。

かっこいいけどさ

ロゴの背景にある意味ありげな紋章、下地の白と黒に、金色の美しい人物(ジェラール)が描かれていて単純に要素が締まってて帝国の歴史や重さを感じさせて格好いいのだが、これはもう小林智美の絵の重さや荘厳さによるところがでかいと思う。というか他のシリーズはともかくロマサガ=小林智美が小脳(平衡機能や姿勢を保つ機能を統合する部位)にまで浸透しているので小林智美という時点ですでに良く見えフラットな判断が難しい面もある。ちなみに完全に勘だが、おそらく美女や美青年の絵で釣っとけみたいな当時の売り方を限りなく上品にしたデザインではないかと思う。
 また、リベサガのアジア版パッケージはかなりわかりやすい。

小林先生〜♡

説明書か攻略本かなにかで見たことあるので小林智美が当時描いたイラストだろう。レオンがジェラールに王冠を渡しているシーンだ。王冠もらうんだから先に兜を脱げとも思うが、この継承ど真ん中みたいな、ロマンシングサガ2を表すのにここまでわかりやすいジャケもないだろう。
 リベサガ日本版では、キャラクターデザインが専門の人にパッケージを描かせたような違和感があるので、キャラクター自体を見せるのではなくゲーム内容に沿っていたり物語性のある構図でキービジュアルを制作してほしかった。恐縮ながら私はこれは当たり前のことだと思う。

戦闘画面について

 ロマサガ2の戦闘では「陣形」が重要な役割を持つ。ゲーム開始直後、チュートリアルのコーチ役でもあるレオンがジェラールに向かって「インペリアルクロスという陣形でいくぞ」みたいなことを言う。このインペリアルクロスは十字の形にメンバーを配する陣形で、これも勘だが最初に十字の陣形を紹介することでローマ時代キリスト教の威厳を帝国に重ねようとした狙いもあったのではないかと思う。前線では体力と防御力の高いベアがご存じパリィをしたりなんかして敵の攻撃を引き受ける。その後ろの両脇では前髪長い紫の男性とLP低い弓の女の人が攻撃をし、レオンが私が皇帝ですという感じで中央から鋼鉄の剣とライトボール、そしてジェラールは最も敵の攻撃がこない最後尾で安全に行動する。これによって百戦錬磨のレオンをはじめとした帝国の強者たちと戦闘に未熟なジェラールが対比され、陣形が戦闘において個々人に合った役割を決めるものであり且つ物語上においても、帝国が歴史ある盤石な組織だと印象づけるための舞台装置としても機能しているということがわかる。このリベサガの戦闘画面ではそんな陣形をどのように扱うか。

おそらく左に立っているテレーズ

自分たちがどんな陣形を組んでいるかがほとんどわからない。何やってんだ。ちっせえモニター。なんだそのレシートは。カメラは味方キャラクターと敵をポケモンの戦闘画面のように捉え、地面は光っておりなんとなくテレーズの隣に人がいることを示唆している。戦闘において重要な要素である陣形を示唆に留めてどうする。おそらく本作の制作はソシャゲの成功が発端であるからして、そのため大事な客寄せでもあるキャラクターをでっかく見せたいのだろう。せめて右上とかに今の陣形と今選んでるキャラクターの位置を示してください。愛がないからこんなことになる。また戦闘画面でもう一点、武器による通常攻撃をする際に原作ロマサガ2では項目に「エルダーボウ」など、武器名が表示されていた。リベサガでは通常攻撃する場合「弓攻撃」と表示される。これによって戦闘中その人物が何を装備しているか確認できないことになる。たとえば苦労して竜槍ゲイボルグを手に入れたのであれば戦闘中その文字列を見たいし、単純に実はゲイボルグじゃない槍を装備してるのに下り飛竜を閃こうと無意味な努力をすることになる可能性もある。今のところ不便なのが、なんかファイナルストライクを使えはするがそれを使うことによって壊れる武器の名前がわからないことだ。これらはもうロマサガ愛どうこうじゃなく単に不便なので直してほしい。
 ロマサガ2では戦闘中に武器や素手で攻撃することで(あるいは敵から攻撃を受けることで)キャラクターの頭上に電球が閃き新しい技を覚える。ロマサガ2以降のサガシリーズではおなじみの演出なのでこれにも触れておく。リベサガでは、技を閃く可能性がある通常攻撃や技名の項目の横には電球アイコンが現れる。これによって技を閃かない攻撃をせずに済む。「閃く可能性」なんて随分メタな仕様だが、そういった無駄な行動に繋がりかねないシステムは変えていくのが現代のゲーム様式だろう。というか閃きは知ってるけどその機序については知らないという人が多分平均的な層なので全然間違ってないと思う。ただ、この電球アイコンの表示はオプション画面からオンオフを切り替えられるようになっているのだが、この仕様は親切ではあるが優柔不断な感じがしてごく個人的に好きではない。麺の硬さとか脂の量とかではなく店員が一番美味いと思うラーメンを持ってきてほしい。原作の手触りも含めるリメイクのやり方としては全然いいと思います。
 連携については、サガフロンティア的なその場で連携が出来上がってくイメージではなく、ゲージが溜まって行動の順番?に従って連携技が決まり発動できるのだが、これもこれでいいと思う。ゲージが上がりやすくなる陣形とかあるんですかね。
 技のモーションについては、特に両手剣で思ったのだが軽い感じがする。原作に比べて命中率がやたらと上がってる(というか状態異常なしだと全部当たる?)せいもある気がするが、強撃なんかはあのザクッとした痛そうな感じを再現してほしかった。3Dになったことで各々の技の違いを出すのが難しくなったとは思うが、通常攻撃とそんなに違いのないモーションでテンポはいいかもしれないがワクワクは減ったように思う。あと、なんと言えばいいのかわからないが、たとえばファイアボールを撃った時の赤い光のエフェクトなんだけど、あのフワッとした光?ゲームエンジンに元から付いてるアセットっぽいあの光、もう使うのやめませんか?あれのせいでゲームの中の魔法がフワッとした抽象的なものに変わった印象がある。これはまたどこかでちゃんと書きたいけどゲームが2Dから3Dに移った時にあの光を採用したことで、魔法はなくなったと思う。

キャラクターについて

 これこそ好き嫌いではあるが、だからこそ一番いらついている部分でもある。なんといっても全体的にR-15ぐらいの二次創作若干エロ絵の雰囲気が漂っていてブラウザの見られたくないタブ開きっぱなしみたいな感覚が脳にビニール片みたくこびりついて集中できない。先に言っとくと、よかった点としては各キャラクターの服装が世代ごとに少し違いバリエーションがあるところがよかった。悪い点に戻ります。本作はソシャゲで儲けた金で作られた過去作のリメイク作品であるからして、おそらくソシャゲの寒いユーザー向けにキャラクターデザインをしており、実際にソシャゲやブラウザゲーで登場したキャラデザインを逆輸入のような形で採用している。たとえばヒラガ○世が開発するコッペリアという自動人形なのだが元の小林智美氏のデザインはこう

優れている

コミカルで記号的でかわいらしく、中世ヨーロッパ風(ハイファンタジー)を下地にした世界観での技術レベルに、ありえないけどありえるならそうかもwみたいなキャッキャした感じで非常に上手く溶け込んでいる。対して、リベサガでのコッペリアはいかがだろうか。

誰に向かってというわけではなく強いて言えば資本主義に向かって死ねと言いたい。売れるための最適解がこれになるほどこの世界は追い詰められている。何か、突然発生する、急いで射精しなければならないような事態が起こることを想定していないとこんなモデリングにはならないと思う。世界には様々な人がいて、さらには自動で動く人形までもがいるのだが、その人形がこんなでは閉塞感で冬季うつが再発してしまう。なんでいいじゃん、かわいいじゃんというくぐもった声が聞こえてきそうだが、かわいいの種類が毛穴と鼻が小さいセックスを想像しやすい女の絵とハム太郎の2種類しかないような感受性で話しかけてこないでほしい。こちらのキャラは太ももに巻いたベルトの分すこし肉がはみ出すようにモデリングしました、そうですか、そういうタグを付けてピクシブでやっててください。ロマサガ2は世界地図開いたときのペラっていう音とかああいう雰囲気と質感でやりたいんだよ。単純に、ゲームやってる最中にエロい気分になりたいか?邪魔なんだよ。

フリーメイジ女
最終皇帝女

フリーメイジ女(原作では50〜60代)や最終皇帝女を見る限り、一定以上の(外見)年齢や性的魅力の少ない女性キャラクターのデザインをわりとしっかり除外していて、ユニークな容姿が許されるのはヒラガやフリーメイジ男のような男性キャラクターのみで、なんというか世界が狭くて息苦しい。コッペリアも設定上性別はないが、もし仮に女性型ではなく男性型の人形であった場合には原作に近いデザインになっていたことだろう。ゴエモンのサスケみたいな。上に並んだキャラクターデザインを見て「ポリコレに屈しないで偉いw」だの、二項対立にハマって絵がエロければそれは規制から遠ざかり自由な表現ということになりつまり現代では自由な作風とはエロが入るのだみたいな気色悪い理屈が見えて嫌になる。スーファミの頃のドット絵だと最終皇帝女はミニスカートどころかハイレグだぞというような意見もありそうだが、ドット絵から3Dに変更されていわば記号から具象になってるんだから、こと性的な部分に関しては遥かに繊細な扱い方をしないと、そういうニュアンスでもない皇帝がすぐ夜職に見えるんだから気をつけないといけない。服装に必然性がないから帝国がハロウィンの日の岡山駅みたくなるんだよ。この作品が出たのはソシャゲがコツコツ頑張ったおかげだからソシャゲのデザインに文句を言うのはお門違いの老害という、子は育ててくれた親の言うことに絶対刃向かってはいけないというのと似たような言説をXで見てあーあ!!!!つまんねーーなーーー!!!!!LUUP乗ろ!!!ブーンキキードン!!!!!

喋らない皇帝

 このゲームではキャラクターがやたらと喋る。私は全く嬉しくないというかなくなってほしい(オプションで消すことはできるがそもそものボイスに使った人日を別の部分に回してほしい)が、キャラクターが喋って嬉しい人がおそらく大多数なのだから目をつむろう瞼の痙攣とともに。原作と比べて頭身が上がって3Dになったとはいえ、デフォルメされた人間のキャラクターから生の人間の声が出ることにまだ違和感がある。これは断然老害と言われても仕方ないのだが、ゲームは自分が動かしてそれに対して反応が返ってくるインタラクティブな遊びなので、その自分が動かすキャラクター達から現実世界の要素である”声”が聞こえると、本来自分が想像したかった部分を補完された感じがしてちょっと醒めてしまう。メタ的な演出でもないのに実写の映像が差し込まれたらちょっと嫌だなあという感じだろうか。おそらく(主にアニメの)声優という仕事は、絵と声の協調に違和感が出ないよう演技のデフォルメのレベルを調整したりする人たちなのだとは思うが、やはり私個人としてはこういったゲームで長文を喋られるとそれだけでゲームではなく映像作品に見えてくるというのもあり、ハッとかフンとか言うぐらいに留めてくれると助かります。(目を閉じている)
 それで皇帝についてだが、トーマやサイフリートはやたらと喋るわりにジェラールより後の代の皇帝はほぼ声を発しない。正確には会話の反応としてセリフの選択肢が表示され、いずれかを選ぶとそれに対して相手が反応する。つまり行動の選択とセリフがセットになっている。スーファミでは違和感ないのだが、周りがフルボイスで喋るなか皇帝だけがメッセージカードで会話しているようで不自然さを感じる。その弊害で特に気になったのが、序盤の運河要塞クリア後、皇帝がシティシーフ女に褒美を与えようとするがシティシーフ女は「すでに要塞内で盗んだんで結構です」と断るシーンで、原作では皇帝が「抜け目ないなこいつめ」みたく言ってワッハッハとなるのだが、リメイクだとそこに至る皇帝のセリフを全てモブの大臣がフルボイスで喋る。皇帝はその泥棒と大臣のやり取りを見ているだけで、それにより泥棒との交流、皇帝のアウトロー感や個人で動いた融通効く感じが一気に薄まってしまう。これはおそらく、継承システムによって用意しなければいけないボイスが膨大になった為にできた制限からきてると思う。昨今、ボイスボイスCVCVといろんな絵がやたらと喋るが、シナリオに制限が出るような半端なやり方は本末転倒じゃないだろうか。生成AIへの依存は反対ではあるが、こういった、予算上厳しいが物量が必要な場面でこそ声優と上手く契約しAIとか使うべきじゃないだろうか。フリーファイター女の胸にホクロ書いてる暇があったら一言でも多く録音してください。

追加要素・変更点について

 今回はリベンジオブザセブンということで七英雄にスポットが当たっている。ステージ各所で変な装置みたいのを起動させると、古代の七英雄のエピソードを追体験することができる。物語の説明不足は時に受け手の想像力を刺激するものではあるが、ゲーム機の容量も格段に増えたわけだし角度を変えて敵役の生い立ちや心情を表現するというのも現代的な試みでいいんじゃないでしょうか。これによって、七英雄の元の姿を知ることができ、現在のモンスターと同化した姿とのメリハリがついていい意味で戦いづらさが出て原作とは違う種類の深みのようなものが産まれたと思う。勧善懲悪で気持ちよくはさせきらないというのがサガシリーズのシナリオの面白いところでもあるし、リメイクらしい追加要素で良いと思った。ボクオーンがクールで皮肉屋な若い戦術家みたいなのは正直気持ち悪くはあるが、現代ではしょっぱい騙し討ちをするお爺さんになってるという悲惨さが好みではある。欲を言えば古代の七英雄をプレイアブルにして当時のウォッチマンの巣とかプレイヤーが知ってる短いダンジョンで操作できたりすればより効果的だったとも思うがこんなこと言っても仕方ない。原作の、七英雄のことがほぼほぼわからないというのも現生人類(帝国側)と七英雄の間に深い溝がある感じがしてよかったが、こういう形でリメイクするのも良かったと思う。ちなみに、あくまで本体であるゲーム内で語られたことがひとつのパッケージだと思うので、本稿ではロマサガ2の舞台とかのことは一旦無視している。
 本作では、現代に合わせてブラッシュアップされた箇所がたくさんある。まず、原作ではわかりづらかったところ・不便だったところが綺麗に整理されている。ステータス画面での装備品の効果はわかりやすいし、技数の容量が限界でも戦闘中に閃いて戦闘後にはみ出した技を封印できるし、現在の帝国の目的や状況、イベントもすぐわかるようになっている。要はロマサガ2を現代のゲームに押し上げて、現代の人が遊びやすいように作っている。ただこれをもってロマサガ愛と呼ぶのは違うと思っていて、これは単純にこの制作会社の丁寧で品質の高い仕事によるものだと思う。愛はもっと執念深く歪で利己的だ。
 さて、本作の追加要素として「せんせい探し」というスタンプラリー形式のミニゲームがある。各ロケーションで、過去作Sa・Ga2秘宝伝説の登場キャラクターである「せんせい」を見つけるとスタンプが溜まり、ゲーム上で有利になる特典を得られる。これが単純に世界観に合っていないというか、スタンプラリーをさせたいならもっとロマサガ2内で完結できる見せ方はいくらでもあったはずだ。「せんせい」はいまやサガシリーズにおけるマスコットキャラのような存在であり、シリーズ他作品のリメイクやブラウザゲーなんかでもゲスト出演をしている。ブラウザゲーやソシャゲなど、そもそもがキャラクターを主体としたゲームなら構わないのだが、それひとつで完結しているゲームをやってる時には「サガシリーズ」なんてことは考えたくない。たとえば「ロマンシング佐賀」なんて名前でイベントを打ったりするのは、会社なんだし全然やったらいいと思う。どこかでお金を引っ張らないと制作は出来ないわけだし、これこそ制作だけではない会社というものの良い面だと思う。でもそのノリをゲームの中に連れてくるのはやめてほしい。FFの開発室も子どもの頃ハア?と思ったものだが、なんかさ、そういう、シリーズが盛り上がってます、「サガ」をみんなで盛り上げていこうみたいなの、知ったこっちゃないんだよ、俺は皇帝なんだから。

演出・街の人々・ロケーションについて

 上のほうでも書いたようにキャラクターボイスは全くいらないのだが、演出面でよかった点がある。七英雄と戦闘する際に、最初に七英雄が決めポーズをとる。これが原作のドット絵と同じポーズというのもまあ別にいいのだが、クジンシーは最初(ヴィクトールも含めて)レオンとの戦闘の際には決めポーズをとらなかった。レオンの敗北後、父王の遺志を継いだジェラールと戦う時に初めて決めポーズを取るのだが、これがなかなか熱い。皇位を継承したジェラール、ゲーム中初めて流れるボス専用のカット、「七英雄 クジンシー」という文字、これらが並ぶことでこのゲームの宿敵は七英雄なのだと強く印象づける。いいじゃないですか。戦闘中にソウルスティールをよけて想いがどうこう蛇足のセリフをベラベラ喋るのは全くいらないが(命を賭けて経験と能力を渡したシーンのあとの宿命の敵との戦いでそれを月並みな言葉でペラペラ説明するな)、この七英雄との戦いの幕開け感はよかった。
 また、クジンシーと同じくソーモンでのことなのだが、これぞロマサガだというセリフを見つけた。

たしかに

「うみってクサーイ!きゃはは!」
世界は広く自由で、人々は皇帝のためだけに生きていない。子どもは何かを説明する必要などなく、海のにおいを嗅いでその臭さに笑う。これぞロマンシングサガで、開かれた物語の登場人物だ。なぜこの生きた子どもがいる世界の中で、肘だけ機械のままわざわざ若い女そっくりに作り直した自動人形がいてその胸に谷間があるのかがわからない。全体的なうぅ〜、なんでなんですかぁ〜(指をさす)みたいな弱い深夜アニメ風のパターン会話に埋もれてしまいがちだが、ともかくこの子どものセリフには救われた。ロマサガ愛ポイント90を与えよう。
 城や街、ダンジョンなどのロケーションについても、これは相当良いと思った。

これってこんなでかいんですね

場所ごとに特徴があり、たとえば鉱山の街なら鉱山を中心に出来上がった街だとはっきりわかる。ネラック城は攻めづらいつくりをしているし、龍の穴にある格闘家たちの寝具は地面に敷かれている。各ロケーションの名前は思い出せないが、どんな場所なのかは大体わかる。しかしながらそういった美点があるにも関わらず、ダンジョンにおいてはカメラの位置が近すぎるせいでモンスターを視認しづらく、急にぶつかって陣形を乱された!(乱された状態がどんなだかは戦闘画面からはわからない!)となってストレスが溜まる。思うに、キャラクターを大きく見せようとする方針が戦闘画面などいろんな箇所で邪魔になっているんじゃないかと思う。
 ロケーション自体はいいのだが、それがゲーム内演出を阻害している場合もある。

ないほうがいい

アバロン城がそれなのだが、この城にはレオン、ヴィクトール、ジェラールの肖像画がたくさん掛かっている。城主とその息子だし彼らの額はいいのだが、彼らより以前の城主の肖像画はどこにあるのだろうか、(おそらく)早逝した王妃の肖像画は?そして彼らのあとに皇位を継承する皇帝たちの肖像画は?アバロン城には上記三名の肖像画だけが飾られる。ジェラールとクジンシーが対峙した瞬間に物語は動いたが、城の中は時間が止まる。この城には数百年間、歴々の記憶を継承する皇帝以外には誰も覚えていない三名の肖像画が掛けられており、彼ら以降の当代の皇帝は、死ねばそれきりなのだ。そういう意味ではキービジュアルはこのゲームをよく表していて、ジェラールの代を大事にしすぎてその後の皇帝たちをおざなりにしているように思える。主人公はジェラールではなく皇帝だ。

まとめ

 ソシャゲに由来する、キャラをたくさん見せようとする方針のせいで他のいくつもの素晴らしい箇所が割を食っている印象がありところどころでむかついています。

最後に

 以降はリベサガの感想とは関係のない内容だ。本稿を書くのにやたら時間をかけたので、その分ちょっとお金が入ると嬉しいなと思い有料設定にする。本当に大したことは書いていないので、勝手にゲームやって勝手に文句言ってる感想日記に気が向けば小銭をください。

サガフロンティア2リメイクへの要望

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