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THE ALFEE、続けるということ。

THE ALFEEのデビュー45周年イヤーが終わりました。毎年、春と秋に全国ツアー、夏には大規模なイベントを行い、新しい曲を世に送り続ける。これがアルフィーのルーティーン。ファンとしても、ついそれが当たり前のように感じてしまうのですが、何事も継続するのは大変なこと。45年間活動休止は一度もありません。なぜこれほど長く続けることができるのか、今回はそれを考えてみたいと思います。

衰え知らずのパフォーマンス

ここ3、4年でしょうか、ライブの質が目に見えて高くなりました。演奏技術はもちろんのこと、歌、コーラスの進化がすごい。かつてのCD音源よりも、現在の生歌の方がはるかに上手いのです。

「続けていれば上手くなる」

昨年の秋のツアーで高見沢さんはそう語っていました。パフォーマンスを維持するために特別なことはしてない、これもよく聞く話です。しかしながら、陰では相当な努力があるように思えてなりません。それほど、ここ数年のライブの完成度の高さには目を見張るものがあります。高見沢さんは、5年ほど前、喉を壊したことを契機に歌い方が明らかに変わりましたし、桜井さんに至っては、今がベストの状態かと思うほど。艶のある歌声は健在で、一時期キーを下げていた曲も原キーに戻して披露しています。コーラスの核を担う坂崎さんは、目立ちませんが縁の下の力持ち。幅広い音域をカバーし、アルフィーのハーモニーを支えています。現在、ライブの通算公演回数は、バンドとしては日本最多の2770本以上。ここへ来て、いい意味で肩の力が抜けてきているのかなと思います。

サポートメンバーの吉田太郎さん(ドラム)、ただすけさん(キーボード)の存在も大きい。ともにサポートとしてのキャリアは十数年。バンドの一員として、年々存在感を増しています。ライブではお二人が加わった5声のコーラスも見どころのひとつです。

「前期高齢者ですから」。そう言って笑う3人。まだアルフィーを見たことがない方、そして、かつてのアルフィーファンの方。「今」がいちばんです。是非、コンサート会場へ。

徹底したファンサービス

続けるためにはファンの心を掴んで離さないことも大切な要素です。アルフィーの活動の基本はライブにあると前回の記事に書きましたが、そこでは常にファンを飽きさせない工夫がなされています。

先日行われた国立代々木競技場第一体育館(以下、代々木体育館)でのライブでも新しい試みがありました。来場者全員に「リストバンド型LEDライト」が配布され、曲中に遠隔操作で点灯させるというもの。驚いたのは、ファンの手拍子や振り付けを演出スタッフが把握していて、それに合わせてライトが点滅する仕組みになっていたことです。会場全体で楽曲の演出を作り上げる。ひとつの共有体験でした。

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時計回りに、メモリアルチケット、リストバンド型LEDライト、アンコールの演出で使われた銀テープ。銀テープには、ツアータイトルに加え、メンバーのサインもプリントされています。

花道を利用し、ファンの近くへ来てくれることもアルフィーのライブの特長。私はAKB48などアイドルのコンサートにも度々参加していますが、意外なことに花道へ出て来る回数はアルフィーの方が圧倒的に多い。かつての野外ライブで培った経験からか、ステージを最大限に利用しています。また、今回は回転式の円形ステージが採用されていたため、どこにいてもメンバーとの距離を近くに感じることができるのも嬉しい演出でした。

会場外でもファンを楽しませてくれます。敷地左手にはツアートラックが展示され撮影スポットに。その奥には大きなクリスマスツリーが。まるでアミューズメントパークに来たよう。敷地に足を踏み入れた瞬間からライブが始まっているのです。

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機材を搬送するツアートラック。アルフィーのツアーは、11tトラック5台で全国を回ります。街で見かけた方もいるかも。

訪れた変化

昨年、幕張メッセで行われた夏のイベント初日、そして、先日の代々木体育館でのライブ2日目、最後の曲を歌ったのは桜井さん。これは私の中で大きな驚きでした。

これまでアルフィーのライブは、リーダーである高見沢さんが最後のMCを担当し、自らのリードボーカルの曲でライブを締めるという形を主にとってきました。その基本スタイルをデビュー45年目に変えてきた。

3人は自分たちのことを主張がない、サッカーにたとえるなら、本田(圭佑)タイプのメンバーがいないと言います。しかし、長年ライブを観てきた私からすると、3人とも強烈な個性のカタマリ。これほど「個」が強い人たちもそうそういないでしょうよと(笑)。特に高見沢さんは主張が強い。主観ですが、楽曲制作者としての信念、そしてリーダーとしての強い自覚がそうさせているのかなと思って見てきました。そんな高見沢さんが、一歩下がったと書くと大袈裟かもしれないけれど、桜井さんが歌う曲をライブで最も重要なラストに持ってきた。これは45年目の大きな変化だと思います。

「アルフィーにはこんな引き出しもあるんだ」。そう言われている気がするのです。

その先へ

代々木体育館でのライブは、デビュー45周年イヤー最後の東京公演。3度にわたるアンコールの終わりに選ばれた曲は『Pride』。12,000人を超える観衆を前にマイクを離れアカペラで歌う3人を見て、まだまだやれる、そう思いました。

「実働」45年はもっと誇っていい。またここから。

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