【共同声明全文】「私たち法学者・法曹は、選択的夫婦別氏制度の早期実現を求めます」

選択的夫婦別氏制度は、生来の氏名と、その下で築かれてきた生き方や人格を大切にしながら、夫婦・家族の絆を作り上げることを望む人々に、その道を開くものです。夫婦の氏が同じか別かということと、夫婦や家族の絆の強さとは無関係です。家族の形態や生活のスタイルが多様化しつつある現在の日本では、氏名に対する個人の思いを尊重し、かつ、夫婦や家族の絆のあり方の多様性を認める制度として、夫婦同氏を望む人には同氏を、別氏を望む人には別氏を選ぶことができるという選択的夫婦別氏制度が必要だと考えます。

 2017年、内閣府の世論調査では、法改正に賛成42,5 %、反対29,3%、60歳未満全体では、賛成50.0%、反対16.8%です。また、早稲田大学法学部・棚村政行研究室と選択的夫婦別姓・全国陳情アクションによる47都道府県「選択的夫婦別姓」意識調査(2020年10月、全国7000名、通称使用という回答枠をもうけない調査)によれば、夫婦同姓・別姓選択制に賛成70.6%、反対14.4%です。2020年の新聞社等マスコミ調査でも、賛成は70~80%です(朝日新聞社69%、西日本新聞社約8割、TOKYOFM82.9%等)。地方自治体議会において選択的夫婦別氏制度の導入あるいは国会での議論を求める趣旨の意見書を可決した数は、2019年47件、20年60件と急増し、本日現在178件に及びます。こうした数値は、夫婦同氏の強制によって生活上支障を来す人がいることが広く認識され、選択制が国民各層、各地域において受容されていることを示しています。

1996年2月、法制審議会答申「民法の一部を改正する法律案要綱」において選択的夫婦別氏制度の導入が明記されてから、約25年経ちます。国会においては、個人の主観的な家族観や信条ではなく、この間の客観的な社会情勢を正しく直視して開かれた場で議論を尽くし、上記答申を先ずは実現すべきであると考えます。その際には、氏名は人が個人として尊重される基礎であり、その個人の人格の象徴であるとした最高裁1988年2月16日判決の法理が尊重されるべきであることを申し添えます。

2021年1月29日
共同声明呼びかけ人 
二宮周平(立命館大学教授) 
犬伏由子(慶應大学名誉教授) 
棚村政行(早稲田大学教授) 
床谷文雄(大阪大学名誉教授)
                         
共同声明賛同者 1022 名(法学者302名、法曹720名)
~署名略~

2021年3月7日まで、ご賛同署名の二次募集を行っております。ご賛同いただける方は下記のページよりご署名お願いいたします。


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