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都庁と伽藍とバザール

東京都の情報技術利活用への取り組みは都庁内に常勤で働いている情報技術系職員に加え高い専門性の人にフェローとして非常勤でサポートしてもらってます。
その一人の関フェローの嬉しいニュースが。

デブサミ2020夏のベストスピーカーが決定、1位はCode for Japan 関治之氏

日本で有数の伝統もあって大規模なエンジニアのイベントでの受賞。東京都の新型ウイルス感染症対策サイトは職員とシビックテックのコミュニティによって運営されていますがそのことにもプレゼンでは触れていただいています。

このプロジェクトを通じてシビックテックについて多くを彼やその仲間から学びました。全員の名前はとても書ききれないんだけどまさに私にとってのジェダイマスターたちです。せっかくなのでジェダイマスターたちから学んだことをこれを機会に書き留めておきます。行政でシビックテックやオープンデータの推進を検討してる人の参考になると幸いです。

プロジェクトから学んだこと


税金で作るシステムはオープンソースに相性が良いこと。

「採用弱者の行政ではエンジニアやデザイナーは雇いにくい」と愚痴り続けても一人も採用できないが行政が扉を開けばたくさんのエンジニア/デザイナーが参加してくれる可能性があること。

たんなるサービスの受益者ではなくサービスの創造過程に自らのスキルを生かして参画したいという市民がたくさんいること。エンジニアと便宜上は書いたけどデザイナーや翻訳やデータチェックなど幅広い人が自分の得意なコトで参画してもらえる可能性があること。それも国外からさえも。

東京以外にもそういう気持ちの人がいっぱいいて、コードを誰もが再利用できるように公開したらご当地エンジニアたちによって日本全国45都道府県で動くまでに拡大したこと。利用者も既に累積で2000万人をこえ個人やメディアのオープンデータの再利用は測定不能なほど多数。伝統的な仕様書いて入札して検収して納品して直すときにまた仕様かいてな方式なら、違った結果がうまれていた可能性があること。

選挙権がない高校生や大学生もサービス開発が行われるデジタル空間の中ではフラットに参画できること。実際にリーダとして主導した県も。

行政の現場を知る職員と行政内のICT専門家の存在が極めて重要でココとシビックテックがスリートップのチームを作ると価値を生み出せること。とくに職員が組織内調整とデータを綺麗にして安定的に供給することがとても重要であること。

市民のデジタルサービスの開発を通じた街づくりに参加したい!というエンジンのガソリンがオープンデータにあること。だからこれが鍵であり、雑にPDFとかでデータを出すのは低オクタンのガソリンでエンジンをまわすようなもので市民参加の推進力が萎えかねないこと。行政の保有データは市民が生み出したものだから市民のコンピュータで判読可能形式で返却する義務があること。

税収を国経由で補助金などで地方に還流する貢献の仕方をいまはしてる。オープンソース、オープンデータ、ノウハウやナレッジといった知的財産を誰もが利用可能なライセンスにして「知的な社会的公共財産」として他地域に貢献する方法論があること。

今後の展開

行政が何かを作る過程で「ヒアリングします」「パブコメどうぞ」「ご意見募集します」で参画を促すことは多々あります。が、デジタルテクノロジーを活用して「市民とともに課題設定して解決アイデアを考えて対話しながら合意形成して意思決定して一緒に開発してみんなでテストして改善する」ということはまだまだ行政側も不慣れです。またこの世に万能の道具は存在しないのでなんでも今回採用したようなフォーメーションって訳にはいかないでしょう。

それでも情報技術を活用した市民参画の方式の可能性をもっと学んでみたい。

スマートシティといえば、IoTと通信網で街のデータを集めてAIで最適化するというのも挑戦的でとても面白いのです。他方、市民が自分自身の住んでる街をよりよくするために受益者ではなく行政と一緒にデジタルテクノロジーを通じて一緒にプロダクトを開発していく、そんなプロジェクトがニュースにならないほど日常茶飯事になってる街もまたひとつのスマートシティのあり方です。

コロナが落ち着いたら真っ先にしたいのがプロジェクトに貢献してくれた人とみんなで集まって今後の展開とか話し合いたい。zoom 会はやったことあるのですがやっぱり物理空間でやってみたいですね。行政はどんなオープンデータを出すことをもとめられてるのか?どんな支援があるともっとやりやすくなるのか?どんなことがあると萎えるのか?たくさん聞いてみたい。

しっかり作り込む伽藍の美しさもあるけどみんなでワイワイやるバザールの良さもある。「伽藍とバザール」という話があった気がしますが、バザールと対極にありそうな都庁がじつは相性がとてもよい可能性があるんだなと考えるよいきっかけになりました。

最後にプロジェクトに参画してくれたすべての人にお礼をいいたいです。ありがとうございます。

May the Force be with you !


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