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"彼女いる?好きなタイプは?"

この手の質問、恐らく殆どのゲイが固まる瞬間。

まあ自分がゲイだと確信してからもう10年以上経ち、何度も何度も同じ様な質問されてるから流石に身のこなし術は習得してるとはいえ、未だに変な間が空いてしまう。

僕は基本「いないっすね〜」と返すけど、そうすると決まって「欲しいって思わないの?」的なことを訊かれる。
もちろんここで何も躊躇せず「僕はゲイなんですよね」と言えたら楽なんだろうが、そんなゲイ、滅多にいないよね。多くは「この人は受け入れてくれるかな」とか「変な反応されないかな」とか「カミングアウトして気を使わせちゃわないかな」と考えている。
脳内は常にそのような不安と葛藤で一杯なのに、「カミングアウトは相手が迷惑!相手の気持ちを考えて!」とか言ってる人見ると流石に片腹が痛い。「安心してくれ、流石にアンタの数百倍は考えている」という気持ちだ。

同性婚に反対していなくても、無神経な反応をしちゃう人もいるので、僕は余程信用している人にしかカミングアウトは出来ない。そういうこともあり表面上の対話しかしたことない知り合いや同僚とかにカミングアウトすることはまずない。
故に、「彼女いるの?」→「………いないっすね」だ。念押しとして「あんまそういうの考えないっすね(笑)」と付け足すこともある。

ただ、後者の「好きなタイプは?」に関しては割と素直に答えられるかもしれない。もちろん好きなタイプの顔とかはあるが、結局は内面が重要になってくるから。そして、その内面は性別関係ない。

好きなタイプは「同じ価値観を共有できる人」だが、それはいわば「性格が合う人」と答えるのと同じであまりにも広義的過ぎるのでもう少し別角度から考えてみたい。
そう考えると、僕は割と「言葉のチョイスが丁寧な人」に惹かれるかもしれない。なんだろ、言葉の端々から「他者へのリスペクト」が感じる言葉選びをする人っているじゃないですか。めちゃくちゃ素敵…って思う。
因みに僕は「誰に対しても丁寧な言葉遣いをするべきだ」というトーンポリシング的なことを言っているわけではない。不当なことに対して語気を荒げることも大事だから。
ここで言う「言葉のチョイスが丁寧」とは普段の何気ない場面であったりで垣間見える「心配り」のことを指している。

例えば、そうだな〜芸能人でいうと鈴木亮平さんとか米津玄師さん。このお二方は言葉の一つ一つから「社会に対する解像度の高さ」が滲み出ており、意識が向く先の広さだったり、自分が置かれている立場に対する内省をとても丁寧な言葉で紡いでいるのを拝見してなんて誠実な方達なんだとなった。

Netflixのボーイフレンドとかだと、テホンさんやアランさん、ゲンセイさん辺りが該当するかな。特にテホンさんに関しては見識の高さ、底知れぬ包容力と時としてブレない芯の強さを感じる。ずっと人生相談してもらいたい。

心配りって、具体的な例を出すとやはり初対面の時だったり、相手のことを深く知らない段階での場面で現れやすいと思う。
例えば、セクシュアリティを決めつけないよう「今付き合っている人はいるの?」と言い換えるだけでも全然違うし、外国人/ミックスの方に出会った時もいきなりアイデンティティの話ではなく一個人として扱うように心がけるだとか、相手を褒めるにしても外見に触れるんではなく身に着けている物を褒めたりだとか。

そういった心配りを単純に「優しい」と一言でまとめてしまうのは最早失礼にあたるのではないかと思うぐらい、そこには相手への敬意、理解、想像力といった細かいニュアンスがある。そんな姿勢を安易に「優しいね」とするのは、色々なことを矮小化してしまう気がする。

僕は、今の彼氏とはあまり期待してなかったゲイのマッチングアプリで知り合い、「第一印象良さげ」+「少なくともセクシュアリティは隠さなくて良い」という気持ちがあって付き合い始めたが、本来なら最初の段階でもっと深く知ろうとするのが正しいんだろう…。でないと後で余計苦しむこともある。
それでもやっぱ、自分のセクシュアリティは隠さなくて大丈夫な人の存在って僕にとっては大きくて、彼の別の側面を知ってから告白された時にハッキリと「ごめんなさい」と言う勇気はあったのかと考えたら、自信は無い。

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