オランダに引っ越しました
世界の台所探検家の仕事を続けながら、大学生として文化人類学を勉強します。
急に決めてバタバタと準備をし、ほとんどの方に直接ご挨拶できなかったので、ここに不義理のお詫びを兼ねて報告を書くことにしました。
なぜ引っ越した?
今は日本語で執筆や講演をしていますが、もっと広い世界に向けて英語で発信していきたい、というのが一番の理由です。加えて、文化人類学的なフィールドワークをしているけれど文化人類学を学んだことがなく、学術的な知識と物の見方を強化したいという思いがずっとあったので、大学に行くことにしました。ライデン大学というオランダ最古の大学です。
本当は博士(PhD)に行きたかったのですが、研究テーマが決まらないので修士(マスター)に出願し、そしたら落ちてプレマスターという学部3~4年生レベルの授業からスタートです。長い道のりになり、一体どこまでやるのかは不明です。
なぜオランダ?
英語で仕事ができ、EUの国で、移動がしやすく、個人事業主としてビザが取れる、というのが主な理由です。オランダの公用語はオランダ語ですが、100%近い人が英語を話します。
EUに住みたいと思ったのは、あちこちに行きやすいことのほかに、新しい食文化を作っていく気概がすごいなと感じたからです。環境や倫理の問題に関しても、ケージ飼いの鶏卵が禁止されたり、ペットボトルや空き缶の回収システムによりリサイクル率が95%の国があったり、実際に社会が変わっているのですよね。長い歴史を持ちつつ、政治や経済の力で大きく変化する食を見つめてみたいと思っています。
また、オーストラリアやアメリカと比べて移動がしやすいので、EUの他の国々やアフリカなどにも足を伸ばして探検に出かけていきたいです。
オランダの食自体は、まあ美食というよりは合理的という言葉で表現されるものですが、食産業にかける努力は相当なものだと感じています。狭い国土ながら世界第二位の農業輸出国であり続けられる戦略、プラントベースフードにかける研究開発と普及の努力、合理的な食が生まれる文化的背景など、オランダ国内だけでも興味深い話題はたくさんです。
…と書くそれっぽいのですが、熟考したというよりは、縁とタイミングがあってオランダのことを知り、興味を持った大学の出願締め切りまであと一週間だったので慌てて出したというのが真実です。
仕事のあては?
まったくありません。日本語で書いているような内容を英語で寄稿させてくれる媒体を探したいと思っています。
円安もあり、生活費を稼がないと精神的に苦しいので、がんばります。
日本の仕事に変化はある?
対面の講演や授業ができないこと以外は変わりありません。執筆やオンラインの講演は続けられます。ただ、現在進行中の書籍3冊の執筆と既存の仕事で直近は手一杯で、1月くらいまでは新規の案件を承りづらい状況です。
今後、ヨーロッパにいるからこそご一緒できそうな仕事があればお声がけください。たとえばプラントベース事情などEU食トレンドのレポート、日本のEU進出のためになんらかお手伝いできることなど。日本の食と社会が10年後も100年後も豊かで元気であり続けるための一助になりたいと思っています。
オランダはどう?
みんな背が高いです。オランダ人の平均身長は、男性184cm、女性171cm。私は日本でも小さい方なので小人になった気分です。スーパーに行っても一番上の棚の牛乳に手が届きません。新居の窓の取手に手が届かず開けられません。
また、国土の4分の1が埋立地という低地国家なので、山国育ちの身としては山が見えないどころかアップダウンがない景色が不安です。でも平らな国土ゆえに自転車に乗りやすいのはいいところです。早く自転車を手に入れたいです。
食べ物は、ゴーダチーズがおいしいです。家の隣は運河と大麻ショップです。
日本に住んでいると、日本の嫌なところが目について文句を言ったりもしていたのですが、離れるとなると急に愛おしくなるもので。日本は食べものがおいしくて気候も人も治安もよくて物価も安くて最高なのになんで離れるんだろうと本当に自分でもわからないですが、ひとまずがんばります。
お仕事関係の方には多大なる迷惑をかけていますが、こんな私に根気よくお付き合いくださって本当にありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いいたします。